群衆を追うもの

更新日 Reconstructed on 2015年 9月 2日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 ReConstructedモダン回にようこそ!

 今回のお題として『マジック・オリジン』参入後のモダン・デッキを募集していたわけだが――投稿は確かに受け取ったよ! 単純かつ苛烈なものから奇抜でひねくれたものまで、様々に工夫されたモダン・デッキが届いた。(そしてこの記事ではそのうちの1つを取り上げるけれど、そのほかの素敵なデッキを掲載した「今週のマカトール選」が最後にあるから見逃さないでくれよ!)

 投稿されたデッキから1つを選ぶという大変な作業の果てに、どのデッキを取り上げるかを古き友が決断させてくれた。そう、部族の原点、騒がしい赤のクリーチャーである、ゴブリンがね!

 《ゴブリンの群衆追い》が再録されたことで、ゴブリンという分野は再び注目されはじめた。そこで今回取り上げるデッキリストはどんなものか? ああ、ReConstructedのほかならぬ愛読者、クォールが投稿してくれたものだ! 見てみよう。

クォールの「ゴブリン」

モダン
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その戦術とは

 ゴブリンにできる最高の戦術とは? 殴ることだ!

 このデッキの目標は、20ある対戦相手のライフを迅速かつ苛烈に削り切ることだ。単純明快だね。しかしこのデッキと普通のビートダウン・デッキには、心に留めておくべきいくつかの重要な違いがある。

 まず何よりも、このデッキはこれまでに見て来たであろうどんなゴブリン・デッキよりも速い。例えば、レガシーのゴブリン・デッキと比較してみても、全然違うデッキと言える。レガシーではミッドレンジ・デッキのようにカード・アドバンテージを大量に得る類のゴブリン・デッキがほとんどで、重いカードのための《霊気の薬瓶》と、《ゴブリンの首謀者》、《ゴブリンの女看守》、そして《包囲攻撃の司令官》といった長期戦向けのカードを採用しているのが特徴だ。

 今回のデッキは、もっと爆発的に展開して、速やかに対戦相手を倒すのが狙いだ。いや、実際、爆発的さ――ダメージを無理矢理通すために《ゴブリンの手投げ弾》のようなカードを使うからね。

 それがこのデッキのもう1つの特徴と関係してくるんだ。もしダメージを充分に与えられるなら、このデッキはそのためにクリーチャーを失ってもかまいやしない。攻撃を通せるようになるまでクリーチャーを温存する多くのアグレッシブ・デッキとは違い、中途半端は餌にしてしまうという一面があるのさ。これを扱う際はうまい具合に判断していく必要がある。クリーチャーの多くは消耗品だ。5点のダメージを与えるためなら、クリーチャーを――《ゴブリンの群衆追い》や《ゴブリンの酋長》のような優秀なクリーチャーであっても――餌にしてもかまわない、という状況がこのデッキではしばしば発生する。

 なぜかって? このデッキには高火力呪文が搭載されているからだ!

 《稲妻》と《ゴブリンの手投げ弾》があることで、対戦相手に火力で8点から10点のダメージを与えることが極めて容易となる。それらをちょっと手札に引いておけばいい――ブロッカーをどかして戦場のクリーチャーで止めを刺すための手段としてじゃないよ。このデッキではクリーチャーは材料にすぎないんだ。

 それじゃあ、その材料を調べていくとしようか!

デッキ詳細

 デッキの場所を空けるにふさわしいカードはどれで、ゴブリンですら五分の勝負にもっていけないカードはどれか? デッキのカードを全て調べていこう!

 《ゴブリンの先達》は攻撃的な赤の1マナ域としては最高の1枚だ――しかも都合の良いことに、こいつはゴブリンでもある!

 私は《ゴブリンの先達》のことを、「《テレパシー》内臓という利点つきの1マナ2/2速攻クリーチャー」と評したことがある。利点というのはいささか誇張気味だが、その欠点はこのデッキでは比較的気にならない。もし《ゴブリンの先達》の調子が悪ければ、相手は何枚かの土地を得るだろう。だけどもし調子が良ければ、優勢のまま相手の引くカードを全て把握できる。

 ともかく、4枚採用を納得させるための理由をいくつも探す必要すらない。減らしたりはしないよ。

 『ギルド門侵犯』が登場したとき、モダンで《鋳造所通りの住人》がうまくやれるなんて全く考えていなかっただろう――だけれども、今は違う。絶対に4枚だ! これは最低でもほぼ2/1のゴブリンだが、(強制攻撃はともかく)《ぼろ布食いの偏執狂》のようなクリーチャーよりも《鋳造所通りの住人》のほうが優れているのは、3/1あるいは時に4/1になるのが極めて容易な点にある。《モグの戦争司令官》のようなカードを使うことで、《鋳造所通りの住人》は大打撃を与えやすくなるんだ。

 《怒り狂うゴブリン》がこれほど優秀に見えたことはない!

 上で言及したように、このデッキはクリーチャーを消費してもかまわないが、消費しなくて済むならそのほうが良い――そして《軍勢の忠節者》はそれを手助けしてくれるんだ。このデッキに入っているクリーチャーのパワーを上げる手段全てと、このチビスケがくれる先制攻撃によって、ゴブリンどもが大打撃を与え続けられるようにしてくれる。

 しかし《軍勢の忠節者》の本当の売りは、《ゴブリンの群衆追い》にトランプルを追加することだ。《ゴブリンの群衆追い》には、ブロックで相打ちを取るのが容易という問題があり、そのダメージは全てクリーチャーに防がれてしまう。しかし面子に《軍勢の忠節者》を加えれば、《ゴブリンの群衆追い》は先制攻撃のおかげで生き残れそうだし――対戦相手はトランプルのせいで生き残れそうにない。

 私は《軍勢の忠節者》を3枚に増やしたいと思う。複数枚来たときに持て余すので4枚ではちょっと多いが、1枚は引きたいので、3枚なら充分うまく行くだろう。

 《ゴブリンの奇襲隊》のコストは赤1マナだ。しかしほとんどの場合、赤1マナとしては勘定しない。85%はキッカーを使うために唱えるだろうから、のクリーチャーとして考えよう。(85%という数字は完全にでっち上げだ――ゴブリン勘定っていうやつさ)

 1ターンゴブリンを強化するの1/1速攻はどの程度のものだろう? まあまあではあるが、ほとんどの場合は、速攻よりも《ゴブリンの戦煽り》のような持続する強化のほうが欲しいだろう。《ゴブリンの奇襲隊》が輝く唯一の要素は、自分のクリーチャー全てに速攻を与える点だ。

 とはいえ、そういう状況はほとんど見かけない。このデッキの土地は20枚だけで、能力の起動にマナを必要とする《変わり谷》もある。《ゴブリンの群衆追い》を出した後さらに《ゴブリンの奇襲隊》をキッカー込みで出すための4マナが揃っている状況なら有効だ――しかしほとんどの場合は、他のカードとの一貫性を持っているほうがいいだろう。

 そこで、1枚に減らしたい。初手に1枚あってもまあ問題はないし、それを踏まえて展開を行える。あとから引いたときは、大きな一手となりうる。そしてもしかすると、1ターン目に何も出せない状況を助ける、12枚目の1マナ域としての出番があるかもしれない。

 これは、私を再びこのデッキに注目させた再録カードだ。『オンスロート』ブロックで登場して以来、《ゴブリンの群衆追い》はいつだって……そう、デッキが必要とし追い求める1枚だった。ブロックされなかった《ゴブリンの群衆追い》がたたき出すダメージは甚大だ! そして《軍勢の忠節者》のようなカードとの連携によって、かつてないほどの実力を発揮できる。4枚全てそのままだ。

 部族デッキにおいて伝統的に重視されるのは「ロード」――特定のクリーチャー・タイプを持つクリーチャー全てを強化するクリーチャーだ。そして《ゴブリンの戦煽り》はクリーチャー・タイプについてどうこう言うものではないが、同様の役割を受け持つ。これは実質、後から効果を発揮するロードで、味方を強化するには次のターンに攻撃する必要がある。《ゴブリンの戦煽り》が2マナであるという点はデッキにうまく合う。多くのダメージを通すためなら、攻撃して死んでもかまわないさ。4枚のままでいいね。

 このデッキは戦線を広げて大量のクリーチャーを展開し、それらでダメージを通すことで優位に立つ。《モグの戦争司令官》はそれを華麗に成し遂げる助けとなる。見た目は少々弱そうだが、これが持つ相互作用の量は半端じゃない。《鋳造所通りの住人》や《ゴブリンの群衆追い》を強化できるか? もちろん! 生まれるトークンは《ゴブリンの戦煽り》や《ゴブリンの酋長》で強化されるか? 当然! 《ゴブリンの手投げ弾》のために手軽に生け贄にしてもいいか? 断然! トークン生成の類は、このデッキを作動させるための大きな要素となる。4枚にまで増やしたい。

 トークン生成があまりに重要なので、この4枚だけで終わらせたくない。似たようなカードとしては《クレンコの命令》があるので、デッキが充分にトークン生成の恩恵を受けられるよう、これも2枚入れようと思う。

 このロードは、このデッキの戦術を実行する上でもっとも必要とする2つの効果を持ち合わせている。味方のゴブリンに速攻を付与し、さらにサイズも強化してくれるんだ。パワーの低いクリーチャーが並んだ状況では、いつだって全軍のパワーを強化する手段が欲しくなる。《ゴブリンの酋長》はそれを可能にする素晴らしい方法だ。あらかじめ言っておくと、このデッキがロードのために使える枠はこれが限界だけど、これは絶対に4枚欲しいカードだ。

 《ゴブリンの熟練扇動者》は強力なカードだが、最初の戦闘開始時ステップを迎える段階では、クリーチャー・トークンを得るのみだ。一方で、このデッキの強みの1つは速さにあり――即座に発揮される効果の少ない3マナ域のカードに割ける枠は限られている。《ゴブリンの熟練扇動者》の高まるパワーは《軍勢の忠節者》と相性がいいものの、その分野においては《ゴブリンの群衆追い》に劣る。

 《ゴブリンの熟練扇動者》の枠には、戦場に出るやいなや莫大なダメージ増加を発生させられるカードが欲しい。私が考えているのは、あまり知られていない《分かち合う憎しみ》というカードの採用だ。

 これなら味方全体を+2/+0以上は強化してくれそうじゃないか。しかも、エンチャントだから除去されにくい!

 さて、《分かち合う憎しみ》には欠点がある。これはクリーチャーではないし、戦線を構築しているときにのみ強いカードだ。したがって、大量に引きたくはない。それに加えて、元々、このデッキには3マナ域を採用できる余地が少ない。それでも2枚あると嬉しいね。

 もし他の全てのデッキが《》を使っているなら、検討しただろう――しかしそんなことはありえない。確かに優秀なサイドボード・カードではあるかもしれないが、+1/+1の全体強化だけでは、この3マナ域のカードを採用する材料としては足りないね。

 いや、こいつはゴブリンじゃない。そう、今まで作られた中でもっとも効率的な火力呪文さ。主要なフォーマットで、赤のアグレッシブ・デッキが《稲妻》を採用しないことについて、真っ当な理由を説明できるだろうか。これは本体にも撃てるしブロッカーも除去できる――このデッキではどちらも素晴らしいね。

 通常なら、これは3枚に減らしたい類のカードだ。カード・アドバンテージを失うし、序盤に固め引きしたくないからね。でも、そんなのは対戦相手が死ぬならどうでもいい話だ。結局のところ、カード・アドバンテージよりもゲーム・アドバンテージのほうが重要なのさ。

 5点のダメージはそれだけ強力なんだ。もし初手に2枚あれば、実質、対戦相手のライフはすでに10点だ。10点! このカードはデッキを機能させる要素だ。4枚のままにしよう。

 これらの変更を加え、デッキはこうなった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「群衆を追うゴブリン」

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 ああ、なつかしのゴブリン。

 攻撃して、ゴブリンをたくさん出して、また攻撃。相手に《ゴブリンの手投げ弾》。素敵じゃないか。オススメしたいね。

 大雑把だが、このデッキの攻撃力にはすさまじいものがあるし、モダンでの競争力も実際にありそうだ。使ってみてくれ!

今週のマカトール選

 今回も、秀逸で独創的なモダンのデッキがいくつも投稿された。見てくれ!

ジェイミック・シュリーマンの「製粉専門の錬金術師」

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ティボルト・アドソンの「永劫の歩行機械」

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マシュー・ロビンソンの「強欲な橋」

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タニグチ ユウの「女魔術師の輝き」

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ハタオ ケントの「精霊信者の迷路」

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マチダ タカヒロの「ずべりおん」

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ソノハラ トヨハルの「穢れた療法バーン」

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スチュアート・フリントの「ジャンドからの生命」

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キイ タクロウの「ドラゴンの橋」

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Frogueの「エスパー・悪魔の契約」

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マイケル・アシュビーの「アブザン・カンパニー」

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ジェイコブ・ジョンソンの「ディミーアの取引」

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マイケル・マルティネスの「ボクシング・デー」

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