低予算エルフ

更新日 Reconstructed on 2015年 9月 8日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 「ReConstructed」、低予算デッキ回へようこそ!

 今回も、低予算デッキが世界各地から送られてきた。そして、私はそれらをずらっと並べて選ぶことになったよ! 低予算でスタンダードを楽しもうと思っている人も、流行りのアーキタイプが好きな人も、ぜひ記事の最後に載せる「マカトール選」までじっくり見てくれ。

 さて、本日私が注目するのは、『マジック・オリジン』でサポートされている部族――エルフだ! 先週はゴブリンを見てきたんだから、今週エルフに注目するのがフェアってもんだよね。もちろんそれだけじゃなく、エルフは低予算構築にぴったりなんだ!

 「エルフ」デッキのリストは本当に多くの人が送ってくれた(あと私が考えることといえば、そこから今週見ていくのに良いものを選ぶだけだった)けれど、本日見ていくのはただひとつ、ドリュー・フォーサイス/Drew Forsythから送られたものだ。(もしこの名前が本当なら――きっとアーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheのペンネームのひとつに違いないね)

 さっそく見てみよう。

ドリュー・フォーサイスの「黒緑低予算エルフ」

スタンダード
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低予算のルール

 エルフの住む木立へ入り、夜の森へ潜る前に、私が低予算でデッキを組む際のルールをおさらいしておこう! もし初めて低予算構築回を読む人がいたら、予想してみてくれ。

  • 新しいレアや神話レアをデッキに加えない。むしろデッキに美味なレアを添えた追加料金を設定し、そのレアを調理するか、食べないかのいずれかを選んでもらう。
  • 上記の例外としてマナの安定がある。しっかりしたマナ基盤から得られる恩恵は多く、手に入れた土地は今後のデッキに活かせる不可欠なものだ。せっかくのカードも、唱えることができなければ君たちの力になってくれないだろう!
  • 代用品は用いない。低予算が現在のデッキより悪いバージョンを意味する必要はない――低予算はより容易に入手可能なカード向きのアーキタイプを構築することをまさに意味する。《飛行機械の諜報網》や《ジェスカイの隆盛》のようなカードを必要とするデッキにおいてそれを単純に代用できるカードは無い。
  • 低予算は弱いデッキではない。私はこの過程において最善ではないと思うデッキを作ろうとはしていない。マジックの歴史上には、大成功を収めた多くの低レアリティ・デッキがあるし、それらの跡を継ぐ方法は確かに存在する。

 各項目のいずれかについて詳細な説明を望むなら、最初の低予算記事の冒頭を確認してほしい。

 オーライ。全部わかったかい? よろしい。それじゃあ、今回のデッキがどのように動くのか詳しく見てみよう!

その戦術とは

 かつてのコンボ寄りの「エルフ」デッキ(参考:プロツアー・ベルリン2008トップ8・リンク先は英語)と異なり、スタンダード版の「エルフ」デッキはただひたすらに対戦相手を殴り倒す! 部族ならではの恩恵とエルフならではのマナ加速でアドバンテージを生み出し、素早く殴りかかろう――その後もエルフの猛攻は途切れることなく続くぞ!

 『マジック・オリジン』で加わった大きな1枚は、《森の伝書使》だ。対戦相手が全体除去を使ってきても大量の単体除去で1対1交換を取ってきても、こいつのおかげで今回のデッキが息切れに陥ることはなく、エルフの軍勢を展開し続けることができる。

 それとは逆に、攻めの方面で欠かせないカードも『マジック・オリジン』で追加されている。それは《群れのシャーマン》だ(フェリシア・デイ/Felicia Dayのせいで、このカードを見るたびに「ブロロン、ブロロン」って聞こえてくるよ)(参考動画:リンク先は英語)。《群れのシャーマン》は、対戦相手にゲームが一気に終わるほどのライフを失わせ、複数引き込もうものならさらに大変なことになる。1枚で4点以上は失わせてくれるだろう。そこへ3/2のクリーチャーまでついてくるというのだから、今回の戦略に多く採用したいところだ。

 今回のデッキに足りない部分があるとすれば、厄介なクリーチャーに対処するための除去だろう。その助けになるツール――例えば、接死を与えられる《節くれ根の罠師》――はあるものの、単体除去を少し加えてやれば重宝することだろう。

 今回のデッキに採用されているカードの多くが『マジック・オリジン』のものであるというのは、新鮮な刺激に満ちているね! さあ、もっと詳しく見てみよう。

デッキ詳細

 今回のデッキにぴったりなものと、完璧とは言い難いものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、確認しよう!

 1マナで繰り出せるマナ加速は、それだけでこの上なく素晴らしい――さらにこの2枚はエルフであり、理想的だ! とりわけ、《節くれ根の罠師》はエルフに接死を持たせることができて優秀だね。これにより、我らがエルフの軍勢は《包囲サイ》のようなカードを前にしても攻撃に向かうことができ、有利な交換を取ることができる。そして対戦相手がブロックしてこなければ、戦闘後に使えるマナが増えるのだ!

 私は、これら8枚を減らそうとは絶対に思わないね。

 カード・パワーを見るなら、《茨弓の射手》は今回のデッキで私が使いたいと思えるギリギリのラインだ――しかしそれでも、いくつかの理由で私はこいつを残したい。まず、1マナ域が確保できること。それから、《森の伝書使》や《群れのシャーマン》を機能させるのに必要なエルフの数をまかなえること。そして、わずか1マナで繰り出せるため、簡単に《群れのシャーマン》の威力を上げられること。さらに、アグレッシブさに重点を置いた今回のデッキでは、素早くダメージを与えられるカードが欲しいこと。

 時として対戦相手に《エルフの神秘家》が現れて期待通りの動きをしないこともあるけれど、けん制として《茨弓の射手》は十分だろう。

 2マナで合計パワー3というのは、いつ見ても心躍るね――しかもこのカードはトークンを生み出すことで「横に展開」できる。つまり、《群れのシャーマン》の威力を上げるのに役立つさらに魅力的なやつなのだ! 単体でも優秀で、のちにさらなるダメージを生み出す助けとなるこのカード、4枚すべて欲しいね。

 《エルフの幻想家》は、マジック全体を見ても有数の「見た目以上に強い」カードのひとつと言って間違いないだろう。確かに2マナ1/1というサイズは恐ろしいものではない。だが、手札の枚数を変えずに戦場へエルフを加えることができるというのは、燃料切れを防ぐ大きな助けになるだろう。そして何より、《群れのシャーマン》のようなエルフの数を参照するカードや《光り葉の将帥、ドゥイネン》のようなエルフを強化するカードとともに使えば、《エルフの幻想家》自身も強力なカードとなる。それから、カードを引けるという能力はゲームのどの段階でもありがたいものなのだ。4枚すべて残すことにしよう。

 《群れのシャーマン》についてはすでに言及したけれど、ここでもう一度こいつの強さをはっきりと言っておこう――こいつこそが主力だぞ! 《群れのシャーマン》は、今回のデッキで最も恐ろしいカードのひとつだ。こいつがデッキに入っているおかげで、対戦相手は常にこいつが出てきてゲームが終わることを意識しなければならないため、盤面が膠着してもこちらが有利を得られるのだ。絶対に4枚すべて採用したい。

 《森の伝書使》はまさに、カード・アドバンテージ・マシーンだ! こいつと同様の能力を持つ《ゴブリンの首謀者》は、かつて何度もスポットライトを浴びた――今度は《森の伝書使》が輝く番だ! 今回のデッキでは、《森の伝書使》から平均して2枚はエルフを手に入れることができ、2倍《エルフの幻想家》とも言える活躍を見せてくれるだろう。ぜひその恩恵にあやかりたいね。

 こいつはかなり強力なため、4枚しっかりと採用したい。現在の3枚から4枚に増やそう。

 《ティムールの剣歯虎》は、「エルフ」デッキが手に入れた革新的な1枚だ。ああ、《ティムールの剣歯虎》が(基本的に)エルフでないことは、3年生の歴史の授業で習ったよね。たしかにそうだ。

 では、エルフを扱いエルフを唱え、エルフを数えてエルフを強化する今回のデッキにおいて、《ティムールの剣歯虎》は一体何をしてくれるのだろう? その通り、「エルフを再利用する」という非常に強力な相互作用があるのだ!

 2マナという軽いコストで、どのエルフでも手札に戻せる――こうやって聞くだけだとそんなに凄そうじゃないね。でも実際は本当に強いんだ! 「戦場に出たとき」に誘発する能力を振り返ってみてくれ。《群れのシャーマン》? バン! 《森の伝書使》? バンバン! どうだ、夢が詰まっているだろう!

 《ティムールの剣歯虎》は、必ずしも戦略の中心として選ばれるカードではない――それでも、ちょっと厄介な状況になったときにそこから脱する助けになるだろう。《エルフの幻想家》でカードを引き増したい場合など、こいつが役に立つはずだ。

 1ゲームに2枚は引き込みたくないけれど、長いゲームを見据えて1枚は手札に来るようにしておきたい。《ティムールの剣歯虎》は2枚に減らそう。

 その代わり、状況によっては使えるエルフを1枚だけ挿しておきたい。それは《再利用の賢者》だ! こいつはどのマッチアップにおいてもたくさん引き込みたいカードではないものの、対象に困ることはそうないだろうし、1枚入っていれば本当に必要なときに探しにいけるのだ。(《森の伝書使》のおかげで、1枚挿しのカードを探すのは君たちが思っているより簡単だぞ!)

 こいつはこの時点で唯一の土地でないレアであり、優れた1枚だ!

 ドゥイネンの力は目腐りに対して振るわれるものだが、幸運にも目腐りを従えているのは対戦相手の方だ! 自軍のエルフをすべて強化するのはまさに今回のデッキにとって望ましい能力であり、その上ライフの回復もできるなんて素敵だね。予算の制限がなければ3枚目を加えたいところだけれど――2枚でも十分頼りになるだろう。

 《忌呪の金切り声》は一気にライフ差をつけることができる1枚で、今回のように多くのクリーチャーを展開するデッキが深刻なダメージを生み出す助けになるものだ。

 しかし、こいつが活躍するために必要なことを考えてみてほしい。まず第一歩として、多くのクリーチャーで攻撃しなければならない――そもそもこれができているなら、そこまで苦戦しているわけじゃないだろう。それから、何かをデッキに採用するということは代わりに別の何かが使えないということだ。《忌呪の金切り声》が活躍する場面はあるけれど、私としてはもっと安定して唱えることができて、いつでも有効なものを採用したい。

 この枠には、最初の方で述べた通り除去を採用しよう!

 今回のデッキにはこれ以上エルフでない呪文を採用する余地がないけれど、3枚なら許されるだろう。私としては、《英雄の破滅》2枚と《究極の価格》1枚に除去を散らしたい。それぞれに強い場面があるけれど、基本的には《英雄の破滅》の方を持っていたいのだ。今回のデッキがもっと墓地を肥やせるものなら《残忍な切断》を検討したけれど、それと相性の良い「フェッチ・ランド」は特に欲しいと(必要だと)は思わない。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「低予算にふさわしいエルフ」

スタンダード
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 スタンダードで緑のクリーチャーを駆使して対戦相手を殴り倒したいけれど、手持ちのカードがそんなに充実していない君へ、私からこのデッキをオススメしよう。土地でないレアは《光り葉の将帥、ドゥイネン》と《英雄の破滅》だけだ。さらに言えば、マナ基盤をしっかりさせるのは良いことだけれど、レアの土地を使わなくても問題はない。

 では逆に、予算に糸目をつけない場合はどうなるだろうか? 今回の形なら、私は《集合した中隊》と《ウルドのオベリスク》を検討するだろう。《集合した中隊》は《森の伝書使》の役割を満たすことができ、一度に複数のエルフを展開してこのデッキのエンジンを動かし続ける。それから《ウルドのオベリスク》を何枚か採用すれば、ゲームを素早く終わらせる力がつくだろう。そして、3枚目の《光り葉の将帥、ドゥイネン》を追加するのもいいね。

 ただ、レアを加えるとしてもそれくらいだ。この「エルフ」デッキはきっと、それらをすんなり受け入れるだろう。ぜひそれらでこのデッキを強化して、試してみてくれ!

今週のマカトール選

「今週のマカトール選」では毎回、私のもとへ送られてきたデッキの数々をいくつか取り挙げる。

 ご覧あれ!

マシュー・センチルスの「白黒エンチャント」

スタンダード
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クォールの「マルドゥの誘拐者」

スタンダード
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イトウ カズナリの「キマイラの巻物」

スタンダード
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リックの「墓地落とし」

スタンダード
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イーヴォ・ワーナーの「ブルー・ローグ」

スタンダード
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フタバ トシアキの「ヘリオン・レッド」

スタンダード
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ジョン・レズナーの「英雄が必要だ」

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ドーソン・リンチの「エルフの結集」

スタンダード
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モー・ホームズの「低予算ミラクル・グロウ」

スタンダード
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アディソン・フォックスの「穢れた集い」

スタンダード
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(編訳より:9月8日(現地時間)に掲載の本記事のうち、デッキ募集の部分を抜粋してお伝えいたします。募集したデッキが掲載される記事の翻訳掲載は10月6日(日本時間)となります。)

ゼンディカーの探検

 『戦乱のゼンディカー』のプレビューはもう始まっている。皆さんが新カードでやりたいことを見ていく時が来たのだ! ローテーションを迎えた新鮮なスタンダード環境は、1年の中で大好きな時期のひとつだ。『テーロス』ブロックが去り、『戦乱のゼンディカー』が加わる。何が組めるだろう? さあ、私に教えてくれ!

フォーマット:『戦乱のゼンディカー』導入後のスタンダード

デッキの制限:『戦乱のゼンディカー』のカードを1枚以上含むこと。

締め切り:9月16日(水) 午前10時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Zurgo Bellstriker
3 War-Name Aspirant
4 Wild Slash

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 『テーロス』ブロックが去ることで、このフォーマットは変革を迎えようとしている! 《思考囲い》、信心、《クルフィックスの狩猟者》と《森の女人像》のデュオともさよならだ――そして新鮮なフォーマットの道を切り開くのだ。何が考えられるだろう? 来週水曜日までの時間があるから、皆さんのベストを送ってほしい! 週の後半までデッキリストの投稿を待ってくれてもかまわない。そうすれば、プレビューされたカードを多く見られるだろう。

 それまで、この記事についての感想があれば、ぜひ聞いてみたい! 気軽に私のTwitterへ質問ツイートを送ったり、Tumblrへ質問を書き残してほしい。目を通すことをお約束するよ。

 来週はエキサイティングな『戦乱のゼンディカー』のプレビュー・カードとともにお会いしよう。良いプレビュー・ウィークを過ごしてほしい。それではまた次回!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(編訳より:次週の本コラムは日英同時掲載となり、日本時間9月16日0時に公開いたします。プレビュー・カードをお楽しみに!)

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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