来るぞ!

更新日 Reconstructed on 2015年 10月 6日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 もう秋だね。みんなは秋を感じているかな? 萎れた葉のかすかな匂い、かぼちゃパイの誘う香り、あるいは雨上がりの地面の臭いから。

 ああ、うん。違うよね。エルドラージがゼンディカーを侵略し、大地をバラバラに引き裂いてやろうとする、憤怒と殺戮の気配から秋が感じられるんだ。

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陰惨な殺戮》 アート:Aleksi Briclot

 しかしおそらく、その世界から感じ取れる中で最も大事なのは、希望の空気だ。状況を一新してくれる希望……新しいデッキ構築の匂いだ!

 そう、その通り。環境は入れ替わる。さようなら、《森の女人像》! さようなら、《思考囲い》! そして、デッキ構築者の楽園、新環境にようこそ!

 毎回、環境の変化から最初の数週間は、デッキ構築者にとって素晴らしい時間だ。(次からは春にも環境の入れ替わりがあるぞ!)何もかもが新鮮で目新しい。定番とされたカードは環境を去り、そして新しく登場したセットが、いかなる新しいデッキを構築してくれるかを待っている。

 さあ、新しいデッキを組もう。

 私たちはこの争いでまずどちらの側につくべきだろうか? 各地で敗退しつつある健気な同盟者……別次元からの恐怖の存在に対抗し、ゼンディカーを守るために立ち上がっている彼らと手を組もうか?

……いや。エルドラージの側につこう!

 今回の記事に向けて、『戦乱のゼンディカー』後の素晴らしいスタンダード・デッキが世界中からいくつも送られてきた。記事の終わりにある「今週のマカトール選」でそれらを確認できるぞ。その中でも、今回取り上げるデッキは迅速かつ獰猛――そして、もしプレリリース・イベントやトレードで簡単にカードを集めて組めるようになるデッキを探しているなら、最適なデッキさ。

 アサダ マサユキが投稿してくれたデッキを見てみよう。

アサダ マサユキの「エルドラージの先陣」

スタンダード
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その戦術とは

 赤や黒のデッキは攻撃的な傾向がある。そこは驚くところではない。しかしながら、エルドラージは確かに独特な個性を持ち合わせている。つまり、無色であるということだ。

 無色関連の要素は、今はエルドラージのものとしてある。それらが提供してくれる無数の恩恵を享受できるクリーチャーで、デッキを満たしたいところだね。

 例えば、その大きな恩恵の1つが、《幽霊火の刃》だ。

 これは『タルキール覇王譚』登場時、可愛らしいものだった。裏向きのクリーチャーに1マナで装備できる。ふうん、すごいね!

 さて、『戦乱のゼンディカー』がスタンダードに加わることで、これは無視できない影響力を持つことになる。

 1マナで出して1マナで装備できる+2/+2の装備品は、恐ろしいほどに強力だ。唯一の問題点、装備コストの条件についてはどうだろうか? そのための無色クリーチャーは充分に用意してある。

 似たような立ち位置のカードとしては、これもそうかもしれない。

 『戦乱のゼンディカー』以前の《精霊龍の墓》は、採用可能な水準ではなかった。しかしこれからは、実質「{2},{T}:あなたがコントロールするクリーチャーの数に等しい点数のライフを得る。」と読めるようになるので、とんでもないやり手になるかもしれない。他の攻撃的なデッキは、《精霊龍の墓》にてんで追いつかないだろう。

 《幽霊火の刃》、《精霊龍の墓》、そして《殺戮の先陣》のようなカードたちによって、無色であることが大きな利益に繋がる。鍵は、このデッキに可能な限りの迅速さと獰猛さを持たせつつ、さらにメインテーマも際立たせられるかどうかだ。つまり、エルドラージと無色関連のカードを、もっと採用していきたい。

 関連してくるカードはどれくらいあるだろうか? このデッキリストが投稿された時点ではまだ全てのカードが公開されているわけではなかった。相性の良いカードを新しく見つけるためにカードイメージギャラリーを見て、それからデッキを練り上げていこう!

デッキ詳細

 我らがエルドラージ軍団にふさわしいのはどのカードで、全くの期待はずれなのはどのカードだろうか? デッキのカードを全て調査していこう!

 スタンダードで最もよく知られているカードの1つは、たまたま無色でもある! これはエルドラージではないが、彼らが気にするのは無色かどうかなので、エルドラージのふりをすることができる。《幽霊火の刃》を颯爽と装備することもできる!

 《搭載歩行機械》はビートダウン・デッキにとって最速のクリーチャーではないが、充分に強力なカードで、長期戦での強さにも自信あり、ときている。デッキに居場所があるのは間違いない。しかしながら、4枚全投入はしたくない。初手に2、3枚来ると初動が遅くなるかもしれないからだ。3枚に減らすつもりだが、これがこのデッキでとても強い、という点に間違いはないよ。

 無色でXのコストを持つクリーチャーについて言えば、偶然にも、もっと攻撃的でこのデッキに上手く合致する同様のカードが存在する。しかもそれは本物のエルドラージなんだ。

 こいつは必要とするマナ域のどこにでもぴったり納まる。1ターン目に出して、2ターン目に《幽霊火の刃》を出して装備して、3点で殴りたい? 完璧さ! マナフラッド(マナだけ多すぎる状態)していて、6マナをカードにつぎ込みたい? 万全だ! 無色であることによる相互作用がある上、途方もない柔軟性も提供してくれるこのカードは、デッキにとても良く合う。4枚全投入しよう。

 攻撃的にいきたい場合に有用となる2つの要素、それはクリーチャーのサイズ効率が――マナ・コストから見たパワーとタフネスの高さの比率が――良いかどうかと、素早くダメージを押し通す能力があるかどうかだ。《殺戮の先陣》はどちらも持ち合わせている! クリーチャーに速攻を与える2マナ3/2? 4枚入れるしかないさ!

 これ自身は無色ではないが、死亡したときに予示を行える――つまり無色のクリーチャーを生み出すということだ! これはブロックで時間を稼ぎつつ、身代わりとして真っ当に無色なクリーチャーを生み出す巧妙な策略さ。

 とは言うものの、もっといい方法があるんじゃないかな。最初から無色で、もっと攻撃力があってブロックにも向いているクリーチャーが存在しているんだ。(アサダがこのデッキリストを投稿してくれた時点では公開されていなかったから、入れようがなかっただろうけどね。)《コジレックの歩哨》のことだ。

 通常は1/4をビートダウン・デッキに入れようとは思わないのだけれど、毎ターン無色の呪文を唱えることでパワーが2や3になるだろう。それに加えて、タフネスの高さゆえに単体除去の多くを回避できるし、ブロックにも使いやすい。《スゥルタイの使者》の枠はそのまま《コジレックの歩哨》に入れ替えよう。

 パワー・タフネスは並だが、戦場に出たときに対戦相手のライフを2点失わせる能力はちょっとした速攻能力のようなもので、場合によっては不利な状況を覆すだろう! ゲームを終わらせる方法を充分に確保するのは、あらゆる攻撃的デッキにとって重要なことで、これは対戦相手がブロッカーの壁を作り上げていてもダメージを通せる。4枚をそのまま残しておきたいね。

 『戦乱のゼンディカー』で登場した《息詰まる忌まわしきもの》は、確かに興奮もののカードだ。よく使われることになるだろう。しかしこのデッキに居場所があるだろうか?

 末裔トークンをより多く生み出すとか、死亡したときに誘発する能力を持ったクリーチャーを多く採用しているようなデッキであれば、《息詰まる忌まわしきもの》を上手く迎え入れることができるだろう。しかしながら、このデッキはクリーチャーをカードに交換したいのではなく、クリーチャーの戦線を維持したいデッキなんだ。その上、攻撃的なデッキが持てる4マナ域のカードはそう多くない――そして脳内にはすでに使いたいカードも思い浮かんでいる!

 《塵の中を忍び寄るもの》だ。

 黒赤欠色ビートダウン・デッキのためのカードが、今ここにある! 実質、他にクリーチャーをコントロールしている限り手札に戻らない、4マナ5/3速攻クリーチャーだ。

 これならデッキがやりたいことにより調和している。《息詰まる忌まわしきもの》は抜こう――そして《塵の中を忍び寄るもの》を4枚迎え入れよう!

 3マナ2/2飛行速攻というのは良いが、《幽霊火の刃》を引かない限り、このデッキで獰猛を達成するのは難しい。無色でもないし、生け贄での相互作用が見込めるカードも抜いた。他のカードを採用するためにこの枠を空けようと思う。

 リリアナがエルドラージの側に付く? 強力なタッグだ!

 物語的な話は置いておいて、リリアナはこのデッキとどの程度相性がいいだろうか? サイズを見るかぎり、このデッキが本当に必要としている攻撃性には届かない。プレインズウォーカー面のプラス能力は手札破壊だ――しかし《果てしなきもの》や《搭載歩行機械》を利用するこのデッキでは、クリーチャーを墓地から戦場に戻す能力を他のデッキほど活躍させることはできない。

 リリアナは素晴らしいカードだけど、このデッキとの相乗効果は見込めない。彼女は無色でもないので、より有効な脅威のために枠を空けたほうがいいだろう。加えて、《息詰まる忌まわしきもの》や《スゥルタイの使者》のようなカードが抜けたことで、リリアナの力はより減少している。

 ごめんね、リリアナ! 恨まないでね。

 これはこのデッキタイプのためのカードとして頂点にあり、無色のクリーチャーを大量に採用する主要な理由でもある。1マナで出して1マナで装備できる装備品が与える+2/+2の修整は、このデッキが出すあらゆるクリーチャーをかなりの脅威へと変貌させるだろう。複数の《幽霊火の刃》を引けば相当な威力になり、ゲームを決定付ける。

 これを4枚使わないなら、このデッキは使わないよ。

 赤黒のアグレッシブなデッキを使うなら、その時点でデッキに《コラガンの命令》の採用を検討するべきだ! 2点ダメージの効果と死んだクリーチャーを手札に戻す効果は、どちらもこのデッキで使う可能性のある基本的なモードだ。そして、対戦相手の最後の手札を(あるいは、手札のない相手がドロー・ステップで引いた手札を)捨てさせるのも、かなり強い。

 しかしながら、3マナ域に割ける枠はそれほど多くない。ここで本当に必要だと思う火力は、《極上の炎技》だ。3マナで4点のダメージは素晴らしい効率で、同じ複数抱えるなら《コラガンの命令》よりもこちらのほうが大抵の場合は良いだろう。

 そう言っておいて何だが、それでも《コラガンの命令》はいいカードだと思う。しかしやはり、利用できる枠は多くない。《極上の炎技》4枚と《コラガンの命令》2枚にしてみよう。

 《巻き添え被害》はちょっとした犠牲だけで効果を発揮するが、私は生け贄を必要とせずとも近い効果を発揮する火力呪文のほうを使いたい。《乱撃斬》を入れよう。

 《乱撃斬》は同じ1マナ域の火力で、《巻き添え被害》で除去できる厄介なクリーチャーのほとんどを同様に処理できる。ダメージは1点少ないが、ほとんどの場合は自軍のクリーチャー数を維持できるほうがいいだろう。

 《乱撃斬》を4枚全投入しよう。

 《塵の中を忍び寄るもの》のようなものと合わせるのは夢のような話で、一度の攻撃で対戦相手のライフを半分にしてしまうだろう。しかしながら、その利点は大きいものの、《ティムールの激闘》が本当に役立つのは勝てるときだけだ。デッキが割ける枠はそう多くなく、デッキを前進させるために使えるか、対戦相手の前進を押しとどめるために使えるカードのほうが優先される。さようなら、《ティムールの激闘》!

 時にはクリーチャーを除去しなければならない。序盤は《極上の炎技》や《乱撃斬》などが、除去を担当してくれるだろう。とは言うものの、《残忍な切断》が1枚あれば、長期戦で出てくるであろう(敵のエルドラージなどの!)クリーチャーへの対処が楽になる。1枚に減らすけど、その1枚がデッキにあるのは嬉しいね。

 これらの変更を加えて、最終的なデッキリストはこうなった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「来るぞ!」

スタンダード
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 もし攻撃するのが好きなら、このデッキがお勧めだ! 素早いクリーチャーと火力呪文で対戦相手を倒すことに重点を置いた攻撃的なデッキは、常に存在できるデッキの1つだ。この種のデッキをこの先数ヶ月のイベントでよく見かけるようになっても、驚くことではないね。

 より一層攻撃的にしたいなら、《搭載歩行機械》のようなカードを抜いて《鐘突きのズルゴ》のようなカードを採用し、マナカーブを低くすることもできる。代わりに、無色を利用した相互作用をいくつか失うことになるけどね。もう一つの方向性としては、嚥下や昇華といったエルドラージらしさを求めて、《泥這い》や《精神背信》といったカードを利用するのもありだろう。そうすれば《不毛の地の絞殺者》を展開しやすくなるからね。

 どの道を選ぶとしても、ゼンディカーの戦乱を楽しもう――そして立ちふさがる全ての敵を貪り食うんだ!

今週のマカトール選

 今週のマカトール選では、投稿されたほかの素晴らしいデッキを毎回紹介している。そして新しくなるスタンダードを題材とした今回の投稿デッキは、検討可能な新しいアーキタイプを見つける最初の機会になるだろう。

 見ていこう!

クォールの「5色ミッドレンジ」

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コバヤシ マサトの「エルドラージ・コントロール」

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Frogueの「意思を砕く者、キオーラ」

スタンダード
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カール・クリストファーソンの「ノヤン・ダール・キャントリップ」

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ハシモト ショウヘイの「バント・硬化した鱗」

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ヨナの「スゥルタイ・スーパーフレンズ・コントロール」

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DeElgathorの「ナヤ・ゴブリン」

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ブライアンの「エルフの同盟者、ギデオン」

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ジェイ・フォックスの「息詰まる飛躍」

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フィンガル・レトカの「恐怖の触手:クトゥルフの隆盛」

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アンドリュー・ワイゼルの「XXYへの回帰」

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マーク・イアン・アローソの「黒赤トークン」

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(編訳より:10月5日(現地時間)に掲載の本記事のうち、デッキ募集の部分を抜粋してお伝えいたします。募集したデッキが掲載される記事の翻訳掲載は10月19日(日本時間)となります。)

モダンでの「戦乱」

 さあ、今回も2週間後の記事で取り挙げるデッキを決める、構築チャレンジの時間がやって来たぞ。私はいつものようにみんなが送ってくれたデッキからひとつを選んで、その調整を記事にまとめるつもりだ!

 プロツアー『戦乱のゼンディカー』は2週間後のため、君たちがデッキを作ったり私が記事を書いたりしているころにはまだ始まっていないはずだ――そこで、スタンダードはいったんプロツアーに任せることにして、私たちはモダンを見ていこう!

 さて「ReConstructed」読者の諸君、今回は難問を用意したぞ。私は普段、このデッキ構築チャレンジをそこまで難しいものにはしていない――だが今回の挑戦には、デッキ構築の腕とひらめきが求められるだろう。『戦乱のゼンディカー』にしっかりと焦点を合わせたものでありながら、モダンに相応しいデッキに仕上げなければならないのだ。

 君たちならできると私は信じているよ。今回のお題を目にする心の準備はできたかい?

フォーマット:モダン

デッキの制限:「欠色」や「無色」をテーマの中心に据え、少なくとも1枚は『戦乱のゼンディカー』のカードに注目したものであること。

締め切り:10月13日(火) 午前10時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Makindi Sliderunner
3 Valakut Predator
4 Wild Slash

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り挙げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできないのだ!

 今回は難しいぞ! もちろんだが、《精神背信》を1枚入れただけの「親和」デッキを送るなんてことは勘弁してくれ――ちゃんと「無色であること」や「欠色」メカニズムを活かせるものを見つけ出して、それを中心にデッキを組むんだ。なかなか上級者向けのデッキ構築チャレンジかもしれないけれど、私はもういくつかクールなアイデアを見つけているよ。君たちもさっそく挑戦してみてくれ!

 それから、今回の記事やデッキについて何か意見や感想があれば、ぜひ聞かせて欲しい! 気軽に私へツイートを送ったり、Tumblrで質問したりしてくれ。どんな意見にも目を通すよ。

 それではまた来週、戦乱に備えて気を引き締めておいてくれ!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)