低予算黒単

更新日 Reconstructed on 2015年 10月 26日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 低予算スタンダード回へようこそ!

 先週は、最高にクールな低予算モダン・デッキを組み上げた。モダンでしっかり慣らした考えを踏まえて、スタンダードで低予算デッキへ挑戦するのに、まさにうってつけだ! プロツアーを終えた今、予算を抑えながらデッキを選ぶならどんなものがいいだろう?

 よし、本日はすでに大成功を収めているアーキタイプからとっても素敵なデッキをお届けしよう――おまけに単色だから、「フェッチ・ランド」や2色土地を使ったとんでもないマナ基盤にしなくても機能するぞ!

 準備はいいかい?「ReConstructed」読者のマックス/Maxが送ってくれたデッキを見るところから始めよう!

マックスの「黒単『生け贄』」

スタンダード
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低予算のルール

 生け贄に捧げるのを始める前に、私が低予算でデッキを組む際のルールをおさらいしておこう! もし初めて低予算構築回を読む人がいたら、頭に入れておいてくれ。

  • 新しいレアや神話レアをデッキに加えない。むしろデッキに美味なレアを添えた追加料金を設定し、そのレアを調理するか、食べないかのいずれかを選んでもらう。
  • 上記の例外としてマナの安定がある。しっかりしたマナ基盤から得られる恩恵は多く、手に入れた土地は今後のデッキに活かせる不可欠なものだ。せっかくのカードも、唱えることができなければ君たちの力になってくれないだろう! だが幸運にも今回のデッキは黒単色なので、これは大きな問題にならないはずだ。
  • 代用品は用いない。低予算が現在のデッキより悪いバージョンを意味する必要はない――低予算はより容易に入手可能なカード向きのアーキタイプを構築することをまさに意味する。《飛行機械の諜報網》や《ジェスカイの隆盛》のようなカードを必要とするデッキにおいてそれを単純に代用できるカードは無い。
  • 低予算は弱いデッキではない。私はこの過程において最善ではないと思うデッキを作ろうとはしていない。マジックの歴史上には、大成功を収めた多くの低レアリティ・デッキがあるし、それらの跡を継ぐ方法は確かに存在する。

 各項目のいずれかについて詳細な説明を望むなら、最初の低予算記事の冒頭を確認してほしい。

 オーライ。それじゃあ、今回のデッキがどのように動くのか詳しく見てみよう!

その戦術とは

 核となるのは、対戦相手を速やかに倒すことを目指しつつ妨害も行うアグレッシブなデッキだ。しかし、今回のデッキも多くのビートダウン・デッキが採用する1マナや2マナの優秀なクリーチャーを持ち(《血に染まりし勇者》も採用しているね)、「コストの軽さ」に重点を置いているものの、その戦略は普通のアグレッシブなデッキとはやや異なっている。

 まずサイズの小ささを補うために、アドバンテージを得られるカードが多く採用されている。例えば《捕らわれの宿主》や《スゥルタイの使者》は、死亡しても盤面にクリーチャーを加えてくれる。また《血に染まりし勇者》は自身が何度も戦場に戻る。こういった死亡することが気にならないクリーチャーは、《息詰まる忌まわしきもの》や《不気味な腸卜師》のようなカードとともに並べ、さらに《ナントゥーコの鞘虫》と手を組むことで、爆発的な力を発揮するのだ。

 《血に染まりし勇者》を例に挙げよう。このデッキにおける《血に染まりし勇者》は、特に強力なエンジンとなるのだ。そのターンに攻撃をしていれば、《血に染まりし勇者》は{1}{B}で何度でも戦場に戻り、《ナントゥーコの鞘虫》によって生け贄に捧げることができる。そこで《息詰まる忌まわしきもの》や《不気味な腸卜師》も戦場にあれば、《ナントゥーコの鞘虫》の能力が「{1}{B}:ナントゥーコの鞘虫は、ターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。カードを1枚引く。」に変貌するのだ。

 こりゃスゴい。私もぜひ使いたいな。

 もちろん、他にもたくさんのシナジーがあるぞ。《捕らわれの宿主》や《スゥルタイの使者》で《ナントゥーコの鞘虫》を一気に強化しながら、同時に《ズーラポートの殺し屋》で対戦相手のライフを吸い取って、突然勝負を決めることもできる。それから、《捕らわれの宿主》や《スゥルタイの使者》は《無慈悲な処刑人》との相性も抜群だ。これらが組み合わされば、対戦相手のクリーチャーを除去しつつ、こちらは(実質)クリーチャーを失わないで済むのだ。おまけに、《息詰まる忌まわしきもの》とともに攻勢に出ても活躍してくれるぞ!

 今回のデッキの構成はかなり練り込まれていて、またそれぞれのカードにシナジーがあるため、元のリストからあまり大きく離れるわけにはいかない。それでも、特に呪文の選択にはまだ改善の余地があるだろう。対戦相手への妨害をもう少し強めて、他のカードがもっと輝くように仕上げていこう。

 具体的にどうすればいいのかって? よし、デッキリストを詳しく見ていこう!

デッキ詳細

 今回のデッキに残すべきものと、生け贄に捧げるべきものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、確認しよう!

 低予算構築において採用されるレア・カードは、デッキにおける主力として活躍できるもののみになるようにしている――《血に染まりし勇者》は、まさにそれだ! 1マナ2/1という性能は、対戦相手のライフに切り込む素早い一歩となるだろう。しかしこいつがただの《先兵の精鋭》とは大きく違うのは、戦場に戻る能力を持っているところだ!

 《血に染まりし勇者》を使えば、ゲーム序盤からひたすらに攻勢に出ることができる。どんなカードと交換することになっても、有利を得ることができるだろう――こちらは後で《血に染まりし勇者》を戦場に戻してやればいいだけだ!

 そしてゲーム後半こそ、《血に染まりし勇者》は本当の輝きを放つ。

 《血に染まりし勇者》が加わることで、すべての「サクリ台」や「クリーチャーが死亡したとき」に誘発する能力がわずかなコストで一気に活気づく。とりわけ、先ほど述べたように《ナントゥーコの鞘虫》が超凶悪なキラーマシンへと変貌するのだ。

 以上を鑑みて、私は《血に染まりし勇者》を絶対に4枚採用したい。

 これらの2マナのクリーチャーは一見まったくの無害に見えるが、実はその頼りなさそうな双肩にかなりの力を秘めている。死亡時に別のクリーチャーを生み出すタイプのクリーチャーは、2対1交換を取れる可能性があるだけでなく、今回のようなデッキとの相性が最高なのだ。《捕らわれの宿主》や《スゥルタイの使者》は構築での使用に耐えるかどうかの瀬戸際にあるカードだが、《ナントゥーコの鞘虫》や《息詰まる忌まわしきもの》のようなカードと組み合わさることで信じられないほどの力を発揮し――まさに構築級の強さになるのだ。

 これらが持つ役割は同じだが、私は合わせて8枚すべて採用したい。

 ズーラポートへようこそ!

 2マナ1/1じゃ何の面白みもないように見えるかもしれないけれど、どうか見誤らないでくれ――こいつはこのデッキ最大の脅威のひとつなのだ! こいつがいれば、こちらのクリーチャーが死亡するたびに対戦相手のライフを1点ドレインできる。そして今回のデッキにはクリーチャーを生け贄に捧げる手段が豊富であるため、《ズーラポートの殺し屋》はかなりのダメージを稼ぎ出してくれるのだ!

 例えば《ナントゥーコの鞘虫》と組み合わせれば、生け贄に捧げるたびに1点のダメージが上乗せされる。盤面が膠着した場合は、《血に染まりし勇者》のようなカードと組み合わせることで素早くクロックを刻むことができるだろう。今回のデッキの狙いは、どんどんクリーチャーを死亡させて利益を得ることであり――《ズーラポートの殺し屋》はそれを実現させてくれるのだ。ぜひ4枚欲しいね!

 ここまでにも何度か《ナントゥーコの鞘虫》については述べてきたけれど、それは理由あってのことだ――《ナントゥーコの鞘虫》は今回の戦略を支える柱のひとつなのだ! こいつはライフに余裕がある対戦相手を一撃で葬るのにこの上ない手段となり、今回のデッキを動かす「サクリ台」としても確かな働きを見せてくれる。さらに、《ならず者の道》に注目してくれ! それはゲームを終わらせる道となるのだ。

 今回のデッキでは《ナントゥーコの鞘虫》は極めて強力であるため、私はこいつを4枚に増やしたい。複数枚引いてしまうとやや余る印象を受けるものの、必ず1枚は引き込みたいし、複数枚引いても悪いと言うほどではないだろう。4枚で決まりだ!

 今回のデッキでは、3マナ域が多くなり過ぎないように気をつけることが大切だ。とはいえ、《不気味な腸卜師》を抜こうとは思えない。《不気味な腸卜師》は基本的に、「除去必須の」カードだ――対戦相手としては、こちらがクリーチャーを生け贄に捧げるたびにカードが供給されては、放っておけば圧倒されてしまうだろう。さらに《ナントゥーコの鞘虫》と《スゥルタイの使者》がともにあれば、いとも容易く手札を増やせるようになる!《不気味な腸卜師》は3枚残そう。

 対戦相手が戦場にある1体のクリーチャーを頼みの綱にしているなら、《捕らわれの宿主》や《スゥルタイの使者》から《無慈悲な処刑人》へ繋げる動きが極めて凶悪なものになる。対戦相手の頼みの綱を断ち切りつつ、こちらの盤面はほぼ失わないで済むのだ!

 だがもちろん、《無慈悲な処刑人》にも(あるいは《肉袋の匪賊》にも言えることだが)弱点はある。トークンを中心にした戦略には効果が薄く、また3マナをかけてソーサリー・タイミングで使うカードであるため、ややマナ・カーブに沿った展開を阻害するのだ。《搭載歩行機械》がはびこる今の環境では、魅力に欠けるところは否定できないだろう。私としては、すべてのマッチアップでこいつが手札に来るのを望まない。そこで《無慈悲な処刑人》の枚数を2枚に減らし、より軽い除去呪文に変えようと思う。必要ならサイドボードに収めるのはいいと思うけれど、メイン・デッキには2枚で十分だ。

 4マナというコストがのしかかる《息詰まる忌まわしきもの》だが、それでもこいつは素晴らしい1枚だ。毎ターンクリーチャーを失うというのは、多くのデッキにとって抱えたくないリスクと言えるだろう。だが今回のデッキでは、そのリスクはささいなものどころか、強烈な長所にもなり得るのだ。《息詰まる忌まわしきもの》は毎ターン4点もの攻撃を対戦相手に与えるだけでなく、多大なカード・アドバンテージを稼ぎ出してくれる。そしてもちろん、《ナントゥーコの鞘虫》がともにあれば、好きなだけカードを引けるようになるのだ。《息詰まる忌まわしきもの》はぜひ全部残したい。

 1マナ域にぴったり収まって序盤から戦場に現れ、その後リソースをうまく使ってくれるカードを私は高く評価する。《カルシの高僧》は、まさにそれに当てはまるものだ。ゲームが長引けば盤面のリソースをうまく使ってクリーチャーの展開を確実なものにし、必要なカードを探す助けにもなるだろう。

 だけれども、十分とは言いがたい。こいつが機能するためには継続的にマナの支払いが必要になるし、今回のデッキには、自身のクリーチャーをよりよいものに変える、という同じような機能を持ったカードが他にもある。状況によっては《カルシの高僧》が強い場面は確かにあるけれど、今回のデッキに合うほどのものじゃないだろう。バイバイ、《カルシの高僧》!

 除去呪文といえば、この《残忍な切断》は環境随一の強力なカードだ。今回のデッキは「フェッチ・ランド」を使用しないため、こいつを連打するのはやや難しくなるが――「生け贄」を存分に利用すれば毎ゲーム1回は楽に唱えられることだろう。汎用性の高いこの除去を2枚採用するというのは完璧だね。

 数ある黒の除去呪文の中でも、《完全無視》は今とりわけ多くの利点があるカードだ。《搭載歩行機械》の能力を誘発させることなく取り除くことができ、また嫌になるほど繰り返し戦場に戻ってくる《死霧の猛禽》のようなカードにも的確に対処できる1枚なのだ。

 だが3マナというコストはやや非効率で、私としてもあまり望ましくはない。しかしながら、ちょっと不思議に思われるかもしれないけれど、1枚は残しておきたい。除去の主力にはならないものの、1枚なら引き込んでも問題ないだろう。1枚採用で決まりだ。

 懐かしき《骨の粉砕》の登場だ。「目には目を」という動きは、今回のデッキにおいては確実にアドバンテージを稼げるだろう。ところが、わざわざ「不要な」生け贄を捧げなくとも、十分に優れた普通の除去呪文はある。今回のデッキのゲーム・プランがうまく機能して押せ押せの状態なら、《骨の粉砕》は強力なカードだ。しかし除去呪文とは、こちらが押されている状況でこそ重要なカードなのだ――そして押されている状況なら、私は《骨の粉砕》のようなカードは引きたくない。

 代わりに、《究極の価格》を2枚採用しようと思う。現在の環境には強力な3色のカードや「欠色」を持つカードが溢れており、《究極の価格》で除去できないものも多い。それでも2枚の採用に抑えれば、手札に溜まって酷いことになることも少なく、ちょうどいい対象も見つかることだろう。今回のデッキには《究極の価格》2枚がぴったりだ。

 占術ができるだけでなくマナを注ぎ込んでゲームを終わらせることもできるなんて、このカードは実に魅力的に見えるね。だがしかし、もう一度言おう。このカードも、こちらが勝っている状況でしか強くない、ということに気をつけてくれ。《過去の過ち》は盤面に影響を与えず、こいつの働きはほぼクリーチャーの数に左右される。指を鳴らせば戦場に現れるというならぜひ使いたいけれど、あるカードをデッキに採用するということは他のカードの枠を費やす、ということなのだ――多くの場面で、私は他のカードの方が引きたい。《過去の過ち》は抜いてしまおう。

 最後に、いくつか手札破壊を加えたいと思う。今回のデッキは全体的に強力な戦略を有しているが、もっと妨害手段を持ってもいいだろう。除去を増やすというのもひとつの手だけれど――対戦相手のカードを手札から抜くことで、今回のデッキのシナジーを輝かせるチャンスを掴めるようになるだろう。さらに、手札破壊を採用することで1マナ域が増え、マナ・カーブを軽い方へ寄せることができるのも最高だ。

 採用するカードは等分にしよう。《強迫》2枚に《蔑み》2枚だ。私としては、同じものを2枚引くよりはそれぞれ1枚ずつ引き込みたい。これらは対戦相手から何が繰り出されるかの情報を引き出し、ゲームの流れをコントロールする助けになるだろう。きっと、ゲームの流れをこちらに引き寄せるのに大いに役立つはずだ。

 ここまでの変更をすべて受けると、デッキは以下のようになる。

ガヴィン・ヴァーヘイの「夜の恐怖」

スタンダード
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 シナジーと強打を持ったデッキを低予算で組みたいなら、ぜひこのデッキから始めるといいだろう! 特に注目すべきは、「フェッチ・ランド」も2色土地も必要でないところだろう。現在のスタンダードのとんでもないマナ基盤を使わなくて済むのだ。

 この戦略にレアを加えるなら、黒のカードだったら《破滅の道》の検討は欠かせないね。それから、今回のように「生け贄」に注目したデッキなら《異端の癒し手、リリアナ》も強力な1枚だ。

 他の色を足すなら、緑と組み合わせるのが強いと思う。とりわけ《集合した中隊》はデッキのエンジンとして活躍することだろう。このデッキのほとんどのクリーチャーは《集合した中隊》で繰り出すことができ、最強の陣を敷く助けになるのだ。

 ぜひこのデッキを楽しんでくれ。生け贄でアドバンテージを取るんだ!

今週のマカトール選

「今週のマカトール選」では、今週私のもとへ送られてきたデッキの数々から他に素晴らしいものをいくつか取り挙げる。ぜひ見てくれ。

スティーヴ・タッケットの「4色荒廃した富」

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ジエ・アウン・タンの「ヒット・アンド・ラン」

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アリッサ・グレイプニルの「溺れる夢」

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ヨハン・コムストックの「群れの突破」

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ショーン・スキナーの「白黒ライフゲイン」

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アダム・ジャクソンの「腐った卵」

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イケダ タクローの「白黒『嚥下』なし昇華者」

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アンソニー・ピカリーの「低予算シミック『突撃陣形』」

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タンザナイトの「接死の弓」

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カーリ・マルソンの「白青果敢」

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イトウ カズナリの「タフネスこそ正義」

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マシュー・センチレスの「エルドラージな崩壊」

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ティボルト・アドソンの「欠色陣形」

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ソーサリー (3)
3 昇華者の突撃
インスタント (3)
3 手酷い失敗
アーティファクト (4)
4 幽霊火の刃
エンチャント (7)
4 突撃陣形 3 溶鉄の生育場
60 カード