インパクトある契約のために

更新日 Reconstructed on 2015年 7月 21日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

「素晴らしい、あるいは素晴らしく危険なカードだって?」

 カードデザイナーとして、そしてデッキビルダーとして、私をこれ以上興奮させる神話レアについての説明は、恐らくほかにないだろう。

 そのカードは何かって? 《悪魔の契約》さ。

 もし使い方を誤れば、文字通りゲームに敗北する。しかしその一方で、利点はきわめて大きい。その利益! その価値! その力の全てを見たまえ! そしてあなたも、こいつは素晴らしいと思う、そうだろう?

……そうだろう?

 これほどまでに「悪魔と取引」する要素を体現したマジックのカードは、他にないだろう。そして今回は、この《悪魔の契約》を利用したデッキを取り扱っていく。日本から投稿された、コバヤシ ヒロヤのデッキリストを見てみよう!

コバヤシ ヒロヤの「悪魔の契約コントロール」

スタンダード
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Planeswalker (2)
2 精霊龍、ウギン
クリーチャー (2)
2 ヴリンの神童、ジェイス
ソーサリー (3)
3 衰滅
アーティファクト (2)
2 危険な櫃
エンチャント (4)
4 悪魔の契約
60 カード

その戦術とは

 このデッキの要素のほとんどは、使い慣れているであろうコントロール・デッキのものだ。全体除去、打ち消し呪文、プレインズウォーカーという感じにね。ゲームを終わらせる大きな脅威を出せるところまでたどり着けるように、相手の展開を可能な限り遅らせるんだ。

 しかし、このデッキを真に動かす特別な方法こそが、《悪魔の契約》なのさ。

 ゲームに負ける以外の3つのモードは全て、この種のデッキで優秀なものだ。対戦相手の手札やパーマネントを攻めるなり、カードを引くなりして試合展開をコントロール可能にしてくれる。

 しかし、どうやって契約死を防ごうか? 結局のところ、これはコントロール・デッキだ。素早く勝ちを決められるわけじゃない。

 さて、そのための秘策だが、デッキ構築時の考えを柔軟にして、《悪魔の契約》をバウンスできるようなカードを選び、もう一度使いまわすというのはどうだろう? 契約列車を乗り継いで、次の目的地に向かうんだ。「ああ、見てくれ、負けそうだ! いや、これは本当に負けちまう! ほら、今3つ目の選択をしたところだ、もう負けるぜ! 見てみろ――おや? 生きてるぞ? 素晴らしい。契約さまさまだねえ」ってね。

 これらを実行する上でさらに上手くやる方法は何かないだろうか? そうだな、契約をやり直す部分はかなり調整の余地があるようだ。それ以外だと、コントロール・デッキとして最上となるように仕上げるのが重要になるだろう。

 準備はいいかな? デッキを割り開いて中身を見ていこう!


デッキ詳細

 残しておけるのはどのカードで、残すほどじゃないのはどのカードだろうか? デッキのカードを全て見て、残せるものと外せるものを調べていこう!


 新ジェイスは驚異的だ。そう。驚異的なんだ。彼は素晴らしい。ジェイスはカードを探すためにライブラリーを掘り進め、墓地にカードが溜まれば変身して呪文を再利用させてくれる――あるいは驚くほど手軽にライブラリーを削り取る、究極の能力を紋章化する。私はこの新ジェイスが大好きだし、この先に組むであろう数多くのデッキに新ジェイスを採用すると思う。

 「この先に」採用するというところが気になるかな? このデッキに新ジェイスが合うとは思わないんだ。

 コントロール・デッキを構築する際に考慮すべき極めて重要な点は、どんなクリーチャーを採用するか、そしてそれらが除去にどれほど耐えられるかだ。この場合、ジェイスはデッキ唯一のクリーチャーで――《胆汁病》や《究極の価格》のような採用率の高い除去で死んでしまう。

 死にやすいのはともかく、ジェイスがデッキ唯一のクリーチャーであるというのがここでちょっとした問題となる。対戦するデッキは大抵除去を持っているので、最低1枚は死に札として抱えることになるだろう。それらを死に札のままにしておきたいので、ジェイスはいないほうがいい。2ターン目にジェイスを出して、除去呪文での対応を迫って相手の展開を遅らせるのは妥当な取引かもしれない。しかし3ターン目や4ターン目ともなると相手の手札やマナにも余裕があるので、相手の行動を制限する意味合いも薄くなるだろう。

 対戦相手が除去をすべてサイドアウトする可能性があるので、ジェイスはサイドボードの優秀な選択肢だと考えていることは付け加えておきたい。しかしながら、他にクリーチャーが入っていないコントロール・デッキのメインに入れるカードとして適しているとは思わない。心配せずとも、ジェイスが入ったデッキは次回以降たくさんお目に掛けられると思うよ。


 このカードはこのデッキの中心で、すでに多くを語っている。とはいえ、戦術的なことについて少し付け加えることがある。

 基本的には、戦場を一掃したときに「カードを2枚引く」選択肢を使って優位に立ちたい。2枚捨てさせる選択肢を使う唯一の機会だと判断したり、対戦相手の2枚の手札をどうしても処理したい場合を除けばね。

 基本的には、4ターン目に《悪魔の契約》を出して問題ないはずだ。いくらなんでも5枚以上カードを引けば契約死を回避する方法は見つかるだろう。《時を越えた探索》のような、回答を簡単に見つけられるカードを考慮せずともね。ああ、もちろん即置くことが危険な場合もあるから、手札と状況は考慮するように。例えば、コントロール・デッキと対戦していて、《悪魔の契約》をバウンスする手段が手札に無い場合だ。置くのを待つか、打ち消し呪文を確保しておくようにして、唯一見つけ出したバウンスをカウンターされるような危険を冒さずに済むようにすべきだろう。ともあれ、デッキはほとんどの状況で4ターン目に《悪魔の契約》を置けるように構築されている。

 他の重要な点は、《悪魔の契約》が勝ち手段にもなりうることを忘れないようにすることだ。何度か再契約して対戦相手に4点を与えつづけることができれば、そのダメージは20点に及ぶだろう。勝ち手段が少ないデッキでは、この点を忘れないようにしたい。

 契約は慎重に行おう……とはいえ何度も契約するがね。


 スタンダードのコントロールの主力であり、4枚以外にする気にはならない。単純に強力なカードというだけでなく、とりわけこのデッキでは、《悪魔の契約》をバウンスするか契約を破棄する手段を見つけ出す助けになるからね! 納得の採用だ。


 スタンダードの最有力除去呪文は、このデッキの戦術に適している。《包囲サイ》のようなクリーチャーに対処できるのみならず、このデッキが狙う長期戦において間違いなく厄介な存在となる、プレインズウォーカーの面々にも対応可能だからだ。4枚投入だ!


 ここにきて、ちょっと普段見かけないようなカードが出てくるぞ。《分散》だ! 青黒コントロール・デッキでこの枠に通常入るのは《胆汁病》のような除去で、クリーチャーに対処するカードとしては確かに除去呪文より弱い。

 とは言うものの、《分散》を選択することで最終的に得られるのは《悪魔の契約》を解除するための手段であり、このデッキを機能させるための重要な要素になる。そういう意味では、この《分散》は普段使っている《分散》よりもさらに強力になっているぞ!

 手札が《分散》ばかりになるのはかなりよろしくないが、《悪魔の契約》のため、そしてゲームの展開を遅らせるために1、2枚あるのはいいだろう。ここでは3枚が適しているんじゃないかな。


 魔巧できるようになれば、この小さな良計は2ターンの間、2体のクリーチャーの攻撃を防いでくれる。あると嬉しい効果ではあるが、より対応力のある――もっと色々なデッキとの対戦で役に立つもののほうが欲しいところだ。さらに言えば、クリーチャーの攻撃を遅らせるのは嬉しいが、結局のところそれらに対処する方法があとで必要になる。

 軽量マナ域の枠に代わりに納まるのは、《意思の激突》だ。『マジック・オリジン』で登場したこの新しい打ち消し呪文は、マナカーブに沿って脅威を展開してくる対戦相手を簡単に押しとどめることができる。そのマナカーブに沿った展開に出遅れるのは、このデッキの主な負けパターンでもあるからね。《意思の激突》はゲーム後半でもまだ打ち消し呪文として機能するし、序盤に使われる呪文のほとんどはおそらくフルタップだろう。これは《シルムガルの嘲笑》とほぼ同等の役割を果たすが、使うためにドラゴンを満載する必要はない。喜んで4枚入れたいね。


 《意思の激突》を採用したので、これ以上の打ち消し呪文は必要ない。《悪魔の契約》を破棄できる《シルムガルの命令》のようなものがもう少し欲しい状態にあり、《解消》では状況にそぐわないんだ。《時を越えた探索》から持ってこれる確実なカウンターとして1枚残すのはありだと思うが、2枚以上は必要ないだろうね。

 カウンターで待ち構えるよりは、先手を打っておきたい。目新しさは全く無いが、エスパー・ドラゴン系のデッキで使われる《思考囲い》はとても強力な呪文で――しかもここには、失う2点のライフを補填できる、素敵な《悪魔の契約》まで用意されている! さらに、《悪魔の契約》を解除する重要なターンに、対戦相手が解除を妨害できないよう念押しできるのは、極めて重要だ。細かい点だが、序盤で使っておけばそれだけ早い段階で《時を越えた探索》のコストに使えるので、バウンス呪文を見つけるのがより簡単になるだろう。このデッキなら《思考囲い》は3枚がいいんじゃないかな。


 《衰滅》は素晴らしいカードで、ほとんどの状況で有効だ。様々な脅威に対処できるすごい全体除去だ。

 しかしながら、その手から逃れるクリーチャーもいくつかいる――例えば《包囲サイ》やドラゴンたちだ。《衰滅》を全て抜きたいとは全く考えていない――全体除去が4マナで打てるという基準はゲーム環境を変え得るからね。しかしながら、そのうち1枚を《命運の核心》に変更したいと思う。《時を越えた探索》を主力としたデッキなら、1枚挿しのカードを見つけるのも難しいことではないし、《命運の核心》には選択肢の1つとしてデッキに含めておくだけの価値もある。《衰滅》2枚、《命運の核心》1枚にしよう。


 全体除去について言えば、この《危険な櫃》もそうだ! これは、今述べた2種類の全体除去に比べると遅い(そしてそれが、相手のターン終了ステップに《時を越えた探索》して、次の自分のターンにすぐ使える《命運の核心》を1枚望む理由でもある)。しかし、クリーチャー以外の脅威を一掃できるという利点がある……自分の《悪魔の契約》もろとも!

 つまりはそういうことだ。《悪魔の契約》をバウンスできなくても、《危険な櫃》で追放して危険から逃れることはできる。例えば、《悪魔の契約》を2枚置いているとか、クリーチャーを一掃しつつ《悪魔の契約》も排除しなければならない状況にあるなら、とりわけ有効だろう。

 採用したい枚数は2枚だ。大量に引き込みたくはないが、かなり便利だし、《時を越えた探索》で見つけられるようにもしておきたい。2枚で!


 青黒命令は極めて強力だが、今の今まではあまり注目されてこなかったと感じる。しかし、バウンスのモードが強い意味を持ち始めた今こそ、《シルムガルの命令》を使うに相応しい時だ!

 コントロール・デッキに合う要素を多く持ち合わせているところが良い上、《悪魔の契約》を破棄できる能力がこのカードを輝かせる。4ターン目に《悪魔の契約》を出して、5ターン目に何か別のことをして(《時を越えた探索》とか!)、それから6、7ターン目に契約を戻せるなんて本当にひどい話だよね。

 2枚で充分だと思うのは、これの5マナがちょっと重くて、ドラゴン・デッキに対しても少し弱いから、というだけであって、2枚使えること自体はとても良いと思ってるよ。

 これとは別の、スタンダードで脇に追いやられていたがようやく日の目を見そうなカード、それは《ギルドパクトの体現者、ジェイス》だ。《悪魔の契約》をバウンスできることに加えて、[+1]能力を使ってゲームの勝利に近づくこともできる。そしてもし究極奥義にたどり着いたなら、《思考囲い》されたり除去されたりしたであろう勝ち手段をもう一度引き込むことも可能だ。1枚分しか枠を空けられないけど、それでも充分さ。


 《精霊龍、ウギン》は、《悪魔の契約》で対戦相手の手札を捨てさせた後の状況における主な勝ち手段でもあり、どうしても必要とあらば《悪魔の契約》を処理することもできる! 完璧だ。精霊龍はこのデッキの素晴らしい決め技となるので、2枚ともそのままデッキに残しておきたい。

 最後に、もう1枚勝ち手段を追加したい。適しているのは《漂う死、シルムガル》だ。呪禁を持っているので対象を取る除去では倒されず、1/1トークンの群れをなぎ倒し、《太陽の勇者、エルズペス》の[-3]能力にも巻き込まれない。1枚採用でばっちりだ。


 これらの調整により、デッキはこうなった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ハイ・イン=パクト・コントロール」

スタンダード
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 ちょっと危ないんじゃないかって? 確かに。しかし良いものにはコストがかかるものだ。危険も承知のうえさ。(言っておくけど、デーモンが最も気に入っている言葉は「危険も承知のうえ」のはずだ。)

 このデッキをさらに変更する方法もいくつかある。まず思いつくのは、白を加えて《完全なる終わり》、及び《龍王オジュタイ》のような同類の選択肢に注目する、エスパー型にしてみることだろう。ドラゴン・コントロール型にしてみることもできるんじゃないかな!

 どんな形にしてみるにしても、楽しんでほしい。悪魔との契約がうまくいきますように!


今週のマカトール選

 今週のマカトール選では、投稿されてきたほかの素晴らしいデッキをいくつか紹介していく。新しいスタンダードのデッキを見ていってくれ!

クォールの「赤単タイムツイスター」

スタンダード
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ハタオ ケントの「雄々しい兵士」

スタンダード
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ジェフ・ヴァン・エグモントの「プレインズウォーカーの中隊」

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マチダ タカヒロの「生けるジェイス」

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アンドリュー・ワイゼルの「ビッグ・レッド」

スタンダード
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イトウ カズナリの「S-elfish」

スタンダード
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ニック・フレガの「マルドゥ・ビートダウン」

スタンダード
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コジマ コウジの「ハイドラ・ミッドレンジ」

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Davの「白緑ビート」

スタンダード
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ブライス・ストーンハウスの「群れの結集」

スタンダード
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SwapGoTronの「魅力的なゴーグル」

スタンダード
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(編訳より:7月21日(現地時間)に掲載の本記事のうち、デッキ募集の部分を抜粋してお伝えいたします。本文の日本語訳は8月18日(日本時間)に掲載いたします。)

 デッキ募集はギデオン、ジェイス、リリアナと、カラー・ホイール順に回っているところだ。2週間後には焦熱のプレインズウォーカー、チャンドラ・ナラーを見ていこう!(訳注:チャンドラ・ウィークは8月3~9日となりますが、当該記事の翻訳の掲載は2週間遅れの8月18日の予定です。)

 彼女で勢いづけられるものは何だろう? ぜひ私に見せてほしい!

フォーマット:『マジック・オリジン』導入後のスタンダード

デッキの制限:《カラデシュの火、チャンドラ》を1枚以上含むこと。

締め切り:7月28日(火) 午前10時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain

4 Satyr Firedrinker

3 Ash Zealot

4 Lighting Bolt

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 いつものように、この記事について考えたことやフィードバックがあれば、ぜひ知らせてほしい! 皆さんの声はいつだって聞いていたい。私へのツイートTumblrでの質問を送ってくれれば、必ず目を通すことをお約束しよう!

 それではまた次回!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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