満天の星

更新日 Reconstructed on 2015年 6月 23日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 「ニクス」を覚えているだろうか?

 もうずいぶん前のことのように感じるけれど、『テーロス』の物語で鍵となった場所だ。私たちも実際に『ニクスへの旅』をしたよね。そして今、少しの間だけれどニクスを再訪するぞ!

 『マジック・オリジン』はプレインズウォーカーたちの「原点」の物語に迫るセットであり、それぞれにふたつずつ異なる次元が関わっている。そして今回の記事では、若き日のギデオン・ジュラにとっての「原点」――テーロス次元を見ていくぞ。

 ちょうどいいことに、『テーロス』のカードはまだスタンダードにあることだしね。

 さて、まずはスタンダードでないものの話から始めるぞ。《オパール色の輝き》についてだ。

 ジャッジを震え上がらせていたカードとしてよく知られる、《オパール色の輝き》は、オーラでないエンチャントすべてをクリーチャーにするものだ。戦場に散在するエンチャントの数々が、急に致命的な脅威に変わるため、対戦相手を予想外のところから仕留めることができたのだ。当時はデッキのほとんどをエンチャントで組んだ上で、相手を打ち倒す手段もあったわけだね。

 とはいえ、このカードはマジックの歴史上でも最も「壊れた」セットのひとつである『ウルザズ・デスティニー』のカードだ。全然違う時代のカードじゃないか。本当にこんなものを現代に取り戻せるのだろうか?

 紹介しよう。〈ニクスの星原〉だ。

http://media.wizards.com/2015/origins_askdf9aj2399v/jp_pPIv8rZe4J.png

 星々は今、空を離れ――戦場に降り注ぐ!

 さっそく、このカードを詳しく見てみよう。

 5マナのエンチャントで、戦場に出ても、すぐには盤面へ影響を与えないというのは、採用するには物足りないように思えるね。

 だが嬉しいことに、それだけじゃないぞ! こいつは毎ターン何のコストもなしにエンチャントを戦場に戻し、膨大なカード・アドバンテージを生み出してくれる。普通、こういうカードは墓地から手札に戻すものだと私は思っていたが、なんとこいつは直接戦場に戻すのだ! かなり安定した働きを見せてくれるだろう。

 だがこのカードは、カード・アドバンテージを生み出すだけのものじゃない。カード・アドバンテージと状況を大きく変える手段が一体になったカードなのだ! 条件を満たせばエンチャントたちが攻撃を始め、対戦相手を圧殺することだろう。

 こういったカードには、本当に多くの使い方や面白いデッキがある。そこで、〈ニクスの星原〉の使い方をいくつか見てみようじゃないか?

期待の星:クリーチャー

 君たちがどうかは分からないけれど、私がこのカードを見たとき最初に浮かんだ疑問は次のようなものだった。「ええと……これをクリーチャー・エンチャントと一緒に使うとどうなるんだろう?」

 ならばもちろん、実際に試すべきだ。〈ニクスの星原〉で毎ターンクリーチャーを戻せるとなれば、かなり安定した動きになるはずだ――手堅いエンジンが手に入るだろう。

 さっきの疑問の答え?〈ニクスの星原〉の2番目の能力は、クリーチャー・エンチャントたちのパワーとタフネスを上書きする。だから例えば《脳蛆》は2/2になるし、《霊刃の幻霊》は3/3二段攻撃になるのだ!

 そうなれば、多くの場面で一気に戦力が上がるだろう。〈ニクスの星原〉は戦略を支える柱となるだけでなく、《栄光の頌歌》系の能力でクリーチャー・エンチャントたちを強化するのだ! こりゃすごいね。

 さて、こんな形のデッキはどうかな?

ガヴィン・ヴァーヘイの「アブザンの星原へ」

スタンダード
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 こういうデッキが築き上げる盤面はとんでもないぞ! とりわけ《開花の幻霊》と《破滅喚起の巨人》は〈ニクスの星原〉と噛み合っていて、それらの「星座」能力が何度も何度も誘発するのだ。(加えて、戦場に5つ以上のエンチャントが揃えば《開花の幻霊》は4/4になる!)

 《ニクスの織り手》も、このデッキではひと際素晴らしいカードだと言えるだろう。こいつは、墓地にエンチャントを落としながら〈ニクスの星原〉目指してライブラリーを掘り進めてくれる。さらに、〈ニクスの星原〉がふたつ目の能力まで機能すると、パワーが1増えるのだ。完璧だね!

 〈ニクスの星原〉の素晴らしいところは、複数枚引き込んでも無駄にならない点だ。2枚目を戦場に出せば毎ターン戦場に戻せるエンチャントの数が増え、攻撃できるようになれば5/5が1体増えるのだ! 対戦相手の戦場に〈ニクスの星原〉が2枚ある状況から勝つのは、至難の業だろうね。

 〈ニクスの星原〉が関わると、『テーロス』ブロックの神々が少し特殊な挙動を示す。このことを心に留めておいてくれ。ああ、もちろん彼らは元々挙動が少し特殊なのだけれど、〈ニクスの星原〉と合わせて使った場合は「どちらが先に戦場に出たか」ということが重要になるのだ。《通行の神、エイスリオス》がすでに戦場にある状態で〈ニクスの星原〉をプレイすると……〈ニクスの星原〉の2番目の能力の条件が達成され次第、《通行の神、エイスリオス》は戦場にある白と黒のマナ・シンボルの数に関わらず、自動的に3/3のクリーチャーになる! 順番を逆にして、〈ニクスの星原〉が戦場にある状態で《通行の神、エイスリオス》を手札から繰り出す(あるいは〈ニクスの星原〉で墓地から戦場に戻す)と、白と黒のマナ・シンボルの数が足りない場合、〈ニクスの星原〉の「クリーチャーである」よりも《通行の神、エイスリオス》の「クリーチャーではない」の一文が優先されるのだ。


期待の星:呪文

 オーケー、クリーチャーに注目した形は以上の通りだ。それらのエンチャントは戦場と墓地を行ったり来たりするだろう。ではコントロール・デッキの形はどうだろうか? どういう動きをするのだろう?

 結論から言えば、大きく異なるものになる。

 〈ニクスの星原〉は恐らく、コントロールでこそ大きな輝きを発するだろう。このカードは安定したアドバンテージ源と勝ち手段が一体になったものであるため、元々コントロール・デッキでの活躍が期待できる《払拭の光》や《停止の場》といったカードの力を大いに引き出しつつ、最後は戦場に溢れかえるエンチャントで対戦相手を圧殺できるのだ。ゲームを縛り付けるのに役立つエンチャントはたくさんあるため、コントロール・デッキを組むのには困らないだろう。

 それから、追加のコストなしにエンチャントを再利用できるというのは、大量のマナ・アドバンテージとカード・アドバンテージに繋がる。毎ターン何かを戦場に戻し続ける限り、大きなアドバンテージを稼ぎ出すことができるだろう。

 まずはこんな形で試してみてくれ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「星原コントロール」 Subtitle: スタンダード Format: Standard Commander: 4 啓蒙の神殿 4 溢れかえる岸辺 2 光輝の泉 2 平穏な入り江 8 平地 6 島 4 払拭の光 4 城塞の包囲 4 ニクスの星原 4 僧院の包囲 4 絹包み 4 停止の場 4 運命の泉 4 予期 2 対立の終結

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0 カード

 このデッキでは、ゲームをコントロールできるエンチャントを次々と戦場に貼り重ね、最終的にそれらの攻撃で対戦相手を打ち倒す。ガツン!

 間違いなく鍵のひとつとなるのが、《僧院の包囲》だ。毎ターンカードを引いて捨てるというのは、〈ニクスの星原〉に近づくだけでなく、同時に〈ニクスの星原〉の能力の対象となるものを墓地に落としていける。《運命の泉》も、自身を生け贄に捧げ〈ニクスの星原〉で繰り返し使うことで、毎ターン2枚のカードをもたらすだろう!

 このデッキは、〈ニクスの星原〉を初めて使うのにちょうどいいだろう。ただ、もう少し打ち消しを増やしたい、と感じることがあるかもしれないね。このデッキで最も防御の薄いところは、クリーチャーでない呪文に対してだ。だから《否認》を追加してやるのもいいし、《解消》の採用を検討してもいいだろう。


期待の星:モダン

 このカードはモダンでも応用できるだろうか?

 モダンにあるエンチャントを通して見てみると、ちょうど手の届かないものがある。例えば、《独房監禁》なんかはぜひ〈ニクスの星原〉と組み合わせて戦場と墓地を行き来させてやりたいんだけれど……そのためにはレガシーまで行かなくちゃならない。

 ただ単純に面白いショーを開催したいなら、《倍増の季節》と《追われる足跡》を組み込んだデッキを作ることだってできるだろう。5ターンも経てば、5/5になった《倍増の季節》が無数に増えて戦場を埋め尽くすはずだ! でも、これは「ちょっと」バカバカしいよね。

 それじゃあ、タダで出せるエンチャントを存分に活かすのはどうだろう? そう――「力線」だ。

 「力線」は、初手に引き込んでいれば何のコストもなしに戦場に出せるエンチャントだ。これらがきっと盤面をバッチリ組み立ててくれて、〈ニクスの星原〉で止めを刺せるはずだ!

 こんな感じで挑戦してみよう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「力線が攻撃する日」 Subtitle: モダン Format: Modern Commander: 2 森 1 島 1 平地 4 霧深い雨林 4 吹きさらしの荒野 2 溢れかえる岸辺 2 繁殖池 2 寺院の庭 1 神聖なる泉 4 極楽鳥 4 貴族の教主 4 神聖の力線 4 虚空の力線 4 ニクスの星原 2 手練 4 血清の幻視 4 予期の力線 4 活力の力線 3 牧歌的な教示者 4 豊かな成長

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0 カード

 以前からモダンで「力線」を用いて対戦相手を倒してみたかったそこの君、ついにチャンスが来たぞ!(オーケー、まあそんな人はたぶんいないよね。でも、そのチャンスがやって来たぞ!)

 《豊かな成長》は〈ニクスの星原〉でクリーチャー化しないものの、2番目の能力の条件を満たす役には立つ。ゲームの始めに出せる「力線」は2枚か3枚くらいだろうから、5枚という条件を満たせるものがもう少し必要なのだ。

 〈ニクスの星原〉がモダンまで席巻することになるかは分からないけれど、やっぱり新しいカードを使うのは楽しいよね。君たちも〈ニクスの星原〉を色々試してみてくれ!


期待の星:君たち

 鍵を握る5人のプレインズウォーカーが合わせて10個の次元を旅する『マジック・オリジン』は、私たちが作ってきた中でもひと際ユニークなセットのひとつだ。その結果、この時期に発売されるセットで普段見受けられるものとは「大きく異なる」カードが収録されることになった……もちろん私は大歓迎だよ! デッキを構築するのが最高に楽しい時期がやって来たね。これからもここDailyMTG.comで繰り広げられるプレビューから、絶対に目を離さないでくれ!

 さてプレビューと言えば、君たちは『マジック・オリジン』の新しいカードたちを使って何をしようと考えているだろうか? ぜひ君たちのアイデアを教えてくれ!

フォーマット:『マジック・オリジン』導入後のスタンダード

デッキの制限:少なくとも1枚の『マジック・オリジン』のカードを採用すること。

締め切り:6月30日(火) 午前10時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 『マジック・オリジン』のカードを使って君たちがどんなことをやってのけるのか、私は楽しみで仕方がないよ! 締め切りが来週の火曜日まであることも留意しておいてくれ。じっくりと待って、他にひらめきを与えてくれるプレビュー・カードがないか確かめるのもいいだろう。安心してくれ――これからも素敵なカードがたくさん来るぞ!

 それまでの間、今回の記事について何か意見があったらぜひ聞かせてくれ! いつも通りTwitterでメッセージを送ったりTumblrで質問したりしてくれれば、必ず目を通すよ。

 来週もまたプレビュー・カードを持ってくるぞ! それまで、エンチャントによる攻撃を楽しんでくれ。

 それじゃあまた来週!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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