ウィザーズ社で職を得ること

更新日 Savor The Flavor on 2012年 3月 14日

By Doug Beyer

Senior creative designer on Magic's creative team and lover of writing and worldbuilding. Doug blogs about Magic flavor and story at http://dougbeyermtg.tumblr.com/

 今日私は、何年もこのコラムを書いてきた中で最も沢山受け取った質問の一つに答えようと思う。そしてその後、君達がきっと興味を持つであろう好機を知らせようと思う。

 親愛なるダグ・ベイアーへ

 私は個人的にMTGとそのデザイン過程にかなりの興味を持っています。セットの背後にある、メカニズムとデザインの過程を探究することを徹底的に楽しんでいます。MTGを作り出す過程は心を奪うものです。このことは私を疑問へと導きました。どうすれば、このような仕事に就けるのだろう? マジックのクリエイティブ・チームやデザイン過程、もしくはプレイテストへと乗り込むためにはどんな種類の証明書が必要なのだろう? 記事を書くには、英語で執筆が可能なことや英語教育を受けていることが望ましいと、そしてアーティストとしては、アートを実際に作り出せることが必要だとわかっています。ですが舞台裏関係は、どのようにしてそのような職に就くのでしょうか?

 かいつまんで。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のマジック:ザ・ギャザリング部門に就職するにはどうすればよいのでしょうか?

 前もってお礼を申し上げます。

 マイケル・Pより

 ありがとう、マイケル! そう、この質問は何度も何度も送られてきた、それも良い意味で。もし我々が仕事を楽しんでいるように思われたなら、その通りだ。もし我々のようなここで働いている人々が、皆マジックを愛しているからここにいるのだと思われたなら、その通りだ。今日、我々は君をここでの仕事に導くかもしれない道について話そう。

 我々がこの質問を受け取る頻度から判断して、君達の多くが、戸口から中に入るには何が必要となるのかを知りたがっている。もし私に尋ねるなら、それは三つの原則だ・・・君が最良の候補者になるのを助けてくれる、従うべき戦略・・・何度も繰り返し出てくるそれは、

  • 必要を満たす人物になること
  • 君の特定の進路よりも、志を優先させること
  • 君がここで働き始める前に、ここで働き始めること

 この三つのそれぞれについて、一つ一つ話そう。

必要を満たす人物になること

 多くの人々が仕事を得ようと交渉する。ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のそれとは限らない、何らかの仕事・・・私が思うに、間違った心構えとともに。それは「さあ、私はいかにして問題を解決し貴社が見極めてきた必要を満たしましょうか」というよりも「貴社は私に何をして下さいますか?」の心構えだ。求職者としての君の視点から、そうだ、君の夢である仕事を探し、それを得るために企業から何かを必要とする。君は戸口へと足を踏み入れる必要があり、企業の壁の中で机と椅子を必要とし、そして企業が君へと提供することのできるクールな責任の一式を必要とする。

《変異種/Morphling》 アート: rk post

 だが企業はそのようには考えていない。あらゆる企業がそこで働く気のある従業員を求めているが、企業は候補者の利益のために願いを叶えてやるという観点から雇用を決定しない。もし君がそれを企業の視点から考えるなら、もっと成功するだろう。そしてその視点とは。企業は解決を必要とする問題を抱えている、そして君がその問題を解決する助けとなるなら、企業は君にある程度の興味を持つだろう。

 ある意味、一つの企業の仕事は助けを嘆願して開かれている。何故企業が求職を公示するのかについて考えよう。それは金と時間を消費して君の夢を叶えようと望んでいるからではない。企業は現在の人員では解決することのできない問題を抱えているからだ。ウェブサイトに載る一つの仕事は、その企業が必要としているもののことを君に少しだけ垣間見させてくれる水晶球だ。もし誰かを求めていなければ、その企業は勤め口を告示したりはしない。君がやるべきことは、その情報を使用して企業が必要とする人物になることだ。

 マイケル、私は君の手紙を選んだ。何故なら、心構えという観点から君は既に正しい道にいると私は考えるからだ。君は「私はゲームの仕事をしたいのですが、まあどうしてウィザーズは私にそうさせて金を支払ってくれる道を示してくれていないのでしょうか?」ではなく、「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が雇いたいと思う人物になるにはどうしたらよいでしょうか?」と質問してきた。これは我々を次のポイントへ連れて行ってくれる。正確に、君は何を学ぶべきか、もしくは何を行うべきか?

君の特定の進路よりも、志を優先させること

 私は無数の異なる経歴を持つ人々とともに仕事をしている。(私が知る限り)「マジックの創造」という教科書や「トレーディングカードゲームのデザイン」という主専攻は存在しないために、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社へと至る皆の道筋は異なっている。これについていくつかの展望を得るために、私はクリエイティブ・チームの同僚達へと、このチームにやって来た道筋について尋ねた。

ブレイディ・ドマーマス

 マジックのクリエイティブ・チームのマネージャー、ブレイディ・ドマーマスはウィザーズ社にやって来る前はアメリカ中西部で校正係及び編集者として働いていた。彼は昼休みに友人のグループと共にマジックをプレイしており、The Duelist 誌にその雑誌の編集者募集の広告を見て、志願した・・・だが彼は面接へと至る前にその職からふるい落とされた。しかしながら、彼の志願は編集長に感銘を受けさせるに十分で、彼女はブレイディのファイルを取っておいた。だいたい一年後、もう一つの編集者の席が空き、彼はその仕事を得てウィザーズ社の壁の中へと入った。それがマジックに関係する執筆とマネージングのチームという一続きの職へと導いた、彼がクリエイティブ・チーム担当の男となるまで。

ジェンナ・ヘランド

ジェンナ・ヘランド、クリエイティブ・チームの私の同僚ライターの一人は、このチームへと至る異なった道を持つ。「私は歴史とジャーナリズムを学びました、そして両方がここウィザーズでの仕事の助けになっています」と彼女は言う。「ジャーナリズムの従業はよりよいライターとなる助けに、また最終期限までに原稿を上げる助けになり、そして私は整理編集の技能の重要性に感銘を受けました。歴史の学位は私の脳内を物語の骨格で満たしています。戦争、滅亡する帝国、政治、そして宗教的熱狂。これら全てが、世界構築の石臼にかけられる穀物なんです」

 志願の好機を得た時、ジェンナは執筆とゲームの経験があった。「私はミズーリ州の小さな街で、フリーランスのライター兼主婦をしていました。私は何年にも渡ってマジックをプレイしており、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社で『クリエイティブ・エディター』の求人を見た時にはちょうどDreamblade(訳注:ウィザーズ社が発売していたミニチュアゲーム)を始めた所でした。履歴書を送った後、トップギアであらゆることが蹴り入れられました。筆記試験、電話連絡、レントンでの面接。文字通り、私がミズーリに帰ってきて玄関のドアを開けた時に電話が鳴りました。それはウィザーズ社が私に職をくれる知らせでした」

アダム・リー

アダム・リー、クリエイティブ・チームの別の同僚作家は更にもっと奇妙な道を辿ってきた。彼はグリーティング・カードの会社でグリーティング・カードのライターとアーティストとして仕事をしており、両方とも在宅でフリーランスの仕事だった。アダムとマジックの仕事とのファーストコンタクトは、カードのフレイバーテキストの寄稿だった。「私はコールドスナップの頃から、フリーランスでマジックのフレイバーテキストを書き始めたんだ」とアダムは言う。「そしてその後のあらゆるセットでも、楽しみのためにもっと沢山働いた......キーワードは、『楽しい』ってことだ」

 アダムはグリーティング・カードで気の効いた一行文を書く経歴を既に持っており、そして彼はマジックのカードへとテキストを捧げることによって足を踏み入れた。フレイバーの仕事を数年間続けた後、彼は常勤の仕事へと足がかりを向けることができた。アダムは続ける、「エルドラージ覚醒のプレリリースの頃、私は妻に言ったよ、疲れ果ててしまったのでグリーティング・カードの商売をやめると。私は何をしたいのかわからなかったが、楽しく、やりがいのある仕事を求めていることは知っていた。とても奇妙なことに一週間後、ウィザーズで6カ月間の研修を受ける気はあるか、というブレイディ・ドマーマスからの電話を受け取った。ウィザーズに入るなんて、私は考えたこともなかった。すさまじく大きな賭けだとしか考えられなかった。何にせよ、それは大宇宙からの啓示だと私はみなした」アダムと彼の妻はシアトルに居を構えることができるまで、何年も「実習生の不安」の中で仕事をしてきた。「それは大変だったけど、価値のあるものだった。ブレイディは私をチームに入れてくれた。以上、いかにして私がR&Dにおさまったか、だ」

 アダムは彼の来歴の中、四部からなる教訓を持ち続けている。

  • 生き延びるために必要なことをする
  • できる限り速くギブアップする
  • 奇妙な道を選ぶ(「楽しい」道は常に奇妙に見えるものだ)
  • もしパートナーがいるのなら、君が夢を持ち、それを叶えて欲しいと君と同じほどに(もしくは君よりも)願う、君を理解する人がいるということを確かめる
ジェレミー・ジャーヴィス

 マジックのシニア・アートディレクター、ジェレミー・ジャーヴィスはプラット・インスティテュート(訳注:ニューヨーク、ブルックリンに所在する私立美術学校)で美術学士の学士号を得た。それは彼をフリーランスのイラストレーターの経歴へ、ほとんどはファンタジーとマジックのイラストを含むゲームでの仕事へと導いた。ジェレミーの、ウィザーズ社の玄関内での仕事という砲弾は、マジックの首席コンセプト・アーティストの席が開いた時にやって来た。彼は飛び込んで必要な輪をくぐり抜けてウィザーズにやって来て、それは時のらせんから始まることになるブロックのスタイルガイドを主導することになった。彼はアート依頼の気概を証明し、前アートディレクターが異動するとジェレミーはそれを引き継いだ。彼は今、マジックというブランドの強みのために、そしてあらゆる新しい舞台の外観を導くために、旨みのあるアートを依頼している。

リチャード・ウィッターズ

コンセプト・アーティストのリチャード・ウィッターズはウィザーズにやって来る前、様々な産業のオンライン訓練を提供する企業のためにウェブ開発者、グラフィック・デザイナー、そして工業デザイナーを取り仕切っていた。ジェレミー・ジャーヴィスがコンセプト・アートの仕事から異動してアートディレクターに就いた後、マジックは新たなコンセプト・イラストレーターを必要とした。リチャードもまた美術学校を卒業していたが、彼が機会を得たその日のために腕ききにしたのは、彼の何年にも渡るマジック。D&D、そしてファンタジー一般への愛だった。クリエイティブ・チームは新たなコンセプト・アーティストを見つけるためにコンペを開き、リチャードの丹念に考案された鉛筆のスケッチは他の候補者全員を追いやってしまった。リチャードは、生きているようで、詳細にわたって豊かで、相互に繋がった世界構築に対してそれほどの意思を持っていた。そして彼は我々を、世界構築に彼を加えないのは悲しいことになると感じさせた。彼が今や、インターフェイスデザインや企画予算案の代わりにエルフやドラゴンに焦点を合わせることができて、我々は嬉しかった。

 私は学校で哲学と情報工学を学び、12年前、魔法のドアを開けてウェブチームへと足を踏み入れた。ウェブ構築担当として働く間、私は副業としてフレイバーテキストを寄稿した。オデッセイから始めて、そして未来予知とローウィンからついに、マジックのクリエイティブなテキスト製作の常勤になるというR&Dへの我が道を作った。ウィザーズ社で働く前、私はIBMや他の様々な大学のウェブページを作る請負人として働いていたが、マジックは1994年から、そしてあらゆる筋のゲームを思い出すことができる限りの年月から遊んでいた。

 これら全ての話のポイントは、ここへと君を導く曲がりくねった道は、君の忍耐力と目的ほど問題ではないということだ。私はエンジニアだった、画家だった、教師だった、グラフィック・デザイナーだった、そして食品事業の技術者だった人々と共に働いている・・・ここで働く前に、この世のあらゆる一流の、そしてあらゆる種類の奇妙な飛び石の仕事をしてきた人々と。間違いなく、君はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の一つかそれ以上の部門といくらか関連性のある在野で、できる限り多くの経験をすべきだろう。だけどもし君がここで働くことに傾倒するなら、求人に目を光らせ、機会を伺い、そしてその間にも君自身を準備しておくことだ。

 このことは我々を最後のポイントに運んでくれる。

君がここで働き始める前に、ここで働き始めること

 そう、今君は企業が求める人物となる正しい心構えをしている。そして君は学校の主専攻科目も、必修の前職も、君を完璧な候補者にしてくれるものは何もないと理解している。ならば、君にできることは何だろう?

解放された精神》 アート: Jason Felix

 私の最良の助言だ。もし君がここで職を持てなくても、どのようにしてもここで働き始めるんだ。私が言いたいのはこうだ。君の情熱を行動に移すために、雇われるのを待つんじゃない。今始めるんだ。もし現在、ウィザーズに空いた席がなければ――君が私達へと大いに解決を望むであろう問題だが――ならばどのようにしても、クールなものを作り始めることだ。我がチームの物語全てに渡って、ファンタジーとゲームの伝統的なファンというのを越えた積極的な興味という共通の筋道があることに気づくだろう。その企業の壁の中にいない時でさえ、君は愛するゲームの仕事を止められないとウィザーズ社に示すんだ。学校に通っていたり、日々の仕事の終わりに出会う中、物事を創造するんだ。それを君のウェブサイトや地域のゲームサークルで公開し、気付いてもらうんだ。

 マジックのセットデザインに興奮するって? 君自身のゲームを編み出すんだ。メモを取るんだ。構想を試すべく、幾つかの試作品を作るんだ。友達を集めてプレイテストするんだ。もっといいのは、10のゲームを作るんだ。その中で技術を研鑽するんだ。個々のカードやゲームのメカニズムやトップダウンのフレイバーを楽しくしているのは何なのかを見つけ出すんだ。人々を興奮させるのは何なのかを発見するんだ。ゲームをできる限り良くしているは何なのか、そして君をできる限り最良のデザイナーにするのは何なのかを学ぶんだ。君の考えをオンラインで共有するんだ。君は注意を引くことの専門家だと示すんだ。

 マジックの開発に興奮するって? マジックを沢山、沢山プレイするんだ。君のフォーマットへの理解の熟達度を、トーナメントの順位とセット開発の理論についての執筆で示すんだ。我々が毎日共に働きたいと思う類の人物になるんだ。君はフォーマットを破壊するのに必須な技術一式を持っているという豊富な証拠を示すんだ。不安定な可能性を持つカードやメカニズムにどう焦点を合わせればいいのか、もしくはゲームをより面白くすることのできる「引き」をどう作ればいいのか、君はそれを知っていると示すんだ。今既に始めていることによって、これを論証するんだ。

 マジックのクリエイティブに興奮するって? 世界をデザインするんだ! 10の世界を。ファンタジーゲームの背景を支えることのできる物語を織るんだ、そしていかにしてメカニズムとフレイバーが相互に関連することができるのか、君のアイデアを共有するんだ。どんな類の命名法がそれらの世界に使えるかを、フレイバーテキストに現れるであろう世界の色調を考えるんだ。マジックを魅力的にしてくれる、堅くとがった剣と魔法(魔法に重きを置く)を今なお振るいながらも、最新のものと異なる感じのするように、それぞれの世界をどのように作るべきかを考えるんだ。君の世界がどれほど、デザインの舞台を求めるカードデザイナーの必要に適うことができるのか、マーケティング作戦に必要なテーマを求めているブランドマネージャーの要求に適うことができるのか、描くものの手引きが入用のアーティストの必要に適うことができるのか、語るべき物語が入用のライターの必要に適うことができるのか、そして、もちろん、夢中になれるクールな世界が入用のプレイヤーの必要に適うことができるのかを見極めるんだ。

 ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の他の部門と役割に興奮する? もしかしたら君は素晴らしい仕事を得るかもしれない。今試すんだ。

 我々がウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のために探しているような技術をどうマスターするかを君に教えてくれるような、既成の課外プログラムや通信課程はないだろう。君は自分の技術を、君自身の時間に君自身の独創で伸ばす必要があるだろう。君の執念と傾倒を、そしてその執念と傾倒がどのように君へと心を決めさせ行動へと導いたのかを我々に示すんだ。どのように君が企画に次ぐ企画を連続して作り出したかを誇示するんだ。それは本質的に我々に示してくれる、君は既に我々の一員で、ただまだここで働いていないだけなのだと。

 マイケル、質問をありがとう。

 最後に、私は君達と好機を共有したいと思う。我々は解決を必要とする問題を抱えている。君こそがその問題解決の手助けをしてくれる、うってつけの人物かもしれないと思うかい? 君は・・・我がボスになりたいかい?

マジックのクリエイティブ・マネージャーの職

 現在の我がボス、ブレイディ・ドマーマスはマジックの創造的独自性を指揮する仕事に没頭しているため、スケジュールを管理し、プロジェクトを委任し、工程を改善し、そしてクリエイティブ・チームのメンバーの経歴を導くような多くの時間はない。マジックが発展するにつれ、ブレイディはマジックのためのクリエイティブな指令を出すことに焦点を合わせる間、新たなクリエイティブ・マネージャーの職にそれらの責任のいくつかを押しつけるだろう。君こそが我々のプロジェクト管理を助け、日々のクリテエイティブの仕事を助ける、ブレイディとともに働く人物だと思うかい? 私と、私が上で述べた他の愛すべき馬鹿どもからなる、このチームに入りたいと君は思うかい? ならば新たなクリエイティブ・マネージャーの職のために、この求人をチェックするんだ(リンク先は英語)。我々は知っている、完璧な技術一式と情熱を持ち、この機会を待っている素晴らしい候補者がいることを・・・それは君かい? ならばここに君のチャンスがある!

 現在ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社で募集している職種の全リストは、こちらを参照していただきたい(リンク先は英語)。

 また来週、イニストラードのあの聖堂とあの天上の銀塊と、その中に潜むあの天使にもう一度注目する時に。

(Translated by Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)


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