今週の1枚:非常に特別な花一輪

更新日 Serious Fun on 2005年 9月 6日

By Wizards of the Coast

Translated by Yoshiya Shindo

 ストロングホールドにあった、このイケてるチビ助を覚えてるかい?

Wall of Blossoms

 年季の入ったプレイヤーなら知ってるだろうが、《花の壁/Wall of Blossoms》はプレイが可能なあらゆるフォーマットに入る強いカードとして稀なる評判を得ている。構築戦のプロツアー予選、7人対戦での乱戦、ブロックをまたいだドラフト――どこでどんなプレイをしようと、《花の壁/Wall of Blossoms》はいい動きをしてくれる。そもそも0/4の壁なら悪いことは無いよな。

 ここでの鍵は、追加のカードだ。軽いコストやそれなりの防御とあいまって、《花の壁/Wall of Blossoms》は緑の入ったあらゆるデッキで役割を持っていた。特に人気のあったのが、《魔の魅惑/Aluren》式のデッキでカードを大量に引く手段としてだったな。

 ほんの数ヶ月前、ウィザーズ社は新しいバージョンの《花の壁/Wall of Blossoms》を神河救済のアンコモンに作った。《春女/Haru-Onna》だな。こいつは4マナ2/1で、こいつはマジックの世界に「ウィザーズ社は君に新しい《花の壁/Wall of Blossoms》をお届けするよ――再利用ができて、パワーも2あるやつだ! ただし、コストは2重くなって、防御もイマイチだよ」ってことを伝えてくれる。まあ、取引としては悪くないが、《春女/Haru-Onna》は先祖ほど広まってるとは言いがたい。

 そして、これが真の子孫だ。ほんの1エキスパンション遅れだぜ。

 お前の考えてることはわかるよ。本気で、まともなマジックのプレイヤーなら、このカードを見た後はこんな質問しか出てこないだろうな。

トーナメントに本気で参加してる奴が読みたいだろう項目

 俺は常々、トーナメント狙いの奴らが次のプロツアー予選で勝ち抜くための必殺の戦略が手に入らない俺のコラムだのカードのプレビューだのを読むのに時間をかけないことを、内心苦々しく思っている。

 いいかい、そいつは嘘さ。俺は《賛美されし天使/Exalted Angel》のような“強い”カードの多人数ゲームでの使い道を取り上げてトーナメント野郎が痛い目にあうのを見たり、《卑血の芙巳子/Fumiko the Lowblood》のようなクールで“弱い”カードを大げさに塗りたてたり、お前が最新のラヴニカブロックのデッキをセットの出る前からテストしてる最中にこんなギリシャ様式の話を読ませたりするのが本気で楽しいんだ。どういう意味かって? 俺はどうせ小物なんだよ。

 でもその一方で、俺だってウィザーズ社と契約したライターなんじゃないのかい? できるだけ幅広い読者を喜ばせる義務が、特にこんなカードのプレビューのときにはあるんじゃないのかい? そうだともさ。オレはウィザーズ社の面々が大好きだし、奴らが俺に、トーナメントのワンコロに骨を投げてやるよう言ってきたのなんかほとんど無かったさ(まあ、丁寧すぎて俺に声をかけられないんだろうがな)。

 で、ガチプレイヤーの面々のために、誰かが逆の事を言い出す前に俺の初期分析をしたためておくとしよう。《木彫りの女人像/Carven Caryatid》はバカっ強だ。リミテッドでは、超攻撃型デッキでなくちゃこれを早めに取ってデッキに入れることになるだろう(攻撃型だってこいつを取りたいだろうしな)。こいつは3ターン目や4ターン目に出てくるほとんどの地上部隊を止めた上に倒してくれる。構築戦だと、こいつは《花の壁/Wall of Blossoms》ほど登場するとは言えないだろう――追加のはたいしたことじゃないが、0/4に比べて2/5の壁が必要になるってことはほとんど無いからな。

 緑のパワーレベルが上がり続ける中、この手のカードの登場する機会はさらに増えるだろう。3ターン目にパワー4のクリーチャーが普通に出てくる構築フォーマットのデッキにテストで放り込んでみることもしたいだろうし、《魔の魅惑/Aluren》が使えるフォーマットも魅力だろう。

 これ以降の分析は、俺よりもっとトーナメントに出ている(まあ、疑いようも無く、それほど熱心ではない)輩に任せることにしよう。

 “女人像”って何?

 ああ、哀れなるかな消え行く記憶、ってな。お前のちっぽけな頭をウルザブロックの当時に向ければ、そこには《オパールの女人像/Opal Caryatid》なんかの“休眠”エンチャントが猛威を振るっていた日があったろう。俺らはその質問を当時もした。間違いないさ。で、誰か聞いてる奴がいたとしたら、そいつらはこんな風に答えたはずだ。

 知るもんか。

そんで誰かが辞書を引いて、カルバクロール(C10H14Oだ!)だとか穎果(そこから話が脱線して“列開しない”の意味を考え直す羽目になったりする)だとかのありがたい情報を大量に見つけた後で、ようやら「エンタブラチャを支える布をまとった女性の彫像」って意味が出てくる。

 ちなみに、“エンタブラチャ”は、ご存知の通り「柱の上に置かれる古典建築の様式」だな。

 で、ここから何が学べるか? 明らかに、カリアチドはエンタブラチャの下にあって、エンタブラチャはカリアチドの上に置かれるものだ。ということで、クイズの続きは明日!

追加ので得られるもの

 マジックにおける追加の――つまり、2ターン目と3ターン目の間――には、これだけのことができる差がある。

  • パワーが2
  • タフネスが1
  • 萌える彫像
  • 花も割り増し

 トーナメントプレイヤーはこれが使うに値するかを調べてるんだろうが、俺は多人数ゲームに熱中してるやつらに向けてアドバイスを送ることとしよう。《木彫りの女人像/Carven Caryatid》は、少なくとも《花の壁/Wall of Blossoms》の1.5倍は強いぜ。

 その理由は3つある。第一に、パワーの2は攻撃クリーチャーをびびらせるのに十分な役割を果たしてくれる。極論だが、お前が《ボール・ライトニング/Ball Lightning》を持ってたとして、誰かに飛ばせば6点入るときに、何で3/5の樹のおうちに突っ込ませて1点トランプルして満足するかってんだ。彫像をぶっ殺す? そいつはすでにカードと引き換えになってる。もうちょっと極論でない話だと、数学を少々かじればいい。《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》から《ヴィーアシーノの砂漠の狩人/Viashino Sandstalker》まで、あらゆる類が《木彫りの女人像/Carven Caryatid》の前にはお家にこもりっぱなしさ。

 第二に、世の中では3ターン目とかその直後に出てくるパワー4のクリーチャーの質がどんどん上がってる状態だ――で、それに対して《木彫りの女人像/Carven Caryatid》は生き残るのさ。まあ、数学的に言えばもっと上質のパワー5のクリーチャーもいるだろうさ。でも、そいつらは《貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth》や《マイアの処罰者/Myr Enforcer》や《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》ほど出やすいってもんでもないだろう。

 第三に、現状では《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》は緑デッキにはほとんど自動的に入るカードになっていて、そいつは実質2マナの“花の壁”扱いできるものだ。蛇だしな(蛇だぜ、ワーオ!)。この蛇はブロックもできれば、土地を引っ張ってきてもくれるし、デッキを圧縮してもくれる。で、3ターン目に4マナのものが無い(あるいはそもそも4マナ目が出ない)時でも《木彫りの女人像/Carven Caryatid》は出すことができるし、3マナを最高の効率で使った上で、4マナのカードなり4枚目の土地なりを引く確率を上げてくれるだろう。

 今回の部分デッキは、さまざまなアイデアや勝利条件に対応しやすいものになっている。デッキがどうやって止めを刺すかは全然気にしちゃいないのさ。4ターン目に何もまともなプレイをしたくないなんて事態があるわけじゃないだろう?

いつもここから.de
カジュアルデッキの一部分

4 《旅人のガラクタ/Wayfarer's Bauble
4 《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top
4 《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder
4 《木彫りの女人像/Carven Caryatid》
4 《木霊の手の内/Kodama's Reach

 まあ、こいつが恩恵をもたらせてくれるのは、《花の壁/Wall of Blossoms》と比べりゃ1ターン遅いだろう。でも、ほとんどのプレイヤーは多人数ゲームにおける序盤の数ターンを過小評価しているし、3ターン目にカードと引き換えになってくれる2/5の柱でどうにもならない邪悪な災害が1ターンとか2ターン目に出てくるのはまず無い話だ。

すぐには気づかないであろう“タイプ”のあれこれ

 さて、それはそれとして、《木彫りの女人像/Carven Caryatid》はスピリットだ――神河ブロックの通った後では、そんなにちっぽけな話じゃない。お前が可能性というものを考えれば(ただし、《種子生まれの詩神/Seedborn Muse》は考えないことにした。そいつはすでに踏み荒らされた領域だしな)、平凡なデッキにいい感じの活を入れることができるだろう。 

スタックに乗っけて.de
カジュアルデッキの一部分

4 《壌土に住むもの/Loam Dweller
4 《希望の盗人/Thief of Hope
4 《木彫りの女人像/Carven Caryatid》
4 《樹海の古松/Elder Pine of Jukai
4 《手入れされた庭の神/Kami of the Tended Garden

 “精霊術”メカニズムに関して言えば、もっと突っ込むべきデッキ構築の空間はあるだろう――まずはGathererで「spirit or arcane」(あるいは「whenever you play a spirit or arcane spell」のいずれか)を検索して、そこに並んだカードを見るといい。それぞれに面白いコンボのポテンシャルを秘めているだろう。

 スピリットって話をするなら、俺は《熱を帯びた夢、萬迩智/Mannichi, the Fevered Dream》絡みの奇妙なトリックが好きだ――壁でブロックして、ダメージをスタックする前に《熱を帯びた夢、萬迩智/Mannichi, the Fevered Dream》を起動し(壁は5/2だ)、ダメージをスタックに乗せた後でもう一回《熱を帯びた夢、萬迩智/Mannichi, the Fevered Dream》を起動する(壁は2/5)。こいつは《花の壁/Wall of Blossoms》じゃできないんだよ、兄弟! 無理ったら無理だ。

いいかい、絶対にすぐには気づかないはずだぜ

 世の中には様々な認定できないフォーマットが転がってるけど、その中でもっとも強烈に時間を要求するのがイラストに関連したやつだ。言っとくけど、イラストレーター――こいつはどこのデータベースでもすぐ調べられる――じゃないぞ。俺が言ってるのは、あくまでイラストだ。

 例えば、イラストに飛行船が描いてあるカード限定ってフォーマットをやってみるといい――ただ、それだけじゃつまらないので(簡単に青単にいかないようにしなくちゃな)、飛行を禁止にしよう(飛行クリーチャーは使用不可、飛行絡みの能力は全部無視)。

 このフォーマットの爆弾カードは何だと思う? そう――《木彫りの女人像/Carven Caryatid》さ! 背景の向こう側に飛行船が浮かんでるのが見えるだろう。卸売りにカルバクロールを運んでるに違いないな。

 飛行抜きで他にどれだけのカードに飛行船が描いてあるのか、俺は知らないよ――でも、このフォーマットを回すつもりなら、ここから始めてみよう。厳しすぎると思ったら、飛行クリーチャーを認めるといい――ただし、対飛行でメタを張った《旗艦プレデター/Predator, Flagship》入りデッキに気をつけな。

飛んで飛んで.de
カジュアルデッキの一部分

《西風の魔道士アレクシー/Alexi, Zephyr Mage
《木彫りの女人像/Carven Caryatid》
《転覆/Capsize
《平穏/Tranquility

 今回作った部分デッキのアイデアには、三つともレアが大量に入っているわけじゃないのに気づいただろう。《木彫りの女人像/Carven Caryatid》自身もアンコモンだから、ごちゃごちゃ使いまわすのに、金はほとんどかからないって事だ。

 いいカードだ。あらゆるフォーマットでいい仕事をする。手に入れるのも簡単。いやあ、兄弟、俺は気に入ったぞ! お前もそう来なくっちゃ。こいつを緑デッキの代表格にしてやろう!

 それじゃまた来週、次のラヴニカのプレビューでお会いしよう。

 アンソニーは数年間にわたる多人数マジックのベテランで、なおかつそれ以上に作家として活躍している。彼がメアリージャニス・デヴィッドソン(MaryJanice Davidson)のファンタジー小説、JENNIFER SCALES AND THE ANCIENT FURNACEは、Berkley Books社から絶賛発売中だ。

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