大量蘇生兵器

更新日 Serious Fun on 2004年 9月 7日

By Anthony Alongi

 8マナというのはマジックの多人数ゲームでは境界線になっている。《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》は、おそらく間違いなくゲームで最も恐ろしいクリーチャーだ (《新緑の魔力/Verdant Force》ってやつもいるだろうが、こっちも8マナだ)。《暴動/Insurrection》や《強奪する悪魔/Reiver Demon》といったゲームをひっくり返す巨大な効果 も同じ点数で見たマナ・コストを持っている。

そして、今回のコラムの最も重要な目的であるオンスロートの緑のレア、《生命の律動/Biorhythm》も、8マナで劇的にライフを調整するカードだ。

 で、なんでこんな話になったかって? つまり、次に見せるカードが出たら、多人数ゲームのプレイヤーは8マナに近づきつつある白使いに特に注意を払いたくなるだろうなってことさ。

 ルールのメモを少しばかり。

  • この呪文だけで死ぬことはない。もちろん、誰かが《白金の天使/Platinum Angel》を持ってる場合……おっと、こいつはちょっと黙ってようか……。
  • ゲームに参加しているプレイヤーのライフのみを入れ替える。誰かのライフがこの呪文に対応して0になったら、そいつはこれの解決前に死んじまってゲームから外れる。
  • 再配分をどうするかの宣言は、呪文の解決時まで言わなくていい。なので、君のグループが醜い交渉とかを始めない限り、君はその呪文がどっちに転ぶかを知る前にそいつを打ち消したりしなくちゃいけないのさ。
  • 対象を取っていない。《象牙の仮面/Ivory Mask》なんか知ったことか。
  • 誰も“対応してマナ・バーン”できない。これは、マナ・バーンがフェイズの最後まで起こらないからだ (よくわからないやつはルールを読め)。もちろん、君のほうで数ターンかけてマナ・バーンしてライフを下げておいて、それからこのカードをプレイすればいい。もしくは、あるターンの特定のフェイズ――そうだな、戦闘前のメインフェイズあたり――にマナ・バーンしといて、その後この呪文を後のフェイズ――おそらくは戦闘後のメインフェイズ――にプレイするのもいいだろう。もちろん、そのためにはそのターンに以上使えなくちゃいけないがな。

白の生命吸収?

 俺はこのカードにすぐさま感動したしやられちまった。そんなわけで、俺はこいつがセットに入るのが嬉しい――ウィザーズのスタッフには、俺たちをここまで混乱させるような革新的なアイデアに、ぜひともきちんとした給料を受け取るべきだな。

 最初に、こいつの気に入らないところを言っておく。こいつは序盤や中盤でうまくやったプレイヤーを手ひどい目にあわせる。そいつは唯一の減点だが、そいつが俺をどれだけ厄介なことだか、過小評価するつもりはないぜ。序盤や中盤は、俺の対人数ゲームにおける哲学の基礎だ。プレイヤーは序盤から強く出て、それを強力なインスタントでフォローし、緩やかに状況を従えていくんだ。しかしこのカードがあることで、白使いは8ターンの間土地を置く以外何もしないでいい……そして突然、20点と1点のライフが入れ替わるんだ(他のプレイヤーを計算に入れなければな)。暦が変わるまでの間、俺が少なくとも1ダースはこのカードに呪いの言葉を吐くこと、保証してもいいね。それに、俺の仲間の中でどの三人がこのカードをプレイするかも正確にわかっている。くそったれが。

 皮肉なことがあるとすれば、その三人のくそったれのうち一人は俺なんだけどな。どうしてかって? このカードは面白いじゃないか? その理由は(少なくとも)六つある。

 1) こいつは明らかに多人数ゲーム用レアカードだ。俺はトーナメントプレイヤーがあっちでもこっちでも神河物語のレビューを見て嘆いているのを面白く見させてもらっているね……「なんでウィザーズはこうかなぁ?……使えないじゃん!……こんなのシールドデッキで引くなんて信じられねぇよ……このクソレアが!……」等々、うんざりだね。この類の輩が、世界が彼の周りを回るのに目が眩んでるのを見るのはぞくぞくするな。だから、戦術的な可能性を語る前から、おれはこいつに点をやるのさ。

 2) こいつは強烈で、印象的で、ゲームを変える効果だ。ゲームに真のインパクトを与えるカードを好きにならないのは難しいことだ。マジックをプレイする楽しみの一部は、とんでもないことが起こった昔のゲームを覚えていることだ。今から数年後、とある台所のテーブルの周りについた小さなグループが、何某が4人のプレイヤーから80点ばかりのライフを奪って、他のほとんど死に掛けていたはずの4人のプレイヤーに与えた話なんかを思い出すかもしれない。そうだとしたら素晴らしいことだ。なにせ、《砂の逆流/Reverse the Sands》はこの手の効果をいつでも保証するってものじゃない(席についた全員が5ライフだの10ライフだのだったりとか)からだ――なので、ここまでとんでもないことが起こったら、そいつは最高に面白いだろう。

 3) 目的のあるライフの獲得だ。《集い/Congregate》よりも《魂の消耗/Consume Spirit》の方が俺の悩みの種にならないのはなぜか? それは、《魂の消耗》のライフ獲得が起こるのと同じタイミングで、誰かがゲームを先に進める行為を行っているからだ。《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》、《スパイクの飼育係/Spike Feeder》、《賛美されし天使/Exalted Angel》――これらはみんな勝ちに向かう手段で、ついでにライフの獲得がついてるやつらだ。《砂の逆流》も同じことが可能だ――こいつは安定している状況を揺さぶり、多くのやつらに脅威を復活させ、新たなプレイヤーを死の寸前の危機まで追い込むのさ。

 4) こいつはチーム戦では化け物だ。ある種の多人数ゲームマニアにとっては。このカードはでたらめな一枚に見えるだろうが、こいつは実際はチーム戦での貴重な道具だ。俺はぐちゃぐちゃの多人数ゲームが大好きだが、チーム戦の多人数ゲームもそれ以上に大好きだ。これまで、俺はここで堂々と、ウィザーズはある種のチーム戦を認定すべきだと圧力をかけてきている。正直言って、そこにどれほどのインパクトがあったかはわからない――しかし、ウィザーズは多人数ゲームのルールをまとめようとしているし、それに明らかにチーム戦に特化した強さを持ったカードも出している……まあ、俺はこの流れを楽しんで、そいつに従うことにするぜ。

 5) こいつはライフの獲得を痛めつける。こいつがくだらないライフ獲得カードだなんて勘違いするなよ。かつての《生命の律動》のように、みんなが揃いも揃って5ライフ以下って状況を、うざったいライフ獲得野郎が732ライフの後でニヤニヤ笑っているようになるまで、《砂の逆流》は待っている……そこに止めの一撃が飛んでくるのさ。《対抗呪文/Counterspell》が無ければ、白使いにできることは実に少ない……何だって、対応して《集い》? 何でもいいけどさ。テーブルには他にもライフが3なんて奴もいるだろうから、みんなはそのライフ獲得野郎がそのお大事を引き継いでいくのを死ぬほど見たいだろう。

 6) そいつは力の格差を埋めてくれる。多人数ゲームにおける白の効果ってのは、ここ数年は《神の怒り/Wrath of God》のバリエーションをあまり出るものじゃなかった (《怒りの天使アクローマ》と《栄光》は重要な例外だ)。俺の“多人数ゲームの殿堂”じゃ、白は最も印象に乏しい色だ。白にはいいお役立ちカード(ダメージ軽減とか)がある――だが、あまり興奮するような選択肢は無いんだな。《砂の逆流》は多人数ゲームにおける、興味深く、尋常じゃなく、強力な白の効果だ。こいつはマジックのためにいい事だな。

リバーシブルの水着

 

俺の最初のデッキのアイデアは、《ドラゴン変化/Form of the Dragon》が目にとまったときに思いついた“要塞型”のデッキだ。《砂の逆流》と《ドラゴン変化》のシナジーは実に素晴らしい。魔法が続いている限り、5ライフを配り続けてやれるんだぜ。

 あるいは、君が0ライフ以下でまだゲームに残っているときに撃つ《砂の逆流》ってのは面白くないか? 《白金の天使》がその役割を果たしてくれる。ここにおけるデッキのアイデアは、非常に面倒くさいが面白い個性派ゲーマー向けのデッキになるだろうな。

《ドラゴン変化》
《白金の天使》
《独房監禁/Solitary Confinement
《土地税/Land Tax
《激発/Violent Eruption

 次のデッキのアイデアは、マナ・バーンを起こすってやり方だ。その作戦は俺にはちょっと嫌な気分だが、我慢しなくちゃいけないだろう。いずれにせよ、そいつは試してみようとしたプレイヤーにそれなりのリスクを与える。一方で、こいつはってマナ・コストに向けて加速する方法も与えてくれるだろう。俺はコントロール的な意味合いで《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》+《グリッサ・サンシーカー/Glissa Sunseeker》ってコンボを入れたが、そいつはあくまで別ルートだな。:

《湧出/Upwelling
《肥沃な大地/Fertile Ground
《爆発的成長/Explosive Growth
《マイコシンスの格子》
《グリッサ・サンシーカー》

Vedalken Orreryインスタントなら最高!

 フィフス・ドーンからの興味深い宝石も忘れちゃいけない。《ヴィダルケンの宇宙儀/Vedalken Orrery》だ。《砂の逆流》がソーサリーとしてしかプレイできないってことからするに、もしこいつは相手のターンのエンドにプレイできるとしたらより劇的なものになるだろう。このアイデアは、の呪文と組み合わせるには面倒なマナバランスを要求するだろうが、赤か黒だけで始めてもそんなに悪くはないぜ。

《ヴィダルケンの宇宙儀》
《魂喰らいのオーグ/Soulgorger Orgg
《魔力のとげ/Manabarbs
《ラクァタスのチャンピオン/Laquatus's Champion
《苛性タール/Caustic Tar

 最後に、上にも書いたとおり、この呪文の真の力はチーム戦で発揮される。というのも、乱戦だと平均化の力が働いて、ライフの高い奴が出てくるとそいつが集中して狙われるからだ。しかしチーム戦なら、君はいつでも、うまくやっていきたい奴全員と、うまくいって欲しくない奴全員とに分けて考えることができる。

 これは、エンペラー戦の嫌らしい皇帝用のライフ獲得デッキを組み込んだアイデアだ。まずとんでもないライフまで達しておいて、《砂の逆流》でそいつを副官に分けてやるのさ。いずれにせよ、どっちかの側面のプレイヤーが100ライフ越えになったら、おそらくブロッカーを残さずに殴っても何の問題も無いだろうな。

《天使の合唱/Angelic Chorus
《集い》
《信仰の報償/Reward the Faithful
《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath
《Karakas》

砂の逆逆流

 それじゃ、そろそろ対抗手段を考えよう。とにかくこいつは、考慮に入れるべき興味深い呪文だ――ただし、入るデッキはそんなに多くない。《砂の逆流》が席巻し始めたら、チーム戦の面々に何ができるか?

 は5色の中では最も楽だろう。こいつは少ないライフのままダメージ軽減やプロテクションで耐えることができるからだ。最悪を最悪で返すなら、自分で《砂の逆流》を撃てばいいだけだしな。

 はもちろん、最悪のライフ交換を《幸運を祈る者/Wellwisher》なり似たようなものなりで回復することができる。だが、俺はこの色にもっと先を見越したやり方をして欲しいな。ライフの点数を、それなりの攻撃でいい勝負にしておいて、《踏み荒らし/Overrun》やその他のトランプル攻撃で、プレイヤー(肝心の白使い相手でなくてもいいが)に一撃必殺のアタックを仕掛けるのさ。10ライフを越えているプレイヤーを恐るべき一撃で仕留めることができれば、《砂の逆流》はタイミングを失うだろう。

 も緑と同様に考えればいいが、代わりに使うのは分配可能なダメージだ。他に誰がこうもうまくやれるんだ? 君の《火の玉/Fireball》や《弧状の稲妻/Arc Lightning》なんてソーサリーは、《ギトゥの火/Ghitu Fire》や《弧炎の魔道士/Arc Mage》あたりと代える。《砂の逆流》に対応して、全員の水準を可能な限り等しくするんだ。それ以外にライフの大きな較差を埋めるには、《溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forge》がいいだろうな。

 にはダメージを効果的に与える方法も無ければ、赤のように素早い呪文もなく、緑のような説得力のある一撃必殺もない(ただし、豊富な除去呪文と《暗黒の凱歌/Dark Triumph》あたりがあれば、黒緑デッキとしてはやっていけるだろう)。しかし黒には《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》その人がいる。こいつが帰ってくれば、グループの連中もライフをどうこうする事と勝つってことが違うのを思い出すだろうな。また黒は、最悪の《砂の逆流》から《吸魂/Syphon Soul》あたりで復活することが可能だ。

 には天下の《対抗呪文》がある。それで十分だろう。打ち消し呪文が多人数ゲームで面倒な理由がこれだ――君はそれを真に恐るべき脅威のために取っとかなくちゃいけないし、《砂の逆流》は間違いなくそのうちの半分を占めるだろう。ただし、テーブルに一人か二人とんでもないライフの奴がいることを確認するまで、焦って《対抗呪文》を撃ったりしないように――時には、《砂の逆流》のような呪文は青使いにとって、白使いと同じ理由でアドバンテージとなることがある。この呪文は、まだ仕事をやり遂げていない攻撃的なプレイヤーに対して使われる呪文だからだ。

 そして、その攻撃的な魔法使い諸君へ。いいかい、きちんと目を開けてなよ。最初から言ってきてるけど、土地の数を数えるのは非常に重要になってきている。その癖をつけておくのは何にせよいいことだし、そいつは相手の可能性にいつも集中させてくれることになる。つまり、君はより強いプレイヤーになるってことだ。おそらく、カジュアルプレイでこのカードが尊敬を受ける一番の理由がそれだろうな。

 彼はデッキの作成を手伝えない。彼は砂の逆流しないビーチを夢見ている最中だ

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