Translated by Yoshiya Shindo
先週、俺は相手の多くが引き起こすような問題に対する回答となるカードをプレビューした。
今週は、俺は大量の疑問を巻き起こすようなカードをプレビューする。回答はできるだけコラムで示してくからな。

質問1:そもそもネフィリムって何だ?
俺ら契約ライターはプレビューカードが実際にサイトに上がるまでイラストを見られないんだ。だから、これに関してはmagicthegathering.comのイメージ大将のマット・カヴォッタ (Matt Cavotta)に任せることにする。
質問2:それじゃ過去耕しって何だよ?
過去を耕すってぐらいだから、以前に起こったことをほじくり返すすごい力があるんだろうさ。
質問3:わかった、名前はいいよ。で、ウィザーズはマジでこんなマナ・コストにしたのか?
すっかりマジだとも。あんまりマジ過ぎて、こんなやつが他にも4体もいるらしいぜ。まあ、完璧に同じってわけじゃないが、似てるんだろうな。他のやつらのマナ・コストは推して知るべしだな!
質問4:この誘発型能力は正確にいつ起こるんだ?
このクリーチャーがどんな働きをするかを知る前に、ちょっと時間をとって戦闘の進み方を理解するのはいいアイデアだ。新人さんがたにわかりやすく言うなら、戦闘は攻撃とブロックとダメージに分かれる(ああ、実際はもう少しあるさ。いいからちょっと黙ってろ)。まず戦闘に入って、インスタントとか能力が使える。次に攻撃クリーチャーを宣言する。それからまたインスタントとか能力が使える。それからブロックが来て、また一拍おく。それからダメージで、そいつをスタックに置き(またインスタントや能力を使って)、その後にダメージを解決するのさ。
《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》の能力は、こいつで攻撃するとすぐに発生する。ドカーン、殴った、で、誘発型能力をスタックに置く――釣って来る対象もここで選ぶ。各プレイヤーはそれに対して対応してインスタントや能力を使える(例えば《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》を使って、お前が墓地から釣ってこようとしてるクリーチャーを取っ払ってしまうやつがいるかもな)。能力の解決時に対象がまだ残ってるなら、こいつも攻撃クリーチャーとして参戦だ。いやっほう!
で、戦闘はまだ続いていく――またインスタントや能力を使うチャンスだ。例えば《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》やその新しいお友達がブロックされる前に、ブロックしそうなやつに《終止/Terminate》を撃っとくとか、そういうことだ。
質問5:じゃあ、こいつを忍者デッキに入れるとどうなるんだ?
まあ入れてもいいが、あんまり大したことはない――もう一回正確に事情を説明してやろう。例えば、お前の墓地に《熱心な士官候補生/Eager Cadet》がいて、手札に《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》がいて、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》が場にあって、《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》の能力用のマナが残ってるとしよう。
《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》で殴る。そいつの能力が誘発し、素晴らしき《熱心な士官候補生/Eager Cadet》様が復活する。相手はこの襲撃に何も抵抗できない――2/2と1/1の突進にびびっちまうのさ。ブロックは無しだとさ!
ここで、忍者が登場できる戦闘のタイミングだ。攻撃クリーチャーを1体手札に戻して(たぶん《熱心な士官候補生/Eager Cadet》だろうが、好きなときに4色使って2/2を出せるんだってことを示すためにもう片方を戻してもいいぜ)、代わりに《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》を登場させてやる。おめでとうさん――戦闘の二つのステップでキーとなるちょっとした能力を理解したってんだからな。お前も立派なオタク野郎だ。
質問6:違うね。立派なオタクなら《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》でもう一体《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を出すに決まってるじゃん。できるよな?
けっ。実にオタクっぽいな! ああ、もちろんできるとも。ただし、覚えとかなくちゃいけないこととして、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》で別な《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を釣ってきたとき、2体目の誘発型能力では遊べないぜ――こいつはすでに攻撃してる状態で場に出てくるんだからな。だから、過去耕しの連鎖反応とか、ぐるぐる回しとか、合唱隊とかは無しだ。
質問7:うまい使い方の話をしてないじゃん。ちょっと教えてくれてもいいだろう?
まあな。後でだ。
質問8:《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》で《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》を釣ってきたら、場に出たときの能力は使えるのか?
使える。《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》が普通と違うのは、特別なコストも無しに攻撃してる状態のクリーチャーを場に出すってことだけだ。それ以外の事、例えば場に出たときの能力なんかは、通常通り発生する。
質問9:場に《落とし格子/Portcullis》があって、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》ともう1体の2体のクリーチャーが場に出てたら、釣ってきたクリーチャーはすでに攻撃してるんだから、場に残るよな?
そんなことはない。そいつは攻撃状態で場に出て、《落とし格子/Portcullis》と他のやつらが出てるのを見て、戦場を離れてでかくて面倒くさい門の後ろに隠れちまう。場に出たときの能力は誘発するから注意な(おそらく、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》と《落とし格子/Portcullis》と場に出たときの能力持ちクリーチャーとを組み合わせるうまいやり方が思いついたんじゃないか?)!
質問10:おっとっと、使い方の話が来たね! ちょっとヒントとか教えてくれてもいいんじゃないか? ん?
もちろん。ただし言っとくが、今回提案するのはお前がこのカードを使える可能性の話だけだからな(ああ、正確にはそうじゃないさ。だけど、お前ら読者の中には先週の俺の“みんなにプレビューカードの使い方を教えて差し上げる”やり方に文句をつけてきたやつもいるんでな。そいつらをからかってやらないと。使い方を教えて差し上げるだと。そいつはご丁寧に! ティーンエイジャーが何か思いついたときにどんな行動に出るか知ってるだろう!)。
質問11:で、その、使い方なんだけど?
わかったよ。いいか、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》のオーナーだかコントローラーだかにとって、基本的な義務が三つある。
1)面倒くさいマナ・コストを何とかして場に出すこと。
2)殺さないで何回か攻撃させること。
3)すげえ物を釣ってくること。
以上だ。
質問12:それじゃ、順に一個ずつ潰していこうか。一体どうやったらこいつを場に出せるんだ? 実際、こいつが必要としていないマナは緑で、マナ調整には一番重要なんだぜ!
確かに面倒だな。この《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》は特に面倒だ。そもそも
のために直前のターンに《砕土/Harrow》するようなことはしないだろうからな。おあつらえ向きに、最近のカード(と言うか、スタンダード)に限定しても、ラヴニカの二つのギルド――ボロスとディミーア――とそいつらのマナ用小道具がある。《ボロスの駐屯地/Boros Garrison》と《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》、あるいは《ボロスの印鑑/Boros Signet》と《ディミーアの印鑑/Dimir Signet》あたりは、ややこしいことをしなくても単純な2枚の組み合わせで4色をそろえてくれるだろうさ。
もっとも、このシステムだって完璧じゃない――きっちり3枚のカード(マナ源2枚と《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》自身)を揃えなきゃいけないし、確率マニアあたりが喜んで数字をいじくって、毎ゲーム4ターン目にこいつが揃う確率は100%にはならないなんて事を教えてくれるだろう。だけど、お前がまともにこのカードを唱えるって考えに惚れて、昔ながら(あるいは今ながら)のお高い二重地形をそんなに持ってないって事なら、望みを捨てる必要は無いな。
他にも、ラヴニカやミラディンやインベイジョンブロックあたりのそこそこのアーティファクト版のマナ調整を捜すって手もある。そこのブロックのコモンやアンコモンには少々の手間でマナ調整カードがあるから、ドメイン系から烈日系まであらゆる方向でアドバンテージが取れるだろう。
それに、もっと略式でをやっつける方法だってある――ほら、やろうと思えば《土を形作る者/Terraformer》1枚でことがすむじゃないか(少々余計な手間がいるがな。余分にあと3マナとか)。
もちろん、お前のデッキがブツを直接場に出す方向にきちんと調整されてりゃ、マナ・コストを支払う必要すら無い。《騙し討ち/Sneak Attack》があれば、あるターンに《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》あたりの恐ろしいクリーチャーは出して、殺して、次のターンに《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を出して攻撃するって手もある――《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》の能力で《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》を釣ってもう一回殴るんだ。で、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》は死ぬが、《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》は……残るのさ! なあ、無理やり出したクリーチャーは死ぬ定めだなんていったやつはいないだろう? なかなか頭いいな。
質問13:それじゃ、どうやって《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を生き残らせるんだよ。こいつはたかが2/2だよ! ウィザーズはまた俺たちをいじめるんだ!
その通り、やつらは俺たちを面倒な目に合わせている。やつらは俺たちが嫌いだからな。あのアーロンですらだ(実際の話、やつはローズウォーター以上に俺たちの事を嫌っている)。やつらは実際に作ったカードをプレイして欲しくないんだ。企業の陰謀家がそう指示して――む、ちょっと待て、どっか間違ってるぞ。ここは掲示板じゃないな。少し待ってくれ……。
……ああ、少し気分がよくなった。ウィザーズはお前が嫌いなわけじゃない。やつらは4マナ2/2の馬鹿馬鹿しいぐらい強力な可能性を秘めた能力持ちを出してくれるんだからな。お前がやらなくちゃいけないのは、こいつを自分の側に残しとくことだ――生き残らせることさ。こいつはとんでもなく難しいって事じゃないだろう。まずは《野太刀/No-Dachi》あたりの単純な装備品から始める手もあるし、《泡のマトリックス/Bubble Matrix》なんて豪快な戦略もあるし、《Delif’s Cube》なんてちょっとイカすトリックもある(ああ、《Delif’s Cube》はそんなにすごくはないさ。でもこいつはテーマと合ってるし、一回攻撃を通すことができれば、そんなにひどい話じゃないぜ!)。この三つのアイデアが全部アーティファクトだってことに注目して欲しい――サポート用のカードは無色にしておいて、クリーチャーを出すこととそいつを生き残らせることを同時にやるのにマナの問題を残さないようにしたいだろうからな。これ以上過去耕しの生き方を面倒にしないようにしたいもんだ。
質問14:釣ってくるクリーチャーはどんなやつがイケてるかな?
あるいは“戦闘ダメージ”系で取り組む手もある――釣ってきたクリーチャーが相手を殴ることで、壊滅的なことが起こるのを期待するのさ。《まばゆい天使/Blinding Angel》、《ドラゴン魔道士/Dragon Mage》、《追放するものドロマー/Dromar, the Banisher》なんかが気に入るだろうな。
三番目の選択肢か? 探し系だ。こいつは場に出たとき軍団に属する。《アヴァラックス/Avarax》が手札から場に出て殴るのもいいさ。速攻持ちでお友達を引っ張ってきてくれるんだからな。で、相手がこいつをぶっ殺しても、後で《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を出してやればその《アヴァラックス/Avarax》を場に釣ってきて、こいつでお友達2号(あるいは1号がすでに仕事を済ませてるなら3号かもしれないが)を探してくればいい。《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》なんてのもいる。こいつらは最初はそんなに強く見えないかもしれないが、デッキを少々圧縮してくれた上に、使えるカードを手札なり場に出してくれるのは悪い話じゃない。
最後に、単純にデカいのを持ってくるってのもいいだろう――飛行クリーチャーとかトランプル持ちなんかはなかなかだし、こいつが毎ターン、2/2のおかげで戦場に戻ってくるってなんて話しは、少々なりと惹かれるんだろう。選り好みしたり、金のかかるレアを使う必要は無い――それなりに強くて効果的なクリーチャーなら、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》にとってはいい対象さ。
質問15:で、そのイカしたクリーチャーをどうやって墓地に落としたらいい?
《生き埋め/Buried Alive》なんて馬鹿でもわかるカードでやりたきゃ、それでもいいさ。黒には他にも山ほど墓地のカードをどうにかする方法がある――《嘘か真か/Fact or Fiction》tとか《けちな贈り物/Gifts Ungiven》あたりを思いつくんなら、青でもいけるがな。

だけど、全力攻撃の戦略をとっても間違いじゃない――多人数ゲームじゃあまり見ないが、一対一とか少人数の対戦ならうまくいくだろう。誰かをクリーチャーで殴り続ける――そしてブロックされたら死ぬにまかせるのさ。終盤戦になったら《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を出して(普通にプレイするのも難しい話じゃなくなってるだろう)、その資産を釣ってくればいいんだ。
質問16:多人数ゲームでこの手のカードを使うときに特に気をつけなくちゃいけないことは?
敵が増えれば、その中には《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》を止める手立てが無いプレイヤーが増えるって話は、お前が天才じゃなくても理解できるだろう。一番弱いやつを殴り続けるのは多人数ゲームじゃまったく合法的戦略だが、状況によってはいささか残酷に見えることもあるだろう。
複数の敵を殴れるかどうかのルールは、仲間内によって決まっているものだ。俺の仲間なら、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》が殴っているプレイヤーとは別のプレイヤーを釣ってきたクリーチャーで殴ってもいいってルールでやってるだろう。これならこのカードに新たな力が生まれるし、たぶん“公式”多人数ルールならこいつを認めてくれるだろうな。
《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》が多人数ゲームで見せてくれる強みは他にもある――この前の質問でも書いたが、こいつは死んだクリーチャーを実質的にコスト無しで呼び戻してくる。これは長期戦においちゃお前の勝利の確率を増やしてくれるし、全体除去もお前にはそれほど壊滅的打撃ってわけじゃなくなるだろう(その分、マナ破壊は致命的だ。だが、運さえよければ、お前の仲間はすでに「《ハルマゲドン/Armageddon》って面白いのか?」フェイズはクリアしてるだろうな)。
質問17:《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》に対する効果的な対策は?
2/2を止めるのに問題があるってプレイヤーはそうそういないだろう。唯一恐ろしいのは墓地からクリーチャーを釣ってくる部分だから、ここでは《ショック/Shock》のほかに求められる解決策を一つ二つ教えてやることにする。
- 《平和な心/Pacifism》――こういう場合、場のクリーチャーがただ単にそこに残ってるってのは面白い話だな。
- 《浄化の光線/Cleansing Beam》――お前が緑デッキに赤をタッチしてるんなら、世の中のすべてのクリーチャーに2ダメージ当てつつ、自分の1,000匹の苗木は被害無しってのは面白いんじゃないか?
- 《脊髄支配/Spinal Embrace》――たった今墓地から戻ってきたデカいクリーチャーを対象にし、《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》をブロックする。そいつをぶっ潰してから、生け贄に捧げてライフをいただこう。
- 《急流/Rushing River》――《過去耕しのネフィリム/Yore-Tiller Nephilim》デッキにとっちゃ、手札にいるクリーチャーは重すぎてまともにプレイできない。だから、手札戻しはかなり効くぜ。
質問18:で、これで終わっちゃうのかい? 普段のコラムだと、対抗策を出したところで終了だよな?
その通り。これでおしまいだ。“パワフルなやつ”を楽しんでくれ。それと、仲間は簡単には過去を耕させてくれないことを忘れるんじゃないぞ!
アンソニーは多人数戦マジックを七年以上プレイしているが、それよりも長い間作家生活をしている。2005年の8月に出た、彼の妻であるメリージャニス・デヴィッドソンとの共著によるヤングアダルト向けのファンタジーの新作「Jennifer Scales and the Ancient Furnace」(ジェニファー・スケイルズと古き炉)は、Berkley Books社から発売中だ。