「オード/ode」は古典的な形式の抒情詩です。その名はギリシャ語の「エーイデイン/aeidein」、「歌うこと」に由来します。そしてこの類の詩は踊りと竪琴や横笛の音とともに、公的な行事にて催されることを意図していました。
古代ギリシャ世界で最も有名なオード作曲者はピンダロス、その形式を確立した者とされています。彼の詩は運動競技の勝者を讃えながら、同時に哲学と信仰の高尚な理想が合わさったものでした。
この記事にて、私はアクロスで行われた「イロアスの競技会」の闘士へと捧げる勝利のオードとして、ピンダロスの詩のスタイルを再現しようと試みました。

《イロアスの神官》 アート:Clint Cearley
歌え、ニクスの星々散りばめし、麗しき芸術神よ
勝利の旗を掲げるは
栄誉の冠を授かりし者
彼の者が愛を捧げるは
最上なる都市、豪放なるアクロス。
戦時にあっては秀でし模範
平時には果てなき不寝番。
コロフォンの頂きに燃ゆる炎よ
陽槍クルソーの聖炎よりも高く
パーフォロスの聖炉よりも熱く。
ケラノス放ちし神託の稲妻、聳えし塁壁を打ち倒す
されど神盾閃かせ、全てを覆い隠す
汝フィロマコス、この地を保護せし者。

《闘技場の競技者》 アート:Jason Chan
我らまた額ずきて祈ろう
汝アナックス、神へと捧げし競技にて
傑出せし人々の輪に、今祝福を授けるは
そなたの子パンダマトール。
堂々たる競技者、名高き格闘者は
勝利の薔薇に口付けを受け、天にも昇る至福
おお、四翼の兜、槍を震わせしは
鮮烈に輝けし名声の鑑
覇王イロアス、重装歩兵の神
熱き者、瞳輝かせ、肌ぎらつかせ
燃えさかりし身体の、汝喜ばしき青年
奉献として差し出すはその鍛錬。
アクロスの子がその内に持つは
神の盛装、栄誉という重き肩衣。
傲慢でなく謙遜こそが
汝の家族、ストラティアン、玉座に相応しいと
あまねく人々に示すか
さもなくば厳しきエレボスに屈し、自らを失うか。
ナイモシュネ、アリッサ、ラナトス
浄火の高みに昇りし多くの闘士
その密集軍は怪物を屠り
勝利の賛歌を響かせながら
悪しき術師を死の国へと送る
広場では酒杯が掲げられ、しばし敬虔に讃えるものなり。
(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)

《凱旋の神殿》 アート:Jason Felix