若き新星、北の大地を制す
467 名による熾烈な競争と、17 ラウンドにわたる我慢比べ。
そんな途方もない試練を勝ち抜いたのは 19 歳のアマチュアプレイヤー、熊谷真一だった。岩手在住の大学生である彼は、第 6 版の末期からマジックをプレイしはじめたばかりであり、たった 2 年のキャリアでの優勝というスピード出世を果たした。あの森雅也がそうだったように、彼は日本マジック界の超新星となれるのだろうか?
「《堂々巡り/Circular Logic》が都合よく引けちゃいました」とはにかむ彼は、総額 3900 ドルという莫大な賞金と栄誉とを手に入れた。ちなみに、アマチュアプレイヤーのグランプリ優勝は山田屋、荒堀に続く 3 人目のことである。
そして...ブラケットをごらんの通り、森田雅彦は「個人戦 4 度目の」グランプリ準優勝というとてつもない記録をうちたててしまったことになる。熊谷と戦った決勝は様々な意味で語り草となるであろう「Quiet Roar」ミラーマッチだった。
闇夜の終わりと希望の光
語られるべきストーリーは実に多かったわけだが、今後の PTQ 戦線を占う上でのデータとしてこの Grandprix 札幌を総括するなら、何より「黒壊滅」というトピックを挙げないわけにはいかないだろう。そう、決勝ラウンド進出をはたしたデッキリストのどこをさがしても...《沼/Swamp》が見当たらないのだ。
少なくとも「青黒 Zombie-heaval 」に「黒コントロール」という二つの有力な候補が存在していたわけだが、それらはすべて蹂躙されてしまったということになる。
暗黒の勢力を一掃してみせたもの。それは 6 つの「青緑」デッキと、2 つの「Punisher White」だった。
それにしても、Top 64 のうちの過半数が「青緑」だったということは、このオデッセイブロックという環境は一面エメラルドグリーンの世界が広がっている...ということなのだろうか。そんな大量の「青緑」の中でも好調だったのは世界選手権で Kai Budde もプレイしていた「Quiet Roar」とよばれるタイプ。今大会の決勝戦がこのアーキタイプのミラーマッチであったという事実がなによりもそれを雄弁に物語る。
「Quiet Roar」は《物静かな思索/Quiet Speculation》でのカードアドバンテージから《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》や《灰毛の定め/Grizzly Fate》によるビートダウンにつなぐというストーリーを目論むわけだ。初日全勝を果たした黒田正城、そして決勝ラウンドまで勝ち進んだ鹿田暢亮と森田雅彦らが共同で調整したバージョンの完成度の高さは今後のPTQ戦線を占う上では特に注目だろう。
そして、石田格と廣澤遊太がそのポテンシャルを証明してみせた「Punisher White」も、PTQ 終盤戦では重要な位置をしめることになるだろう。世界選手権で Team Punisher が決勝ラウンドに Tuomas Kotiranta を送り込んだのがこの新世代の白ウィニーデッキであるわけだが、ここでも素晴らしいギミックとして機能していたのが《物静かな思索/Quiet Speculation》であった。いまや《金切るときの声/Battle Screech》という素晴らしいカードを得て、「4 色の時代」とよばれたときは過ぎ去ろうとしているのかもしれない。
-Keita Mori
Top 8 Final Standing

1. 熊谷真一 | $2,400 | |
2. 森田雅彦 | $1,700 | |
3. 中村聡 | $1,200 | |
4. 石田格 | $1,000 | |
5. 木元建児 | $800 | |
6. 木下淳一 | $800 | |
7. 廣澤遊太 | $800 | |
8. 鹿田暢亮 | $800 |
(最終順位はこちら にてご覧になれます。)
top 8 bracket
INFORMATION
- Top 8 Profile
by 真木孝一郎
- Top 8 Decks
by Sideboard Staff
- All 64 Day 2 Decks
by Sideboard Staff
- PTQ Houston Top 8 Decks
by Sideboard Staff
- Top 64 デッキ分布
by 藤枝勇
- Day 1 Undefeated Decks
by Sideboard Staff
- 3 Bye プレイヤーのデッキセレクト
by 松井健治
- Trial-Winning Decklists
by Sideboard Staff
- クイックインタビュー
by Sideboard Staff
- Fact Sheet
by Sideboard Staff
MATCH COVERAGE
- 決勝戦: 森田雅彦 vs 熊谷真一
by 真木孝一郎
- 準決勝: 中村聡 vs. 熊谷真一
by 松井健治
- 準決勝: 石田格 vs 森田雅彦
by 平林和哉
- 準々決勝: 石田格 vs 木下淳一
by 平林和哉
- 準々決勝: 中村聡 vs. 鹿田暢亮
by 藤枝勇
- 準々決勝: 森田雅彦 vs. 木元健児
by 景山太郎
- ラウンド 14: 廣澤遊太 vs. 高崎雄一
by 松井健治
- ラウンド 13: 森田雅彦 vs 小室修
by 平林和哉
- ラウンド 13: 中村聡 vs. 森勝洋
by 松井健治
- ラウンド 12: 林宏樹 vs 影山清友
by 平林和哉
- ラウンド 11: 藤田憲一 vs 中村聡
by 平林和哉
- ラウンド 11: 藤田修 vs. 木下淳一
by 真木孝一郎
- ラウンド 11: 鹿田暢亮 vs. 木下淳一
by 松井健治
- ラウンド 10: 石田格 vs 福地貴弘
by 平林和哉
- ラウンド 10: 木元健児 vs. 森田雅彦
by 松井健治
- ラウンド 9: 森勝洋 vs 湯浅謙太郎
by 平林和哉
- ラウンド 8: 山野智也 vs. 海老江邦敬
by 藤枝勇
- ラウンド 8: 鹿田暢亮 vs. 藤田修
by 松井健治
- ラウンド 7: 黒田正城 vs. 湯浅謙太郎
by 藤枝勇
- ラウンド 7: 藤田剛史 vs. 中島主税
by 松井健治
- ラウンド 6: 笹川知秀 vs. 森田雅彦
by 藤枝勇
- ラウンド 6: 藤田憲一 vs. 平林和哉
by 森慶太
- ラウンド 5: 鹿田暢亮 vs. 百瀬和之
by 松井健治
- ラウンド 4: 藤田修 vs. 森勝洋
by 藤枝勇
- ラウンド 3: 黒田正城 vs. 安藤玲二
by 藤枝勇
- ラウンド 3: 原田洋 vs. 桧垣貴生
by 松井健治
- ラウンド 2: 笹沼希予志 vs. 村瀬幸義
by 藤枝勇
- ラウンド 1: 市川洋平 vs. 山田努
by 松井健治
Pairings, results, standings
PAIRINGS
RESULTS