家族のゆくえ

更新日 Command Tower on 2015年 3月 5日

By Adam Styborski

Stybs has played Magic the world over, writing and drafting as part of the event coverage team and slinging Commander everywhere his decks will fit.

原文を読む

 『タルキール覇王譚』には龍がいなかった。その次元を統べるのは、氏族を率いるカンだ。だが『運命再編』でその事実は改変される。サルカンは古代のタルキールに生きる龍をその目で見て、ウギンを救った。

 そして今、『タルキール龍紀伝』では龍が飛び交っている。彼らは、かつて行われたカンとの苦闘を制したのだ。

〈龍王ドロモカ〉 アート:Eric Deschamps

 こんなに嬉しいことってないよね。

一歩ずつ

 龍は、その力の及ぶ範囲から活躍の幅、そして色に至るまで本当に様々だ。『運命再編』ではあらゆる種類の龍が登場し、彼らはその時代のカンたちの対極にいた。そして、「龍が滅ばなかった」未来を築いたのだ。ウギンが救われたことで何が起きるのかは、時間の経過を目の当たりにしている私たちの想像に難くないだろう。

 〈龍王ドロモカ〉をご覧あれ。

 彼女を再び目にしたとき、私はいくつかのことに気づいた。

 「エルダー・ドラゴン」が帰ってきた! かつて「エルダー・ドラゴン・ハイランダー」と呼ばれていた統率者戦、その名の由来であるクリーチャー・タイプが再び登場し、意味を持つようになったのだ。『運命再編』での出来事から1000年の時を生きたドロモカは、比喩だけでなく文字通り「エルダー(長老)」になったのである。

 「龍王」という肩書きから、その役割はわかるだろう。彼女は以前から持っていた飛行に加えて絆魂を持ち、また6マナで5/7というサイズを誇り、ライフを増やしつつ空中での戦いに役立つ強力なものに仕上がっている。マジックの歴史を見渡しても、ドラゴン(あるいはデーモンなど飛行を持つファッティ)はその多くが5/5か6/6だ。彼女の7というタフネスは驚くべきものであり、対戦相手にとってはブロックしにくく、こちらにとっては心強い。

 私が好きなルール・テキストのひとつが、彼女にも見受けられる。せっかく6マナを費やして、しかも統率者をプレイしたというのに、《取り消し》を受けてしまうのではがっかりだ。いくつかのデッキ、とりわけ《》ばかり使うようなものに対して彼女は繰り返し脅威となり、いかにマナが豊富でも苦しい戦いを強いるはずだ。

 もはやドロモカは、素直に敵に従うことはない。彼女を呼び出せるマナを用意できれば、必ず協力を得られるだろう。そして、彼女の力はこれで終わりではない。

 〈龍王ドロモカ〉がひとたび戦場に降り立てば、こちらのターンの間、対戦相手の呪文に邪魔されることはない。《ガドック・ティーグ》や《法の定め》など自分を含め全員に制限をかけるものや、あるは《ザルファーの魔道士、テフェリー》のように対戦相手全員が自分のターンにしか呪文を唱えられなくなるものとは異なり、〈龍王ドロモカ〉が呪文を防ぐのはこちらのターンだけだ。それでも強力な効果であることは変わりなく、ゲームを大きく動かす一手に繋ぐことができるだろう。(〈龍王ドロモカ〉に続いて《起源の波》という動きはすぐに誰かがやるはずだ!)彼女が戦場に着地すれば――自身の能力によって確実に着地するだろう――他のクリーチャーや呪文も必ず通るようになるのだ。

 ドロモカが君たちを迎えにきた。彼女はひとりではない。

 「ドロモカの信奉者たちは、より大いなる家族の一員となるために自らの血の繋がりを捨てる」このフレーバー・テキストからは『タルキール龍紀伝』の舞台で何が起きているのか、その一端を垣間見ることができ(龍が勝利し、彼らが世界を支配しているのだ!)、それは同時に「統率者戦」というものを的確に言い表している。統率者戦では、マジックのセットすべてからまったく異なるカードやメカニズム、そしてアイデアを集め、「より大いなる家族」を築き上げるのだ。

 統率者戦用のデッキを一から作り上げるのは久しぶりだけれど、〈龍王ドロモカ〉を見ているとどうしても作りたくなってしまうね。

生命の営み

 〈龍王ドロモカ〉は、その信奉者たちに直接働きかけるメカニズムを持っているわけではない。『運命再編』での彼女は+1/+1カウンターを与える「鼓舞」を持っていたが、今回の彼女はこちらのターンと呪文を守るのだ。目指すべきは、防御を固め戦いを制する準備を整えることだろう――まさにアブザンの信念だ。

 最初に手をつけるべきは、マナをめぐる部分だ。

 《統率者の宝球》と《真面目な身代わり》はマナを増やすという仕事を終えた後に別のカードをもたらすため、私はどちらも好きだ。とはいえ、それは個人的な好みの問題だ。マナに悩んでいるなら、《ダークスティールの鋳塊》も頼りになるだろう。

 なぜこれだけ大量のマナ加速が欲しいのかというと、〈龍王ドロモカ〉が持つアドバンテージを最大限に活かしたいからだ。彼女を戦場へ投入した後は、すべての呪文が彼女の加護を受けて解決される。14マナ、15マナ、さらにもっと増えていけば、〈龍王ドロモカ〉からのワン・ツー・コンボの幅が広がるのだ。

 〈龍王ドロモカ〉から繋ぐものは何がいいかって? まずは守ることから始めてみよう。

 アグレッシブなデッキにするというわけではない。継続的にパンチを繰り出し、攻撃し続けるのだ。消耗戦に勝つことが今回のデッキの狙いであり、それを目指すにはカードを引く力がなければ難しいだろう。そこを補っていこう。

 『統率者』セットで私が好きなところは、様々なドロー手段があることだ。クリーチャーが多すぎてもいけないし、不利な状況でしっかりと役割を果たすものや繰り返し使えるものも欲しい。上で挙げたものは、長いゲームにおいて多くの選択肢をもたらしてくれるだろう。

 勝利のためには、もういくつかゲームを動かすものが欲しい。そこで、引き込めば強力なものを探していこう。

  • 再利用の賢者》や《踏み吠えインドリク》、《酸のスライム》、《塵への帰結》といった、厄介なアーティファクトとエンチャントに対処できるもの。
  • 正義の執政官》や《破壊するドラゴン》、《森滅ぼしの最長老》、《ドライアドの歌》、《内にいる獣》といった、プレインズウォーカーを含むあらゆるパーマネントに対処できるもの。プレインズウォーカー自体はまだまだパックから出にくいものだが、長きにわたる変化の中で、プレインズウォーカーを扱うプレイヤーも多くなってきているはずだ。最近発売された『デュエルデッキ:エルズペス vs キオーラ』にも実に強力なプレインズウォーカーが2枚収録されており、多くの人の手に渡ったことだろう。それらに対する手段を持つことは決して悪いことじゃない。上で挙げたカードはどれも、他の厄介なパーマネントにも対応できるのだ。
  • 太陽破の天使》や《凶時の天使》、《質素な命令》、《宿命的報復》といった、対戦相手の手札から繰り出されたクリーチャーの集団に対処できるもの。アブザンとしては基本的に意味もなく自軍を巻き込むことを避けたいが、耐え切れないほどの軍勢に対処する手段を持っていれば緊急時に役立つことだろう。

 これらは対戦相手の抵抗を砕き、力の源を引き裂く「攻め」のツールだ。きっと攻撃のチャンスを生み出し、より有利な状況を築いてくれるだろう。それでは、堅固な城塞を築くための時間を稼いでくれる、「守り」のツールも見ていこう。

 これらは対戦相手の多くにとって厄介なカードばかりだ。攻撃を支援しつつその攻撃が成功するたびにアドバンテージをもたらす装備品に、対戦相手のターンが来るたびにアンタップしたり成長したりするもの、そして能力の使用もカードの使用も封じるもの。これらすべてが、勝利への道筋となるだろう。これらは防衛線を引くと同時に、他のプレイヤー全員に対して攻勢をしかける手段となるのだ。《正義のオーラ》はもう一歩足りない、地味なカードではある。どんなデッキでも統率者ダメージによる攻め手は用意してあるため、そこへかかりきりになる可能性があるからだ。《正義のオーラ》はダメージ源そのものを封じるカードではない。そのダメージ源に攻めをためらわせる盾となるのだ。

 これでデッキの中身は整った。あとは土地の枠を埋めていこう。

 おまけの効果を付けたいなら土地が一番だ。《ならず者の道》や《家路》のようなカードは、様々な効果を無力化する。《樹上の村》の使いやすさは驚くほどで、私はいつも統率者戦で使っているよ。《対立の終結》系のカードのほとんどをかわすことができ、いざとなれば装備品を持って攻撃に行くこともできるからね。

 以下が、私の手がけた〈龍王ドロモカ〉の力を引き出す最初のアプローチだ。

統率者:龍王ドロモカ

COMMANDER: 龍王ドロモカ
99 カード

 このデッキは防御的で、戦略的で、忍耐強く、そしてその印象通りに粘り強いものだ。戦いを思い通りに展開し、対戦相手を窮地へ追い込もう。こいつは実際にテストを重ねてはいないため、まだまだ荒削りなアイデアだ――これからの行く末や、そしてアブザンの新しい意志を果たす道は、君たち次第なのだ。

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa)

最新Command Tower記事

COMMAND TOWER

2016年 1月 7日

倍賭け勝負 by, Adam Styborski

 マナを生み出すことは、マジックの根本的な要素だ。レアの枠に《島》が入っていた最初の時代(それくらい土地は大事なものだったのだ!)から、私たちは長きにわたりマナとともにあったが、その道のりは決して平坦なものではなく、紆余曲折に満ちたものだった。 《ミラーリの目覚め》 アート:David Martin  マジックの黎明期、レアの枠には《ほとばしる魔力》というカードもあった...

記事を読む

COMMAND TOWER

2015年 11月 5日

カードを越えた探索(越えるは時のみにあらず) by, Adam Styborski

 「統率者戦」とひと口に言っても、その意味するところは様々だ。自身の勝利の追求、独自に組み上げた100枚を披露する舞台。派手な呪文が飛び交い、コストが重過ぎるものの最高に楽しい能力を持ったカードにも活躍のチャンスがある場所。最も手広くマジックのカードを扱い研究の余地が多く残される奥深さ。  そしてもうひとつ、決して無視できず最も多くの議論を呼ぶ一面となっているのが、そのラ...

記事を読む

記事

記事

Command Tower Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る

このサイトではクッキー(cookie)を使用して、コンテンツや広告をお客様一人一人に合わせたり、ソーシャルメディアの記事を配信したり、ウェブのトラフィックを解析したりします。 (Learn more about cookies)

No, I want to find out more