津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ プロツアー『タルキール覇王譚』特集

更新日 Feature on 2014年 11月 6日

By 津村 健志

 みなさん、こんにちは!

 突然ですが、この度より『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ』が再開する運びとなりました。この記事は個人的に非常に思い入れが強い連載だったので、再開できることを心より嬉しく思います。それもこれもみなさまのご声援があってこそ! 今のところまだ正式な掲載ペースなどは決まっておりませんが、月1以上で掲載予定ですので、誠心誠意努めていきたいと思っております! 改めまして、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

 さてさて、再開1発目となる今回の記事では、先々週末に行われたプロツアー『タルキール覇王譚』の結果を振り返ってみたいと思います。新環境を占う注目の結果はいかに!? トップ8の顔ぶれはこのようになりました。

〜プロツアー『タルキール覇王譚』トップ8デッキ〜

優勝 「アブザン()・ミッドレンジ」
準優勝 「ジェスカイ()・ウィンズ」
3位 「アブザン()・ミッドレンジ」
4位 「アブザン()・アグロ」
5位 「ディミーア()・コントロール」
6位 「ジェスカイ()・ウィンズ」
7位 「ジェスカイ()・ウィンズ」
8位 「《ジェスカイの隆盛》コンボ」

 蓋を開けてみれば、「アブザン(白黒緑)」と「ジェスカイ(青赤白)」の圧勝となった今大会。前者は『テーロス』ブロック構築で行われたプロツアー『ニクスへの旅』優勝デッキとして、後者は先月末に開催された新シーズン1発目の「StarCityGames・オープントーナメント・ニュージャージー」の覇者として、どちらも大本命と言って差し支えないの扱いを受けていました。

 特に「ジェスカイ・ウィンズ」はプロツアー調整会内の登竜門といえる存在で、このデッキと互角以上に渡り合えるかどうかは、自身のデッキの強さを図るうえで絶好の指針となっていました。おそらく、これは多くのプロツアー参加者に認識されて事柄で、それゆえにこれらふたつのデッキに対するマークは相当にきついものになるだろうと予想されました。実際にこのふたつのデッキは、事前の予想通り、プロツアー初日に最も多くのプレイヤーが選択したデッキでした。(参考ページ

 多くのプレイヤーに意識されていた中でも勝ち続けたこれらのデッキの強さの秘訣は、その抜群の安定性に加え、自身の好みや想定するメタゲームに合わせて自由にカードをチョイスできる汎用性の高さにあるのではないかと思います。一口に「アブザン・ミッドレンジ」や「ジェスカイ・ウィンズ」と言えど、その形やデッキ構築論は千差万別。この度の連載では、そんな各リストの違いを追っていきたいと思います。

 それでは、まずは今大会の台風の目と言われていた「ジェスカイ・ウィンズ」からご覧ください。

ジェスカイ・ウィンズ


Shaun McLaren - 「ジェスカイ・ウィンズ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 準優勝 / スタンダード


 世界中が固唾を飲んで見守っていた、新環境の開幕戦となった「StarCityGames・オープントーナメント・ニュージャージー」。そこで見事に優勝した「ジェスカイ・ウィンズ」は、プロツアー『タルキール覇王譚』でもトップ8に3名を送り込む大活躍を見せ、先の大会での成功がフロックでなかったことを証明してみせました。

 デッキの動きとしては、《ゴブリンの熟練扇動者》、《カマキリの乗り手》という軽量かつ優秀な精鋭陣でダメージを刻み、最後は火力呪文で止め、というのがこのデッキの描く青写真です。こちらのクリーチャーが生き残るような展開であれば、もちろん火力呪文は道を切り開くためにも使えます。

 《ジェスカイの魔除け》や《龍語りのサルカン》のように、火力でありながら柔軟性に富んだカードも、このデッキの躍進を支える要因となっています。《龍語りのサルカン》はこのデッキにうってつけの1枚で、見た目以上に対処が難しいこと、後述の《時を越えた探索》と合わせて長期戦に強いカードということで重宝します。

■新たなる《スフィンクスの啓示》〜《時を越えた探索》〜

 すでに《スフィンクスの啓示》の後継者という地位を確固たるものにした感のあるこのカード。ゲームが進むにつれて支払いが楽になる「探査」能力のおかげで、ゲームの中盤から終盤にかけてのコストパフォーマンスには目をみはるものがあります。このデッキであれば、《時を越えた探索》は6〜7点分の火力として計算することができるので、ゲーム運びが非常に楽になりますね。

 Shaun McLarenさんのリストで最大の特徴は、なんといっても《時を越えた探索》が4枚フル投入されていることです。こうすることで消耗戦に圧倒的に強くなりますし、火力を対戦相手のクリーチャーに躊躇なくキャストできるようになります。カードカウントで1対1を繰り返していれば、《時を越えた探索》が4枚入っているこちらが有利なのは自明の理。本来ならば「バーン」が苦手とする消耗戦は、このリストにとってはむしろ好都合の展開です。

 「ジェスカイ・ウィンズ」の課題として、「クリーチャーを速やかに対処された場合にどうするか」というものがありますが、このリストは《時を越えた探索》による物量差で押し切るプランを取っています。これによりサイドボード後の《神々の憤怒》・《対立の終結》プランにもスムーズに移行できるようになっていますし、個人的には今回トップ8に残った3名の中で最も好みのリストです。なお、細かいことではありますが、《時を越えた探索》を3枚以上採用する場合は、それに伴い墓地を増やしやすくなる《溢れかえる岸辺》も増量するようにしましょう。

 このデッキの天敵は、《包囲サイ》、《風番いのロック》、または《真面目な訪問者、ソリン》のように、ライフ回復を伴うカードです。そのため、サイドボードにはそれら全てに対処できる《軽蔑的な一撃》が採用されていることがほとんどです。このリストに関しては、《軽蔑的な一撃》よりも《解消》が優先されていますが、構えやすさを考慮すると《軽蔑的な一撃》に軍配が上がると思います。いずれにせよ、これらのカードは戦場に出る前に対処するのが最良なので、少なくともサイドボードにはカウンター呪文を複数枚積んでおくといいでしょう。


渡辺 雄也 - 「ジェスカイ・ウィンズ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 7位 / スタンダード


 お次は日本が世界に誇るスーパースター、なべ(渡辺 雄也)君のリストです。先ほど話題に上がった「クリーチャーを速やかに対処された場合にどうするか」という問題を、なべ君は《神々の思し召し》で回避する手法を選択しています。これは主にクリーチャーを対処し合う同系対決で重宝する戦略で、特に対処法の限られている《カマキリの乗り手》や《オレスコスの王、ブリマーズ》を一度守ってしまえば、そのまま押し切ってしまえることも多いでしょう。《神々の思し召し》はその他のリストではあまり採用されていないので、奇襲性が高いことも加点対象ですね。

 なべ君のリストは先ほどのリストとは打って変わって、《時を越えた探索》が0枚なのが印象的です。その代わりに長期戦に強い《龍語りのサルカン》が増量されていたりはしますが、どちらかと言えば《オレスコスの王、ブリマーズ》や《神々の思し召し》を駆使して速攻で押し切ってしまうのが理想的な動きだと思います。サイドボードにも全体除去は採用されていませんし、このリストは「先行逃げ切り型」と評していいでしょう。

 メインボードの《神々の思し召し》だけでなく、サイドボードに潜む《予知するスフィンクス》もミラーマッチに強いカードなので、今後同系戦が更に増えそうな現状であれば、このアプローチもぜひお試しください。


Ondrej Strasky - 「ジェスカイ・ウィンズ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 6位 / スタンダード


 「ジェスカイ・ウィンズ」はメタられた上でなお結果を残せるデッキなのか? プロツアーの結果はその答えがイエスであることを明確に示してくれました。しかしながら、Shaun McLarenさんが4枚の《時を越えた探索》を、なべ君が《神々の思し召し》を採用していたように、やはり各々がそれぞれの工夫を凝らして勝ち進んでいたことに疑いの余地はありません。

 このリストもご多分に漏れず、「対策カードへの対策」がきっちりと取られており、それは《静翼のグリフ》《灰雲のフェニックス》《嵐の息吹のドラゴン》といったカード選択に表れています。

 《灰雲のフェニックス》は除去耐性が優れている分かりやすいチョイスですが、その他の2枚はメタゲームの流れを的確に掴んだものです。どちらもこのデッキの天敵である《包囲サイ》、《風番いのロック》に強く、攻撃力にも申し分ありません。とりわけ《静翼のグリフ》は「瞬速」持ちのマイナーカードということで、なべ君の《神々の思し召し》と同様に、はまった時のリターンが大きかったのではないかと思います。

 《静翼のグリフ》が同系戦で非力なため、ミラーマッチが多いと読むのであれば微妙かもしれませんが、「アブザン」デッキの隆盛を考慮すると、このカードには注目しておいた方がいいかもしれませんね。

アブザン・ミッドレンジ


Ari Lax - 「アブザン・ミッドレンジ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 優勝 / スタンダード


 約束された栄光。プロツアー『ニクスへの旅』の結果を見れば一目瞭然。《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》は新環境を象徴する常勝軍団です。マナクリーチャーから強力な呪文を連打するそのスタイルは、古来より存在する王道中の王道。「ジェスカイ・ウィンズ」と同じく、リストの詳細は人によって異なりますが、いずれにせよ《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》が今後もスタンダード環境を牽引していくのは間違いないでしょう。

 Ariさんのリストは、端的に言ってしまえばミッドレンジ界の王者と呼べるリストです。《胆汁病》のような中長期戦で弱いカードはほとんど採用されておらず、なおかつメインから「プレインズウォーカー」が7枚と多めに取られているため、対同系戦などでは、ゲームが長引けば長引くほどこちらが自然と有利になるようにできています。そんな中でも《英雄の導師、アジャニ》は秀逸で、中速より遅めのデッキ全般に対して鬼神のごとき強さを発揮する1枚です。事前情報では「ジェスカイ・ウィンズ」が多いとのことだったので、盲目的にそのデッキにすこぶる強い《風番いのロック》を優先してしまいそうなものですが、Ariさんはきっちりと同系戦も見据えていたようです。

 軽いカードを削ってしまっているため、赤い速攻系のデッキにこそ苦戦してしまいそうですが、サイドボードには《胆汁病》と《悲哀まみれ》が3枚ずつ搭載されているので、2本目以降は手を焼くことも少ないでしょう。

 サイドボードに《神の怒り》系のカードが3種類採用されていますが、それぞれに短所と長所があります。《対立の終結》は自軍を巻き込んでしまうものの、他にはないその軽さが魅力です。《砂塵破》と《集団の石灰化》は重さがネックではありますが、その分自軍のクリーチャーが生き残るというとんでもないおまけが付いています。《砂塵破》はミラーマッチで最も輝き、《集団の石灰化》は対「緑単信心」戦においてこれ以上ない切り札となります。

 今後はミラーマッチがより一層増えると思うので、同対決においてサイドインしづらい《集団の石灰化》は抜いてしまい、追加の《対立の終結》か《砂塵破》にしてみてもいいと思います。また、《神の怒り》系のカードをサイドインする際には、それらを導くことのできる《リリアナ・ヴェス》もぜひご一緒に。


Thiago Saporito - 「アブザン・ミッドレンジ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 3位 / スタンダード


 ブラジルやポルトガル勢が持ち込んだのが、4枚もの《風番いのロック》が印象的な「アブザン・ミッドレンジ」でした。

 Ariさんのものと比べると、「プレインズウォーカー」が少ないこともあり、ミラーマッチには若干弱くなっています。その代わりに投入されている《風番いのロック》、《胆汁病》、《エレボスの鞭》が示す通り、このリストは「ジェスカイ・ウィンズ」や、その他のアグロデッキを想定して作られたようです。

 《風番いのロック》は「ジェスカイ・ウィンズ」を含む赤いデッキ相手に無類の強さを誇りますし、《太陽の勇者、エルズペス》の[-3]能力に引っかからないゆえに、ミラーマッチでの活躍も見込めます。なお、対戦相手のデッキに《太陽の勇者、エルズペス》が含まれている際には、《真面目な訪問者、ソリン》の[+1]能力の運用には十分に気をつけましょう。この効果は、「あなたの次のターンまで」なので、《羊毛鬣のライオン》や《風番いのロック》で攻めている状況下で[+1]能力を使ってしまうとクリーチャーのパワーが4以上になってしまい、《太陽の勇者、エルズペス》の[-3]能力によりこちらのクリーチャーだけが全滅してしまう恐れがあります。

 ビートダウン耐性を意識してか《思考囲い》の枚数が控えめになっていますが、デッキ全体として少なくとも「ジェスカイ・ウィンズ」には勝つという強い意思が感じられる意欲作に仕上がっています。

 また、サイドボードに《先頭に立つもの、アナフェンザ》に加え《エレボスの代行者》までもが控えており、全世界中の《血の暴君、シディシ》ファンを奈落の底に突き落とす恐怖のリストになっています。実際に「《血の暴君、シディシ》デッキ」を使ってこのデッキにボコボコにされたコガモがいたそうですが、今のところ《血の暴君、シディシ》デッキが流行る気配はないので、さらなるミラーマッチ対策に変更してもいいと思います。


Mike Sigrist - 「アブザン・アグロ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 4位 / スタンダード


 最後を飾る「アブザン」デッキは、これまでのふたつとは毛色の違うビートダウンタイプです。《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》が入っていないことからも伺えるように、このデッキの信条はひたすらに攻めるのみ。

 対戦相手の《森の女人像》や《クルフィックスの狩猟者》で止まらない優秀な2マナ域を筆頭に攻め入り、それらを手札破壊や除去、更には《アブザンの魔除け》、《真面目な訪問者、ソリン》でバックアップしていきます。

 このデッキのエースである《ラクシャーサの死与え》と《羊毛鬣のライオン》には除去耐性がありますし、《責め苦の伝令》の「授与」や《真面目な訪問者、ソリン》によるトークンなど、攻め手が多角的なため、見た目以上に捌きづらい点が魅力のビートダウンデッキです。

 個人的には、現状では「アブザン・ミッドレンジ」の多さを加味して、ミッドレンジ界最強のAriさんのリストが良いように思えますが、この記事の執筆中に開催された「グランプリ・ロサンゼルス2014」の初日全勝デッキを見る限り、この「アブザン・アグロ」にも注目しておいた方がよさそうです。

青黒コントロール


Ivan Floch - 「青黒コントロール」
プロツアー『タルキール覇王譚』 5位 / スタンダード


 勝ち手段が《不死の霊薬》しか入っていない気の長いコントロールデッキで、プロツアー『マジック2015』を制したIvanさん。そんな彼が新環境に持ち込んだデッキは、当然のごとくコントロールデッキでした。

 古き良きコントロールデッキらしく、捌いて捌いて《時を越えた探索》に繋げる分かりやすいデッキです。フィニッシャーも除去の効かない《予知するスフィンクス》と、お手軽簡単。

 長期戦を見据えたコントロールデッキであり、メインから4枚もの《軽蔑的な一撃》が搭載されていることが示すように、このデッキは無事に終盤を迎えることができれば勝利は目前です。

 非常に綺麗な構成なので、あまり語ることもありませんが、同じような思想で構築されたOwenたちのリストと簡単な比較をしてみましょう。


Owen Turtenwald - 「青黒コントロール」
プロツアー『タルキール覇王譚』 11位 / スタンダード


 こちらはOwenやAndrew "Gainsay" Cuneoさんたちが使用していたリストで、Ivanさんのリストとの違いは、大まかに以下の3点です。

 まずはドローサポートの増量。Ivanさんのリストだと、1対2以上の交換ができるカードが《信者の沈黙》と《時を越えた探索》しかありませんでしたが、このリストには《ジェイスの創意》と《危険な櫃》が採用されています。

 これにより息切れしづらくなりますし、《危険な櫃》のおかげで戦場に出てしまった「プレインズウォーカー」にも触りやすくなっています。《蔑み》には軽さという絶対的な武器があるので一概には言えませんが、いずれにせよ《危険な櫃》は、今後コントロールデッキを組むにあたって要注目の1枚ですね。

 また、《危険な櫃》との兼ね合いもあってか、フィニッシャーは手札に戻ることのできる《真珠湖の古きもの》が採用されています。《真珠湖の古きもの》は「瞬速」+「打ち消されない」ということで隙が少なく、なおかつ除去耐性もあるので、青いコントロールデッキが多いフィールドであれば最高のクリーチャーと言えます。《光輝の泉》や「占術土地」とも地味に相性がいいですし、これもまた《危険な櫃》と同様に今後要注目のカードですね。

 リスト全体の雑感としては、Owenのリストの方がより長所を伸ばしている印象です。つまるところ「勝てるところに勝ちやすく、メインデッキ戦ではビートダウンは諦める」ような構築がなされていると思います。対ビートダウンデッキも絶望的とまではいかないものの、やはりメインから《悲哀まみれ》を採用しているかどうかは大きな差だと思います。

 どちらのデッキもコントロールフリークにとって福音と言える素晴らしい完成度ですが、メインからビートダウンを考慮するならIvanさんのリストを、それ以外を強く意識するのであれば、Owenのリストを選択するといいように思えます。

ジェスカイの隆盛・コンボ


Lee Shi Tian - 「ジェスカイの隆盛・コンボ」
プロツアー『タルキール覇王譚』 8位 / スタンダード


 最後を飾るのは、スタンダードでは実に久々となる本格コンボデッキ。あまりにも簡単にコンボが決まらないように、少なくとも4〜5枚のカードがないとコンボが成立しないようになってはいますが、最速だと3ターンキルも可能な恐ろしいデッキです。

 複雑ではありますが、図を交えてそのコンボの手順をご紹介します。

 まず、戦場に「召喚酔い」していないマナクリーチャーを2体、《ジェスカイの隆盛》、《ドラゴンのマントル》を用意します。

 そこから、マナクリーチャーに《撤回のらせん》を唱えます。

 そして以下の手順でループを作ることができます。

  1. 一方のマナクリーチャーからを得る。
  2. 撤回のらせん》が持たせた能力を起動、対象は《ドラゴンのマントル》。
  3. 能力を解決し、《ドラゴンのマントル》が手札に戻る。
  4. 再び《ドラゴンのマントル》を唱えると、《ジェスカイの隆盛》の能力が誘発する。
  5. スタック上の能力と呪文を解決すると、その効果で《撤回のらせん》を使ったものを含めてクリーチャーがアンタップ状態になる。《ドラゴンのマントル》が戦場に出たときの能力が誘発する。
  6. カードを1枚引く。手札が1枚増え、クリーチャーが+1/+1の修整を受けた状態で最初に戻る。
クリックで切り替わります

 《贈賄者の財布》が見つかるまで、これを繰り返すことができます。必要とあらばこの時点でライブラリーの全てのカードを引き切ることが可能です。

 そして《贈賄者の財布》があれば、次のループで無限(望む数の)マナを獲得できます。

  1. 一方のマナクリーチャーから好きな色のマナ1点を得る。
  2. 贈賄者の財布》をX=0で唱えると、同様に《ジェスカイの隆盛》の能力が誘発する。
  3. 能力を解決する。その効果で《撤回のらせん》を使ったものを含めてクリーチャーがアンタップ状態になる。
  4. 撤回のらせん》が持たせた能力で《贈賄者の財布》を手札に戻す。
  5. マナが1点増え、クリーチャーが+1/+1の修整を受けた状態で最初に戻る。
クリックで切り替わります

 あとはマナクリーチャーを大量に展開し、それらを《双つ身の炎》でコピーし、ループを繰り返した回数だけ自軍のクリーチャーが《ジェスカイの隆盛》の効果で大きくなるので、攻撃してしてゲームエンドです。

 他にもいくつかの方法がありますが、メジャーな手法はこのような流れです。また、最初から《贈賄者の財布》があれば、マナクリーチャーは1体のみでもコンボを始動することが可能ですね。このコンボはクリーチャー除去やエンチャント除去で阻害されてしまうため、前評判はあまり良いものではありませんでした。しかしながら、フィニッシュ手段を《群の祭壇》にすれば、《森の女人像》だけでコンボを決められるので、少なくともクリーチャー除去は掻い潜ることができます、まだまだデッキの構成からプレイングまで、研究の余地がたくさんあるデッキですね。

 モダンでも話題沸騰中の《ジェスカイの隆盛》を使用したコンボデッキ。残念ながら「グランプリ・ロサンゼルス2014」ではトップ8に残ることができませんでしたが、今後の動向に要注目のデッキと言えそうです。

「今週の一押し」


井川 良彦 - 「ボロス(赤白)・英雄」
プロツアー『タルキール覇王譚』 10位 / スタンダード


 「今週の一押し」は、ここ最近のプロツアー予選を2回連続で突破している井川君が使用した「ボロス・英雄」デッキです。《アクロスの十字軍》、《恩寵の重装歩兵》、極めつけは《ブリマーズの先兵》と、思わずリミテッドかと突っ込みたくなるカードのオンパレード。しかしながら、このデッキの爆発力は環境でも屈指のものです。

 これらのカードが生み出すトークンたちから、速やかに《ウルドのオベリスク》へと繋げるのがこのデッキの必勝パターンです。デッキ内のクリーチャーは、トークンも含めて全て「兵士」で統一されているため、《ウルドのオベリスク》はマナの軽い《ヘリオッドの指図》と見なすことができます。

 《ウルドのオベリスク》設置後の《船団の出航》の威力は圧巻の一言に尽きますし、最初に調整会でこのデッキを見た時の衝撃たるや、それはそれは凄まじいものでした。

 《対立の終結》すらも間に合わない圧倒的なスピードと爽快感が売りのデッキなので、一風変わったビートダウンデッキがお好きな方は、ぜひ一度手に取ってみてください。


 久々の『津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ』は以上となります。相変わらずの長文となってしまいましたが、お楽しみいただけたら幸いです。

 冒頭でも述べたように、次回の連載がいつ頃になるかはまだ分かっておりませんが、少なくとも月に1回以上のペースで執筆予定ですのでお楽しみに!

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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