津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 新年グランプリ特集

更新日 Feature on 2015年 1月 15日

By 津村 健志

 明けましておめでとうございます!

 新年早々にふたつのスタンダード・グランプリが開催されましたので、早速新年1回目の「先取り!」スタンダード・アナライズをお送りしたいと思います。今年も何卒よろしくお願いいたします!

 先週末には日本でも「グランプリ・静岡2015」が開催されました!僕は初日落ちと結果が残せませんでしたが、いくつかのステージイベントに参加させていただいて、楽しい時間を過ごすことができました。ステージイベントに関しては、『BIG MAGIC』さんのページに詳細がございますので、お時間のある方はぜひそちらもご覧ください!

 さてさて、それでは、各スタンダードグランプリのトップ8デッキをご覧いただきましょう。


グランプリ・マニラ2015

トップ8

  • 優勝・「マルドゥ・ミッドレンジ」
  • 準優勝・「アブザン・ミッドレンジ」
  • 3位・「ジェスカイの隆盛・コンボ」
  • 4位・「緑黒星座」
  • 5位・「4色・ミッドレンジ」
  • 6位・「アブザン・ウィップ」
  • 7位・「アブザン・ウィップ」
  • 8位・「ティムール・アグロ」

グランプリ・デンバー2015

トップ8

  • 優勝・「青黒コントロール」
  • 準優勝・「アブザン・アグロ」
  • 3位・「白赤ミッドレンジ」
  • 4位・「アブザン・アグロ」
  • 5位・「マルドゥ・アグロ」
  • 6位・「アブザン・アグロ」
  • 7位・「アブザン・ミッドレンジ」
  • 8位・「赤緑アグロ」

 まず最初に目を引くのは、圧倒的なまでの「アブザン」デッキの勝ちっぷりでしょう。ふたつのトップ8で、合計で7席を「アブザン」系統のデッキが独占しており、現状では最強の「氏族」争いにおいて、「アブザン」が大きくリードしています。

 ただし、一口に「アブザン」と言っても、「アグロ」、「ミッドレンジ」、「ウィップ」型と種類は豊富です。今週はそんなバリエーション豊かな「アブザン」デッキと、ふたつのグランプリで見事に優勝を収めた「マルドゥ・ミッドレンジ」、そして「青黒コントロール」に焦点を当てていきたいと思います。それでは、まずは勝ち頭となった「アブザン」デッキからご覧いただきましょう。

 まず最初に目を引くのは、圧倒的なまでの「アブザン」デッキの勝ちっぷりでしょう。ふたつのトップ8で、合計で7席を「アブザン」系統のデッキが独占しており、現状では最強の「氏族」争いにおいて、「アブザン」が大きくリードしています。

 ただし、一口に「アブザン」と言っても、「アグロ」、「ミッドレンジ」、「ウィップ」型と種類は豊富です。今週はそんなバリエーション豊かな「アブザン」デッキと、ふたつのグランプリで見事に優勝を収めた「マルドゥ・ミッドレンジ」、そして「青黒コントロール」に焦点を当てていきたいと思います。それでは、まずは勝ち頭となった「アブザン」デッキからご覧いただきましょう。

William Jensen - 「アブザン・アグロ」

グランプリ・デンバー2015 6位 / スタンダード
Download Arena Decklist

 2013年に殿堂入りを果たしたWilliam Jensen。彼のグランプリやプロツアーでの成績は異常としか言えないほどで、昨シーズンには8回ものグランプリトップ8を記録し、世界を驚かせました。

 ビートダウンデッキからコントロールデッキまで、どんなデッキも幅広く使いこなすそのセンスと技術はもちろんのこと、デッキ選択の上手さも光ります。今回も「ミッドレンジ」の隆盛により、環境が遅い方向にシフトしたことを受け、その隙を突くべく「アブザン・アグロ」を持ち込み結果を残しています。このデッキは、「グランプリ・デンバー2015」で最も活躍が目立ったデッキですが、その要因は環境の低速化と、《先頭に立つもの、アナフェンザ》が日増しに存在感を増していることでしょう。

 戦闘能力もさることながら、最も重宝するのはその墓地対策能力です。《エレボスの鞭》が氾濫する現在のメタゲームにおいて、これほど頼りになるクリーチャーは他にいません。特に「シディシ・ウィップ」(参考:前回記事)のように極度に墓地に依存したデッキは、《先頭に立つもの、アナフェンザ》が戦場に残りさえすれば、それだけで大きく勝利に近づけます。

 サイドボードで注目のカードは、《自然に帰れ》です。《クルフィックスの狩猟者》、《エレボスの鞭》だけでも十分ですが、《開花の幻霊》と《破滅喚起の巨人》までをも採用している「緑黒星座」デッキ(参考:前回記事)には劇的に作用するカードですね。

 あとはミラーマッチが激増したことを受け、《闇の裏切り》の採用を検討してみてもいいでしょう。汎用性という意味合いでは《潰瘍化》や《異端の輝き》に軍配が上がるかもしれませんが、ことミラーマッチにおいては《闇の裏切り》の1マナという軽さは頼りになります。《ラクシャーサの死与え》、《先頭に立つもの、アナフェンザ》、《包囲サイ》を僅か1マナで葬り去るこのカードには要注目です。

Martin Juza - 「アブザン・ウィップ」

グランプリ・マニラ2015 7位 / スタンダード
Download Arena Decklist

 「シディシ・ウィップ」の亜種と呼べる「アブザン・ウィップ」。本家「シディシ・ウィップ」と比較してみると、このデッキは墓地に依存しない点が秀逸です。

 これらのカードは墓地に依存せず純粋なカードパワーに優れているため、《先頭に立つもの、アナフェンザ》が流行の兆しを見せている現状ならば、「シディシ・ウィップ」よりも優れた選択肢になりえます。「アブザン」カラーにすれば、その《先頭に立つもの、アナフェンザ》を使うこともできますし、墓地対策が進んできた今だからこそ輝くデッキのひとつと言えるでしょう。

 サイドボードには《英雄の導師、アジャニ》という、墓地を全く使わない強力なアドバンテージ源かつゲームエンドカードも控えており、「対戦相手の墓地対策を無駄にする」構築が徹底されています。このデッキなら《エレボスの鞭》をサイドアウトすることも容易ですし、今後《先頭に立つもの、アナフェンザ》や《苦悶の神、ファリカ》が同様の活躍を見せるようであれば、このデッキのように「墓地に依存しない構築」は参考になるのではないかと思います。

Joseph Sclauzero - 「マルドゥ・ミッドレンジ」

グランプリ・マニラ2015 優勝 / スタンダード
Download Arena Decklist

 「グランプリ・サンアントニオ2014」(2014年11月29~30日開催)でも優勝を収めた「マルドゥ・ミッドレンジ」。現環境も終盤に差し掛かってきたこのタイミングで、一気に存在感を増してきた印象です。

 リスト自体にあまり大きな変化は見受けられませんが、《はじける破滅》のおかげで非常に相性の良い「青白英雄的」デッキ(参考:11月27日当記事)が台頭してきたことは、このデッキにとって大きな追い風となっています。

 逆にこのデッキの天敵は《女王スズメバチ》の入ったデッキ全般ということで、サイドボードからは《静翼のグリフ》や《神々の憤怒》でしっかりと対策してあります。

 最近ではすっかりレギュラーとして定着してきた《静翼のグリフ》は、《女王スズメバチ》だけに限らず、《開花の幻霊》と《破滅喚起の巨人》にも効果的な優良アタッカー。実際に準決勝(参考:英語観戦記事)でこのデッキと対峙した三原(槙仁)さんは、《静翼のグリフ》の前に完膚なきまでに打ちのめされています。

 《女王スズメバチ》を乗り越えられないことがこのデッキの課題でしたが、このリストのようにそれさえクリアできるのであれば、今後も変わらぬ活躍が期待できるでしょう。

Andrew Brown - 「青黒コントロール」

グランプリ・デンバー 2015優勝 / スタンダード
Download Arena Decklist

 プロツアー『タルキール覇王譚』以降、「コントロール」デッキにとって苦難の時間が続いていましたが、ここに来てついにプレミアイベントで優勝を勝ち取った「青黒コントロール」。

 個人的に《軽蔑的な一撃》が入っていないことに驚きましたが、これはなべ君(渡辺 雄也)が世に送り出した「ジェスカイ・トークン」(参考:前回記事)が関係していると思われます。なべ君のデッキリストをご覧いただければ分かるように、「ジェスカイ・トークン」に対して《軽蔑的な一撃》は無駄カードになりやすく、肝心要の《ジェスカイの隆盛》に関与することもできません。

 《軽蔑的な一撃》の代わりに採用されている《否認》ならば、《ジェスカイの隆盛》も対処できますし、《思考囲い》や《エレボスの鞭》といったカードにも対応できます。

 また、そういったメタゲーム的な要素を度外視しても、このリストを見れば、「カウンター呪文よりも除去呪文」という構図が明確に浮かびあがってきます。この連載で度々お伝えしている通り、スタンダードには1枚でゲームを決められるカードが満載です。そのため、致命的なパーマネントが着地してしまった後に無駄カードになってしまうカウンター呪文を多めにするよりも、後からでも対処できる除去呪文を多めに採用する方が理にかなっていると思います。

 《軽蔑的な一撃》が抜けてしまった弊害として、各種「プレインズウォーカー」や《女王スズメバチ》耐性こそ落ちていますが、そこは《胆汁病》や《危険な櫃》を上手く使って捌くといいでしょう。

Lee Shi Tian - 「ジェスカイの隆盛・コンボ」

グランプリ・マニラ 20153位 / スタンダード
Download Arena Decklist

 プロツアー『タルキール覇王譚』でも、同デッキでトップ8に残ったLee Shi Tian。メインボードはプロツアーから数枚の変更しかありませんが、ご本人が「《苦しめる声》を4枚採用していなかったのは愚かだった」(参考:英語記事)と仰るように、今回は《苦しめる声》をフル投入しての上位入賞となりました。

 また、フィニッシュ手段に《群の祭壇》を取り入れることで、《森の女人像》と少量のマナからコンボをスタートさせた際にも、そのターンの間にきっちりと勝ちきることができるようになっています。例えば、以下の状況だと《群の祭壇》がデッキに入っていないと勝つことはできませんが、《群の祭壇》が入っていればそのターン中にゲームを終わらせることができます。

  • 戦場に「召喚酔い」でない《森の女人像》、《ジェスカイの隆盛》、《贈賄者の財布》か《霊体のヤギ角》(以下「0マナアーティファクト」)、手札に《撤回のらせん》を用意。(※土地は全てタップ状態とします)
  • 撤回のらせん》を《森の女人像》にキャスト
  • その能力で0マナアーティファクトを手札に戻す。
  • 手札に戻した0マナアーティファクトをキャストすると、《ジェスカイの隆盛》でドローが進みつつ、の女人像/Sylvan Caryatid》がアンタップ。
  • これを2枚目の0マナアーティファクトと《群の祭壇》が見つかるまで繰り返す。
  • 2枚目の0マナアーティファクトを唱えると、その際に1マナ増えるので、そのマナで《群の祭壇》をキャスト。
  • 3と4の手順を対戦相手のライブラリーの数だけ繰り返せば、ライブラリーアウトで勝利。

(編注:「プロツアー『タルキール覇王譚』特集」記事内にて、図中「ループB」としてご紹介している流れの亜種となります。こちらもご参照ください。)

 このように、《群の祭壇》さえあれば、マナがタイトな状況からでもコンボを決めることが可能です。また、勝利するために攻撃する必要がなくなったため、《森の女人像》だけで勝てるようになったことも特筆に値します。ご存じの通り《森の女人像》に単体除去は効かないので、手札に除去呪文を抱えたままコンボを決められてしまうことが増えてしまったというわけです。《苦しめる声》の増量だけでなく、そういった勝ち手段の変化も、このデッキが再び活躍の機会を得た理由のひとつです。

 サイドボードに潜む《バサーラ塔の弓兵》は、除去呪文の多いデッキ対策として重宝します。先ほどのコンボの手順をご覧いただくと分かるように、実はこのコンボはマナクリーチャーを必要としません。そのため、クリーチャー除去を詰め込んでくるデッキなどには、《森の女人像》と《バサーラ塔の弓兵》の「呪禁」コンビは非常に頼りになりますね。

 同じくサイドボードの《霊体のヤギ角》は、《バサーラ塔の弓兵》とセットで投入することで、コンボ達成の助けとなります。こうすることで対戦相手のクリーチャー除去呪文を掻い潜りつつ、安全にコンボを始動することが可能です。《霊体のヤギ角》にはミラーマッチなどで、単純にコンボスピードを上げる役割も期待できますね。

 個人的には、デッキとしての完成度の高さのわりに使用者が少ない印象を受けているので、もしかすると今後爆発的に数を増やす可能性もあると思います。

Samuel Pardee - 「白赤ミッドレンジ」

グランプリ・デンバー2015 3位 / スタンダード
Download Arena Decklist

 「マルドゥ・ミッドレンジ」から黒を抜いたような、「ジェスカイ・ウィンズ」から青を抜いたような、そんな何とも形容しがたいデッキがこちらの「白赤ミッドレンジ」です。

 基本的には《ゴブリンの熟練扇動者》、《オレスコスの王、ブリマーズ》といった高性能なクリーチャーで攻め入り、《嵐の息吹のドラゴン》で止めを刺すデッキです。

 現環境の最多勢力である「アブザン」系のデッキは、《嵐の息吹のドラゴン》への対処法が非常に限られており、多くのリストでは4枚の《英雄の破滅》がある程度です。《ゴブリンの熟練扇動者》や《オレスコスの王、ブリマーズ》を連打すれば、《英雄の破滅》を温存することは難しいですし、《嵐の息吹のドラゴン》が強いメタゲームを加味し、それを最大限に生かした構築と言えるでしょう。

 また、「白赤」というコンビネーションの代名詞である《岩への繋ぎ止め》は、このデッキでも当然のように4枚採用されています。このデッキには大量かつ重厚な3マナ域のクリーチャーが搭載されているため、4ターン目にクリーチャー+除去という動きは非常に強力です。

 2色の強みはもちろん土地のもたつきがないことに尽きますが、構成が似通った「マルドゥ・ミッドレンジ」や「ジェスカイ・ウィンズ」が次々と結果を残す中で、このような大胆な構築ができるのは尊敬に値しますね。

 細部は異なるものの、このリストと似通ったデッキが「グランプリ・マニラ2015」でトップ16に入賞していますし(参考:英語記事)、「白赤」2色のバージョンにも要注目です。(※なお、そちらのリストはメインが56枚になっていますが、《戦場の鍛冶場》4枚を入れた60枚が正しいリストだと思われます。)


 今年最初の「先取り!」スタンダード・アナライズは以上です。「アブザン」の常勝は相変わらずですが、「マルドゥ・ミッドレンジ」の躍進や「青黒コントロール」の復権など、環境末期でもメタゲームが動き続ける面白い環境でした。来週には早くも『運命再編』が発売されますが、すでに『運命再編』の全カードが公開されております。

 「ミッドレンジ」対決で圧倒的な存在感を放つ〈精霊龍、ウギン〉さんや、「ジェスカイ」デッキを大幅に強化する〈魂火の大導師〉と〈僧院の導師〉などなど、スタンダードシーンに多大な影響を与えることは間違いありませんね。

 他には〈粗暴な軍族長〉のようなビートダウンデッキに最適なカードも登場していますし、新たなアーキタイプの誕生にも期待できます! みなさんも、ぜひお気に入りのカードを見つけてみてください。

 申し訳ございませんが、来月の頭にプロツアー『運命再編』(フォーマットはモダンとドラフト)に参加してきますので、次回の掲載は少し間が空いてしまうかもしれません。その分みっちり練習を積んで本戦に参加しようと思いますので、応援よろしくお願いいたします!

 それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

最新Feature記事

FEATURE

2022年 4月 21日

『ニューカペナの街角』統率者デッキ by, Wizards of the Coast

4月29日に発売日を迎える『ニューカペナの街角』では、統率者デッキも発売されます!新規カードは『ニューカペナの街角』統率者デッキ・カードイメージギャラリーにて、ご覧ください。コレクター・ブースターから入手できる拡張アート版のカードについては、こちらの記事をご覧ください。 今回は、ニューカペナの悪の一家それぞれに統率者デッキが用意されています。どれがいいか迷う方は、ぜひ『...

記事を読む

FEATURE

2022年 4月 19日

『ニューカペナの街角』における「ザ・リスト」の更新 by, Wizards of the Coast

華麗なる退廃的世界。ハードボイルドな捜査官。筋骨隆々な用心棒。街を牛耳る5つの一家。4月29日発売の『ニューカペナの街角』では、4月22日にお近くのゲーム店でプレリリースが始まり、4月28日にはMTGアリーナおよびMagic Onlineでもリリースされます。 この街で起きている事態に飛び込んでいきますか?それなら、『ニューカペナの街角』について知っておくべき情報をまと...

記事を読む

記事

記事

Feature Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る