『タルキール龍紀伝』みんなが選ぶトップ3!

更新日 Feature on 2015年 3月 20日

By 金子 真実

 皆さんこんにちは!

 冬も終わり、少し暖かくなってきました。桜が待ち遠しい季節です。個人的には花粉症が苦しいので、早く世界中の杉の木を消滅させるスイッチとかできないかな、なんて思ったりもしていますが、桜が咲いたらお花見でマジックと洒落こんだりしたいですね!

 さてさて、そんなわけで『運命再編』からあっという間でしたが、早速『タルキール龍紀伝』がもう間もなく発売です!

 『運命再編』で世界が変わり、龍たちの飛び交うタルキール世界。「カン」が統べる氏族が争う世界は終わり、今のタルキールは5体の龍王が世界を統べています。

兜砕きから鐘突きにジョブチェンジしたズルゴくんの運命は!?

 そんな世界で、サルカンは、そしてナーセットは!? ということで非常に面白いストーリーが紡がれている『タルキール龍紀伝』。

 続きがひたすら気になるところですが、カードの強さも気になりますよね!? 今回も引き続き「マジックなら俺に任せろ!」の3名に、『タルキール龍紀伝』からオススメの3枚についてがっつりと語っていただきました!

 それではさっそくいってみましょう!


鍛冶 友浩の場合

 通称『世界のKJ』。世界的な認知度の高いデッキビルダーであり、現在はトーナメントシーンの一線を退いてはいるが、多くの練習とレベルの高い理論により、数々のプレイヤーから信頼を得ている。

 主な戦績は、プロツアー・チャールストン2006優勝・世界選手権2005トップ4を含むプロツアートップ8入賞3回、グランプリ・北九州2005優勝など。

 最近はプロツアーでのニコニコ生放送の実況や、グランプリなどで日本公式カバレージチームのリーダーも務める。

1位 《卓絶のナーセット

 サルカンがウギンを助ける前の時間軸、つまり『タルキール覇王譚』の世界ではジェスカイのカンとして生涯を終えたナーセットだが、この『タルキール龍紀伝』においては《龍王オジュタイ》の導きによりプレインズウォーカーへと覚醒した!

 この設定だけでも十分にワクワクさせられるのだが、この《卓絶のナーセット》はカードの能力も以前の《悟った達人、ナーセット》とは明らかに別格で、これを中心にデッキを作る気にさせてくれる。4マナでありながら、初期忠誠度が6もあり、さらに[+1]能力は構築次第でほぼ確実にカードアドバンテージへと繋げられる優れもの。白青というカラー的にも、即座にダメージで破壊されることはないだろう。

 [-2]能力は惜しくも《時間への侵入》とのコンボは成立しないようだが、戦場をコントロールする呪文を反復させているだけでもイージーウィンができそうだ。古典的に2色コントロールを作るのか、能動的に反復を使うために色を足すのか、などなど強力なカードゆえに悩みは尽きないだろう。

2位 《死霧の猛禽

 3マナで3/3接死に加え、中盤以降には大変異のオプション付き。残念ながら、これだけでは今のスタンダード環境で戦うには、いくら強くなったところで「所詮は《訓練されたアーモドン》」とスペック不足を指摘されていただろう。

 だが、このカードは何故か「条件を満たせばマナを払わずに墓地から帰ってきてしまう」能力も合わせ持って生まれてきてしまったのだ。これには現代の地上クリーチャーを代表とする《包囲サイ》も真っ青だ。しかも、今回のセットには同色に《アイノクの生き残り》と《棲み家の防御者》という、2ターン目に出してもよし、中盤以降は大変異経由でも出して良しな優良クリーチャーが存在する。さらに色を広げれば多くの変異クリーチャーが存在し、回収条件を満たすのは難しくない。

 何よりも、自身が大変異持ちなために、2枚目の《死霧の猛禽》が墓地にある1号を戦地に呼び戻せてしまえる。これをシナジーと呼んでも良いのだろうか? 色が濃く、クリーチャーであるために使うデッキを選ぶだろうが、能力が自己完結しているあたり、何らかの形で日の目を見るのではと思う。

3位 《強迫

 現スタンダード環境に《思考囲い》と《蔑み》がある中で、さすがに《強迫》までが帰ってくるとは思わなかった。確かに、《卓絶のナーセット》をはじめ、コントロール向けの青い優秀なカードが揃っているので、攻撃的にいきたいプレイヤーにはこういった手札破壊呪文という武器が無ければ不公平というものだ。

 この《強迫》、初出は1998年発売の『ウルザズ・サーガ』というセットであり、プレインズウォーカーが登場する『ローウィン』のほぼ10年前にデザインされたカードなのだが、「クリーチャーでも土地でもないカードを1枚選ぶ」というルール・テキストの表現によって、プレインズウォーカーでもなんでも捨てさせることができる。さすがにダメージ源になりうるクリーチャーを抜き取れる《思考囲い》と比較するとメインデッキに枠を見つけるのは難しいだろうが、サイドボードまで含めればどうだろうか?

 なんだかんだ使われないワケがない、とすら思っているので、昔の黒枠版のカードを掘り出したいと思う。しかし、今回の新枠新イラストも捨てがたいな……。

『タルキール龍紀伝』総評

「早くドラフトがしたい!」と思わせてくれる、かなり良いセットと感じているが、皆さんはどうだろう? 前環境での「変異」は、通常の呪文として唱えると重いために分割払いのオプションが付いているような印象だったが、「大変異」はむしろマナが余った時にこそ裏向きでキャストしたくなるようにデザインされているのだろう。また、今回は久しぶりに「タッパー」《ドロモカの砂丘唱え》、「ルーター」《微風の写字官》などのリミテッドで鍵となる能力を持ったクリーチャーがコモンで再登場しており、やりこみがいがありそうだ。

 『タルキール覇王譚』『運命再編』の歴史を感じさせる能力やイラストなどを活かした調整は流石の一言。構築的な視点で言えば、伝説の「龍王」、そして彼らが唱える『ローウィン』以来2度目の命令サイクル、表向きになるだけで確実にアドバンテージが取れる「大変異」、サイドボードにもってこいの対抗色対策サイクルなどがあり、ほとんどのデッキが新カードの恩恵を受けられるだろう。

 1位に挙げた《卓絶のナーセット》と《龍王オジュタイ》、《オジュタイの命令》らで、さっそく青白コントロールも作ってみたい。


射場本 正巳の場合

 通称『しゃば』。日本で初めて開催されたグランプリ・東京1997でベスト8に入賞するなど、黎明期から現在まで長きにわたりマジックを愛し、支え続けてきた人物。

 彼の作成したコンボデッキ『ピットサイクル』は、「マジック史上最も美しいコンボデッキ」と称された。現在はウィザーズ・オブ・ザ・コースト社開発部に在籍し、主として『デュエル・マスターズ』の開発に携わりながら、「統率者戦」などでマジックをカジュアルに楽しんでいる。

1位 《溶岩との融和

 最近では赤のアドバンテージ獲得手段として、ライブラリーの上にあるカードを追放して一時的に唱えられるようにするのがトレンドとなっていますが、その下準備にコストがかかってしまうのがこの種のカードのネックとなっていました。

 しかしながらこのカードは、一時的にプレイできる有効期間が長くなって、自分のターンに唱えるためのマナを確保できるようになったので非常に優秀。ついに赤にも《天才のひらめき》が登場したかという感じです。追放したカードは全部使い切りたくなってしまうのが欲張りの性ですが、赤単でもマナアーティファクト多めの構成であれば無理せずにほぼ使いきれるでしょう。もし使いきれなくても必要なものだけピンポイントにキャストできれば十二分に役目を果たせたといえます。

 僕としては緑も混ぜてドッカーンと豪快にXをぶっ放したいですね。《略奪の母、汁婆》や《曲がりくねりのロシーン》などのデッキで使えば面白いことになりそう! ぜひみなさんも赤らしく刹那的に生きましょう!ね!

2位 《突撃陣形

 ついに、我が壁デッキにも待望のフィニッシャーが追加されました! やった! これでドランに縛られずにデッキが構築できる! 大好きな《ジャングルの障壁》が使えるようになるのはありがたいですね。

 思えばけっこう長いこと壁にはお世話になっている気がします。マジック始めたてのころは《ほくちの壁》と《オークの木こり》で《シヴ山のドラゴン》を出してたし、《根の壁》は貴重な「防御できるマナ加速」として相当使いこみました。しかし壁を本当に好きになったのは《花の壁》のおかげ。それまでマナ加速としてしか認識していなかった壁が、(《移ろいの門》などと合わせて繰り返し使える)アドバンテージ獲得手段となったのです。

 ちなみにプロツアーで初めて外国の友人ができたのも、ドラフトで《ローリング・ストーンズ》を使ったデッキで勝ってるのを見て「変なことするね」って声をかけてもらったのがきっかけだった気がします。

 さて、そんな壁をこのカードがどこまで輝かせてくれるのか? 冗長になりがちなデッキのテンポを上げてくれるんじゃないかと期待してます!!

3位 《クローンの軍勢

 ザ・おおざっぱ! このカードに限らず今回のセットは多人数戦を意識したカードが多く収録されていますが、このカードのいい感じなおおざっぱぶりには思わずわくわくしちゃいますね。

 これだけ重いと普通に唱えられるわけがないと思ってしまいがちですが、そこはほら、《複製の儀式》をキッカーしたと思えば意外と打てそうな気になってくるでしょ? さらに今セットからの期待の新人、《生ける伝承》があればもっと現実的なレベルになります。とりあえず9点で攻撃した後に大量のクリーチャーに化ける様は見ものですよね。

 ちなみその《生ける伝承》も要注目のカード! 《時を越えた探索》などの探査とめちゃめちゃ相性がよく、さらに《知識の渇望》などで狙ったカードを墓地に落とせる統率者では活躍が期待されます。

『タルキール龍紀伝』総評

 はじめにドラゴンだらけのセットと聞いていたので、「普通のセットより多いけどそこまでつきぬけて多くないなー」というのが第一印象でした。それでもブースターパックから最低1枚は出そうですね。

 で、運命再編された後のタルキールには過去の氏族はなく、エルダードラゴンの龍王が総べている様子。氏族が楔の色であったのに対し、龍王は友好二色であるため、対抗色部分が抜け落ちています。それに伴って氏族のときに対抗色部分で存在していた種族は姿を消してしましました。猫・デーモンのレジェンドがほしかっただけに残念。

 また、過去に存在していた世界観を運命再編後の世界として表現しているので、キャラクターがその時間軸でどのように変化しているのか見るのも楽しいですね。まさか「ズルゴが鐘を突いていた時代」という表現もプレビューの一部だったとは驚きでした。反面いろいろな種族が形を変える中、《山頂をうろつくもの》なんかは何も変わらずにうろつき続けているあたりも面白いです。さすが、背景設定のしっかりしているマジックならではで、背景世界との連動が見事。僕も今後のセットデザインの参考にしよう。

 そして統率者プレイヤーなら見逃せないのが伝説のクリーチャー。かつてのカンと龍王をあわせて9体もいるので迷ってしまいます。ナーセットがプレインズウォーカーになった分だけ青にはいませんが、せっかくだからテイガムを伝説のクリーチャーにしてあげてもよかったのにね。


浅原 晃の場合

 通称『エーツー』。強豪プレイヤーにして、デッキビルダー・ライター。主な戦績は、世界選手権2005・世界選手権2008トップ8、グランプリ優勝2回、「The Finals」2連覇など。

 デッキブランド「G.o.D.(God of the Deck)」、「みのむしぶらりんしゃん」などで有名。独自の視点から、セットに切り込む。

1位 《龍王オジュタイ

 ドラゴン溢れるタルキールの世界でも、5体の龍王。その中でも、個人的にぶっちぎりで好きなのが、この《龍王オジュタイ》。何よりも、イラストとポーズが超イカしている。半端ない。マジヤバ。龍詞で言うなら、これヤバドラ~、半端ナイゴ~ンとかだろうか。残念ながら、龍詞の勉強はしていないので想像でしかないが、もし、《龍王オジュタイ》に会うことがあったら、果敢に弟子入りを志願したい次第だ。

 ナーセットとの絡みを見ても、やはり、龍王の中でもっとも理知的なのは間違いなく、それに伴って能力も素晴らしいものを持っている。まず、出たターンに現環境にある様々な単体除去でテンポを失わないのは大きく、ターンが帰ってきても、相手がマナを構えているなら攻撃しない、といった選択肢も取れる。ダメージを与えられればアドバンテージを得られるので、相手としても簡単には通せない。これで戦いの主導権を一気に握れるだろう。

 見れば見るほどにかっこいいオジュタイ。オジュタイに習って、瞑想し、迷いない人生を歩みたいと切に思う。

2位 《揺るぎないサルカン

 帰って来たサルカンは、名前も「揺るぎない」となり、まさに、心身ともに充実といった感がある1枚。

 プレインズウォーカーの強さというのは見たまんまのイメージでは判断しきれない部分も多いため、個人的にいくつかの法則で推しはかっている。そのうちの1つを公開すると、最高の仕事よりも、最低の仕事で評価するというのものだ。

 プレインズウォーカーは盤面有利な局面で出して、そのままターンが帰ってくるなら、ほぼ勝ちのような仕様なので、重要なのは不利な局面での仕事ということになる。《揺るぎないサルカン》は最低でも1ドローと1マナで忠誠度5、もしくは、盤面に4/4のドラゴンで忠誠度2となるため、最低の仕事が結構強い。《卓絶のナーセット》も忠誠度という点で非常に優秀だが、《英雄の破滅》や《完全なる終わり》など、忠誠度関係無しの除去も多く、また、最低の仕事がちょっと弱いのが気になる。今回のプレインズウォーカーはこの《揺るぎないサルカン》を揺るぎなく推して行きたい。

3位 《精霊龍の安息地

 ドラゴンのためならば、何色のマナでも生み出せるドラゴンランド。かつての《魂の洞窟》ほどの安心感はないが、ドラゴンならば何色でも展開でき、そして、いざとなれば、ドラゴンかウギンを戻せるというオプション付きなのがうれしい。このオプションが非常に重要で、重いドラゴンやウギンをたくさん入れる代わりに何枚かをこの土地にできるため、安定した動きが得られることになるのだ。

 それに、これを見て、自分、ピンと来ました。次の世界がゼンディカーであることが発表されたが、そのウギンはゼンディカーとも関わりが深い。そして、ゼンディカーといえば、あの神ジェイスを排出したことで知られる土地、ということは、神ウギンがゼンディカーで登場するのは必然という妄想が成立する。そして、さらなる妄想では、ゼンディカーの主人公は常識的に考えてニッサ。これは来る、きっと来る。

 現環境のドラゴンをバリバリ使うのにも有用な土地だが、将来的な意味合いも含め、この土地を繭のように纏ってウギンのように覚醒のときを待ちたいと思う。

『タルキール龍紀伝』総評

 『タルキール龍紀伝』はそのストーリー性もさることながら、キャラクター1人1人、そして、いろいろな種族が魅力的に描かれているセットになっている。ぜひ、世界観やストーリーの部分も追いかけてほしいが、個人的にお気に入りを上げるなら、今回はラクシャーサの方々。その中でも、カード名、フレーバーテキストとイラストを合わせた部門では《きらめき》が第1位。もし、僕が大金持ちになってヴィンテージのトーナメントにでも出るようなら、カウンターをダイヤとかにしてデュエル中であっても財力の誇示を忘れないようにしたい。


おわりに

 いかがでしたでしょうか? それぞれのキャラクター?が出たチョイスでしたね!

 名前が挙がらなかったカードでも、例えば《族樹の精霊、アナフェンザ》をはじめとした「元カン」サイクルも注目のカードですし、とんでもない数のトークンが出せそうな《荒野の確保》も活躍しそうな1枚です。きっと発売してすぐに大活躍する『タルキール龍紀伝』の面々が見られるでしょう!

 それではご一緒に、「Crack-a-Pack!」

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