津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『タルキール龍紀伝』参入!激動の新環境

更新日 Feature on 2015年 4月 2日

By 津村 健志

 こんにちは!

 いよいよ『タルキール龍紀伝』がリリースされました!

 《雷破の執政》、《ドロモカの命令》、《卓絶のナーセット》など、スタンダードに変化をもたらすカードがたくさんありますが、みなさんはお気に入りのカードを見つけられましたか?

 さて、新セットが発売されたということで、プロツアー『タルキール龍紀伝』の開催も迫ってまいりました。今週は来るプロツアーに向けて、メタゲームを予想してみたいと思います。

 プロツアーはニコニコ生放送で3日間全て生中継される予定ですので、この記事が観戦をより楽しむためのお手伝いになれば幸いです。

 今週は先週末に開催された「StarCityGames.com Invitational」の結果をもとに、プロツアーのメタゲームを予想していきましょう。(リンク先は英語ページ)

 まずはトップ8に残ったデッキをご覧ください。

「StarCityGames.com Invitational」 トップ8

  • 優勝・「アブザン・コントロール」
  • 準優勝・「シディシ・ウィップ」
  • 3位・「アブザン・アグロ」
  • 4位・「緑白信心」
  • 5位・「赤単アグロ」
  • 6位・「ジェスカイ・トークン」
  • 7位・「アブザン・コントロール」
  • 8位・「赤緑アグロ」

 この大会は予選ラウンドが「スタンダード」と「レガシー」フォーマットの2本立てで開催されたので一概には言い切れませんが、このトップ8はプロツアーに向けて大きな指針になると思われます。スタンダードラウンドで7勝1敗以上の好成績を残したデッキリストも掲載されていますので(英語)、お時間のある方はぜひそちらもご覧になってみてください。

 それでは、見事に優勝を飾った「アブザン・コントロール」からご覧いただきましょう。


「アブザン・コントロール」

Jacob Wilson - 「アブザン・コントロール」

StarCityGames.com Invitational 優勝 (2015/3/27) / スタンダード
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Joe Bass - 「アブザン・コントロール」

StarCityGames.com Invitational 7位 (2015/3/27) / スタンダード
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 前環境で非常に人気のあった「アブザン・コントロール」デッキ。『タルキール龍紀伝』加入後も、その高い安定性と柔軟性から、以前と変わらぬ、またはそれ以上の活躍が予想されます。

デッキの強み

 このデッキの強みは、以前お話しした通り安定性と柔軟性に優れている点です。《思考囲い》や《英雄の破滅》を筆頭に、優秀なカードばかりで占められたこのデッキは、これといって苦手なデッキがなく、メタゲームに合わせてチューンできさえすれば、プロツアーでも上位入賞は間違いないでしょう。

デッキの課題

 このデッキの弱点は、メタゲームを読み切れるかどうか、ただその一点です。個々のカードパワーに疑いの余地はないものの、メインデッキに《羊毛鬣のライオン》や《骨読み》を搭載すべきか否かなど、細かいカード選択はそのまま勝率に直結します。

 それが最も顕著なのが、《対立の終結》ではないかと思います。《対立の終結》をメインデッキに採用すれば、「緑信心」系のデッキや中速のクリーチャーデッキへの勝率は上がるでしょうが、速攻を信条とする「赤単アグロ」や、ほとんどクリーチャーの入っていない各種コントロールデッキへの勝率は下がってしまいます。

 これは「アブザン・コントロール」デッキだけに限った話ではありませんが、コントロールデッキを組み上げる際には、そういった難しいカード選択を上手くやりくりする必要があるため、メタゲームが予想しづらい環境初期は特にデッキ構築が難しいとされています。

 プロツアー参加者がどういったリストを持ち込んでくるのか。「アブザン・コントロール」のリストを見る際には、ぜひとも細部のカード選択にご注目いただければと思います。

注目の新カード

 見事に優勝をはたしたJacob Wilsonは、《アンデッドの大臣、シディシ》を採用することでデッキの多様性を引き上げており、こうすることで1枚差しのカードも的確なタイミングで導くことが可能となっています。もとよりクリーチャーの少ないデッキなので、「濫用」コストに難があると思っていましたが、Wilsonは《サテュロスの道探し》を採用することでスムーズに「濫用」できる構成に仕上げています。なお、もしも「濫用」能力の解決前に《アンデッドの大臣、シディシ》が戦場から離れてしまうと、仮にクリーチャーを生け贄に捧げようともカードは探せないのでご注意を。

 メタゲームが分からないからこそ、サーチ能力は非常に頼もしく思えますし、《アンデッドの大臣、シディシ》は「アブザン・コントロール」に一石を投じる1枚となりそうです。


「緑白信心」

Chris Andersen - 「緑白信心」

StarCityGames.com Invitational 4位 (2015/3/27) / スタンダード
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 前環境最後のグランプリで、1・2フィニッシュという衝撃のデビューを果たした「緑白信心」。《見えざるものの熟達》をこれ以上なく有効活用したこのデッキは、次期環境でも強力なデッキのひとつとして認知されています。

デッキの強み

 《ニクスの祭殿、ニクソス》による圧倒的な爆発力。《見えざるものの熟達》による粘り強さ。このデッキに真っ向から中長期戦を挑むのは、無謀と言って差支えありません。強いデッキに必要不可欠である安定性も申し分なく、《死霧の猛禽》の加入で不足気味だった3マナ域もばっちり埋まりました。

デッキの課題

 前回の記事で、このデッキの課題は「ミラーマッチを克服する術」と記しましたが、《タルキールの龍の玉座》は1枚でそれを満たしてくれます。とてつもないサイズに「怪物化」した《世界を喰らう者、ポルクラノス》に装備すれば一瞬で決着がつくでしょうし、マナに困らないこのデッキであれば、移し替えての複数回起動も難なく行えるでしょう。パーマネントゆえに、《起源のハイドラ》で探せる点も秀逸です。

 他にも《群の祭壇》によるライブラリーアウト戦略だったり、《太陽の勇者、エルズペス》での盤面掌握、《勇敢な姿勢》による短期決戦などなど、ミラーマッチを克服する術には事欠かない様子ですが、新たなる課題として《悪行の大悪鬼》のような対策カードを乗り越える必要が出てきました。

 《悪行の大悪鬼》は、このデッキにとって致命的です。幸か不幸か、これほどまでに強烈な対策になるカードは他にありませんが、他のデッキもこのデッキを必ず意識しているため、以前ほど容易に勝てる環境ではなくなったと思います。追われる立場となった現在でも、勝ちきれる工夫ができるか。それがこのデッキを使う上での焦点となるでしょう。

注目の新カード

 このデッキの期待の新戦力は、《死霧の猛禽》と《ドロモカの命令》です。特に後者の《ドロモカの命令》はスタンダードに革新をもたらす1枚で、「エンチャント」カードを無理なく対処できる点は特筆に値します。「格闘」能力のおかげで、このデッキの天敵である《悪行の大悪鬼》にも対処可能ですし、《ドロモカの命令》の加入は「緑白信心」にとって福音と言えるでしょう。


「赤単アグロ」

Michael Braverman - 「赤単アグロ」

StarCityGames.com Invitational 5位 (2015/3/27) / スタンダード
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 「赤単アグロ」は、環境内でも屈指のスピードを持ったビートダウンデッキです。

デッキの強み

 対戦相手を嘲笑うかのごとき圧倒的な速度、それが「赤単アグロ」の最大の武器です。2ターン目までに1マナクリーチャーを3体並べてしまえば、勝利は目前。そのスピードについてこれるデッキは環境にほとんど存在しません。ただし、「メインデッキでは」という枕詞が付いてしまいますが。

デッキの課題

 メインデッキでこそ採用率の低いですが、黒いデッキであればサイドボードにほぼ確実に採用されている《悲哀まみれ》。クリーチャーによる高速ビートダウンを目論む「赤単アグロ」にとって、このカードは天敵中の天敵です。

 以前から「疾駆」能力でこれを乗り越えるのが常でしたが、このリストはサイドボードに4枚の《前哨地の包囲》を採用して物量で押し切る戦略をとっています。「赤単アグロ」に対して《消去》のような「エンチャント」専用カードや、《完全なる終わり》のような汎用性に長けるものの重いカードはサイドインしづらいので、《前哨地の包囲》は対処される心配がほとんどありません。

 対戦相手としては本当に厄介な戦略なので、もしも僕がこのデッキでプロツアーに参戦するのであれば、このデッキと同じくサイドボードに《前哨地の包囲》を4枚採用して参加します。

注目の新カード

 『タルキール龍紀伝』は、《稲妻の狂戦士》と《鐘突きのズルゴ》という新たなる「疾駆」クリーチャーをもたらしてくれました。どちらも1マナクリーチャーとは思えない優秀なカードで、前述の通り《悲哀まみれ》に耐性のある優れもの。

 これまで以上に対処の難しい「赤単アグロ」。次世代のビートダウンデッキを侮るなかれ!


「ジェスカイ・トークン」

Todd Anderson - 「ジェスカイ・トークン」

StarCityGames.com Invitational 6位 (2015/3/27) / スタンダード
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 定期的に大型イベントでの上位入賞が目立つ「ジェスカイ・トークン」。このリストには不採用となっていますが、『タルキール龍紀伝』から《ドラゴンの餌》と《荒野の確保》が加わったことで、構築の幅もグッと広がっています。

デッキの強み

 「ジェスカイ・トークン」は、その名の通り大量の「トークン」と《ジェスカイの隆盛》で攻めるデッキです。「トークン戦略」は一種のコンボデッキのようなもので、メインデッキでこれらを効率よく対処することは非常に難しいです。例えば、環境を代表する除去呪文である《英雄の破滅》だったり、《究極の価格》や《残忍な切断》のような単体除去カードは、「トークン」の群れに対してはほとんど仕事をしません。それゆえにこのデッキはメインデッキの勝率に長けており、それがこのデッキの最大の強みとなっています。

デッキの課題

 先ほどの「デッキの強み」をご覧いただけると分かるように、このデッキの課題はサイドボード後です。《消去》や《自然に帰れ》が《ジェスカイの隆盛》を狙い撃ち、《胆汁病》や《悲哀まみれ》が「トークン」を一掃してくるので、メインデッキと同じような攻め方は通用しづらいです。

 メインデッキとは軸の違う攻撃手段。そこで活躍するのが、新カードの《龍王オジュタイ》です。

注目の新カード

 《龍王オジュタイ》は「呪禁」の付いた完璧なフィニッシャー。攻撃すると隙ができてしまいますが、《否認》や《勇敢な姿勢》で守ることが可能ですし、多くのデッキがサイドボード後には単体除去を《胆汁病》や《悲哀まみれ》に入れ替えてくると予想されるので、仮に何のバックアップ手段がなくとも殴りきれる展開は多いと思います。もちろん、《ジェスカイの隆盛》の「クリーチャーをアンタップする」能力とも相性は抜群です。

 もう1枚の注目カードが《予期》。メインデッキ戦ならば肝心要の《ジェスカイの隆盛》を、サイドボード後ならば《龍王オジュタイ》や《神々の憤怒》のようなピンポイントなカードを探しやすく、デッキの潤滑油として機能してくれます。


「赤緑アグロ」

Ross Merriam - 「赤緑アグロ」

StarCityGames.com Invitational 8位 (2015/3/27) / スタンダード
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 新カードをふんだんに使った「赤緑アグロ」デッキ。《雷破の執政》は前評判の高かったカードですが、やはりその能力を生かすには、攻撃的なデッキで使うのが最も効果的です。

デッキの強み

 《ゴブリンの熟練扇動者》から始まり、このデッキには単体でゲームを決めてくれる超人が数多く含まれています。

 これらのクリーチャーを打ち漏らすことは許されませんし、序盤から終盤まで、常に対処を迫り続ける攻撃性がこのデッキの持ち味です。《雷破の執政》と《嵐の息吹のドラゴン》のホットラインは魅力的かつ強力な組み合わせで、これくらい攻撃的なデッキだと《雷破の執政》の「3点のダメージを与える」能力を最大限に有効活用できます。攻撃陣に「ドラゴン・クリーチャー」を混ぜておくと、自然と《命運の核心》に耐性が付くのも評価できます。このデッキだと厳しいかもしれませんが、もしもマナベースが許すのであれば、ぜひとも《精霊龍の安息地》の採用を検討したいところ。

デッキの課題

 この手のデッキは1枚1枚のカードパワーが高い代わりに、動きがもっさりしている点が懸念材料です。ビートダウンデッキに対しては、サイドボードに《乱撃斬》と《スズメバチの巣》を3枚ずつ採用することで改善を図っていますが、手数を重視して《乱撃斬》は4枚が良さそうです。

 コントロールデッキに対しては《歓楽者ゼナゴス》、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》に加え、《前哨地の包囲》あたりも検討に値するでしょう。

注目の新カード

 全ての赤いデッキが待ち焦がれていた、待望の除去呪文。《クルフィックスの狩猟者》も《包囲サイ》も、これさえあれば悠々と対処可能です。《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《囁きの森の精霊》にも効果的ですし、赤いデッキならばすべからく採用を検討すべき1枚だと思います。


「アブザン・アグロ」

Jason Coleman - 「アブザン・アグロ」

StarCityGames.com Invitational 3位 (2015/3/27) / スタンダード
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 『運命再編』が加入してからは、「赤単アグロ」や「赤白ミッドレンジ」に押し出される形で元気のなくなってしまった「アブザン・アグロ」。依然として「赤単アグロ」が多いので、苦戦を強いられていますが、ここにきてわずかながら追い風も吹いてきています。

デッキの強み

 このデッキの追い風とは、ずばり《ドロモカの命令》と《究極の価格》の加入です。

 前者は単純に能力が強力ゆえに、デッキパワーの底上げに貢献してくれます。後者も優秀な2マナ除去として日の目を浴びていますが、《究極の価格》はこのデッキに採用できるから嬉しいというわけではありません。と言いますのも、主戦力が軒並み「多色クリーチャー」である「アブザン・アグロ」に対しては、《究極の価格》は無駄カードになる危険性が高いからです。そのため、《究極の価格》が環境に増えれば増えるほど、このデッキにとっては勝ちやすいフィールドが整っていきます。

 個人的には《究極の価格》よりも《胆汁病》の方が優れていると思いますが、デッキによってはBBというマナ・コストがネックだったり、《雷破の執政》や《嵐の息吹のドラゴン》を意識して《究極の価格》を採用することもあります。もしも、《究極の価格》が最優先されるような環境になるのならば、「アブザン・アグロ」が一大旋風を巻き起こすことも夢ではありません。

デッキの課題

 「アブザン・アグロ」の課題は、「赤単アグロ」などのビートダウンデッキに対する勝率をいかにして上げるかだと思います。《悲哀まみれ》は当然として、《正義のうねり》なども候補に挙がるでしょう。

注目の新カード

 このリストには採用されていませんが、《集合した中隊》はこの手のデッキにうってつけの1枚です。前回紹介したタイプなら《クルフィックスの狩猟者》と《オレスコスの王、ブリマーズ》もあるので、すんなり採用できるのではないかと思います。単純に4マナでクリーチャーを2枚出すだけでも十分ですし、全体除去のリカバリーとしても上々の《集合した中隊》。プロツアーでも要注目の1枚です。


「シディシ・ウィップ」

Reid Duke - 「シディシ・ウィップ」

StarCityGames.com Invitational 準優勝 (2015/3/27) / スタンダード
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 ミッドレンジ界最強の名を欲しいままにしていた「シディシ・ウィップ」。新セットからは《アンデッドの大臣、シディシ》と《龍王シルムガル》が加わっています。

デッキの強み

 「シディシ・ウィップ」はミッドレンジに強いデッキとして知られています。《女王スズメバチ》と《エレボスの鞭》の組み合わせを筆頭に、《奔流の精霊》や《イニストラードの魂》などなど、このデッキには他のミッドレンジデッキにはない強みがたくさん含まれています。

 以前であれば、《エレボスの鞭》を引けるかどうかにゲーム展開を大きく左右されていたアーキタイプですが、新登場の《アンデッドの大臣、シディシ》でそれも緩和されています。

 《エレボスの鞭》は能力が強力な反面で、「伝説」のパーマネントゆえに2枚目以降が無駄になってしまうというデメリットがありました。《アンデッドの大臣、シディシ》さえいれば、《エレボスの鞭》を大量に投入する必要はありませんし、《サテュロスの道探し》や《血の暴君、シディシ》の「ゾンビ・トークン」など、生け贄にしやすいクリーチャーが多いこともあいまって、「シディシ・ウィップ」は《アンデッドの大臣、シディシ》が最も力を発揮しやすいデッキのひとつだと思います。

デッキの課題

 ミッドレンジ界最強とは、裏を返せばそれだけ中長期戦に力を割いているということです。土地構成も「タップインランド」や「ダメージランド」が多いですし、このデッキの課題は、序盤戦をいかにして乗り切るかです。メインデッキで「赤単アグロ」系のデッキに弱いのは仕方がありませんが、サイドボード後は《胆汁病》と《悲哀まみれ》で乗り越えるといいでしょう。もしも《軍族童の突発》が多いと読むのであれば、《破滅喚起の巨人》をメインに入れたアプローチもありえるでしょう。

注目の新カード

 ついつい首元のネックレスに注目してしまいがちですが、能力も目をみはるものがある《龍王シルムガル》。上手く使うには、(1)《龍王シルムガル》を出すまでに除去を使わせる(クリーチャーを大量に入れる)、(2)コントロールデッキのサイドボードに入れる、のいずれかがいいと思いますが、このデッキは前者ですね。

 能力を使うと忠誠度がちょうど0になってしまう「プレインズウォーカー」や、自殺できる《囁きの森の精霊》あたりは恰好のターゲットとなります。消耗戦の後に出てくる《龍王シルムガル》は悪夢そのものなので、この手のデッキならば採用しておいて損のない1枚だと思います。


「エスパー・コントロール」

James Buckingham - 「エスパー・コントロール」

StarCityGames.com Invitational スタンダードラウンド成績優秀者(7勝1敗以上) (2015/3/27)
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 《龍王オジュタイ》と《漂う死、シルムガル》。2種類の「ドラゴン・クリーチャー」をフィニッシャーに据えたデッキがこの「エスパー・コントロール」です。

デッキの強み

 このデッキはフィニッシャーが「呪禁」持ちということで、対戦相手の除去呪文を無駄カードにしてしまうことが可能です。また、フィニッシャーが「ドラゴン・クリーチャー」という特徴を生かして《シルムガルの嘲笑》、《忌呪の発動》といったユーティリティカードの採用も実現していますし、《命運の核心》で対戦相手のクリーチャーのみ全滅というシーンも演出しやすくなっています。いっそのこと《卓絶のナーセット》も抜いてしまって、対戦相手の除去カードを全く使えないようにするのも面白いと思いますが、いずれにせよ新カードを大量に使った画期的なデッキリストですね。

デッキの課題

 「エスパー・コントロール」系統のデッキの問題点は、《砂草原の城塞》などの「3色土地」がないことです。このリストのマナベースは青マナへつながるものが17枚、黒が19枚、白が8枚ですが、「3色土地」が使えるデッキと比べると、どうしても安定性は劣ってしまいます。

 また、「アブザン・コントロール」と同じく、このデッキも「メタゲームに合わせたデッキ構築ができるかどうか」が勝率に直結します。《究極の価格》か《胆汁病》か。《オジュタイの命令》か《卓絶のナーセット》か。細かいカード選択を挙げ始めるとキリがありませんが、納得のいく75枚を完成させられるかどうかが、何よりも重要ではないかと思います。

注目の新カード

 「ドラゴン・クリーチャー」を使うことで真価を発揮するカードたち。《シルムガルの嘲笑》は《魔力の乱れ》でも十分な強さで、《忌呪の発動》は相手の《龍王オジュタイ》や「怪物化」した《羊毛鬣のライオン》も対処可能です。ライフ回復が付いているので、「赤単アグロ」のようなデッキに強いのも評価できますし、デッキの性質上「インスタント」なのもうれしいですね。

 このデッキの良いところは、《龍王オジュタイ》も《漂う死、シルムガル》も「呪禁」が付いているので除去される心配がなく、戦場に出た後も「ドラゴン・クリーチャー」として安心してカウントできる点です。

 今のところ、「ドラゴン・クリーチャー」を最も上手く使用したデッキは、このデッキか前述の「赤緑アグロ」だと思いますが、プロツアーではその他の「龍王」たちも姿を現すのか。「ドラゴン」がお好きなみなさんは、ぜひカバレージをご覧ください!


「今週の一押し」〜「《神話実現》」