戦いの舞台は遥か上空へ、プロツアー『タルキール龍紀伝』 龍たちの戦いに酔いしれろ!

更新日 Feature on 2015年 4月 17日

By 浅原 晃

 ベルギー・ブリュッセルで4月8日(金)~10日(日)に行われた、プロツアー『タルキール龍紀伝』に行ってまいりました。みなさま、今回もニコニコ生放送をご覧いただけたでしょうか。まだ、という方は見どころをいくつか紹介していきますので、ぜひ、タイムシフトにてご覧ください。

日程 放送日 放送時間 放送ページ
1日目(予選ラウンド) 4月10日(金) 16:00~翌4:00 放送ページ
2日目(予選ラウンド) 4月11日(土) 16:00~翌4:00 放送ページ
3日目(決勝プレイオフ) 4月12日(日) 16:00~翌2:00 放送ページ

○『タルキール龍紀伝』の参入で戦いの行方は?

 一番の注目点はやはり、『タルキール龍紀伝』で加わった各種ドラゴンでしょう。ドラフトでは龍なき世界の戦いを描いた『タルキール覇王譚』が外れて『タルキール龍紀伝』が加わったことで、ドラゴンという巨大な飛行クリーチャーによる制空権を賭けた戦いが各所で行われていました。

 ニコニコ生放送でも、初日の第1ドラフトでジェイコブ・ウィルソン選手がさっそく1パック目から《龍王オジュタイ》、2パック目からは《陽焼の執政》と引き当てる光景が見られました。3パック目でも《沈黙の大嵐、シュー・ユン》を引き当て、万全の態勢で青白デッキに。

プロツアー『タルキール龍紀伝』1日目:第1回戦・ジェイコブ・ウィルソン選手 vs ウィリアム・ジェンセン選手(ニコニコ生放送・タイムシフト視聴)

 直後の第1回戦では《沈黙の大嵐、シュー・ユン》を惜しげもなく出し除去を引き出してからのドラゴン連打の姿も見られます。そんな、ドラゴンの強さが引き立つ試合が展開も動画と合わせてご覧ください。それにしても、ドラゴン強い、強すぎる。

 そして、そのドラゴンの力は構築ラウンドにおいても十分発揮されていました。5体の龍王の中でも《龍王アタルカ》は、アブザン・デッキにさらに赤をタッチして加えたものから、緑信心に赤を加えて決定力として採用したものまで、マナ加速を加えたデッキでは、非常に強力な盤面制圧兵器として、活躍していました。何よりも、7マナ8/8飛行、トランプルというサイズが大きく、食いしん坊キャラとはいえ、何を食べたらこんなに大きくなるんだ……アタルカと金子さんを見るとそう思わざるを得ません。

 そして、コントロール系デッキの躍進も見逃せない点でしょう、特に青黒コントロール(タッチ白で《龍王オジュタイ》入りも含む)は2日目進出率が90%超えと、使用者30人以上のデッキとしては驚異のパフォーマンスを見せました。その一因として、赤単色デッキが有力デッキとして浮上していたことで、それに対抗するために盤面のコントロールを重視したミッドレンジを選んだプレイヤーも多かったことが挙げられるでしょう。しかし、これらのデッキが中途半端な速度というとらえ方をするならば、現代の《対抗呪文》こと《シルムガルの嘲笑》の餌食となっていってしまったのかもしれません。

 古典的な青黒コントロールも多くおり、同じ青黒でも、相手にとっても幅広い対応が必要なのも躍進の原動力といえるでしょう。

 そして、その中でも青黒コントロールをこよなく愛するヤソこそ、八十岡翔太選手の活躍は今大会を語るにあたっては外せない点です。初日のドラフトを3−0でロケットスタートすると、スタンダードラウンドも4−0−1で駆け抜けます。2日目はスタンダードラウンドで足踏みこそしますが、最後はキッチリとフィーチャーマッチでの勝利を収め、その強さと実績からは、意外なことではありますが、個人戦のプロツアーで初のトップ8進出となりました。

 トップ8でも、見ごたえのある試合が続きます。特に準決勝で対戦したアンドレイ・ストラスキー選手と八十岡選手との対決では、お互いに《龍王アタルカ》と《龍王シルムガル》を出し合うという熱い展開に。戦場をめまぐるしく移動する龍王のさまは、まさにドラゴンの渦。このプロレスのような試合は、《龍王シルムガル》が最後に残り《龍王アタルカ》を従えることで、八十岡選手の勝利で幕を閉じました。

プロツアー『タルキール龍紀伝』最終日:準決勝・アンドレイ・ストラスキー選手 vs 八十岡翔太選手(ニコニコ生放送・タイムシフト視聴)

 決勝では赤単色デッキを操るマーティン・ダン選手に敗れてしまいましたが、八十岡選手にとっても、プラチナレベルや殿堂入りへ向けて大きく前進したといえる大会になったといえるのではないでしょうか。これからの活躍にも、ぜひ期待しましょう。

八十岡 翔太

プロツアー『タルキール龍紀伝』 / スタンダード
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○そのほかの注目デッキ紹介!

 ドラゴンばかりに目が行きがちですが、他のアプローチで作られたデッキも2つほど紹介しましょう。1つは《彩色マンティコア》と《魂剥ぎ》を使った究極クリーチャーを作り上げるデッキ、もし、破壊不能と呪禁が付いたクリーチャーを居たら? いや、それ《羊毛鬣のライオン》だし。というあなた、正解!

 じゃあ、破壊不能と呪禁と接死と飛行と絆魂と先制攻撃と警戒とトランプルをもつクリーチャーがいたら? これはもう、そこらへんのドラゴンも目ではない、究極の生物と言ってもいいのではないでしょうか。

 ファンデッキにも見えますが、《死霧の猛禽》と《棲み家の防御者》の組み合わせが加わったことで、墓地利用のシステムが強化されている点は見逃せないところでしょう。使用者こそ少ないですが、2日目進出率100%と侮れない力を持っています。

Zvi Mowshowitz

プロツアー『タルキール龍紀伝』 / スタンダード
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 そして、もう1つは、《スズメバチの巣》を使ったデッキ。ハチの巣はつつくなというのは、現実ではよく言われる常識ですが、このデッキは自らハチの巣を置き、《セテッサ式戦術》で思いっきりつついたり、時には《焙り焼き》してしまうのです。マジックの世界では、自分でつついて出したハチでも相手に向かっていってくれるので、非常に有用な手段となってくれます。

 特に地上を攻めてくる相手には無類の強さを誇るため、今後のメタゲーム次第では、活躍する姿も見られるかもしれません。

Sam Black

プロツアー『タルキール龍紀伝』 / スタンダード
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 まだまだ、新しい環境は初期の段階。上位デッキリストも公開されていますので、そちらを参考にして、デッキを作ってみるのもいいのではないでしょうか。

○6体目の竜王?

 そして、本戦以外でも、このプロツアーの見どころは尽きません。今回、特別招待として、将棋のプロ棋士である糸谷哲郎竜王にお越しいだたきました。

 将棋とマジックを語るインタビューから、プロツアーの感想、食レポまで、カバレージとニコニコ生放送で、糸谷竜王の参戦の様子をご覧いただけます。

 将棋とマジック、同じ対人ゲームとして通じる部分もあるのではないでしょうか。自分も糸谷竜王のゲームに対する心構え、真面目に真剣に楽しむという姿勢に少し、初心を取り戻したような気がします。次、会うときにまで、将棋、少し強くなっておきます! と心の中で密かに思っております。

○次回は、カナダ・バンクーバーにてプロツアー『マジック・オリジン』

 次のプロツアーは『マジック・オリジン』の発売に際して開催されます。今も活躍するプレインズウォーカーたちの、プレインズウォーカーになる前の過去の姿が描かれているセットとなっています。龍の世界の覇権がまだまだ続くのか、『マジック・オリジン』から加わるプレインズウォーカーたちが龍たちから覇権を奪い返すのか、少し気が早いですが、次のセットの焦点はそこになってくるかもしれません。

 プロツアー『マジック・オリジン』は7月31日(金)〜8月2日(日)にかけて行われます。当然、ニコニコ生放送での中継もありますのでお楽しみに! それでは、また次回のプロツアーでお会いしましょう!

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