『モダンマスターズ 2015年版』のデベロップとデザイン

更新日 Feature on 2015年 5月 4日

By Ben Hayes

Ben Hayes has been designing games for over a decade and has been part of the Magic R&D development team since 2013. He led the FFL Team for Khans of Tarkir and the development team for Magic Duels: Origins.

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 やあみんな、僕はベン・ヘイズ/Ben Hayes、マジック開発部のデベロッパーで、『モダンマスターズ 2015年版』のデザイン・チームとデベロップ・チームの両方のメンバーだ。僕がウィザーズに就職して2年ちょっとの間に、『Modern Event Deck』『運命再編』『戦乱のゼンディカー』『マジック・デュエルズ・オリジン』に関わってきたけれど、『モダンマスターズ 2015年版』では初めてデザイン・チームでデベロップ代理人を務めることになったんだ。

 つまり、僕は一番最初の日から「筆を置く」日までセットを見なければならないことになる。デザイン・チームで、僕はモダン・フォーマットを代表すると言えると同時にリミテッド環境で充分な深みと複数のアーキタイプにまたがるシナジーを持つ、アーキタイプと色の組み合わせを探した。デベロップ・チームでは、デザインが選んだ理由を維持しながら色と戦略を調整してバランスを取っていった。選んだとき、僕もそこにいたんだからね! 全員が尽くした最善を貫徹させることで最終的な製品を向上させることのできる唯一の存在であるデベロップ代理人という役割は、僕がまさにやりたいと思っていたことだったので、その観点からこの記事を書けることに興奮が抑えきれないよ。

 僕について知ってもらったところで、次はチームを紹介しよう。


デザイン・チーム

エリック・ラウアー/Erik Lauer(リード・デザイナー)

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 エリックはマジック開発部の主席デベロッパーだ。デザイン・チームにマーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterがいるように、僕らにはエリック・ラウアーがいるというわけさ。彼は各セットのデベロップを統括し、また『イニストラード』『ラヴニカへの回帰』『テーロス』『タルキール覇王譚』、そしてまもなくお目見えする『戦乱のゼンディカー』、そして旧『モダンマスターズ』などの多くのセットでは自らリーダーを務めている。『モダンマスターズ 2015年版』のような製品のデザインではリミテッド環境を適切で楽しいものにすることを主眼としているので、多くの独特の課題がある。そういったことに飛び抜けて優れているのがエリックなので、このデザイン・チームを率いるのにふさわしいんだ。

ケン・ネーグル/Ken Nagle

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 ケンはマジック開発部の上席デザイナーで、最近では『ラヴニカへの回帰』『神々の軍勢』『運命再編』のリード・デザイナーを務めている。ケンはこのチームでのデザインの主戦力だった。2つの仕事や関連する作業の性質から、マジックのセットを作るに当たって、デザイナーとデベロッパーは異なった発想や視点を持つことが多くなる。僕やエリックはデベロップ出身なので、ケンの持つデザイン・チームの経験、それに僕たちがすぐには生み出せないような異なった視点や発想は欠かせなかった。


デベロップ・チーム

トム・ラピル/Tom LaPille (リード・デベロッパー)

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 トムはマジック開発部の上席デベロッパーだったけれど、今は他の会社でまた別のゲーム・デザインの仕事をしている。ウィザーズ在籍中は、トムは『基本セット2012』『闇の隆盛』『神々の軍勢』『タルキール龍紀伝』(連名)、それにこのセットでリード・デベロッパーを務めていた。それに、トムはキューブのデザインを進化させた先駆者でもあって、つまり普通でないドラフト・フォーマットにはかなりの経験を持っているんだ。つまり、このチームを率いるのにふさわしいってこと。

マックス・マッコール/Max McCall

 マックスはマジック開発部のデジタル・ゲーム・デザイナーで、トムと同じように他のゲーム・デザインの仕事に移ってしまった。マックスは『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2014』のリード・デザイナーで、『ギルド門侵犯』『基本セット2014』それに旧『モダンマスターズ』といったいくつものセットのデベロップ・チームに参加していた。競技マジックの経験を持つメンバーだったので、マックスは楽しくバランスのとれたドラフト環境を作るためのフィードバックを出していたんだ。

アダム・プロサック/Adam Prosak

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 アダムはマジック開発部のデベロッパーで、以前はこのサイトでDaily Deckを執筆していたよ。アダムは『Tempest Remastered』のリード・デザイナーで、『Vintage Masters』『タルキール覇王譚』、それにこのセットのデベロップ・チームに所属していた。アダムはマックスの離脱後にこのチームに参加して、デベロップの仕上げに関わり、新鮮な視点をもたらしてくれたんだ。


金属術!

 旧『モダンマスターズ』のチームと今回のチームの大きな違いは、今回は0から作ったんじゃない、ということなんだ。初日、僕たちの前には多くの人々がプレイし、フィードバックをくれた『モダンマスターズ』のセットが青写真として存在していた。うまくいったものを見つけ出すため、そして、新しい要素を詰め込んでもう一度成功を収めるためのデータは大量にあった。もう1つ異なっていた点は、再録元となるセットだった。『モダンマスターズ』は『第8版基本セット』から『アラーラ再誕』までだったけれど、今回はセットをもっと増やしたいと考えていた。カード・プールを『ゼンディカー』ブロックと『ミラディンの傷跡』ブロックにまで広げると決めて、僕たちは旧『モダンマスターズ』のチームが手をつけられなかったメカニズムを調べることにしたんだ。

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 白青のアーティファクト戦略は『モダンマスターズ』でも人気のアーキタイプだった。そして、追加された2つのブロックのうち1つが『ミラディンの傷跡』だったので、この戦略を再訪するのは当然だった。やってみると、白青はこのデッキを入れるのに最適だとわかった。前回はこのデッキはかなりアグロ寄りだったけれど、今回は調整されて様々な速度でうまく動くようになった。複数のアーティファクトを使っているとボーナスを得られる金属術が入ったおかげで、装備品その他のクリーチャーでないアーティファクトで盤面を整えるという戦略が使えるようになったんだ。もちろん、このアーキタイプのとどめに、みんなが期待する構築で強烈なカードがなければ『モダンマスターズ』とは言えないよね。

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適正なものを探す

 『モダンマスターズ』のような製品をデベロップする上で最大の難関の1つが、やろうと思うことのために適正なカードパワーのカードを探すことだ。通常のデベロップ・チームとは違って、今回はタフネスを増やしたりパワーを減らしたりして調整することはできない。カードが狙い通りでなかったら、そのカードを似たカードと入れ替えるか、完全に違うものと交換するかしかない。場合によっては、選択肢のどれもがセットの他の部分とうまくかみ合わなかったから、色の組み合わせの戦略そのものが総入れ替えになったこともあった。そこまでではなくても、デベロップの自由度がもっとあるようなセットであれば修正するような強さやデザインのカードが、デベロップ中を通して選びうる中では最善なんだということもあったんだ。

 セットのほとんどの要素が定まってから、僕は、僕たちのお気に入りだと言えないようなカードを探し、その代わりになるものを見つける作業を始めた。

 今のリミテッドのデベロップでは、僕たちは特定の色の組み合わせが目指すようなものとの強力なシナジーを持つレアやアンコモンを投入することが多い。これは、ドラフト中に方向性を決める助けになるんだ。たとえば、このセットの黒緑のアーキタイプはトークンを生み、それを生け贄に捧げて有利を得るようになっている。デベロップのかなりの期間、このアーキタイプ向けの黒のレア・カードはこれだった。

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 結局のところ、対戦相手のクリーチャーをゲーム中残りの期間ずっと除去し続けられるというのは対戦してとても不快だった。正直なところ、2回以上やるのは面白くもなかったんだ。他の候補をいくつか試してみたけれど、それぞれにまた問題があった。そこで結局《ファイレクシアの疫病王》に戻っていたんだ。デベロップ中、黒緑デッキは僕のお気に入りだったから、かなりの《ファイレクシアの疫病王》を使っていたことになる。マッチごとに対戦相手が投了するときの表情を見ているうちに、僕はなんとか他のカードを探さなければならないと思ったんだ。やがて、幸運にも僕はこのカードを見つけることができたんだ。

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 《練達の育種師、エンドレク・サール》は、《ファイレクシアの疫病王》の真逆だと言える。かたや生み出したトークンを相手の邪魔のために使い、かたや自分のやりたいことをするために使うんだ。やりたいことというのは、たとえばこのカードを強化したりね。

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 《練達の育種師、エンドレク・サール》があれば、生け贄にするトークンには困らない。そして生け贄にすることで《練達の育種師、エンドレク・サール》の限界を超える量のスラルを抱えることもない。この探し求めていた最後の1ピースを見つけたとき、僕は小躍りして喜んだのさ。


 お近くのお店で、そして世界中で開かれる3つのグランプリで、このセットを楽しんでもらえたら嬉しいな!

 ご清聴ありがとう、ベン・ヘイズより。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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