召集のデベロップ

更新日 Latest Developments on 2014年 7月 25日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 『テーロス』が発売されるより前に、召集が定命の者が神を信仰するというテーマに完全に適合するメカニズムであると多くのプレイヤーが気づいており、そして実際にその通りです――しかし、我々は召集を『基本セット2015』に温存していることを知っていました。基本セットの再録メカニズムは、人々が懐かしく思う一方で改良の余地があるものでなければならないため、選ぶことは難しいのです。召集の場合、このメカニズムは『ラヴニカ:ギルドの都』(大人気のセットですね)が初出でしたが、セレズニアにしかないメカニズムだったので、新しい色で新しいカードを作る余地が多く残されていました。我々はこのメカニズムが楽しいこと(どんな再録メカニズムにとっても大事です)を分かっており、そして新しいカードのための余地が沢山あること(これも大事です)も分かっていました。

 本日の「Latest Developments」では、『基本セット2015』のいくつかの具体的な召集カードについてお話しして、どのようにそれらがそうなったかについての考えをお知らせしたいと思います。

召集を再録する

 『基本セット2015』に入れる召集カードを探すとき、人々が最初に召集があったときに好きだったものと、それらが純粋に強いカードであったことの両方を思い出させるために、何枚かの再録カードを必要としていました。もともと旧『ラヴニカ』をプレイしていた人のために、それらのカードが懐かしい思い出になるように、そして召集を再びプレイして興奮できるようにしたかったのです。

 《包囲ワーム》は『ラヴニカ』リミテッドで大きな役割を担っていたことから、最も象徴的な召集カードの1枚です。《包囲ワーム》は低いレアリティにおいて召集がいかに強くなり得るかを誇示しています。7マナ5/5がとても弱いのは簡単に分かりますし、6マナ5/5はイマイチです。しかし5マナ5/5トランプルになるといきなりとても強力なコモンになります。4マナでは? 要注意です。

 《包囲ワーム》はとてもシンプルなカードなので、召集を理解する基準にうってつけです。プレイヤーがどれだけ軽いマナで唱えられるか、あるいは(《急報》のような)トークン生成によるアドバンテージを得られるかによって、このメカニズムは他の多くのカードでは評価がとても難しくなっています。《包囲ワーム》は何故召集が素晴らしいのかをシンプルに表す、最良の手段のひとつです。

 多くのプレイヤーが《召喚の調べ》が『Modern Masters』に無いことに気づき、それに困惑していました。そう、その理由は、我々は召集が『基本セット2015』で戻ってくることを知っており、スタンダードのために温存しておきたかったからです。《召喚の調べ》は、《出産の殻》のような圧倒的なカード・パワーを持たずに、本当に楽しいツールボックス・デッキをこのフォーマットに作れるカードだと私は信じています。《召喚の調べ》は強力ですが、フォーマットの中でこれ「しか」やる意味が無いようにすることはとても難しいと言えるだけの弱点と制限があります。《召喚の調べ》デッキは全体除去で簡単に抑えられてしまいますし、何度も使える効果ではないので、純粋な威力には欠けています。

 私は《召喚の調べ》のスタンダードでの使われ方を見ることがとても楽しみです。スタンダードには召集してくるクリーチャーが少ない(同様に2枚コンボも少ない)ので、恐らく現在のモダンよりも弱くなるでしょうが、それでも1枚挿しのクリーチャーで満たされたデッキから「教示者」してきてアドバンテージを得るデッキの基礎になるはずです。例えば《再利用の賢者》は素晴らしいサイドボード用のカードですが、《召喚の調べ》は《再利用の賢者》をメインデッキに1枚挿しして、最大の利益を与える場面でデッキから引っ張り出してくることを可能にします。

 リミテッドには除去が必要であり、白にはいくつか異なる除去のバリエーションがあります――最も顕著なものは《平和な心》と《神聖なる評決》の効果です。召集を除去呪文につけることはリミテッドを面白くし、このメカニズムに意味があるようにする助けになります。幸運にも、旧『ラヴニカ』のチームは同じような結論に達し、《貪る光》を作りました。これをこのセットに入れ、それに乗じて新たなアートを与えることは我々にとって容易なことでした。

 このセットでは《貪る光》は最初はコモンでしたが、あっという間にイライラしすぎることが判明しました。アンコモンの楽しさの一部は、それらが常に軸としてプレイできるほど十分な数が出ないことであり、徐々に実際に全力で機能するチャンスを増加させます。これがコモンだと、プレイヤーはこのカードがいつも軸となってプレイされることが分かっており、それによって戦闘は危険な決断になります。つまりこれはこのセットのコンバット・トリックが白に対してプレイする価値がないということで、基本的に楽しくないことになります。《貪る光》がアンコモンだと、リミテッドはもっと楽しくなります。

 リミテッドに必要なもうひとつの要素はコンバット・トリックです。そして《かき集める勇気》は旧『ラヴニカ』で最高のコンバット・トリックのひとつでした。これは普通に唱えれば明らかに《巨大化》よりも弱く、しかし簡単に「タダで」唱えられるので、これの強さをプレイヤーが理解しやすく、基準として優れています。このカードは、コモンではなくアンコモンであるほうが、リミテッドにおいてプレイヤーが常にこれを軸にしてプレイしないことから、ずっと楽しくなるもう1枚のカードです。アンコモンであることによって、実際に唱えられたときにもっと効果的になったわけです。

新しいカードをデザインする

 何を採録するかの考えがまとまったならば、目標はほとんどの召集にない新しいデザインのカードを考え出すこと――そしてどのように5色全てにそれを入れるかということです。

 まずは完璧に召集と噛み合っている《衆生の熾天使》です。これは重い飛行持ちですが、召集デッキで最も強い動き――クリーチャーをたくさんプレイすること――に報酬をくれます。再録メカニズムの新しいカードを作ろうとするとき、我々は動きが自然なものを見つけようとします。

 《衆生の熾天使》はリミテッドで白緑トークン・デッキで素晴らしい働きをするデッキの軸となるカードで、もう攻撃できないクリーチャーを1体の大きなクリーチャーにすることができます。また、これは(《包囲ワーム》と違って)基本のパワーとタフネスを持たないので、プレイヤーがデッキの中にこれでアドバンテージを得る方法を持っているかどうかで変動するでしょう。赤緑デッキは簡単に《包囲ワーム》まで加速できますが、青白デッキでは基本的に《衆生の熾天使》の良い使い方を見つけられないでしょう。

 本当のところ、《精神染み》は最初はちょっと違うカード――召集つきの《思考の粉砕》(から無作為の部分を無くしたもの)でした。このカードの問題はマナ・コストが{X}から{X}へ上がり、そしてスタンダードで印刷されて満足行くカードになるためには{X}にする必要があるだろうと思われていたことでした。アグロ・デッキを相手にしていて、4ターン目に手札がなくなることはかなりムカつくことであると分かりました。{X}のコストはこのカードをプレイできないようにしてその問題を解決していたので、我々は最初の段階に戻って他に何かこのカードができることはないか考え出すことに決め、最終的に《記憶殺し》に落ち着きました。

 この効果は、我々が大体の場合スタンダードにあってほしいと思っているものです。これは単一のデッキ(具体的には単一のとても強力なカード)によるこのフォーマットの支配を防ぐ安全弁を組み立てる素晴らしい方法です。《殺戮遊戯》は《スフィンクスの啓示》がこのフォーマットで最も強力なカードだったとしてもその支配を防ぐようにした素晴らしい方法で、《スフィンクスの啓示》に大きく依存するデッキを強烈に咎めました。

 青が召集で行うことを考え出すのは難しいことでした。青は伝統的にクリーチャーの色ではないので、青の召集クリーチャーというのはしっくりきません。打ち消し呪文は可能ですが、我々は「タダ」の打ち消し呪文を好まない傾向にあります――つまりそのマナ・コストを相当重くする必要があるだろうということです。

 我々が向かった道は青がアーティファクトを好むという考えであり、《大建築家》に似たカードを作りました。『基本セット2015』の赤青のアーキタイプは「アーティファクト関連」で、それがこのカードにさらなる意味を持たせました。

 赤は青よりかは考え出すのは少し簡単でした(つまり赤は青よりクリーチャー寄りで、おまけにより攻撃的でした)が、それでも我々はこのカードの適正な数字を探す必要がありました。+1/+0と先制攻撃を与える《民衆の好意》は最も簡単でした。《かき立てる炎》は最初は《ショック》でしたが、すぐに強すぎると分かりました。現在のスタンダードでの赤いアグロ・デッキの強さを見てみるとその理由があなたに伝わるかもしれません。速攻のないクリーチャーをプレイして、それをすぐにコンバット・トリックとして使えるのはやり過ぎでした。たとえソーサリーにしたとしても、それは強すぎたのです。

 このカードの最良のダメージの数値は4点でした。4点は今のスタンダードの赤い火力呪文にはない数字であり、そのことが《クルフィックスの狩猟者》や《オレスコスの王、ブリマーズ》に対して弱さを作っていました。

 来週は、フューチャー・フューチャー・リーグの『ニクスへの旅』期と『基本セット2015』期の両方のデッキをご紹介します。

 ではまた来週お会いしましょう。

サムより(@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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