楔のデベロップ

更新日 Latest Developments on 2014年 8月 29日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 今回は楔特集ということで、我々の過去の楔での成功と失敗についてお話ししようと思います。もしこの週末あなたがシアトルにいるなら、PAXに参加して多くの『タルキール覇王譚』のカードが発表されるのを見て欲しいと思います。そうでないあなたは、土曜の夜にソーシャル・メディアに貼りついていてください――エキサイティングなプレビューがたくさん見られるでしょう。

楔の問題点

 『タルキール覇王譚』のような楔のセットを作るときに最も難しい部分の1つは、多くの3色の組み合わせにそれほど多くのデザイン空間が存在しないことです。敵対色とは一般的に、お互いを比較した違いによって最もよく定義されているので、1つの色に対する2つの敵対色を組み合わせることは、「断片」のように自然なデザインにはなりません。断片のカード全てが完璧というわけではありませんが、メインの色が2つのサブの色と共通するところを考え出すのは、楔のカードの作り方を考え出すよりもはるかに簡単です。

 楔のカードを作ることは、気をつけていないとすぐにただ条件を満たしていくだけの作業になってしまいます。楔のカードを作りたいですか? では、よくあるサイズのクリーチャーに各色から1個づつキーワード能力を付けてみましょう。例えば《稲妻の天使》はこの分類に当てはまります――飛行(青)、速攻(赤)、警戒(白)、3/4で4マナです。このようなカードを少し作るのはまあアリなのですが、我々がセット全体で作りたいものではありません。デベロップはこれ以上キーワード能力が存在しない、もしくはそのデザイン空間が限定的すぎるという理由で、デザインから回ってきたカードを変更できない状況に陥ることを求めてはいません。

 我々が思いつき、マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterと彼の率いるデザイン・チームが満足した1つの答えは、まず楔のカードをそれらが属する氏族の雰囲気を感じさせるようにすることです。断片では3セット分のカードを作る必要があり、それだけのデザイン空間を見つけることは困難だったので、実際に同じことを思いつきました。それらのうちいくらかは、それらが機能するために各断片のフレーバーとメカニズムを用いて通常の色の役割から逸脱させましたが、私はそれらが(全体的に)とても上手くいったと思います。青いクリーチャーに賛美があることはフレーバーの観点から見て直感的には分かりにくいことですが、パッケージ全体の一部として機能しています。私は『タルキール覇王譚』がそれらの基準を使って、楔のカードの満足のいく場所をより多く見つけることができると信じており、もうすぐそれらをお見せできることにとても興奮しています。

タルキールへの種を蒔く

 『タルキール覇王譚』を機能させるためには、とある事前の計画を必要としました。私は『基本セット2015』のプレビューで敵対色のペインランドを取り上げました。私は多くのプレイヤー達が、これらが楔のセットである『タルキール覇王譚』への種であると正確に予想しているところを見かけました。

 我々が種を蒔いたカードはほとんどのセットと違い、次に来るセットとシナジーを形成するものではありませんでした。『タルキール覇王譚』ブロックのために必要としたのは、プレイヤーが確実にデッキの中の呪文を唱えられるようにするカードを印刷することでした。『タルキール覇王譚』入りスタンダードの内部プレイテストで分かったことは、タップ状態で戦場に出る土地が多すぎるせいで、 『イニストラード』の敵対色M10土地が、我々が望む楔のデッキではなく、2色デッキをプレイする方向にプレイヤーを押してしまうということでした。我々はのようなコストの強力なカードを多く作るであろうことは分かっていましたが、4ターン目までに唱えられなければ、それらは役目を果たせません。特に緑のデッキは理論上、2ターン目にいくつかの素晴らしいプレイを得ました――しかし実際にそれらのカードを2ターン目に唱えるのはとても難しく、そのパワー・レベルに合わせようとした場合、我々は出てくるターンに対してとても苛立ちを覚えるクリーチャーをプレイすることになってしまうでしょう。

アート;Sam Burley

 我々がペインランドに望む仕事は、楔デッキに8枚入れることができるが、時々呪文を唱えるためにダメージを多く受けてしまう弱点になることです。ほとんどのデッキはその取引を進んで行うでしょうが、我々はその手の事柄を自由に行ってほしいとは思いません。このことは全ての楔がスタンダードで現れるようにしますが、それと同時に「楔をプレイするか、敗北か」という状況を作ることはしません。

楔の成否を振り返る

 このために、過去に印刷されてブースターに入っていたカードに焦点を当ててみたいと思います。『統率者』と『プレインチェイス』の楔のカードは全体的に、各色の範囲を納得させようとするよりも、どうやって『タルキール覇王譚』が楔で全体として筋の通ったカードを作るかを伝えるというより良い仕事をします。

『アポカリプス』の楔サイクル

 『アポカリプス』は敵対色がテーマであり、つまり楔のカードが始めて導入されたセットであるということを意味しています。アナ、デイガ、ラッカ、ネクラ、そしてシータという名前がついたのはこのときでした。(正直なところ――もしタルキールのマルドゥ、ジェスカイ、アズバン、ティムール、そしてスゥルタイの呼び名がこれら他の名前を歴史から消し去るなら、私は本当に幸せです。) このセットには聖域ボルバーのような楔の3色デッキを奨励するカードが多く存在しましたが、実際の楔のカードはわずか5枚しかありませんでした。

 《稲妻の天使》――このカードは悪くはないのですが、どこか退屈なカードでした。これは強力ですが、ある意味では面白くないものです。《長毛のソクター》のような優秀なアンコモンに似ていますが、それは私がレアに望むものではありません。

 《草茂る屋敷》――さて、これは楔カードのいくぶん良い使い方ですが、ある重大な実行問題を抱えています。これは完璧ではありませんが、黒緑としては筋の通ったカードであり(《森の暗き中心》)、そしてどの土地でも生け贄にできるように拡張されています。しかしながら、それってつまり《ズアーの宝珠》じゃね? というところに意識が回っていませんでした。

 《誘導路》――このカードは滅茶苦茶です。緑はクリーチャーに偏重した色ですが、赤と青はそうではないので赤青緑は難しい組み合わせです。これはこの色の組み合わせを手に入れられる十分な奇妙さを付け加えますが、難しすぎるように見えるならそうではありません。

 《熱烈な突撃》――白赤黒のクリーチャー・デッキが広く並べる傾向にあるという考えを強調する別のデザインです。これは機能しますが、望むほどの満足度がなく、とはいえ攻撃したときの誘発型能力は色を売り込むのに大きく役に立ちます。キーワード能力を1つか2つ加え、そしてパワーとタフネスの修正を小さくすれば、私にとって役に立ったでしょう。

 《菌類のシャンブラー》――これは気高い試みです。当時の青と黒はどちらもサボタージュ能力の色として理にかなっており、緑はこのカードが印刷されて以降多くなりました。B-

『次元の混乱』のドラゴン

 『次元の混乱』のギミックの1つは「並行世界」バージョンのマジックで、多くの色が変わったカードがこのテーマで作られました。その中で、当時の恐らく最も象徴的な断片のカードだった『インベイジョン』のドラゴンを取り上げ、 楔の色に変えたのはもっともなことでした。

 《報復するものオロス》――私にとって、ここではフレーバーが大きな役割を果たしました。白がこのような雰囲気のクリーチャーを作るためには赤と黒のどちらかだけでは不可能であり、その結果、少なくとも私にはこのパッケージは納得がいきます。

 《壊滅させるものヌーマット》――私はヌーマットの悪いところについて言い尽くせません。加えて土地破壊はとてもつまらない上に、このような能力を6マナのドラゴンにつけることは、ゲームに勝つか役に立たないかのどちらかになり得るのです。実際のところ、私は《稲妻の天使》が適正な組み合わせだった頃を懐かしく思いました。

 《夢見るものインテット》――おかしな話ですが、《エルキンの壺》の効果が赤にどんどん増えてきたせいで、これが印刷された時よりも今のほうが、私は《夢見るものインテット》に赤青緑らしさを感じます。

 《狩るものヴォラシュ》――飛行を持っていることを除けば、これは緑単色でも可能です。私はこのカードに青や黒の要素がいくらか影響してほしかったと思います。

 《収穫するものテネブ》――テネブの駄目なところはかなり黒単色のカードに近いところです。良いところは、この能力は割り振られた色の中でとても納得のいくものであるところです。

『ローウィン』

 『ローウィン』の部族は色の観点からするとアンバランスであり、そしてそれはかなり興味深いことです。ツリーフォークは唯一の白黒緑の3色部族という興味深い立ち位置にあり、それによりこのブロックの中で唯一の楔のカードが存在します。

 《包囲の搭、ドラン》――恐らく《包囲の搭、ドラン》は、少なくとも『タルキール覇王譚』までの中で、我々がデザインした最良の楔カードです。分かりやすいことを取り上げるのではなく、《包囲の搭、ドラン》は白、黒、緑のクリーチャーのタフネスが平均的に高い傾向にあることに着目し、そしてそれらのクリーチャーにタフネスで戦闘ダメージを与えるボーナスを与えました。これはこれを中心にデッキを構築することができる(軽くてタフネスの大きいクリーチャーから巨大なアドバンテージを得ます)ために人気を得ましたが、また統率者としても素晴らしい働きをします――これ自身も5/5になるのです。

『タルキール覇王譚』

 〈兜砕きのズルゴ〉――今のところ唯一『タルキール覇王譚』から公開されているカード、〈兜砕きのズルゴ〉は現代のマジックで楔をどのように機能させるかに関する我々の考えを表しています。個人的には、ズルゴはマルドゥらしさをとても強く感じさせます。私が彼を気に入っている部分は、私が実際にデベロップの初期に提案したものです。《センギアの吸血鬼》の能力のよく聞く不満点は、それが実際に起こらないことです。そういったクリーチャーはチャンプブロックされないか、それを十分殺せるクリーチャーにブロックされるかのどちらかです。ズルゴはチャンプブロックしたくなるのに十分な大きさですが、対戦相手が次のターンに対処できないほど大きくはありません。彼はこの能力が誘発する完璧な位置にあるだけではなく、タフネスが3になることで、《マグマの噴流》や《マグマのしぶき》のようなスタンダードで見かける様々な除去に対する脆弱さを取り除きます。

 今週はここまでです。次週は相当重いコスト――――にもかかわらずスタンダードで大評判になること間違いなしのかなりエキサイティングなプレビュー・カードをお届けします。どうすればそんなカードがあり得るのでしょうか? その答えを確かめるために来週の記事をお見逃しなく。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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