スゥルタイの墓地戦略

更新日 Latest Developments on 2015年 2月 6日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 今回はDailyMTG.comのスゥルタイ特集であり、それはつまりスゥルタイ氏族の様々な部分についてお話をするということです。そうです、彼らが奇妙なほどに果物に執着していることです。

 変です。かね?

 ええ、これについて私が言うべきことは以上です。では記事の空欄を埋めるべく、私はスゥルタイのよく知られている他の部分について――彼らの墓地利用と、我々が墓地をどのように使ってきたかの歴史と、なぜ我々がその方法で墓地を使ったかをお話しできると思います。

墓地戦略

 墓地はマジックの最初期の日々から我々が多くの困難な取り組みを行ってきた領域でした。『アルファ版』を見てみると、最期の眠りの場所が最後であった試しはありませんでした。マジックの最初のセットには《動く死体》、《新たな芽吹き》、《冥界の影》、そして《Timetwister》までもが収録されており、そしてその後のほとんどのセットに墓地で何かを行うものが含まれていました。『ウェザーライト』は我々にとって最初の「墓地セット」でしたが、それは決して最後の墓地セットではありませんでした。『オデッセイ』や『イニストラード』のようなブロックでは墓地が中心になっていましたし、それ以外の他の墓地を中心としていないセットでも、ゴルガリ、グリクシス、そしてスゥルタイの大きな部分を担ってきました。

 何故でしょうか? それが機能するからです。この墓地という名前はとてもファンタジー的で素晴らしく、既に破壊されたカードが戻ってくる能力は多くの深みをゲーム・プレイに与えました。これはつまり、何かに対して一度対処しただけではそれに完全に止めを刺したかどうか確かではないということであり、本当に自分のデッキの1枚のカードに焦点を当てたいのであれば、それを捨てさせられようが、打ち消されようが、殺されようが、ライブラリーから削られようが、取り戻すことができるということです。

シックス・フィート・アンダー

 我々が自らのメカニズムに期待しているものの1つは深いデザイン空間です。墓地そのものは実際にはメカニズムとは呼ばれていませんが、我々に異なるメカニズムをデザインするキャンバスを与えてくれます。我々は現在のセットがやりたいことのために十分な余地があるだけでなく、未来のセットのためにも十分な余地があるようにしたいと考えています。将来、いかにも派生品というものではない新しい感じのするカードを作りたいと考えているので、毎回のセットで全ての空間を使わないようにします。「『未来予知』のメカニズム」が時々戻ってくる余地はありますが、しかし全てがそうであるべきではありません。新しい戦略のための空間を残すことによって、我々は将来新しい空間でプレイヤーを驚かせることができるのです。

 ここからは、我々がそれぞれ異なる雰囲気をセットに与え、そして異なる戦略をマジックに加えるために、墓地を使った方法をいくつかご紹介します。

一時的な置き場所としての墓地

 昔ながらの定番です。時として墓地のクールなところは、あなたの素敵なものを何でも置いておける場所であるというところです。おそらくフラッシュバック蘇生がこれの最も象徴的なものでしょう。発掘はこれと同じアイデアを行おうとしましたが……ご存知のようにそのカード自身の能力よりも発掘の後ろに書いてある数字がそのカードで最も強力な部分になってしまいました。《暗黒破》や《壌土からの生命》のような数枚のカードが適度に興味深かった一方、本当に高い数字のものは基本的に全てを台無しにしてしまいました。それはともかく。

 墓地を一時的な場所として使うことの利点は、本当に素晴らしい個別のカード・デザインを得られるところ、そして自分のライブラリーを削る戦略を用いてもそのクールなカードを唱えることができるところです。《蜘蛛の発生》はリミテッドで機能するこれの最も象徴的なバージョンです。このデッキの最高の部分はこのカードを自然なドローで引いてくる必要がなく、自分のライブラリーを削るカードを唱えることで《蜘蛛の発生》の威力を上げ、実際に引いてくるよりも高い確率で唱えられるところです。

 この墓地の使い方の弱点は、そのカードを引かなくても良いということが、最終的にかなりばらつきを少なくしてしまうことです。我々はマジックに健全な量のばらつきが必要であると確信しており、そして(ほとんどの場合)毎ターン1枚カードを引くことがそれをもたらす方法の大部分を占めています。それゆえ我々は、コイン投げや他の強力な無作為要素のあるトーナメント・レベルのカードを避けようとしています。

 これは実際に発掘がメカニズムとして失敗した2番目の理由です。我々が全ての呪文を「発掘1」にして「なんてこった、このデッキはぶっ壊れだ」というようなことを避けたとしても、依然としてそれは極めて反復的なゲーム・プレイにつながります。ひとたび発掘カードがいくつか墓地に落ちたならば、発掘した方が無作為にカードを1枚引くよりも良い状況が多くなりすぎ、さらにばらつきが少なくなってしまいます。我々はプレイヤーがばらつきを軽減する方法を入れたいと思っていますが、やり過ぎはこのゲームにとって悪影響を及ぼします。

 これは我々が何度も訪れることになるだろうと私が信じている墓地メカニズムの領域です(結局のところ、フラッシュバックは全ての中で最良のメカニズムの1つです)。しかし我々は大きく目を開き、より多くの経験をもって行うだろうと思っています。フラッシュバックは『イニストラード』で素晴らしい働きをし、そして最終的に同じパワー・レベルになるであろう似たようなメカニズムのあるその次のセットを期待させたと思っています――そして恐らく「追放する」の一節がそこにあることで、全てのリスクを負うことなく、いくばくかの楽しさを可能にしています。

バロメーターとしての墓地

 言うまでもなく、このカテゴリーで最も有名なのは恐らく《タルモゴイフ》ですが、スレッショルドのような似たような効果を持つ他のメカニズムもあります。このアイデアはゲームが進むにつれてより強力になるカードというものであり、その強さは線型であったり(ルアゴイフ類など)、もしくはオン・オフ状態であったりしますが(《クローサの獣》のように)。マジックの絶え間ない動きによって自然にもたらされる場面において、これらのカードはより強力になるということです。

 墓地をバロメーターとして用いることの素晴らしいところは、我々がキッカーのようなメカニズムで気に入っている最高の部分の多くを、追加のコストなしでもたらすところです。我々はゲームが進むにつれて強力になるカードを印刷するようになり、それはかなり楽しいものであると感じつつあります。それは我々に序盤、中盤、終盤のいずれでも有用なカードをを多くもたらし、少なくとも《カヴーのタイタン》のような「マナ・カーブに沿って今プレイするか、待って最大限の恩恵を後で得るか」という興味深い決断を生み出すのです。

 この働きを作る上で難しいのは、カードのオンとオフを切り替える適正なバランスを見つけ出すことです。例えば《タルモゴイフ》は、あなたがそのフォーマットにある支援カードを入れた場合ちょっと強すぎるところはありますが、それは1点のパワー/タフネス以上のものではありません。一方で《熊人間》のような昔の強力カードは、実際のところ現在では適正なレベルかもしれません。問題は、セット全体に対して十分なものを我々が作れたか、そしてそれが我々が求めているぐらい楽しいかどうかです。

 他にバロメーターとして機能させることの難しい部分は、リミテッドと構築フォーマットでのバランスを取るところです。《部族の炎》を2マナで基本土地・タイプではなく、墓地にあるカード・タイプを参照するバージョンにしてみましょう。リミテッドではかなりしょぼくなり、大抵の場合4~5ターン目までは何も殺せず、ゲームのかなり後半になるまで3点より多くのダメージを与えられることは滅多にありません――そしてそれさえも、そのセットにどんなディスカード手段や生け贄に捧げられる土地、オーラがあるのかに依存します。しかし、構築フォーマットではスタンダードでさえも簡単に4点、5点を叩き出せるでしょう。

リソースとしての墓地

 スゥルタイのメカニズム、探査は墓地をリソースとして使うメカニズムの一例です――この場合、呪文のコストの支払いに墓地のカードを使います。『タルキール覇王譚』を見てみると、我々は《テイガムの策謀》のようなカードを使ってプレイヤーが2ターン目にデッキを大量に削り、それから3ターン目に《スゥルタイのゴミあさり》のようなクリーチャーや、《死滅都市の悪鬼》さえも唱えることを可能にしています。

 これらのカードの使い道はこれだけではありません――例えば《サイカトグ》は墓地のカードを食べることができますが、我々が過去にこのような動きをする多くの個別のデザインがあったにもかかわらず、最もメカニズムを掘り下げられていない領域であると私は感じています。はるか昔にさかのぼって『ザ・ダーク』の《Grave Robbers》を見てみましょう――これは墓地のカードを追放して他のリソースを得るカードでした。《死儀礼のシャーマン》のようなカードのずっと古く時代遅れの親戚ですが、しかしこれは墓地を何かの燃料にするカードの始まりです。『フォールン・エンパイア』には《夜の土》があり、それを受けてすぐに、墓地のカード3枚を追放する《闇の旋動》の代替コストを作りました。

 墓地をリソースとして使うことの先天的なリスクは、カードを墓地へどこよりも大量に、そして素早く送り込むことができることです。発掘デッキは発掘5や6のカードのおかげで使用可能なあらゆるフォーマットでのそのような危険な獣であり、とても重い探査呪文であっても2~3ターン目に唱えてきます。もし「 ゲームに勝利する」というカードが印刷されたなら、モダンでそれを(難しいとはいえ)2ターン目に唱えることも可能でしょう。最近の《宝船の巡航》と《時を越えた探索》の禁止によって証明されたように、墓地をリソースにするカードのバランスを取ることはかなり難しいことなので、安全すぎて誰にとっても楽しくもエキサイティングでもないカードを作ることへ我々を導いてしまうかもしれません。

その他の切り口

 これらが我々が主に墓地を用いる方法ですが、他の方法で墓地を利用するカードもあり、未来には我々が考えもつかない墓地を用いる他の方法があると私は信じています。最初に書いたとおり、我々はただ新しいだけではなく、将来のセットに余地のあるデザインを推す方法を探し求めています。我々は数年ごとに墓地テーマに触れることができ、その一方でそれらのセットを異なる雰囲気にして、デザイン空間を全て使ってしまわないようにすると確信しています。

 今週はここまでです。来週は予示のデベロップについてのお話をしようと思います。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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