予示のデベロップ

更新日 Latest Developments on 2015年 2月 13日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 今週、DailyMTG.comは予示特集でした。その締めくくりとして、このメカニズムがどのようにして現在の形になったかと、我々が予示にリミテッドと構築フォーマットのそれぞれで何を期待しているかについてお話ししようと思います。

舞台を整える

 『テーロス』ブロックの間にお気づきかもしれませんが、『テーロス』ブロック、『基本セット2015』、そして『タルキール覇王譚』には全部で2つしか明滅効果(ちらつき効果とも呼ばれています)がなく、いずれも構築レベルのものでは全くありませんでした。これは偶然ではなく、これはデザイン・チームが変異と予示(テストでは採用と呼ばれていました)の下準備として我々に依頼し、変異コストを「不正に払う」ことを可能とする明滅の存在が彼らのデザインを制限しないようにしたのです。

 さて、人々が『タルキール覇王譚』の変異を見て、そしてちらつき効果と合わせたとき壊れることをデベロップがどれほど考えたかのといきり立つ前に――このルールは我々がこれらの変異がどのように見えるかを知る、そのずっと前に定められていました。変異は3度目のの復活となるので、デザインはこのメカニズムの本当にイカれたバリエーションにたくさん試しました。我々はたとえ楽しく興味深いものであろうとなかろうと、デザインがそれを掘り下げるのに時間を割く前に阻止しようとは考えませんでした――とても大きいけども、表向きにする以外には唱える方法がないクリーチャーなどです。

 結局、変異と組み合わせたときにどんなに優秀なちらつき効果でも、それが1つであれば制御することは本当に簡単です。恐らく《憤怒の天使アクローマ》を明滅するような「壊れた」ものがあるでしょうが、それらは簡単に理解でき、計画が立てられる種類の効果です。

 率直に言うと、予示は実際に明滅と組み合わせた時に最も心配なメカニズムのバリエーションであり、最終的に同じ時期に《雲隠れ》のようなカードをスタンダードに存在させないようにした理由です。我々は変異を持たせることができるクリーチャーを簡単に制御できますが、より大きな予示の舞台へと移ると、突然マジックの全ての重いクリーチャーや他のパーマネントについての心配をする必要が出てきたわけです。

 2ターン目に《全知》のようなエンチャントやプレインズウォーカーを予示して、それから明滅させるようなデッキがあったとしたら、我々は幸せになれるでしょうか? 興味深いかもしれませんが、それは容易に手に負えなくなってしまうでしょう。デベロップの大部分はどこでリスクを背負うかと、どこでプレイを認めるかを判断することであり、予示を明滅させることはモダンでは楽しいことになりそうでも、スタンダードのデザインを抑圧しすぎることになると感じました。

 もちろん当時は採用の多くがライブラリーの一番上以外から――手札、墓地、そしてライブラリーから――行われており、これらのクリーチャーを制限なく明滅できるのでより危険度が高くなっていました。我々は謎であることが楽しさの大部分であると理解していたので、この効果の大部分はライブラリーの一番上から行うように変更されました。結果的には、我々は「予示/明滅」を保守的にしすぎたかもしれませんが、それは当時我々が持ち得なかった多くの知識から来るものであり、私は我々がそうしたときに取った立場に満足しています。

表向き革命

 恐らく予示を危険なメカニズムでなくした最も重要なことは、デザイン過程のかなり後で、使うに値しないように見えたリミテッドで本当に楽しいものが、構築フォーマットで利用される事態が起こったことです。最初期バージョンの予示はそのパーマネントを表向きにするコストを持っておらず、そのパーマネントが変異を持っていない限り2/2のまま(そうなっていた理由の1つは手札やライブラリー、墓地から予示するカードがあり、それを実際に機能させるため)でした。

 それを補うために、『運命再編』は開門能力と予示された強いカードを「救助」する能力を満載しており、その一方で土地や他のエキサイティングではないものを2/2のままにしていました。これはコンセプト的には機能したのですが、かなり不満の残るメカニズムになりました。『タルキール覇王譚』と『運命再編』のシールドでプレイテストをした後、予示されたカードが表向きになった回数が基本的にゼロであったことが明らかになりました。どう見ても表向きにならないので、このことは人々が予示されたクリーチャーをまるでテキストを持たないかのように扱うことにつながりました。

 このアイデアをケン(・ネーグル)かデイブ(・ハンフリー)のどちらが最初に考え出したのかはよく覚えていませんが、デイブが予示されたクリーチャーをそのマナ・コストで表向きにするアイデアに挑戦したことを覚えています。このセットに加えられる複雑さの量からいくらか懐疑的な見方もありましたが、このアイデアをプレイし、そして予示されたクリーチャーでなぎ倒されてみると、このアイデアが予示を大きく改善したことはかなり明らかでした。我々は、《ファイレクシアン・ドレッドノート》のようなものがないかどうかをFFLを通して急いで調べなければなりませんでしたが、このメカニズムを駄目にしてしまうようなものは見かけられなかったので、先に進みました。

 副次効果として、この変更は我々に構築フォーマットにおいて強力で楽しい予示カードを作ることをすぐに可能としました。古い枠組みの下では、変異クリーチャーが当たる確率はかなり低かったのですが、この変更によって予示クリーチャーが4ターン目に攻撃して《世界を喰らう者、ポルクラノス》になることもいきなり可能になり、対戦相手はそれを意識しなければならなくなりました。この変更は我々をこのセットのより興味深いカードのいくつかを作る道へと導きました。

リミテッドでの予示

 前にも書いたように、予示が変更された大きな理由はこのメカニズムをリミテッドでより興味深いものにするためです。メカニズムをより興味深くしていることの一部は、そのメカニズムを持った異なるカードで、より広い種類のゲーム・プレイを作り出すことと、そのセットの他のカードと合わせて異なる盤面の状況で異なるようにプレイされるようにすることです。

 予示オーラは我々がどうやってある種の予示の問題を創造的に解決し、そしてある種の本当に楽しく強力な効果を作り出したかのよい例だと私は思います。アンコモンの予示オーラを見てみると、それらは全て平均よりかなり優秀ですが、脅威的ではありません。もちろん私は2/2飛行絆魂をプレイしますが、その楽しさはこれがもっと強い何かかもしれないという事実にあります。戦闘でブロックされたあとで《塩路の巡回兵》を、あるいは除去に対応して《縁切られた先祖》を表向きにするようなことでさえもです。こんなちょっとした予想外の出来事が人々にこのメカニズムについて考えさせることを続けさせ、私はそれらが全体として適正な量のランダム性と楽しさを与えていると思います。

 我々は予示の働きについて『運命再編』と『タルキール覇王譚』2つのリミテッドではかなりうまくいっており、そしてそれは『タルキール龍紀伝』2つと『運命再編』でも続くと考えています。最初の目標は各フォーマットで異なるプレイのされ方をするメカニズムを作ることで、最終的に元々の計画の多くが失われた形(それについては今後の記事で説明する予定です)になりましたが、私はカードの相対的な価値がかなり変化すると考えています。

構築フォーマットでの予示

 我々がメカニズムに取り組んでいるとき、常に「構築級のパワーを持ったバージョンのこのメカニズムはどんな風に見えるのだろう?」と「このメカニズムの構築級のパワーのカードは楽しいものだろうか?」と自らに問いかけており、いくらかのメカニズムは簡単でした――例えば果敢は構築級のカードを作る多くの余地と方法があります。長久は我々がその余地が少ないと確信しているメカニズムであり、そして我々が考えたものに近いかもしれないカードである《アナフェンザの伝令》は失敗したように見受けられます。

 予示の変更は我々に構築フォーマットで楽しそうなカードを描くことをとても簡単にしました。まず最初に思い浮かんだのは《囁きの森の精霊》でした。これの狙いは大型クリーチャー満載のデッキに居場所を見つけることでしたが、戦場に出たときの効果をもつクリーチャーがたくさんいるデッキを失敗させることではありません(申し訳ない、《包囲サイ》、でも君の一番輝くのは《囁きの森の精霊》が君を予示したときではないというだけなんですよ)。

 我々にとってのそのデッキは赤緑モンスターやティムールのデッキであり、《囁きの森の精霊》は《嵐の息吹のドラゴン》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》、《凶暴な拳刃》のような強力なクリーチャーを予示できます。そのデッキは多分こんな感じになります。

ウィスパーウッド・モンスターズ

Download Arena Decklist

 FFLでこのティムールデッキが現実世界よりもずっと多かったことは認めます――具体的に言うと《ティムールの魔除け》と《頑固な否認》が。しかし、これによく似たデッキが将来トーナメントのトップ8に現れても不思議ではありません。また、《包囲サイ》のような戦場に出たときの誘発型能力がないのは悲しいことですが、私は《囁きの森の精霊》はアブザンに最適だろうと考えています。

 今週はここまでです。来週の「Latest Developments」では、セットでのリード・デベロッパーの役割と、その役割が普通のチームのメンバーと何が違うのかをお話ししようと思います。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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