龍のデベロップ

更新日 Latest Developments on 2015年 4月 10日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 今回はDailyMTG.comの龍特集です。今日の記事では、龍がすべてであるセットを作り、そのためにセットから取り除かなければならなかった他の役割も龍がすべて行なうようにするために、デベロップの側で行なったことについてお話ししたいと思います。すなわち、楽しく、バランスの取れていて、そして多様性のあるリミテッド・フォーマットを提供し、そして楽しい構築向けカードを作り出すためのことです。

狙いは龍

 「龍」がデベロップにとってリミテッドと構築フォーマットでバランスを取るのが最も簡単なテーマではない、というのは驚くには値しないことでしょう。これらのカードはクールです。また、我々はほとんどあらゆるセットで機能するものを作ることができます。しかしこのセットにおけるデザインの目標の1つ、「史上最龍のセットを作る」ために、これらのカードが機能する限界量を見出すことはとても困難でした。我々はそれをかなり劇的な方法でやりましたが、多くの課題なしには語れないものでした。

 かなり早い時期にクリエイティブから制限されたことは、この世界に幼龍はいないということでした――龍は龍の大嵐から成体の姿で現れ幼龍は存在しないため、我々は幼龍を作ることはできないのです。幼龍か否かの問題以上に、我々は龍とは何か? という自らの疑問に答えなければなりませんでした。私はそのタイプ行とイラストについて不機嫌に答えることができましたが、正直になりましょう――あなたは下のカードにドラゴンとしてどう感じますか?

〈風のドラゴン/Wind Dragon〉

クリーチャー ― ドラゴン
飛行
2/2

 かなりしょぼい、ですよね? 私がドラゴンの肩書きとタイプ行をつけていなければ、これはせいぜいドレイクだと思われるでしょう。『タルキール龍紀伝』と名付けられたセットの中身が明らかに他のクリーチャーにドラゴンの塗装をしたものでは、デザインの全体像をごまかしているように感じられるだけでなく、恐ろしく満足のいかないものになります。つまり、我々は歯を食いしばって、ドラゴンと呼ばれるのにおおむね相応しいドラゴンを作り、そしてそれらのカードをゲーム後半のフィニッシャー以上のものとしてこのセットに適合させる方法を考え出さなければならなくなった、ということです。

 デザインでは、我々は何枚かのドラゴンをコントロールしているとボーナスを得たり、ドラゴンが唱えられたり攻撃したりしたときに強力な能力を誘発するクリーチャーを作り出しました。対戦相手に2点のダメージを与えたり、カードを1枚捨てさせるなどです。この狙いは、このセットのより多くのカードに「ドラゴン」という言葉を入れることと、リミテッドで「ドラゴン部族」のようなものを感じさせることです。しかしデベロップの段階ですぐに分かったことは、このサイクルは全く現実的ではないということでした。書いてあることはクールなのですが、ドラゴンで攻撃するようになるころにはもう十分な報酬を得ているのです。そのクリーチャーが十分な価値を生み出すことは稀でした。我々はセットの部族の構成要素に見られたようなものを考え直し、試すことを迫られました。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_DragonTempest.jpg

龍の大嵐》 アート:Willian Murai

部族の異なった方法

 ここに、未解決の大問題が残されました――我々はどのようにしてドラゴンを重要なものにすればいいのでしょう? デザイン段階で、我々はドラゴンをコントロールしていると効果が大きくなるソーサリーを考え出しましたが、先程のクリーチャーの抱えていた問題と同じように、ドラゴンがプレイされているならもう呪文に書かれている些細な強化は大して重要でないように感じられました。例えば、4マナで1/1の兵士を3体出して、ドラゴンがいると5体になる呪文があるとします。これはすごいものなのですが、ドラゴンを唱える時までそのカードを構えることは嫌な気分になります――そしてそのドラゴンが死んだら、本当に最悪な気分です。

 デベロップ・チームは、デザインがしばしば「《Infernal Spawn of Evil》空間」と呼ぶデザイン空間へと進むことになりました。これは、ドラゴンが戦場にいるのとは対照的に、手札にドラゴンがあることで強化される呪文です。これはつまり、『タルキール龍紀伝』のリミテッドを「俺の素敵なドラゴンが出てくる前に俺を殺せるかな?」というゲームにすることができるということです。これらのカードはゲーム序盤に手札にある5マナ、6マナ、7マナの生物から利益を得るだけでなく、対戦相手を「気をつけたほうがいいぞ、アタルカはお前を狙ってるぞ」と脅すことの両方を可能にしました。

 このサイクルによって、我々は構築フォーマットでとても強力であるが、かなり独特なデッキ構造を要求するカードを作り出すことが可能になりました。《雷口のヘルカイト》や《嵐の息吹のドラゴン》のようなカードはスタンダードでプレイされましたが、ドラゴン・コントロールをスタンダードで機能させることを推す最良の方法の1つは、コントロール・デッキでドラゴンをフィニッシャーとして使うことに前向きならば本当に本当に強力となる、《シルムガルの嘲笑》のようなカードを作り出すことでした。これにより、実際に「ドラゴン公開」サイクルはコントロールやランプなどの、我々が最も龍を使ってほしいデッキに向くものになっています、

空の掟への足がかり

 デザイン初期に、私は重いコストを払って生け贄に捧げるとドラゴン・トークンが出る、このセット用のアンコモン2色土地を考えつきました。こんな感じです。

龍の土地
タップ状態で戦場に出る。
をあなたのマナ・プールに加える。
、[カード名]を生け贄に捧げる:4/4の無色のドラゴン・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。

 これの目的は単純で、2色土地をこのセットのテーマと結びつけることです。龍、龍、龍です!

 これらの土地は、私自身やデザイン・チームにはエキサイティングに思えましたが、我々がこのセットを作る上でいくつかの大きなデベロップ的問題を引き起こしました。まず最初に、これらは実際にこのセットのすごいドラゴンを唱える助けにはなりませんでした――それらはドラゴン・部族を少し機能させただけでした。次に、我々はデベロッパーがこれらのカードの強さを心配する一方で、経験のないプレイヤーがこの土地が弱いと不満を抱くことに気がつきました。これは素晴らしい点にはならず、我々が推したいものでもありませんでした。

 土地はその性質上、特にリミテッドにおいて機会費用が極めて低いものです。あまり魅力がないように見えて、しかし脅威的に強いという状況をしばしば起こすため、バランスを取ることは我々にとって非常に困難です。ドラフトをするときに、22~23枚のプレイできるカードを急いで集めなければならない状況に陥る頻度はどれくらいでしょうか? 大抵、相当数は他のカードをカットしようとしているものです。つまり、デッキに入れようと思う土地は、カットしようかどうか悩むようなものよりずっと良いものであるということです。リミテッドにおいて強力な土地は、リミテッドを我々が普通に満足する以上に歪めてしまうだけなのです。

 もしドラフトで好きな数のタップイン2色土地を使えて、かつ2色デッキに有利な点がないとしたら、私は23枚を選ぶことなく、多くの場合4色以上をプレイするでしょう。デッキの速さと色の依存度によってはもっと多くなるかもしれません。『タルキール覇王譚』のタップインして1点ライフを得る土地のサイクルは私がドラフトで高く評価するのに十分以上のものであり、取ることのできた色が合っている土地をほとんど全て使うことに満足しています。龍の土地は似たような利点をもたらしますが、たまに勝負に関わってくる1点のライフ獲得ではなく、まったく別の強力な勝ち手段を提供します。土地が巨大な回避能力を持ったクリーチャーに変われば必然的に勝つため、相手を消耗させてトップデッキ勝負に持ち込む遅いデッキへ集中してしまう結果になりました。

 これらのカードを機能させるための回答は、これらを土地ではなく、『タルキール覇王譚』の戦旗に似たものにすることでした――しかしカード1枚に変えるのではなく、それらをドラゴンにして攻撃やブロックに使うことができるのです。

 これらの恩恵は、美的な対称性を除けば、戦旗が3ターン目に変異を唱えたくないプレイヤーがより強力な呪文を唱えに行くことを助けるのと同様に、実際にドラゴンを唱えることを助けることです。つまり、より多くの龍の土地を出すまで2つのデッキが削り続けられるよりも、むしろドラゴンが逆転勝利をもたらすために降臨することでゲームが決まるようになるということです。そしてこれらの碑は(土地のスロットに数えられないため)はるかに大きな機会費用を持っているので、リミテッドでこれらが落ち着ける場所を探す我々にとって、十分に満足行くものになっています。

 今週はここまでです。来週は命令サイクルのバランス調整についてお話しします。

 ではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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