命令の作成

更新日 Latest Developments on 2015年 4月 17日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_AtarkasCommand.jpg

アタルカの命令》 アート:Chris Rahn

 我々が各セットで行おうとしていることの1つとして、全てのタイプの人々のためにたくさんのカードがあるようにすることがあります。全体として、ドラゴンはマジックで最もスパイク向けなカードというわけではありません。つまりこのセットには、ドラゴンをデッキに入れることに夢中ではないような人向けのものを加える必要があったということです。この種のカードの代表例の1つが、似たような問題を抱えた部族セット『ローウィン』にあった最初の命令サイクルでした。我々は、部族をやりたくないプレイヤーにも興奮するものがあるようにしなければなりません。『ローウィン』で我々の出した答えの1つは、その選んだ色ならどんなデッキにも入れることができる命令サイクルを作り、最もスパイク寄りなプレイヤーがこのセットでクールなものとして挙げられるカードを提供することでした。

 最初期にあったこれらのカードの選択肢の1つは、単色から2色の金色のカードにするというものでした。これは実際に元々「帝国」と呼ばれていた(これらは後で隆盛サイクルに変わりました)氏族の動きを現す『タルキール覇王譚』のカードを反映させようとする試みとしてデザインで起こりました。これらの元々のメカニズムは厳密には命令ではありませんでしたが、わずかな違いでした。いつかまた試そうと計画しているものなので、これらがどのような動きをするかは説明できません。これらのカードを少し簡略化して金色の命令にできると決定したのはデベロップの段階になってからでした。

 最初の命令サイクルに匹敵するようにすることは難しい課題でした。これらのカードは強力かつ象徴的でした。これらに匹敵するようなものを作ることは難しく、特に『命令』という単語を使うと分かっているならなおさらです。そんなわけで、我々はこれらのカードをバランスが取れたものにするだけでなく、プレイヤーの期待に応えるだけの十分な強さと楽しさが必要であると分かっていたので、このセットに取り組む上で多くの慈愛と心配を抱えることになりました。今日の記事では、我々の思考過程のちょっと深いところを探査します。願わくば、これらのカードがなぜこのようになったかについてのより良い理解を得ていただけたらと思います。

色のバランス調整

 これら金色の命令サイクルを作るときに我々にとって重要だったことは、それらのための妥当なパターンを見つけることでした。『タルキール覇王譚』の魔除けを作ったとき、我々はそれぞれの色の効果を1つのモードにしました。『ラヴニカへの回帰』ブロックの魔除けを作ったときは、我々はそうではなく以下のようなパターンを使いました。1色目の能力、どちらかの色でできる能力、2色目の能力です。これらの命令を適正にするということは、適正なパターンを見つけ出すということであり、さらには個別の命令に適用するだけでなく、命令間の正しい色のバランスを見つけるようにするということです。

 命令サイクルの理想としては、ほとんどを単色の効果のために使われるよりも、プレイヤーが各色の能力を1つ選ぶ傾向にあったほうが最もよく機能するだろうということが言えます。つまり、それぞれの命令が使われると予想されるデッキにおいて機能する力を提供するための手段を見つける必要があるということです。

 例として、2つの緑の命令を見てみましょう。

 これらのカードを使いたいデッキの種類と、それらのデッキが使える広い種類の効果の中で我々が与えることのできた最高のものへの感触に基づいて、緑の効果を分けようと試みて、我々が考え出したものです。

 我々は赤緑やティムールのデッキが白緑やアブザンよりもアグレッシブだと考えていました。その原因の一部は、命令の2色目の使われ方によるものでした。例えば《アタルカの命令》では、赤の部分はコントロールやミッドレンジに止めを刺したり、それらのデッキがライフを獲得して苦境から脱することを阻止します。我々はこのカードに、ゲーム序盤に《嵐の息吹のドラゴン》のようなクリーチャーやサルカンを加速して出すための土地を出す能力をつけ、そして空襲から身を守るために、もしくは超効果的なフィニッシャーを作り出すために。あなたのクリーチャーに+1/+1と到達を与える能力をつけました。

 白緑デッキに必要なものを見てみたとき、我々は白緑に勝つために入れる除去のための黒を減らしたいデッキや、既に除去を持っているアブザンにも、他の種類の脅威に対処できる幅広い用途を持つものを与える何らかの方法を求めました。《ドロモカの命令》では、白の部分はあなたのクリーチャー(もしくはあなた自身)が全体除去によって殺されることを防ぐことと、『テーロス』ブロックの多くの強力なエンチャントに対処に優れています。しかし我々は、この命令の緑の部分にもっと一般的な脅威に対処する方法を求めたので、相手のブロッカーを乗り越えるために+1/+1カウンターを1つ置く能力と、格闘を与えました。

選択を作る

 人々は強いカードを好みます。そのようなカードが、時につまらないゲームを作り出すとしてもかなりの部分で真実です。《謎めいた命令》を唱えるのは楽しいことですが、カードとしては我々がスタンダードで印刷する大部分のものよりも強力です。最初の命令サイクルに匹敵すると期待するカードを作るときに、我々は最初のサイクルを楽しくしていた選択の決定を作り、しかしスタンダードを圧倒しないような方法で維持する必要がありました。そしてこれは1組のモードの組み合わせだけに偏らせず、多様性に有益になるようデザインを注意して行うことが重要です。

 例として、こんな命令を思い浮かべてください。


2点のライフを得る。
クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
カードを2枚引く。
土地1つを対象とし、それをタップする。

 このカードがとても強力であることは否定しませんが、実際のところ非常に面白くないものです。問題は、その効果が強さの観点から上手く機能しないことです――クリーチャー破壊とカードを引く効果が、土地をタップすることとライフ獲得よりもずっと強力なのです。弱いほうの2つの能力を使うであろう状況は確かにあるかもしれませんが、95%の状況で強いほうの2つの能力が使われるのでは、正当化の言い訳にもなりません。

 これら新しい命令サイクルのデザインとデベロップすることの一部は、お互いにそれぞれバランスの取れた効果を見つけるだけだけでなく、人々に異なる選択を選ぶのに十分な機会を提供することです。全てのモードが完全に同じ強さになることは起こりえませんが、我々は少なくとも全てがかなり近い割合で使われる能力を探すことはできます。

 例として《シルムガルの命令》見てみましょう。

 これらのモードは正確に同じ強さではありませんが、状況によって強さが異なります。例えば「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-3/-3の修整を受ける。」は、理論上「プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する。」よりもずっと多く選ばれますが、これらは両方とも十二分に使われ、プレイヤーが《シルムガルの命令》で何らかの選択をするのは日常的なものになるでしょう。

正しい対象を見つける

 対象を取るモードと取らないモードを組み合わせることの問題は、プレイヤーが除去の可能性を考えて次善の選択をするか、ミスをして手痛い目にあうかのどちらかになることです。《変わり谷》を対象にした《原初の命令》でクリーチャーを探そうとした人はいるでしょうか。うえー。

 それを避けるため、我々はデザインで全てのモードが対象を取るか、全く取らないかのどちらかにするという規則を設けました。ほとんどの命令はデベロップを通してもそれは真実でした――しかし《オジュタイの命令》は最終的に、少し面白くなくなるものの「全てのクリーチャー呪文を打ち消す」を失い、墓地からクリーチャーを戻す能力を得ました。

 我々がこの規則を作ったのは、それがゲーム・プレイを改善すると信じていたからです。これは大きな変更ではありませんが、我々は命令サイクルがこのセットの主要なカードのうちの1つであると考えています。そして確かに、我々が作り出した龍の関係ないカードのうちのいくつかであり、人々がこれらに機能してほしいように機能することが重要です。これはこのカードのパワー・レベルにとっては大きな変更ではありませんが、関係する全ての人が満足する方法でプレイすることに、とても大きな役割を果たします。そして究極的な我々の目標は、スタンダードに加えるカードが、これを唱える人々だけでなくマジックを全体としてより楽しくするようにすることです。

 今週はここまでです。来週は我々の『タルキール龍紀伝』フューチャー・フューチャー・リーグのメタゲームがどのようなものであったかについてお話しします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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