『テンペスト』に関する20の秘密

更新日 Making Magic on 2015年 4月 27日

By Mark Rosewater

Working in R&D since '95, Mark became Magic head designer in '03. His hobbies: spending time with family, writing about Magic in all mediums, and creating short bios.

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 『Tempest Remastered』特集へようこそ! 今週は『テンペスト』について語っていくことになる。『テンペスト』といえば私が初めてリード・デザイナーを務めた、非常に思い入れが深いセットだ。そこで、諸君が知らないであろう小さな事実をいろいろと語っていくことにしようと思う。『テンペスト』についての話は、最初の『テンペスト』特集(In a Teapot(リンク先は英語))や1997年に『テンペスト』を世に出した際にThe Duelist誌で書いたデザインに関する記事(Before the Storm(リンク先は英語))でも読むことができる。今日話す事実の中のいくつかはこれらの記事の中でも触れているが、間違いなく今日の方が広い話になる。


事実#1:『テンペスト』はスキー場のリフトの上で始まった

 私の父のジーン/Geneはカリフォルニア州タホ市に住んでいる。昔、開発部ではよく私の父の家に行き、スキーを楽しんだものだ(そして時にはマジックのセットを手がけることさえもあった。『インベイジョン』の初期デザインも私の父の家で行われたのだ)。我々は毎日スキーをし、毎夜マジックその他のゲームをした。私の父は長年のゲーム・プレイヤーで、私に誘われてマジックをしていたので、彼は私たちの訪問を本当に喜んでいたのだ。一度、マジック関係者みんなで飛行機で父の家に向かったときなどは、もしこの飛行機が落ちたらマジックに大打撃になるなんて言っていたことを覚えている。

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カル・シスマのビヒモス》 アート:Evan Shipard

 スキーに行ったことがない諸君のために説明すると、スキーで滑り降りてくる前にはその坂を上らなければならない。そのためのもっとも一般的な方法が、リフトと呼ばれる乗り物に乗ることだ。動くケーブルにつり下げられた椅子で、2人乗りのことが多い。ある日、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldと私の2人でリフトに乗った。長いリフトだったので、30分以上も話すことができたのだ。リチャードは私に、マジックでやり残したことがある(この時点で彼が最後に手がけたセットは、それから何年も前の『アラビアン・ナイト』だった)と言い、新しいカードやメカニズムの発想を語ってくれたのだ。私は、セットのリード・デザイナーになりたいと思っていることを告げた。私はデザイナーでなくデベロッパーとして雇われており、私にデザインの能力があることを示したいと思っていたのだ。リチャードは、もし私がリード・デザイナーを務めるなら、喜んでそのチームに入ると言ってくれた(『ジャッジメント』を除くと、『アラビアン・ナイト』の後でリチャードが参加しているすべてのマジックのデザイン・チームで私がリード・デザイナーを務めているのだ)。

 当時の主席デザイナーはジョエル・ミック/Joel Mickという男で、そして社内で初めてデザイン・チームを作ろうという計画があることは知っていた。そう、このときまではマジックのセットのデザインはすべてフリーランスの手によるもので、開発部外でおこなわれていたのだ(ただし、そのフリーランサーの中には後に開発部所属になった者もいる)。私はそのデザイン・チームのリード・デザイナーになりたいと思っていたが、そのためには「やりたい」というだけではない何かが必要だとわかっていた。リチャードが、私のデザイン・チームに入ってくれると言ったのは、まさにその好機だった。私はジョエルの元に向かい、もしリード・デザイナーをやらせてくれたならリチャードがデザイン・チームに入ってくれると言っていると告げた。よしっ! 大成功だ。


事実#2:『テンペスト』の初期デザインは、ポートランドのリチャードの両親の家で行われた

 もちろん、あの当時はそれぞれの両親の家に訪れることがあった。リチャードをチームに迎え、私はほかに2人のメンバーを迎えていた。マイク・エリオット/Mike Elliottとチャーリー・カティノ/Charlie Catinoだ。マイクは同僚のデベロッパーで、本当はデザイナーであるということを証明したいと思っていたし、カードやセットの発想を多く持っているとわかっていた。チャーリーは最初のプレイテスターのうちの1人で、リチャードの親友だった。私は1週間ほどの合宿を組み、初期デザインをしたいと考えていた。リチャードは車で数時間しか離れていない、ご両親の家を紹介してくれた。リチャードのご両親はとてもいい人で、素晴らしい歓待をしてくれたのだった。


事実#3:デザインの最初の週、デザイン・チームはひげを剃らなかった

 誰が言い出したのかは覚えていないが、仲間意識を示すため、私たちは初期デザインを終えるまでひげを剃らなかった。毎朝、全員のひげがどうなっているのか見比べていた。チャーリーは化け物のようなひげで、2日で完成するほどに伸び続けていた。その週の終わりには、我々4人が4人とも、いくらか立派なひげを蓄えるに到っていた。私がドアを開け、当時の彼女にして今の妻であるローラ/Loraに顔を見せると、彼女は「今すぐソレを片付けましょう」と言ったのだった。


事実#4:『テンペスト』の要素の多くはマイクがそれまでにデザインしたセットから来ていた

 マイク・エリオットは(南西部のどこか、多分フェニックスでの)ゲーム大会でジョエル・ミックと出会った。2人はマジックについて話し合い、そしてマイクは『Astral Ways』という自作エキスパンションをデザインしたことがあると言ったのだ。当時は今ほど規則も厳しくなかったので、ジョエルはマイクのセットを見ることができた。ジョエルはそれを気に入り、そしてその出会いを受けてマイクは開発部に雇われることになったのだ。

 私がマイクを『テンペスト』のデザイン・チームに入れたとき、マイクは私にマジックの自作エキスパンションを持っていて、使いたい要素があると言ってきた。採用された大きな2つのものは、スリヴァーとシャドー・メカニズムであり、それらの名前も「スリヴァー」「シャドー」であった。もう1つのメカニズムもいったんは採用したが、後に除かれた。そのメカニズムは別のマジックのセットで使われることになるが、それについては項を分けよう。


事実#5:シャドーの名前は二転三転した

 『Astral Ways』には、飛行を調整したシャドーという能力が存在していた。シャドーを持つクリーチャーは、シャドーを持つクリーチャーしかブロックできず、またシャドーを持つクリーチャーにしかブロックされない。この能力は白、青、黒にだけ存在する。白のカードに「シャドー」という名前はふさわしくないと考えて、我々はそれを「霊体/Astral」と改めた。しかし、この名前はうまくいかなかった。なぜなら、それと同時期にマイクロプローズ社からマジックを題材にしたコンピューターゲームが出ており(これがシャンダラーという次元の初登場である)、そのゲームのオリジナルカードが存在していた(無作為の効果を生み出すなど、デジタルでなければできないものだった)。これらのカードのことを『Astral Set』と呼んでいたのだ。

 その後、我々はこの名前を「天上の/Etheric」とした。これは「空間の上方」という意味である。編集から、それは形容詞であって、クリーチャーに能力を与えるのであれば名詞でもあるほうが望ましい、という理由で待ったがかかった。また、この単語は不明瞭なものであり、フレイバーを伝えるのには不十分である。これについてしばらくもめた。デザイン・チームは「シャドー」に戻そうとしたが、これにも反対意見があった。『テンペスト』の直前のセットである『ウェザーライト』に、《影の乗り手》というカードがある。これはシャドー能力を持っていない。名前で混乱するのではないかというのだ。我々は様々な単語を試したが、どれもしっくりこなかった。結局、最善の候補である「シャドー」に戻すことにしたのだった。


事実#6:『テンペスト』は毒を大テーマにする予定だった

 私の文章の愛読者たる諸君は、私が毒の大ファンだと承知のことだろう。そうなれば、私が初めてリード・デザイナーを務めるとなれば、その機会に毒を大テーマにしようとするのは当然である。この時点で、毒はマジックから失われていなかった。最後の毒カードは『ビジョンズ』に存在しており、わずか2セットしか経っていなかった。そこで、毒をセットのテーマにするという発想は賛否両論だった。

 ファイルが完成したとき、毒関連のカードは60枚以上あったと記憶している。デベロップが続くにつれて、その数字は次第に小さくなっていき、最後にはたった1枚だけを残すだけになった。その後、開発部は毒をマジックから取り除くという決定を下し(私はもちろん少数意見だった)、そのカードも取り除かれることになったのだ。その後、私は『Unglued 2』で毒テーマを扱おうとしたが、この『Unglued』の続編が印刷に到ることはなかった(このあたりの話は「アンの視点」「アンの視点・その2:エレキ・ブーガルー」で詳しく触れている)。後に『未来予知』で少し姿を見せた毒は、最終的に『ミラディンの傷跡』ブロックで大復活を遂げることになる。


事実#7:『テンペスト』の最初のコードネームは、毒テーマからつけられた

 最初に、マイク・エリオットはこのセットに「ボガヴァティ/Bogavhati」というコードネームをつけた。ボガヴァティ(正しくはBhogavatiだが、マイクが綴りを間違えたまま直されることはなかった)はヒンドゥー教の神話に出てくる場所で、ナーガや毒蛇の住処である。つまり、このセットは毒蛇の土地にちなんで名付けられた毒のセットだったのだ(今はコードネームはそのセットの内容に関係しないように選ばれることになっている)。このカード・セットでコードネームに関係しているものはカード《ヴァティ・イル=ダル》に見られる。彼はプレデターの副司令官で、ウェザーライト号の上空を飛び、ジェラードと彼の上官のグレヴェン・イル=ヴェクを両方とも殺そうとしたのだ。グレヴェンはプレデターに戻り、次の3枚のカードに描かれたようにヴァティを遇したのだった。


事実#8:カード名の「イル」や「エン」には意味がある

 グレヴェン・イル=ヴェク、ヴァティ・イル=ダル、ヴェクの巫女。ラースには3つの部族、コー、ヴェク、ダルがある。名前の中で、2つのことが示されている。どの部族の一員か、ということと、その部族で評価されているかどうか、ということである。「エン」は評価されていることを、「イル」は嫌われていることを示している。つまり、悪役がみな嫌われており、それぞれの部族から追い出されているということを示しているのだ。編集に興味がある諸君のために説明しておくと、『テンペスト』のスタイルガイドにおいて、「イル」や「エン」は斜体で書かれている。また、この地の神話では、この3つの部族すべてを結びつける人物が現れるとされており、その名は「コーヴェクダル」(3つの氏族の名前を連ねたものだ)だという。《ヴェクの巫女》は、ジェラードがそのコーヴェクダルだと信じていた。


事実#9:『テンペスト』のコーはゼンディカー出身である

 ラースは人工の次元である。従って、他の次元から住人は運んでこられたものだ。中には完全に作り出されたものもあるが、一部はその出身次元とラースの中間でさらわれている。それらの、中間でさらわれたクリーチャーはシャドー・クリーチャーであり、そのために通常のクリーチャーとやりとりをすることができないのだ。コー、ヴェク、ダルはそれぞれ別の世界から来ているということがわかっている。我々がゼンディカー世界を設定しているとき、クリエイティブ・チームの誰かがクールなことを思いついた。コーがゼンディカー出身というのはどうだろう。この発想について話し合われ、そして誰もが気に入ったので、コーは公式に出身地を得ることになった。


事実#10:スリヴァーの物語

 コー、ヴェク、ダルと同じく、スリヴァーもラースが元の出身地ではない。スリヴァーは、スリヴァーに魅了されたヴォルラスの手によって運ばれてきた。ヴォルラスがスリヴァーを気に入ったのは、自分と同じシェイプシフターだからである。《メタリック・スリヴァー》はヴォルラスがスリヴァーを探るために作ったものであり、だから『テンペスト』で唯一能力を与えないスリヴァーなのだ。

 スリヴァーについて一番面白いのは、スリヴァーは、十分近ければ、情報を共有する能力を持っているということである。たとえば、《有翼スリヴァー》は変形して翼を手に入れる方法を知った。そしてこれが他のスリヴァーと近づいたなら、その情報が共有され、他のスリヴァーも変形して翼を手に入れ、飛行することができるようになるのだ。ただし《有翼スリヴァー》が遠ざかったら、その情報が共有されなくなるので、もうその変形もできなくなる。この物理的な距離はそれほど長いものではない。物語上では、ウェザーライト号のメンバーはこの知識を使い、ヴォルラスの要塞に潜入を試みるべく《ラースの灼熱洞》を通り抜ける間、スリヴァーの攻撃を止めたのだった。

 スリヴァーの元いた次元がどこなのかは、まだ知られていない。


事実#11:ラースの名前は《ラースの死の奈落》というカードから来ていた

 デザイン中に、我々はダメージを受けたクリーチャーすべてを殺すエンチャントを作り、そのカードに《ラースの死の奈落》というクールな響きの名をつけた。マイク・ライアン/Mike Ryanと私が『テンペスト』のストーリーを手がけた際、我々はどちらもこのカード名が非常に気に入っていて、この次元の名前をそのまま「ラース」にしよう、ということにした。その直後、私は、「じゃあ《ラースの猿人》というカードを作らないと」と言い、そして作ったのだった。


事実#12:『ウルザズ・サーガ』のキーワード・メカニズム2つはどちらも最初は『テンペスト』にあった

 マイク・エリオットの『Astral Ways』から『テンペスト』のデザインに採用されたもう1つのメカニズムとは、次元ずれ/planeshiftというメカニズムだった。諸君はおそらく、「エコー」という名前でよく知っているかもしれない。エコーはマナを(半分づつ)2ターンに渡って払うというメカニズムだ。リチャード・ガーフィールドは、滑動/slidingという名前のメカニズムを作った。このメカニズムは後に「サイクリング」に改名されるもので、マナを使って手札のカードを新しいカードと換えるというメカニズムだ。

 詰め込みすぎのデザインにデベロップが手を加えて、エコーやサイクリングなどのメカニズムを丸々取り除いた。マイク・エリオットはこれらのメカニズムを気に入っていたので、翌年の大型セットでリード・デザイナーを務めた時に採用したのだった。


事実#13:『テンペスト』のためにデザインされたカードのうち2枚は『テンペスト』より前に世に出た

 引いたときに誘発するカードを取り除いた後、我々はそれと同じような雰囲気を持つカードを作るために時間を費やしていた。最終的に、我々は「戦場に出たとき」の効果を持つカードをいじることにした(この時点ではまだ『ビジョンズ』のデザインを見ておらず、すでにその道が踏破されていることは知らなかったのだ)。ビル・ローズはこれらのクリーチャーの中の1体である《グレイブディガー》を非常に気に入り、最初の『ポータル』に投入したのだった。

 私は、〈3回使える真鍮の都〉というデザイン名で《宝石鉱山》を作った。色を出す時にダメージを受けるのではなく、使える回数が決まっているというのはどうか、というのが元の発想だった。『ウェザーライト』の土地がデベロップで削られ、どうしてもその代わりになるカードが必要だった。先に出るセットは後のセットから奪うことができるというのがルールの1つなので、『ウェザーライト』は《宝石鉱山》を取って印刷したのだった。


事実#14:《ふにゃふにゃ》は〈つっつき/Poke〉と呼ばれていた

 冗談交じりのデザイン名というのは伝統である。《ふにゃふにゃ》は赤のバイバック呪文で、クリーチャー1体かプレイヤー1人に1点のダメージを与えるというものだった。これのデザイン名は〈つっつき/Poke〉で、「おまえをつつく」というような言い回しが大好評だった。ちなみに、これはFacebookができる何年も前の話だ。


事実#15:バイバック・コストはもともとすべてだった

 カードをキャントリップにしたければ、コストが不特定2マナ重くなる、ということは初期からわかっていた。そこで、バイバックのコストを決める際に、我々はこれを元に「これで追加のカードが手に入るわけで、追加のカードはだとわかっている。つまりバイバック・コストはであるべきだ」と言ったのだ。

 これでしばらくプレイしてみたところ、ひどく壊れているということがわかった。キャントリップは確かにだが、それで得られるカードは無作為で、4割ほどは土地になる。バイバックの場合、手に入るカードは無作為ではない。《ふにゃふにゃ》を使ってバイバックしたなら、必ず《ふにゃふにゃ》を手に入れられるのだ。

 バイバック・コストを重くしていったが、それでも不十分だとわかるたびにショックを受けた。ある時点では《ミューズの囁き》のバイバック・コストはに達していたが、最終盤になって、我々はそのコストをに引き下げたのだった。


事実#16:授与によく似たリシドの別案が存在した

 マイク・エリオットと私はそれぞれ、クリーチャーであったりエンチャント(クリーチャー)であったりするカードのサイクルをデザインした。マイクの作ったものはリシドだった。私のものは少し違っていた。

〈飛行服/Flight Suit〉

エンチャント ― オーラ
エンチャント(クリーチャー)
あなたが[カード名]を唱えたとき、あなたはこれを生け贄に捧げてもよい。そうしたなら、2/2の青の[名前]・クリーチャー・トークンを戦場に出す。
エンチャントされたクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともに飛行を持つ。
(訳注:日本語訳は現代のテンプレートに合わせています)

Flight Suit
2U
Enchant Creature
When you cast CARDNAME, you may sacrifice it to put a 2/2 blue NAME creature token into play.
Enchanted creature gets +2/+2 and has flying.

 私のサイクルのカードは、唱えるときにクリーチャーかエンチャント(クリーチャー)かを選び、戦場にある限りずっとそのままというものだった。マイクのサイクルの方が複雑だということはわかっていたので、先に試してみることにした。リシドはそのままセットから取り除かれることはなかったのだ。


事実#17:《凶運の彫像》はもともとブロック・サイクルの一部だった

 凶運三部作は、もともとの計画では、コントローラーに不利益になることをするもので、クリーチャーを生け贄に捧げることで対戦相手に押しつけることができるというものだった。もしこの3つをすべて同じプレイヤーに同時に押しつけたら、それで殺せるようなものとしてデザインされていた。これらの品物は物語にも組み込まれていた。しかし、『ストロングホールド』と『エクソダス』の間で、私はこの物語を破棄することになり……凶運というネタが削除された。そうして、3枚目の凶運カードは『エクソダス』から取り除かれたのだった。


事実#18:ヴォルラスの兜は《精神隷属器》になる予定だった

 私は『テンペスト』に入れる、特別に魅力的なアーティファクトを探していた。そして見つけた。ヴォルラスは、他者の精神を操ることのできる兜を持っている。対戦相手のコントロールを奪えるとしたらどうだろうか。私は気に入っていたのだが、開発部の他のメンバーは懐疑的だった。さらに、対戦相手のコントロールを得たなら単にマナ・バーンを起こさせて死なせるだけじゃないか、という問題もあった。私はこのカードをなんとか残そうとしたが、最終的には却下された。すでにアートはできていたので、我々はこのカードをクリーチャー1体のコントロールを得るものに変えた。数年後、私は『ミラディン』をデザインするにあたり、このカードのことを思い出してもう一度取り組んでみたところ、今回はもっとうまくいった。


事実#19:私が初めてデザインしたカード2枚はどちらも『テンペスト』に採用された

 私はコントロール・デッキが苦手で、コントロール・デッキには天敵となるカードが必要だと感じたので、《スクラーグノス》をデザインした。私の解決策は非常に直接的なもので、単に打ち消されないというものだった。《二枚舌》は、私がジョニー魂を発揮して、2組目の手札を手に入れるカードを作ろうとしたものだ。私の初期のデザインすべてを『テンペスト』に投入したのだが、最終的に残ったのはこの2枚だった。《スクラーグノス》は競技マジックでも見られるカードになったが、《二枚舌》は……まあ、勝利には結びつかなかった。


事実#20:アートの中に隠された物語

 これは《番犬》というカードである。私はこのデザインは今も気に入っているが、ここで話したいのは諸君のだれもが気づいていないある事柄についてなのだ。アートをよく見てもらいたい。《番犬》のそばにターンガースが隠れているのがわかるだろうか? ターンガースは、ウェザーライトを攻撃した直後のプレデターに飛び乗り、カーン、シッセイ、タカラを助けに潜入する。後に囚われることになるが、このアートの中の彼は効果的である。このターンガースに気づいている人はほとんどいないようだ。

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_Watchdog.jpg

番犬》 アート:Richard Kane Ferguson


嵐の後の静けさ

 この記事を読んで諸君が『テンペスト』についていくらか知ってくれたなら幸いである。いつもの通り、この記事への意見を聞かせてほしい。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『モダンマスターズ 2015年版』のプレビューが始まるときにお会いしよう。

 その日まで、あなたの初期の作品を振り返る楽しみがあなたとともにありますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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