闇の魂

更新日 Reconstructed on 2014年 7月 8日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 何? 6マナ?

 《嵐の息吹のドラゴン》や《世界を喰らう者、ポルクラノス》といったカードが跳梁跋扈する環境で、それでも6マナのカードを使いたいなら、高い効果が期待できるような、よほど良いカードにコストをかけたいところだ。例えば、《太陽の勇者、エルズペス》ぐらいには匹敵するものが欲しいね。

 さて、構築で6マナのカードが活躍するには何が必要だろうか? 今回のプレビュー・カードは、活躍を期待させ、また興奮たらしめるものだろうか。

 そうだな、活躍するにはまず手始めに、サイズが大きくなければならないだろう。それを唱えることで相手の攻撃を押しとどめ、それ以上ライフを削られないようにできるかどうか。そして、その返しのターンで大打撃を与えられるかどうかが重要となる。

 プレビュー・カードは大きいかって? ああ、もちろん。

 だけど復帰力についてはどうだろう? たとえ出してすぐに除去されたとしても、まだ何かできる、というのも大事なところだ。スタンダードには数多くの除去があるが、仮に《究極の価格》を打たれたとしても、何らかのメリットが欲しい。

 そうだ、プレビュー・カードには復帰力もある。より正確に言えば、このカードは他のカードの復帰力を高める助けにもなる。

 まだ耳にしたことがなかったかもしれないが、『基本セット2015』には次元の魂をテーマにした新たな6マナサイクルがある。そして今、その中でも最も愛されている次元の1つ、黒の魂を見るときだ。ご紹介しよう。〈イニストラードの魂〉だ!

 ようし、もうちょっと詳しく分析していこう。

 まずは基本的なところから始めよう。これは6マナ6/6だ。もちろん「大きさ」という要望を十分に満たしていて、我々の興味をそそる。十分に、は言いすぎだとしても、このサイズを前にした対戦相手は劣勢に追い込まれるだろう。さらに接死もいいボーナスで、例えば2体ブロックでこれを倒そうとする相手にとっては、悩みの種になる。だがそれだけでは、とても良いカードだというには遠すぎる――これが持っている別の能力が、このクリーチャーをまったく新しい段階へと引き上げるんだ。

 〈イニストラードの魂〉を出した返しに除去を撃てなければ、対戦相手がそのゲームを取り返すのは相当難しいだろう。

 5マナを支払って能力を起動すれば、基本的にカードを3枚引ける。そしてそれはランダムな3枚ではなく、その時点で最も活躍してくれるであろうクリーチャー3枚を確実に選べる。さらに3体のクリーチャーを相手にしなければならなくなるのだから、〈イニストラードの魂〉をすぐに除去できないというのは対戦相手にとっては不幸の前触れだね!

 しかし、コストの高いカードを検討する際にしばしば要求される、復帰力という大事な要素を実際に提供してくれるのは、また別の能力なんだ。

 次の事実をよく覚えておいてくれ。対戦相手が〈イニストラードの魂〉をすぐに除去してきたとする――それでも、カードを3枚入手できる。

〈イニストラードの魂〉 アート:Adam Paquette

 対戦相手が除去を大量に抱えている状況だとしよう。確かに相手はそのうちの1つを〈イニストラードの魂〉に使うかもしれないが、それでも再展開するためのクリーチャーを3体入手できる。そしてその動きは、他の似たようなカードとは異なり、〈イニストラードの魂〉が戦場に出なくてもいい。つまり、打ち消されてもかまわない! 〈イニストラードの魂〉は消耗戦にもってこいだ。

 さて、このカードはどんなデッキに向いているんだろうか? ここに、〈イニストラードの魂〉を用いる主な手法が2つある。それぞれのやり方を見ていこう!

堂々と戦う

 ……あるいはせめて、他のデッキよりは堂々と。

 どんな感じか、デッキリストを見てもらおう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ゴルガリ・ミッドレンジ」

Download Arena Decklist

 これの本質は黒緑の中速デッキであることだが、ここ数ヶ月で見られていたような一般的なものと大きく変わってはいない。この黒緑中速デッキは、《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》を軸として大きな脅威を素早く展開していくデッキだ。加えて、序盤から圧力をかけていくこともできる。2ターン目の《群れネズミ》は対戦相手にとっての頭痛の種になるだろうし、3ターン目に出る《世界を喰らう者、ポルクラノス》に対しても、相手は回答を探さなければならない。

 だがここに〈イニストラードの魂〉が加わることで、この類のデッキとは一線を画すことになる。

 確かに、戦場に出たときの効果を利用できるのは間違いない。《影生まれの悪魔》や《アスフォデルの灰色商人》を墓地から戻せるのは痛烈だ。〈イニストラードの魂〉の能力で複数の《アスフォデルの灰色商人》を回収すれば、試合を終わらせるのは極めて簡単だろうね。

 しかし、《群れネズミ》のようなカードを使うデッキが持つ問題の1つは、序盤から手札を多く消費してしまうことだ。もし対戦相手が《至高の評決》のようなカードを持っていれば、手札差をつけられてしまうことになる。

 〈イニストラードの魂〉はそんなゲームの状況を変化させてしまう。

 戦場をリセットされた? 大丈夫だ、問題ない。〈イニストラードの魂〉の能力を使って、《群れネズミ》で捨てたカードから3枚のクリーチャーを取り戻そう――問題となっていた《群れネズミ》も一緒にね。

 《ロッテスのトロール》も突然巨大に膨れ上がる! ブロックされなかった? クリーチャーを沢山捨てて、〈イニストラードの魂〉の能力で3枚戻して、もう一度捨てて――9点ダメージだ!

 ああ、ついでに必要なら単なる6/6のフィニッシャーにもなれる。

 さて、このバージョンのデッキでは、その極めて強力な復帰力を用いるために〈イニストラードの魂〉を採用している。だが、これのアドバンテージを十全に生かすデッキについてはどうだろう?

墓地を基本に

 私が〈イニストラードの魂〉を見たとき最初に考えたのは、大量のクリーチャーを墓地に送り込み、〈イニストラードの魂〉をフラッシュバック呪文のように使うことだ。(時にはそのまま唱えることもできる、という利点もある。)そして都合の良いことに、そうするための骨組みがすでにスタンダードにあるというのは驚くべきことだね。

 どんな感じか見てもらおう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ゴルガリの鞭」

Download Arena Decklist

 墓地利用デッキはここしばらくのスタンダード環境と密接な関係にある――そしてついに、満を持して〈イニストラードの魂〉が登場した、と言えるだろう。

 こういったデッキは常に、自分のライブラリーを素早く削っていく優秀な能力が関連してくる。しかし、それぞれの役割のカードをうまくかみ合わせて引けるかどうか、という問題も持ち合わせている。ライブラリーを削るカードばかり引いてしまい、墓地を利用できるカードを見つけられなかったらどうだろう? 1、2枚だけ引けた巨大な《夜の咆哮獣》を全部除去されてしまったら? そうなってしまうと、慈悲なき相手に対して、まずい状況に陥ることになる。もはやライブラリーの一番上を睨みつけて、必死に《エレボスの鞭》を引き当てることを期待するしかなくなってしまう。

 〈イニストラードの魂〉は、このデッキがどう動くかを根本から変革する。今や燃料切れを起こすことはほとんどない!

 大型クリーチャーがデッキに入っているというだけでなく、《夜の咆哮獣》や《定命の者の宿敵》を何度も補充できるため、マナフラッド(土地の引きすぎ)のような状況にあっても除去必須の脅威を繰り出していける。複数の〈イニストラードの魂〉を墓地に落とせば、片方の能力でもう片方を回収し、手札の〈イニストラードの魂〉に対して除去呪文を準備するよう、対戦相手に行動を強いることも可能だ! 最も除去と手札補充が多いであろう黒単コントロールでさえ、このデッキが繰り出す生物の数にはついて来れないだろう。

 メタゲームによっては《漁る軟泥》のような解決策がいくつか出てくるだろうが、今現在はそれほど枚数を割かれてはいない。イニストラードが支配する時だ!


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(7月8日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

モダンと『基本セット2015』

 『基本セット2015』には見るべきものがたくさんある――そのカードを使って、モダンで何ができるようになるのか見ていくのが私は楽しみだ!

 以下が、来週のチャレンジとして送っていただく内容だ。

フォーマット:モダン
デッキの制限:少なくとも1枚の、以前はモダンで使用できなかった『基本セット2015』のカードを使用すること。
締め切り:7月15日(火)午前10時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、reconstructeddecks@gmail.com へメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

decklist
Title: 【あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)】
Format: Modern
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 今週も注記として、デッキは reconstructeddecks@gmail.com に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 さて、『基本セット2015』はモダンに何を加えるのだろう? 私にはわからない――しかし、皆さんが何を考えるのか見ていくことは興味深い。

 それまで、この記事を楽しんでくれたらと思う! 考えたことやコメントがあれば、私へのツイートや、私のTumblrでの質問として気軽に私まで送ってほしい。必ず拝見する。

 今週末の『基本セット2015』プレリリースを楽しんでほしい。どこにでもプレイできる時間と場所があることだろう! 皆さんが箱の中に見つけるであろう大判ガラク・カードは、私が多くの仕事を尽くしたものだから――挑戦を楽しんでみてほしい。後で考えたことを教えてくれ!

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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