出現、巣主スリヴァー

更新日 Reconstructed on 2014年 7月 15日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 本日ご紹介するプレビュー・カードは、伝統のある部族の1枚だ。

 むかしむかし、ちょうどマジックがその地盤を固め始めたころ、あるユニークな部族が「ラース・ブロック」の中心的な役割を演じた――その部族がスリヴァーだ。スリヴァーたちはそれぞれの能力をお互いに共有するという独自の特性を備えていて、それらはたちまちプレイヤーの心を揺り動かした。恐らくマジックにおけるどんな部族よりも、スリヴァーは「部族ならではの楽しさ」を感じさせてくれるだろう。

 その後、私たちは3度にわたってスリヴァーと再び出会うことになった。1度目は『オンスロート』ブロックのときで、その世界の研究者たちがむやみにスリヴァーの研究に手を出したことが原因だった。2度目は『時のらせん』ブロックのとき。スリヴァーたちはマジックの歴史全体から種々様々な能力を獲得することで、過去の時間から飛び出し、また異なる歴史をたどり、そして未来の可能性すらも取り揃えた。そして3度目、ごく最近になって、私たちは昨年の今ごろ『基本セット2014』でスリヴァーたちと再会したのだ。

 さて、『基本セット2014』より以前のスリヴァーには、それぞれに特別なものがあった――5色のスリヴァーだ。だが、最新のものにはそれが失われていた。

 そう今この瞬間までは。

アート:Aleksi Briclot

 私が本日5色のスリヴァーをプレビューすることは、マーク・ローズウォーター/Mark Rosewaterの記事でそれとなく話が出ていたね。『基本セット2014』でせっかくスリヴァーたちが再登場したのだから、私たちはそれらが退場する前に少し力を入れてやって、強力な新スリヴァーを加えたいと考えていた――5色のスリヴァーも含めて。

 まずは過去の5色のスリヴァーをざっと振り返ってみよう。最初は『ストロングホールド』から、この歴史的な1枚だ。

 最初の1枚目。すべての起源。群れの女王。スリヴァーがはじめて姿を見せた直後に現れたこのカードは広くプレイヤーたちに求められ、今日に至ってもその人気はまるで衰えない。当時スリヴァー・デッキの登場が与えた法外なまでに広く強い衝撃には、ただ息を呑むばかりだ。

 そしてもちろん、《スリヴァーの女王》は今でも十分エキサイティングだ。スリヴァー・トークンを生み出す能力は素敵だとも――これ1体でスリヴァーの軍勢を組織できるのだから。だがそれでも、クリーチャーを出し続けるにはマナがかかる。つまり、戦況を左右するようなスリヴァーを手札から戦場へ送り出す助けにはならないのだ。ゲームがかなりの長期戦になるなら有効なことが多いものの、それ以上に特筆すべき目をみはるほどのことはない。加えて、対戦相手が除去呪文を持っていたら、まったく役に立たないことも大いにあり得るのだ。

 本日私が紹介する5色のスリヴァーは、この《スリヴァーの女王》をしのぐ力を持っているだろうか? もちろんだとも。そいつの能力はもっとド派手だぞ。

 それじゃあ、次の5色のスリヴァーに移ろう。

 このスリヴァーが備える能力も《スリヴァーの女王》と似ているが、少し違ったところがある。トークンを生み出すのではなく、かわいいスリヴァーたちをライブラリーから探し手札に加えるのだ。たっぷりと時間をかければ、かなり優れた能力と言える。

 ところが、この能力にもマナがかかる――《スリヴァーの女王》よりさらに多くのマナを要する始末だ。3マナでスリヴァーを探し、その後コストを払って唱えることができるほどの猶予を対戦相手が許してくれるなら、たぶん他の大型クリーチャーのほとんどを繰り出すことができ、より多くのアドバンテージを得られるだろう。能力自体が良いのは間違いないし、統率者戦のようなゲーム・スピードの遅いフォーマットならこの手のカード・アドバンテージを存分に活かせるのだが――それでも《スリヴァーの首領》が他を差し置いてひと際優秀だとは言い難いのだ。(意地悪な対戦相手が、こいつを使って君のスリヴァーを奪うかもしれない。でもそれがどうしたっていうんだ?)

 『基本セット2015』に収録される新しい5色のスリヴァーは、この《スリヴァーの首領》よりも強力なのだろうか? 私は自信を持って「イエス」とお答えしよう。運用に大量のマナが必要な《スリヴァーの首領》と違って、今回のプレビュー・カードは戦場に出るなり、対戦相手にプレイ方針の大幅な変更を迫るぞ――うまく対応できればの話だけどね。

 さて、次は『未来予知』からこれまでで最新の1枚だ。

 《スリヴァー軍団》が恐ろしい力を持っているのは間違いない。その能力によって、戦場に出るなり自軍のパワーを大きく強化してくれる。またこの能力にマナは必要なく、それこそが《スリヴァーの女王》や《スリヴァーの首領》と比べて大きな利点となっている。《スリヴァー軍団》は本日のプレビュー・カード同様、戦場に出てすぐに盤面へ影響を与えるのだ。

 しかしながら、こういったカードはある根本的な問題を抱えている。この能力が真価を発揮するのは、多くのスリヴァーが戦場にいる場合だけなのだ。スリヴァーが元々持つ特性によって、戦場に多くのスリヴァーがいればもうそれだけで最高の盤面と言える。効果は派手で一気にゲームを動かすこともできるけれど、《スリヴァー軍団》の能力は少しやり過ぎな場合が多いのだ。

 本日ご紹介するカードは、この《スリヴァー軍団》の流れを汲むものだ――その上で、ただやり過ぎな能力ではなく、どちらが勝つかわからない勝負を勝利に導く能力を持っているぞ。

 さあ、ここで最後の予想タイムだ。

 もしこの記事が「Buzzfeed」に掲載されるものなら、みんなにクリックしてもらえるようにこんなタイトルをつけるかもしれない。「『基本セット2015』にスリヴァー続投――ついに5色の個体を得たやつらの力に驚愕せよ!」――いやはや、このカードが本当に印刷されるなんて、私たちは今でも驚きを隠せないよ。

 よし、それではお待ちかねの、プレビュー・カード公開だ。

 スリヴァーの血統を受け継ぐ次世代のカードをご紹介しよう。5色のスリヴァーで最も強力なものだと私は思うよ。《巣主スリヴァー》をご覧あれ!

 イエス、その通り。「破壊不能」だ。

 もう少し時間を割いて詳しく語ろうじゃないか。

 スリヴァー。このクリーチャー・タイプが望むのは、できる限り多くのクリーチャーで盤面を作り上げることだ。その事態を防ぐために、かつてのスリヴァー・デッキには大量の単体除去と全体除去が差し向けられてきた。だが今や、スリヴァーたちを破壊することはできない。こんなとんでもないことがフェアと言えるのか、と疑問に思われるかもしれないね。答えは簡単、「そんなわけがない」。

 おっと、話を進める前にもうひとつ、君たちの多くが《巣主スリヴァー》のサイズについて気になっていることだろう。《スリヴァーの女王》から続く「5色のスリヴァーは7/7」という伝統を崩し5/5にした理由について、君たちをこの後ずっと悶々とさせるくらいなら、今ここでお話してしまおう。それを聞けば、このカードがもっと魅力的に見えるかもしれないからね。

 さあ何故だろう? いいかい、私たちはできる限りその伝統のサイクルを続けようと、ずっと長い間、7/7で作ろうと努力した。でも「あまりに強すぎた」のだ。

 最終的に、少しでもフェアなカードにするためには5/5までサイズを落とすしかなかった。(7/7では、他にスリヴァーを入れないコントロール・デッキが《巣主スリヴァー》をただサイズが大きい破壊不能持ちのフィニッシャーとして採用する、というおかしなことが起きる可能性もあったのだ)。それでも実のところ、多少サイズを減らしたところでそこまで劇的な違いは生まれない。《巣主スリヴァー》がダメージによって死亡することはないため、タフネスが少ないことは大した問題にならないのだ。ああ、そうとも、攻撃についてはちょっと差が生じるね――あれ?「自軍すべてのスリヴァーが破壊されない」ことはもう言ったっけ?!? スリヴァーの軍勢が完全に破壊されなくなるというのに、君たちがパワー2の差をそこまで惜しむとは私は思わないよ。

 今日はまだすべてをお見せすることはできないけれど(原文掲載時)、『基本セット2015』には他にもかなり強力なスリヴァーがあるぞ。先に述べた通り、私たちは『基本セット2014』のときに残しておいた発展の余地を完璧に使い切ることを目指した――今回のセットをもってついに、スリヴァー使いたちはより完成されたデッキを手に入れるのだ。すでに《スリヴァーの巣》という素晴らしいカードが公開されたし(リンク先は英語)、それに《マナの合流点》もあるから、5色スリヴァー・デッキを作るためのマナ基盤は十分用意できるだろう。

 ちょうどデッキの話になったね。スリヴァー・デッキはどんな風になるだろう? ちょっとだけ覗いてみよう!

種の再興

 これまでのスリヴァー・デッキでは、コストの高いスリヴァーを採用しすぎると全体除去や単体除去で盤面が崩壊しやすいという問題があった。かといって、コストの低いスリヴァーに偏らせ超アグレッシブなプランをとっても、その先に立ちはだかる厄介なクリーチャーやスペルはいくつもある。

 この状況を変えてくれそうなのが、破壊不能だ。

 そうだね、デッキの速度はミッドレンジが最適だろう。これならただ押し潰されることもなく、強大な脅威となる4マナ以上のスリヴァーを比較的安全に運用できる。

 『基本セット2015』で新登場するスリヴァーを他に加えないなら、以下のようなデッキを目にすることになるんじゃないかな。

ガヴィン・ヴァーヘイの「血統」

Download Arena Decklist

 破壊不能と相性抜群の組み合わせがたくさんあるね。

 破壊不能と絆魂を持ったスリヴァーの軍勢を打ち破ったことはあるだろうか? 破壊不能と警戒はどうだい? 間もなくして、君たちもその状況に直面することだろう。私としては、クリーチャーを追放するカードに望みをかけて頭を抱えるより、スリヴァーの側に回ることをおすすめしよう。

 こうしてスリヴァーは華々しく復帰を遂げた。楽しんでくれ!


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(7月15日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

ポートランドへの準備

 2週間と少し後に、史上初めて基本セットのためのプロツアーが開幕する! ポートランドで起こること、まったく新しいセットが脚光を浴びることにより、スタンダードに衝撃がもたらされるのは間違いない――それでは、今回は競技向けのデッキについて語っていこう!

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:競技的なプレイを主眼に置いたものであること。(サイドボードの有無は任意とする。)
締め切り:7月22日(火)午前10時(日本時間)

 すべてのデッキリストを英語で、reconstructeddecks@gmail.com へメールでお送りください。デッキリストの提出時には、以下のようなフォーマットで入力してください。(必ずしも下記のような枚数通りのものでなくてもかまいません。あくまで一般的にデッキリスト記入のレイアウトを示すものです。)

Title: 【あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)】
Format: Standard
20 Land(土地カード 枚数とカード名・英語で)
20 Land
4 Creature(クリーチャー・カード 枚数とカード名・英語で)
4 Creature
4 Other Spell(その他の呪文カード 枚数とカード名・英語で)
4 Other Spell
4 Planeswalker(プレインズウォーカー・カード 枚数とカード名・英語で)

 今週も注記として、デッキは reconstructeddecks@gmail.com に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 私は皆さんが送ってくれるものを見ることが楽しみでならない。『基本セット2015』には、潜在的にスタンダードのフォーマットを定義しうるカードがいくつか含まれている。次に何が起こるのかを見ていこう!

 それまで、この記事について考えたことやコメントがあれば、私へのツイートや、私のTumblrでの質問として気軽に私まで送ってほしい。必ず拝見しよう! 私はいつでも、どんなものでもフィードバックを拝聴することを楽しみにしている。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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