大物を掘り当てろ

更新日 Reconstructed on 2014年 7月 29日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

原文を読む

 ここでクイズをひとつ。「Minecraft」の生みの親であるマルクス・「ノッチ」・ぺルソン/Markus "Notch" Perssonと、「ボーダーランズ」のクリエイティブ・ディレクターであるマイク・ノイマン/Mike Neumann、これらふたつの才能が合わさるゲームを作るとき、そこで起こることはなーんだ?

 オーケー! 答えを言うのはちょっと待ってくれ。

 以前の募集で、私は投稿してもらうデッキに『基本セット2015』に収録された外部デザイナーの手によるカードを少なくとも1枚は採用する、という条件をつけた。15個の選択肢が織りなすデッキは、どれも様々なテーマを持ったエキサイティングなものばかりだった――しかしその中でも、あるひとつのデッキが一歩上を行ったのだ。

 オーケー。さっきのクイズの答えはまだ頭の中に残っているかな?「ボーダーランズ」を盾に、あるいは「Minecraft」を矛にしたらどうなるか、想像できただろうか?

 よし、ノッチとノイマンが手を組むにふさわしいプロジェクトをご紹介しよう。

Itou Kazunari's Izzet's Jet Stream Attack

Download Arena Decklist

その戦術とは

 今回のデッキにはたくさんの要素があるから、もう少し詳しく見てみよう。

 ぱっと見、ちょっと変わったイゼット・デッキのようだ。コストの軽いクリーチャーといくつかのインスタント、それからゲームが長引いた場合の切り札が搭載されているね。

 そして中でもとりわけ強力な相互作用を持つのが、ノッチとマイク・ノイマンが手がけた2枚だ。それらは一緒に使われることで、実に素晴らしい動きを見せてくれるぞ。普通は《地割れ潜み》のサイズを上げるには多くの時間が必要だが――《強引な採掘》を使えば極めて速く強化できる。戦場に《強引な採掘》がある状態で《地割れ潜み》をプレイし、そのターンに土地をひとつ、続けて対戦相手のターンにもひとつ生け贄に捧げ、さらに再び迎えた自分のターンにもうひとつ土地を費やせば、1/1の《地割れ潜み》が8/8になって攻撃に向かうのだ! この手のクリーチャーはきっと成功を収めるはずだ……対戦相手のライフ総量に大きな切れ込みを入れてやろう。

 今回のデッキには、他にもトリックが仕込まれている。《激浪のキマイラ》で《強引な採掘》を手札に戻すことで、ドローを増やしながらも土地をプレイできるというのは実にありがたい。また《イゼットの魔除け》は、わずか2マナで《地割れ潜み》に+1/+1カウンターをふたつ与えてくれる――しかもインスタント・タイミングで! これでもまだまだ、氷山の一角に過ぎないぞ。

 今回のデッキを見直す上で、最も注目したいのは、デッキの目指す方向性をより一点に絞ることだ。現時点では、《激浪のキマイラ》を用いたエンチャント絡みの動きに挑戦する一方で、《若き紅蓮術士》を使ったスペル絡みの動きにも手が伸びている。今回のデッキはどこに力を入れるべきだろう? エンチャントかな? インスタント? それともプレインズウォーカーだろうか? デッキの組み直しに入り、それを明らかにしていこう!

デッキ詳細

 今回のデッキに残すものと、「ボーダーランズ」の世界に送り込むべきものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、それぞれの選択について語っていこう!

地割れ潜み

 こいつは今回のデッキの中心となるキー・カードのひとつだ。はじめは1/1に過ぎないこのカードだが、あっという間に手のつけられないサイズまで成長する。今回のイゼット・デッキはゲーム序盤でも後半でもドロー手段にはこと欠かず、こいつの強化には困らないのだ。現在のスタンダードにおいて最も大切なのは、除去に対する粘り強さだ。「黒単コントロール」のようなありとあらゆる除去が搭載されたデッキがある以上、死亡したときに誘発する能力が強力であれば、それが極めて有効なのだ。私は今回のデッキから《地割れ潜み》を抜くなんて想像もできないね。

激浪のキマイラ

 この後に迎える様々な選択をする上で今回のデッキがとるべき方針を決める、重大な決断のときが来た。《激浪のキマイラ》を残してもう少しエンチャントに寄せた形にするか、それとも《若き紅蓮術士》を残して《モーギスの悪意》のようなカードを使い、もう少しインスタントとソーサリーに寄せた形にするかだ。現状、それら両方を残すのはあまりに難しく、このままではどちらの形もうまく機能しないということになってしまう。きちんと機能させるには、常に完璧な順番でカードを引き込まなくてはならないのだ。

 私としては、今回はエンチャント寄りの形に収めようと思う。確かに私は《若き紅蓮術士》が大好きだし、《強引な採掘》で軽いインスタントやソーサリーをどんどん繋いでいくという可能性にも魅力を感じる。それでも今回のデッキと自然なシナジーを生むのは、《強引な採掘》による制限から逃れることができる《激浪のキマイラ》なのだ。今回は《激浪のキマイラ》側の方針でいこう!

ゴブリンの電術師

ゴブリンの電術師》自体にはまったく文句がないけれど、インスタントとソーサリーの方向から離れることを決めた今となっては、今回のデッキにぴったりとは言い難い。さらば、《ゴブリンの電術師》!

竜英傑、ニヴ=ミゼット

 普段なら、私は今回のようなデッキに《竜英傑、ニヴ=ミゼット》のようなフィニッシャーを据えることに不安を覚えない――しかし、土地をどんどん生け贄に捧げていくデッキにおいては、6マナというコストに加えてその後もマナがかかるものは、望ましくないのだ。

 そこで、他に私が期待しているのは《嵐の神、ケラノス》だ。《嵐の神、ケラノス》はそれ自身のコストも《竜英傑、ニヴ=ミゼット》と比べて少し軽く、戦場に出て以降能力を使うのにマナを費やす必要もない。その上エンチャントでもある。私が選ぶのは《嵐の神、ケラノス》2枚、これでいこう。

強引な採掘

 今回のデッキにおけるもう1枚のキー・カードがこれだ。こいつはゲームのどの段階においても常に燃料を確保してくれる――ただし、すべてを機能させられるだけのマナを用意できればね。こいつを使う上で肝となるのは、あまり早い段階で繰り出さないことだ。それは守らないと、自分の首を絞めることになる危険性が極めて高いのだ。できることが少ないときに、カードを補充するため《強引な採掘》を使いたくなる気持ちはわかる。それでもただ4ターン目に放り出すだけでは、ゲーム・プランが破綻する場合が多いのだ。

 とはいえ、きちんと管理できれば《強引な採掘》が強烈なカード・アドバンテージ源であることは間違いない。今回のデッキでは、《強引な採掘》を手札に戻すことができる《激浪のキマイラ》が助けになってくれるだろう。

 すぐに使いたいものではなく、また複数引くのは避けたいから、《強引な採掘》をデッキに採用する枚数は3枚に減らそうと思う。でも誤解しないで欲しい。こいつが今回のデッキにおける基盤であることに変わりはない。ただし掘りすぎには注意してくれよ。

イゼットの魔除け

 《激浪のキマイラ》側の方針をとる以上、私がデッキに残したいインスタントやソーサリーは多くない――《イゼットの魔除け》は、その数少ない残したいカードのひとつだ。クリーチャーを制圧する効果、《地割れ潜み》を強化しつつ必要なものを探しにいける効果、ここぞというタイミングで除去呪文を打ち消せる効果、どれをとっても今回のデッキにぴったりだ。4枚すべて残そう。

変化+点火

 《変化+点火》は実に優れたカードであり、きっと今回のデッキでもその力を遺憾なく発揮できることだろう――だが、エンチャント寄りの方針に移ったことで、インスタントやソーサリーを残す余地はあまりない。《イゼットの魔除け》にはデッキに残すだけの十分な力があり――《変化+点火》がその枠を奪うには至らないのだ。バイバイ、《変化+点火》!

圧縮

 《圧縮》は特別強力なカードというわけではなく、《若き紅蓮術士》と相性の良い1マナ域のスペルという理由で採用されている。(それでも、私としては《急かし》などの方が良いと思うよ)。まだカードを減らす必要があるから、これも抜いてしまおう。

瞬間移動門

 《若き紅蓮術士》と共に使えば、トークンを並べてから1枚挿しした《瞬間移動門》で敵陣を突破し対戦相手を打ち倒す、というちょっと素敵な戦略がとれたね。その方針ではなくなった今、《瞬間移動門》では力不足だ――こいつも抜くことにしよう。

ギルドパクトの体現者、ジェイス

 プレインズウォーカーとエンチャントには似たような機能がある――戦場に残ることと、継続的にアドバンテージを稼ぐことだ。今回のデッキにプレインズウォーカーへ割く枠はあるだろうか?

 《ギルドパクトの体現者、ジェイス》と《ラル・ザレック》はどちらも、できることの多い素晴らしいカードだ。しかしそれでも、絶対に何があっても今回のデッキに採用したい、というほどではない――今回はこれらのプレインズウォーカーを抜き、よりエンチャント・テーマに則したカードのために枠を空けることにしよう。

/Enchant(エンチャントを与える)

 続けて、私が加えたいエンチャントの話に移ろう。さてどうやって扱っていこうか? よし、どのカードについても文脈を保ちつつまとめて話したいから、見出しはひとつでも1枚ずつそれぞれに語る部分を設けることにしよう。

 まず私が《激浪のキマイラ》と組ませたいのが、「キャントリップ」――そのカードをプレイしたときにカードを1枚引ける効果――を持ったコストの軽いエンチャントだ。例えば《ドラゴンのマントル》。こいつは1マナでカード1枚と、それからささやかな効果をもたらしてくれる。

 ところが、それを毎ターン手札に戻せるなら、わずか1マナで毎ターンのドローが増えることになる! そしてこの動きに《地割れ潜み》も組み込めば、それはみるみるうちに強化されていくのだ。《層雲歩み》や《予記された運命》なら、同じ動きをしながらも付与される効果は異なる――《地割れ潜み》のようなクリーチャーに飛行をつけるというのは、今回のデッキにおいてとりわけ強力な動きとなるだろう。

 さてここからは、エンチャント・テーマに則った他の2枚に目を向けていこう。まずは《炉生まれのオリアード》だ。普段なら、このカードは構築フォーマットの前線に立たせたいと思えないものなのだが、ここにきてついに居場所が見つかった。様々なドロー手段や《激浪のキマイラ》による再利用で途切れることのないエンチャントを存分に使えば、1点のダメージは束を成し、対戦相手の軍勢を実に効率的に崩すことができるのだ。

 そして、これらすべてのエンチャントと対象を取るオーラが、もうひとつ素晴らしいエンチャント向けのカードを呼び起こした――《メレティスの天文学者》だ。

 このカードが、コストの軽い「キャントリップ」持ちのオーラと完璧に噛み合う。デッキを素早くフィルターにかけ、「キャントリップ」によるドローと合わせてまた新たなエンチャントを引き込む助けになるのだ。《炉生まれのオリアード》のようなカードを掘り当てることもできるし、その後ひとたび《メレティスの天文学者》にオーラをエンチャントし続けることができるようになれば、オーラによるドローと「ライブラリーの一番上から3枚のカードを見てエンチャントを得る」という能力が組み合わさり――何度も何度も1点のダメージを飛ばせるようになるのだ!

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

Gavin Verhey's A Notch in my Neumann

Download Arena Decklist

「キャントリップ」を持ったエンチャントがここまで危険なものになり得ると、誰が予想しただろうか?

 今回のデッキが歩める道はいくつもあったけれど――私は選ばれたこの方針に心躍っているよ。とはいえ、もし君たちが《若き紅蓮術士》の方に魅力を感じているなら、そちらの方針もぜひ進むべきだし、試す価値がある。

 《若き紅蓮術士》の方針に挑戦するなら、軽い除去と、それから《若き紅蓮術士》の力を最大限発揮するために1マナのスペルをできるだけ多く採用したい。生み出されるトークンたちのために《タッサの二叉槍》の採用を考えてもいいだろう! そして《虚空の罠》も文句なしのカードだ。軽いソーサリーであり、またこちらの《強引な採掘》をバウンスすることでその制限に囚われずにすむのだ。

 どの道を進むにせよ、これら外部デザイナーの手によるカードのユニークな組み合わせを楽しんでいただければ幸いだ! それぞれが独特な2枚のカードを合わせてそのシナジーを引き出すことは、いつだって面白い――それらのカードを、このたびマジックというゲームに自身の考えたカードを収録することになったふたりの外部デザイナーが手がけた、というなら尚更だ。ノッチとマイク・ノイマンのふたりがこんなにうまく互いの良さを引き出すことを、誰が知っていただろうか――ふたりが手を組んで作ったゲームが登場する未来も、きっとあることだろう……

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週送られてきた偉大なデザイナーたちの手によるカードを使ったデッキには、他にどんなものがあっただろう? 見てみよう!

Richard Loveland’s Genesis Ramp

Download Arena Decklist

Alex Cohen’s Sir-Squids-a-Lot

Download Arena Decklist
ソーサリー (4)
4 Give // Take
アーティファクト (3)
3 Bident of Thassa
エンチャント (8)
4 Aqueous Form 4 Dictate of Kruphix
土地 (24)
10 Forest 10 Island 4 Temple of Mystery
他 (4)
4 life's bounty
60 カード

Darth Thulhu's Comin' Through!!!

Download Arena Decklist

Brett's Biodeath

Download Arena Decklist
Planeswalker (2)
2 Kiora, the Crashing Wave
ソーサリー (1)
1 Immortal Servitude
インスタント (8)
3 Devour Flesh 3 Cyclonic Rift 2 Hero's Downfall
アーティファクト (2)
2 Springleaf Drum
60 カード

Andrew McLaren’s Genesis Ramp

Download Arena Decklist

Justin Rogers’s White Warden

Download Arena Decklist

Wil Blanks’s Simic Genesis

Download Arena Decklist


Tarao Fuguta'sOne Mana for One Mana Creatures

Download Arena Decklist
インスタント (8)
4 Bile Blight 4 Hero's Downfall
土地 (22)
22 Swamp
他 (3)
3 Thougtseize
61 カード

Gabe Magee’s Chords of Yisan

Download Arena Decklist

Naoto Horiguchi's Aggressive Karametra

Download Arena Decklist

Dai Kasahara's Master of Predicaments

Download Arena Decklist


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(7月29日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 吉川)

 今回は、少し違ったものを見ていこう。格安スタンダードだ! ガイドラインは以下のとおり。

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:ある程度の予算内でデッキを構築すること。ゆるい定義だが、レアは少なく、神話レアはもし使うとしてもごく少数、という予算を考慮してほしい。
締め切り:8月6日(水)午前10時(日本時間)
投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt

 など。カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 また、今週についても、デッキは reconstructeddecks@gmail.com 宛に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 それまで、私へ送ってみたいフィードバックがあれば、ぜひ聞いてみたい! 私へのツイートや、私のTumblrでの質問として送っていただければ、必ず拝見する。

 今週末のプロツアー『マジック2015』で、新セットがスタンダードに何を加えるのかに注目してほしい。それではまた近いうちにお会いしよう。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

最新Reconstructed記事

RECONSTRUCTED

2016年 1月 18日

コジレックの帰還 by, Gavin Verhey

 コジレックの再登場は実に衝撃的なものだった。  ゼンディカー全土が救われると思われたそのとき、大地が鳴動し、地の底で眠る怪物が目覚めた――コジレックが再び地表へと姿を現した。  プレインズウォーカーたちが恐れていた最悪の事態が、現実のものとなったのだ。  君たちももう、コジレックの姿をその目で見たことだろう。その血族や彼のもたらした荒廃、そして無色マナを扱う様々なものを...

記事を読む

RECONSTRUCTED

2016年 1月 11日

ジョリーといっしょ by, Gavin Verhey

 『ゲートウォッチの誓い』プレビューにようこそ!  このセットでは、すごい試みがいくつも行われている。いくつか例を挙げると、キーワード能力の支援や怒濤もそうだし、それから、もちろん、無色マナ・シンボルもそうだ。私は『ゲートウォッチの誓い』のデベロップ・チームに参加していたので、それらがいかに作り上げられたかを思い出すと恍惚としてしまうよ。  とは言え、私たちはこのセッ...

記事を読む

記事

記事

Reconstructed Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る