基本セット2015・モダン狂想曲

更新日 Reconstructed on 2014年 8月 5日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

原文はこちら

課題:基本セット2015の新カードを使ったモダン・デッキを構築せよ。
評価:最高。

 新しいエキスパンションは常にモダン構築に新風を吹き込むものではあるが、『基本セット2015』という、基本セットにしてはやや風変わりな要素を持つこのエキスパンションは、よりモダン構築向きと言えるだろう。『基本セット2015』には、モダン環境に存在する各エキスパンションの多種多様な要素と絡み合う、面白い選択肢がいくらでもあるのだ。

 今回は、選んだ1つのデッキを深く考察するのではなく、各デッキをバイキング方式で提供してそれぞれ少しずつ紹介していこうと思う。盛りだくさんの内容だ。前置きはこれぐらいにして、紹介へといこう!

スリヴァー・デッキ

 ああ、この伝統的なアーキタイプから始めるのがいいかな? 『基本セット2015』はこのデッキに新たなスリヴァー群を追加する。スタンダードでは、それは『基本セット2014』のスリヴァーと組み合わせられるということを意味するが……モダンでは、さらに『時のらせん』ブロックのスリヴァー45体もあわせて利用できるということを意味する!(加えて、何らかの多相クリーチャーもその構成に組み込みたければ利用できる。)

 モダンで可能な構築の一例を見てみよう。

Westin's Modern Slivers

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 ごくわずかな欠点しか持たない5色土地を大量に採用できるため、モダンのスリヴァー用マナベースは完璧だ。そのうちライフを消費するのは1種類だけだし、《魂の洞窟》などは打ち消されなくすることでスリヴァー群をさらに優秀にしてくれる!

 それで、このデッキをどう動くようにできるだろうか?

 そうだな、私はスリヴァー・デッキをなるべく速攻に寄せたいと思う。モダンで比較すべき速攻デッキの基準といえばZooだ。「そのデッキが、1ターン目に《壌土のライオン》や《野生のナカティル》を唱えるデッキより良い、という理由は?」という問いに答えられるかどうか、それが重要に思える。

 ここでの回答は、巨大で回避力を持つクリーチャー群を得られるから、だ。確かに1ターン目の《野生のナカティル》は、1ターン目のスリヴァーより勝るだろう――だがスリヴァーがより大きく、極めて処理しにくいクリーチャー群となるまでに、そう時間はかからない。

 これは速攻に寄せたいデッキであり、またダメージをより多く与えるためにも、相当量の2マナ域スリヴァーを採用したいところだ。《筋力スリヴァー》、《捕食スリヴァー》、そして《激情スリヴァー》はどれも良いスタートだし、私はその構成に《血吸いスリヴァー》も加えたいと思う。

 意外かもしれないが、モダンのスリヴァー・デッキにマナ生成系のスリヴァーを採用したいとは思わない。スタンダードのようなフォーマットなら、スリヴァー・デッキの主軸戦術となるところではあるが、モダンでそれを実行する時間はない。できる限り速攻で勝負したいところだ。クロックを刻むため、より役立つ何かを優先していこう。

 極めて速攻寄りに仕上げるつもりなので、非クリーチャー呪文を多く投入したくはないのだが……例外として、《霊気の薬瓶》は採用しておきたい。これがスリヴァーでないことは確かだ。しかし《霊気の薬瓶》に1マナを支払えば、そこから先はゲームが終わるまで、タップするだけで追加のスリヴァーを展開できるようになり、容赦ない動きが可能になる。

 私ならどうするかって? そうだな、こんな感じになるだろう。

Gavin Verhey's Nightmare in Sliver

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 もちろん、スリヴァーが取れる方向性には他にも様々なものがある。

 例えばオノヤマ ケイスケの投稿を見てみると……《侵入警報》コンボだって?!?

 《休眠スリヴァー》、《マナ編みスリヴァー》か《宝革スリヴァー》、そして《侵入警報》を用いた、1ターン中に相手を倒すコンボに興味がある読者のために、デッキリストだけでも掲載しておこう。

Keisuke Onoyama's Sliver Bullet

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主任技師》デッキ

 ふーむ、こちらの全てのアーティファクト呪文に召集を与えるカードか。私には、大量のアーティファクトを使い、それらをすべて素早く展開するモダン・デッキについて、様々な思いつきがあるわけではない。もし《主任技師》を使う何らかの戦略があるとすれば……例えば親和と組み合わせるとか……

Chris Stevens's Myracle Engineer

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 《主任技師》によって、あらゆるクレイジーな動きが可能になる。何件か投稿されたのは、《主任技師》を採用した「MUD」デッキ風のデッキリストだ。その内容は、(今や召集によって良い相互作用を持つようになった)《三なる宝球》や、《磁石のゴーレム》のようなカードを展開するために、デッキを回転させるエンジンとしての《主任技師》と、《オパールのモックス》を起動するための《メムナイト》を用いるというものだ。さらに、通常よりも素早く手札を展開する《主任技師》入り親和デッキも、いくつか投稿されている。

 しかし私が考察したいと思ったデッキリストは、それらよりもさらに興味深いものだ。それはいわば巨大ロボットを召喚するようなデッキで、異常なほどの序盤の展開力を持ち合わせている――しかも長期戦向けの要素も同様に持ち合わせているんだ。

 このデッキの大きな魅力の1つが《マイアの超越種》さ。やあどうも! 《大建築家》、《主任技師》、《エーテリウムの彫刻家》、そして《オパールのモックス》があるため、こいつの問題点をごまかすのは思ったより簡単なことだ。《マイアの超越種》は自軍の戦力を素早く増加できる!

 戦力を素早く増強することについて言えば、《アーティファクトの魂込め》も一流の攻撃力を追加してくれる。《メムナイト》に《アーティファクトの魂込め》をエンチャントするなどして、2ターン目にパワー5で攻撃するのもかなり簡単な話だ――あるいは破壊不能のアタッカーとするため、《ダークスティールの城塞》にエンチャントするのはもっといいかもね!

 これまでのアーティファクト・デッキよりもやや高いマナ・カーブを持つ点については、基本的に気にならない。しかし、相手の動きに対処するためのカードが多い点は気にかかる。このデッキは序盤から呪文を唱えていくためにタップ・アウトすることが多いし、自分から動いていくデッキを使っているのに手札を展開できない状況になるのは望ましくない。《差し戻し》と《流刑への道》は外してもいいね。(《流刑への道》を外すことでマナベースの構築もかなり簡単になる。)その枠を使って、アーティファクト速攻デッキ向きのツールを増やしておきたい。《羽ばたき飛行機械》は《主任技師》とのタッグで異常なほどの展開力を生み出すし、《エーテリウムの達人》も序盤から巨大サイズになる。また、私はあまりにも不条理な《頭蓋囲い》の強さが嫌いなのだが、嫌いであればあるほど、デッキに採用しないことなどありえない。

 こういう感じで試してみよう。

Gavin Verhey's A New Kind of Robots

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 もちろん、これだけで《主任技師》の狂気の沙汰が終わることはない。

 上で言及したように、《主任技師》を投入した様々なデッキが読者から投稿された。しかし私は、それらを見ていくうちに、それらとは別の《主任技師》デッキについて考えるようになった。そして、《主任技師》デッキを色々回してはみたが、それよりもさらにすごい何かを思いつくことはなかった。

 知ってのとおり、召集はそれを唱えるためにクリーチャーを即タップできるという能力だ――つまり召集を用いることで、理論上は極めて早い展開力を得られるということになる。そしてカードを引き続けることができるなら、引き切るまで呪文を唱え続けることが可能になる。

 ならばデッキに《謎鍛冶》と《ヴィダルケンの大魔道士》を入れてみよう。

 独自に作成してみたのがこれだ。

Gavin Verhey's Archmages and Architects

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ゾンビ・デッキ

 『基本セット2015』には、ゾンビに大きく関係するカードが1枚ある。《屍術士の備蓄品》だ。

 ゾンビ・デッキなら、このエンチャントを「:黒の2/2のゾンビ・クリーチャー・トークンを1体タップ状態で戦場に出す。」と読み替えるのも極めて簡単なことだ。また、墓地に置かれているときに効果のあるゾンビと共に用いれば、もっとおかしなことになる。

 そういうデッキを見てみよう。

Talon Stradley's Modern Zombies

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 このデッキのアイデアは非常に構築的だと思うし、その中核はよく組み上げられている。こちらのカードの多くは墓地にあっても効果を発揮できるので、手札を捨てても問題はない。お互いのプレイヤーが手札を捨てる効果を持つ手札破壊で、対戦相手をかく乱しよう。

 だが、むしろ私は、《屍術士の備蓄品》が確実に最大限の効果を発揮できるところまで持っていきたい。そのため、墓地から唱えられるクリーチャーをもっと重視し、枠を空けるために《アンデッドの王》と《死の男爵》を全て抜いてしまおうと思う。

 その驚愕のエンドゲームエンジンを動かしつつ、コストとして手札からそれらのクリーチャー・カードを捨てればよい。ほとんどのデッキにとって、長期戦で《屍術士の備蓄品》に対抗するのは極めて難しいことだろう。

 そうそう、《屍賊の貪り食い》がどんなカードか覚えている読者には追加点だ!

Gavin Verhey's Necromancy

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イリュージョン・デッキ

 時々、惜しくも選ばれなかったデッキたちで、《クロヴの霧》デッキが紹介されているのを見たことがあるだろう――そして『基本セット2015』によって、このデッキは大きな追加要素を得る。《幻影の天使》だ!

Nekomata-sensei's Illusion Tribal

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 モダンでは、《幻影の天使》を3ターン目に唱える助けになるカードがいくつもある――例えば、《ギタクシア派の調査》とかね! 単にマナを使わずに《ギタクシア派の調査》を唱えて、それから《幻影の天使》を唱えればいい――それで3マナ4/4飛行の天使が手に入る。

 《幻影の天使》の問題点をクリアする別の方法は、待機だ。好きなタイミングで唱える助けには恐らくならないが、待機した《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》は、《幻影の天使》を問題なく唱えられるターンを確保してくれる。

 このデッキもまた、《霊気の薬瓶》が大きな働きをみせるデッキの1つなので、《霊気の薬瓶》は4枚デッキに加えたい。いつでも《霊気の薬瓶》から《幻影の天使》を出せる上に、《差し戻し》のマナを残したままクリーチャーを展開する助けにもなる。

 最後に加える重要なカードが《波使い》だ。悲しいかな、《波使い》が生み出すトークンはエレメンタルであり、イリュージョンではない――だがそれでも、このデッキに含まれている青マナシンボルの量を考えれば、まだ十分に強力さ。(特にターン終了時に《霊気の薬瓶》から出すときはね!)

 見てくれ。

Check it out:

Gavin Verhey's Vial Illusions

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槌手》デッキ

 今までのデッキを試してみようと席を離れるのはまだ早い。もうひとつ、素早いデッキの紹介が残っている。そのデッキの特徴の1つが《槌手》だ。そう、あの《槌手》さ。『基本セット2015』で登場し、間違いなくモダンで定番となる《槌手》のデッキ? これを見逃す手はない!

 しかし実際のところ、私はこんなデッキについて全く想像すらしていなかった! そしてすぐに、対戦相手も想像していなかったと思うようになるだろう。

Matt's Immolating Blitz

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 想像してみよう。

 1ターン目、あなたは《野生のナカティル》を唱える。対戦相手は《》を置いてターン終了――心配な点は何もない。2ターン目、《野生のナカティル》で攻撃して、《タルモゴイフ》を出してターンエンド。序盤は上々だ。そう、あなたは思うだろう。

 で、そこからあなたは死ぬ。

 対戦相手は2ターン目、土地を置いて《発熱の儀式》、《捨て身の儀式》と繋ぎ、《焼身の魂喰い》を召喚して能力を8回起動、さらに《突撃のストロボ》を使い、《槌手》で《タルモゴイフ》をブロックに参加できなくする。攻撃して20点だ。

 こんな感じさ。いいんじゃないかな。

 さて、どう考えてみてもこのデッキに一貫性がないのは確かだ。コンボパーツを引けないことに対する何かしらの解決策を見出せない限りは、トーナメント環境でのプレイを推奨できるものではない。とは言え、ありえなくもない手札を引いて、2ターン目で(あるいは、《猿人の指導霊》を加えてからなら1ターン目に)派手に勝ちたいなら、これはあなた向けのデッキさ。

 通常なら、《ギタクシア派の調査》や《通りの悪霊》を採用したいところだが――《焼身の魂喰い》の運用が難しくなるので、ライフを支払う余裕は一切無い。同様に、どんなダメージも受けたくないので、マナベースの構築にも制限がある。したがって、実際に打てる手はそう多くない。《猿人の指導霊》は採用できるカードの1つだ。あとは《魔力変》ならカードを引きつつライフを払わずに色マナを整えられる。後はあなた次第だ!

Gavin Verhey's The Hammer is my Souleater

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(8月5日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 来週のデッキ構築・チャレンジを見ていこう!

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:なし!
締め切り:8月12日(火)午前10時(日本時間)
投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt
(以下同様)

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 また、今週についても、デッキは reconstructeddecks@gmail.com 宛に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 今週のスタンダード構築も楽しんでほしい! 今やプロツアーが記録に刻まれた。そこからどんなインスピレーションを引き出せるかを見ていこう。加えて、この記事についてのコメントがあれば、気軽に私に送ってほしい! 皆さんの考えはいつも聞いてみたい。私へのツイートや、私のTumblrでの質問として知らせてほしい。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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