5色を巡って

更新日 Reconstructed on 2014年 8月 19日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

原文を読む

 素晴らしきマジックの夏だ。

 つい先日に発売された『基本セット2015』は、新しく、そして奇抜なカードが大量に収録されている。プレイヤーの諸君は、新カードがデッキに入るかどうか把握するため、しばらくデッキの調整を色々とやってきたことだろう。しかし、もし、『基本セット2015』から――恐らく『デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ』からマジックを始めた新規プレイヤーの場合、どこからデッキに手をつければよいか途方に暮れるかもしれない。それはさておき、デッキ構築という難物にうまく取りかかるには、どうすれば良いだろうか?

 今回は、デッキ構築における重大な要素を取り扱いたい。とりわけ初心者にとっては、時に判断が難しくなる要素だ。『そのデッキは色数をいくつにすべきだろうか?』

 デッキに実際にカードを投入する段階よりも前に必要なのが、マジックに数多くあるカードのうち、どれが今作ろうとしているデッキに入るかを判断する段階だ。だがそれよりもさらに前に必要なのが、デッキを何色にしたいか考える段階だ。これはデッキ構築時に自問自答することになる最初の問題のひとつで、ここから先の判断に極めて大きな影響を与えることになるだろう。デッキを何色にするかをいったん決定してしまえば、注目すべき要素は見えてくる。だが、それより前にどのカードが投入できるか把握するのは至難の業だ!

 今回の記事では、1色、2色、3色、4色、そして5色をプレイする際の利点と欠点をいくつか取り上げて、あなたにとって何が望ましく、何が望ましくないかを分かりやすく判断できるようにしたい。何色のデッキにするか決めるのは、デッキ構築の過程における重要な部分だ。

 先に進んで、選択可能な色数それぞれの違いを見ていこう。

単色

 単色デッキは、魅力的に映ることもある。好きな色を1つ選んで、好きなカードを入れて、はいどうぞ! 単色には確かに利点がある。単色デッキを使いたい場合に考えられる理由を、いくつか見てみよう。

  • マナの一貫性。1色だけを用いることに関する重大なポイントは、マナが安定するところだ。3色だとすると、全ての呪文を用いるためには、正しく土地を引いてこなければならないだろう。白単であれば、《平地》を24枚投入することで、いつでも白の呪文に必要なマナを準備できる。
  • マナの柔軟性。単色であれば、必要なときに色マナを確保できるだけの土地を十分に投入できる点に加えて、マナベースにある程度の柔軟性をも与えてくれる。例えば《変わり谷》や《光輝の泉》のような無色マナ土地を使いたい場合でも、十分に投入する余裕があるだろう。3色、4色、あるいは5色デッキにそれら無色マナ土地を採用すると、確実にマナベースの一貫性を損なうことになる。しかし1色のデッキなら、それらをうまく扱うのも極めて簡単だろう。
  • 単体で強力なカード。多くの場合、単色を用いる大きな魅力は、特定のカードの存在だ。例えば、ちょうど今よく見かけるのは、テーロス・ブロックのカードと信心のメカニズムだ。《アスフォデルの灰色商人》や《波使い》のようなカードは1色のデッキに最もふさわしく、単色を使おうと思わせるに十分な強さがある。重いマナ・シンボルを持つカードも、同じように考えられる。《ファイレクシアの抹消者》のようなカードを実際に扱うのは、黒単を強制されるようなものだが、そうすることによってその力を解放できる。
  • 戦略の安定。1つの戦略を主軸として動きたければ、たいていは単色がよい選択となる。例えば、対戦相手を火力で焼き尽くしたければ、デッキは恐らく赤単になるだろう。最良の火力呪文は全て赤にあり、デッキに最良の火力を数多く投入したいからだ。

 これらはいずれも単色を使うに十二分な理由となる。安定して呪文を唱えられるのは嬉しい! 単体で強い呪文を唱えられるのも素晴らしい! ではどうして、常に単色デッキが使われるわけではないんだろうか? ああ、いくつかの大きな理由がある。

  • 利用可能な能力の減少。カラー・パイ(マジックの能力が色ごとに割り当てられていることを表す言葉)は、デッキ構築を興味深いものにしている要素だ。1色のままでは、その色の問題点をカバーできるカードを採用できなくなる。赤単であれば、エンチャントを破壊することができない。緑単であれば、対戦相手が唱えるインスタントやソーサリーそのものに干渉することはできない。1色しか使わないなら、この点で大きな犠牲を払うことになる。1色デッキは、その色の弱点すべてを受け入れる羽目になるということだ。
  • その色が苦手とするデッキがある。これは上述の内容からある程度推察できることではあるが、独自の項目を作る程度には異なっている。端的に言えば、スタンダードで流行している白のカードが赤に強い場合、その環境で赤単を使って白いデッキに勝つのは普通よりも困難になる。とりわけ強力なのがプロテクションの存在だ。白単で《嵐の息吹のドラゴン》を打ち倒すのは困難だろう。

2色

 ああ、2色のデッキについてだ。私は2色がマジックの核心ではないかと感じている。ほとんどのマジックのデッキが分類される、単色から5色までの選択肢から私が1つ選ぶとすれば、2色だ。2色を用いることには多くの利点がある。

  • 弱点のカバー。上で言及したように、単色の問題点はカラー・パイから来る制限だ。2色であれば、互いが互いの問題点に取り組める。白黒であれば、アーティファクトやエンチャントを破壊するために白のカードを、対戦相手の厄介なインスタントやソーサリーを捨てさせるために黒のカードを、それぞれ用いることが可能だ。
  • 安定したマナベース。単色デッキほどではないが、それでも一般的な2色デッキなら、一貫したマナベースを持てる。とりわけ、環境に登場する(《アゾリウスのギルド門》や《啓蒙の神殿》のような)2色土地のサイクルは、2色デッキにとって素晴らしい。
  • 2色分の強力カード。単色デッキでは、別の色を持つかなりの数の強力カードが利用不能になる。そしてデッキに入れたい枚数が足りないために、強力でないカードにまで採用範囲を広げなければならないことも、時にはあるだろう。しかしながら2色であれば、重要な強力カードが34枚から37枚には達するため、大きな問題にはならない。

 2色デッキは、固有の問題点をあまり抱えていない。私は常に、デッキ構築が初めてで何から始めればいいか分からない人へは、2色で始めることを勧めている。他の色数が持つ利点――単色のもっと安定したマナベースや、3色以上のもっと多い選択肢――は持ちあわせていないが、2色であることに起因する欠点は実質的には無い。いくつかの組み合わせには欠点が残るだろう(黒赤はエンチャントを破壊できないままだ)。それでも、総じて2色デッキには安定感がある。

3色

 3色からは今までと違った傾向のデッキが散見されるようになる。1色デッキと2色デッキは似たように動く傾向にあるが、優れた3色デッキはしばしば少々違う動きを見せるものだ。見てみよう。

  • 多数の強力カード。より多くの色を使うほど、より多くのカードが採用可能になる。そして3色に着手する場合、それは足りない部分を劣るカードで埋める必要が無く、「構成要素のほとんどが本当に強力なカードのデッキ」になる。全てのターンで対戦相手よりも強力な行動ができるなら、それは3色を採用するに十分な理由だ。
  • 環境の強力な多色カード。上記の内容から導かれることだが、多くの場合、3色を使うのに向いているのは、セットに多色カードが数多く収録されている時期だ。3色を選ぶことにより、その中に含まれる2色の組み合わせのカード全てを利用できる。白緑デッキを使うなら、使える多色カードは白緑カードだけだ。しかし白赤緑デッキを使うなら、白緑、赤緑、そして白赤の多色カードが選択可能となる。
  • ほとんどの問題への対処。いくつかの2色の組み合わせには、特定の種類のカードに対する弱点が残る。しかし3色デッキを使うなら、問題となるカード・タイプに対する何らかの対策を持てるはずだ。

 しかし、もちろん、全てのデッキが3色にならない理由もある。

  • 3色マナベースの問題。通常、3色をプレイする場合、2つのうちどちらかの事態に陥る。多くの土地がタップ状態で戦場に出るか、土地があなたに多くのダメージを与えてくるかだ。……あるいは、時には、両方の事態に陥る。どちらか一方が問題とならないなら、3色デッキを使おう。デッキに強力な呪文を満載したとしても、25%の確率でそれを唱えられないような状態になるなら、まず第一に呪文を唱えられる状態にすることから始めるべきだ。そのため、安定したマナベースを持つことは重要になる。

 3色を均等に用いるよりも、3色目をタッチするほうがずっと簡単かもしれない、という点は追記しておくべきだろう。例えば《シミックの空呑み》のような遅いゲーム向きのカードを1枚、白青に緑をタッチする形で採用したいとする。この場合、デッキのマナベースを2色に集中しつつ、7マナを支払う段階では安定して3色目が出る、というような構築ができる。しかし3色を均等に採用してしまうと、マナベースの問題に頭を悩ませることになるだろう。

4色

 4色デッキで話題に上がってくるものは、実際のところあまり見かけない。4色を使う、やや不安定なデッキが存在することはあるが、普通は手をつけにくいものだ。4色で動くデッキを組める環境なら、ほとんどは5色で動くデッキが組めるだろうし、それなら5色のほうがいい。とはいえ、4色にもいくつかの利点はある。

  • さらに多数の強力カード。もはや分かりきった話だが、使う色が多ければ多いほど、採用可能な強力カードは増える。
  • 特有の相互作用から得られる利点。見かけることがある4色デッキのほとんどは、4色全てから何かを必要とするデッキだ。もしかしたら、それは2色カード2枚のコンボかもしれない。あるいは、デッキのパーツが多数の色に伸びているだけかもしれない。とにかく、それらの色が全て必要になったので、それらの色でデッキを組むということになるのだろう。

 4色の欠点も、もはや分かりきった話かもしれない。

  • 難儀なマナベース。利用する色を満足に使えるようにするため、戦場にタップ状態で出る土地か、ダメージを受ける土地か、あるいは緑マナが出る土地を、マナ安定のために数多く採用しなければならなくなる。ほとんどの対戦の序盤は厳しい状態が続き、しかもそれを計画通りとして受け入れる必要があるだろう。
  • 1色の不足。これは本質的には欠点ではない。しかしほとんどの場合、4色が組めるなら、あとわずかの労力で5色も組めるだろう。そうすれば、5色が持つ利点を得ることができる。

5色

 ああ、5色。理想郷だ。考えられるマナベースが十分に良いものであれば、5色を組むことができる。あなたがデッキ構築の初心者であれば、5色(と、さらに言えば4色)を組むことは推奨しない。とはいえ今回の議題を徹底的に究明するつもりなら、5色にある利点とは以下のようなものだ。

  • 最大限の強力カード。使いたいデッキ・タイプを決めれば、そのアーキタイプで最も優れたカードを全て採用できる。コントロール・デッキ? 最良の除去呪文を全て利用可能だ。速攻デッキ? 最善のクリーチャーを全て利用可能だ。そのフォーマットに存在するあらゆるカードをそのまま採用できる。
  • 5色カード。しばしば、デッキへの採用を極めて難しくするために、のコストを持った豪華なカードが収録される。ああ、5色はそれを使えるデッキの1つさ! 《彩色マンティコア》を戦場に出すときだ。

 そして、4色同様、どのような欠点がついて回るかも、予想できるだろう。

  • マナベース不全。仮に土地が全て2色土地だとしても、必要な色を確保するのには骨が折れるだろう。マナベースが機能したとしても、土地はほぼ全てタップ状態で戦場に置かれたり、ダメージを与えたりするものだ。5色デッキでマナベースの一貫性を得るのは無謀とも言える。
  • 土地対策への脆弱性。使いやすい土地破壊呪文や《血染めの月》は、5色デッキを完全に停止させることが可能だ。最近そういったカードは多くないが、環境に登場すれば確実に問題となる。

5色を巡ってひと回り

 これで、マジックのデッキを構築する際に適用できる、各色数の組み合わせについての考察は見終わったわけだ。今後、デッキを組み上げようと腰を据えて取り掛かる時は、続けてこう自問することから始めよう。そのデッキで何をしようとしているのか? それは何色でなければならないだろうか? それから、デッキをどこに誘導するか判断するんだ。

 これらを念頭に置き、今後のデッキ募集に投稿するときにも、この考えを取り入れてみよう!

 記事への質問やコメントがあれば、私へのツイートや、私のTumblrで質問を気軽に送ってほしい。必ず拝見することをお約束しよう。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)


(今週のデッキ募集はありません。編集)

最新Reconstructed記事

RECONSTRUCTED

2016年 1月 18日

コジレックの帰還 by, Gavin Verhey

 コジレックの再登場は実に衝撃的なものだった。  ゼンディカー全土が救われると思われたそのとき、大地が鳴動し、地の底で眠る怪物が目覚めた――コジレックが再び地表へと姿を現した。  プレインズウォーカーたちが恐れていた最悪の事態が、現実のものとなったのだ。  君たちももう、コジレックの姿をその目で見たことだろう。その血族や彼のもたらした荒廃、そして無色マナを扱う様々なものを...

記事を読む

RECONSTRUCTED

2016年 1月 11日

ジョリーといっしょ by, Gavin Verhey

 『ゲートウォッチの誓い』プレビューにようこそ!  このセットでは、すごい試みがいくつも行われている。いくつか例を挙げると、キーワード能力の支援や怒濤もそうだし、それから、もちろん、無色マナ・シンボルもそうだ。私は『ゲートウォッチの誓い』のデベロップ・チームに参加していたので、それらがいかに作り上げられたかを思い出すと恍惚としてしまうよ。  とは言え、私たちはこのセッ...

記事を読む

記事

記事

Reconstructed Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る