ジェスカイの流儀

更新日 Reconstructed on 2014年 9月 30日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 いよいよ『タルキール覇王譚』がやって来た!

 ローテーションを迎えたブロックがスタンダードから去り、フォーマットの風景がガラッと変わるこの瞬間が、私は大好きだ。特に今年のローテーションは、今か今かと待ち望んでいたよ。カンが率いる氏族にスポットライトが当たることはもちろん、とりわけこれまで注目したことのない色の組み合わせがその目玉になっているのだから。

 『タルキール覇王譚』での氏族が持つ特徴は、これまで持たれていた「楔の3色」のイメージとは少々異なる、という点を注意してほしい。今までによく見られたものもあるけれど、意欲的なものもあるというわけだね。

 そしてジェスカイは、その後者の側なのだ。

ジェスカイの隆盛》 アート:DanDan Scott

 青、赤、白の組み合わせと聞けば、君たちはコントロール・デッキを思い浮かべることが多いだろう。しかし、過去のイメージというものはときにデッキ構築の邪魔になる。ここタルキールにおいては、その3色はややアグレッシブな傾向にあるのだ。確かにコントロールに適したカードもあるけれど、ジェスカイの3色はクリーチャーとスペルの連携によってできるだけ多くのダメージを生み出す、というのが本懐なのだ(「果敢」という能力にそれが表れているね)。

 そこで今日は、よりアグレッシブなジェスカイ・デッキのひとつの形を、丁寧に検証していこうと思う。準備はいいかな? タイラー・ヴォーン/Tyler Vaughanが送ってくれたデッキを見てみよう。

Tyler Vaughan's Jeskai Controlled Burn

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その戦術とは

 今回のデッキにはクリーチャーを除去する手段が豊富にある――それでもコントロール・デッキとは一線を画したものだ。

 今回のデッキはダメージを与えることができる呪文を満載しており、それらの火力のほとんどは対戦相手に向けて直接放つことになる! 現在のスタンダードには強力な火力呪文が多くあるため、今回のデッキはそれらを駆使すると同時に、白や青の持ち得る力をタッチすることでアドバンテージを得ているのだ。現時点では青と白のカードは極めて少ないものの、しっかりとゲームに影響を与えるものが採用されているね。

 今週送られてきたデッキについて注意してほしいことがある。それは、リストが送られてきた時点では、まだ新しいカードがさほど公開されていなかった、という点だ。言い換えると、タイラーが送ってくれた今回のデッキには、その時点では公開されていなかったけど、絶対にデッキに入るカードがあるということだ。ジェスカイには、今回のデッキにぴったりな優秀なクリーチャーや呪文がたっぷりとある。憶えているかな? 最高の火力呪文とは、継続的なダメージ源になるクリーチャーなのだ。

 今回のデッキを改善する上で鍵となるのは、そのアグレッシブさとテンポを損なわないようにすることだ。もちろん対戦相手を素早く倒すことが望ましいが、今回のデッキは単なるバーン・デッキよりも少し多くの仕掛けを隠し持っているぞ。正しく組み上げることができれば、攻撃も守備も両方こなすことができるようになるだろう――これを実現できるバーン・デッキはそうないはずだ。それじゃあ、デッキの動きについてはこれくらいにして、改善に取り組んでいこう!

デッキ詳細

 ジェスカイ道に沿ったものと、別の道を探した方がいいものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、確認しよう!

発生器の召使い

 このカードは、《予知するスフィンクス》や《悟った達人、ナーセット》を高速でプレイできるかも、という夢を与えてくれる。そのプランの強さについては文句ないよ――確かに強い。

 だがしかし、それは不安定だ。今回のデッキではクリーチャーを多く使う予定はなく、特定のカードを引き込まなければ機能しないような2/1のクリーチャーでデッキの枠を狭めたくない。さらに、私はこれからよりマナ効率の良いカードを加えていくつもりだから、そもそもマナ加速をするものが必須ではないのだ。こいつを今回のデッキの5マナ域と組み合わせるのに使うくらいなら、私としてはもっと強力で速攻性のある5マナ域を採用したいし、そうなれば速攻性を得るために《発生器の召使い》が必要ではなくなる。《発生器の召使い》は抜いてしまおう。

 この枠には、それ自身が強力で、引きこんで嬉しいようなクリーチャーを加えたい――すなわち《カマキリの乗り手》と《オレスコスの王、ブリマーズ》だ。どちらもコストに対して多くのダメージを稼ぎ出す強力なクリーチャーであり、力を発揮するのに他のカードを必要としない。これらのどちらかを3ターン目に繰り出してクロックを刻み始めることに、私は大賛成だよ。

 いや、《発生器の召使い》が埋めていた枠は2マナ域だけれど、その枠はどうするのかって? もちろん、そこも押さえているさ――《ジェスカイの長老》が今回のデッキにおける先兵となりつつ、ドローを調整してくれる。土地を引きすぎてしまった?《ジェスカイの長老》はきっと、その土地を呪文に変えてくれるだろう。5枚目の土地をプレイする必要がある?《ジェスカイの長老》の後押しを受ければ、土地が手に入るはずだ。《ジェスカイの長老》をブロックするには危険が伴う。「果敢」を持つため、強化されるかもしれないという不安が常につきまとうのだから。

予知するスフィンクス

 私の中で、こいつは「歴代これで攻撃したいクリーチャー・ランキング」の上位に入る。とはいえ、青、赤、白のデッキで5マナ域を使うなら、戦場に出てすぐ仕事をする速攻持ちのものを使いたい。

 そう、例えば、サルカンとかね!

 《龍語りのサルカン》は、間違いなく『タルキール覇王譚』の中で最も強力なカードのひとつだ。5ターン目に4点のダメージを叩き込むか、あるいは戦場にいる厄介なクリーチャーを焼き払うか、という能力を持つ彼は、その力を持て余すことがないだろう。さらに、今回のようなデッキが《龍語りのサルカン》の最終奥義を起動する、というプレッシャーは計り知れない。今回のようなデッキにおいては、5マナをマナ域の頂点に設定したい。そこに据えたいのが、《龍語りのサルカン》なのだ。

悟った達人、ナーセット

 今回のデッキにおいて、《悟った達人、ナーセット》の能力は確かに強力だ。しかしながら、そのコストが私の理想より少々重い。今回のデッキでは、《龍語りのサルカン》がある5マナ域を最大にしたいのだ。《悟った達人、ナーセット》は優れたカードだけれど、今回は私の求めていたものではなかった。

軍族の雄叫び

 こいつは実に刺激的な組み合わせをもたらしてくれる。そのターンに攻撃をしていれば、呪文ひとつがとんでもないものへと変貌するのだ。今回のデッキでは攻撃する機会も多く、「強襲」を達成するのは容易だろう。ところが、だ。つい見落としがちだが、それを実現するにはこいつのコストに加えてコピーする呪文のコストも支払わなければいけないのだ。5マナまで到達すれば、《稲妻の一撃》をコピーすることくらいはできるだろう……それくらいならむしろ、1枚でも機能するカードを採用したい。

ダメージを与えるもの

 ああ、これは永遠の悩みだね――ダメージを与える呪文はどれを採用すればいいだろう?

 まずひとつ言っておこう。これらのカードに手をつける前に、私は何よりも《ジェスカイの魔除け》を4枚採用したい。4点のダメージを与えるモード、対戦相手のテンポを大きく削ぐモード、そしていざというときに自軍を強化するモードも搭載した《ジェスカイの魔除け》は、上記の火力呪文たちより優先すべきだろう。それじゃあ、この《ジェスカイの魔除け》の周りを固める火力呪文はどれだろうか?

 まずは《稲妻の一撃》が私の理想に合っている。2マナで3点というダメージ効率は現在の基準となっていて、《稲妻の一撃》はシンプルで優秀だ。

 次点は《かき立てる炎》。今回のデッキでは、とりわけ《カマキリの乗り手》と《オレスコスの王、ブリマーズ》が警戒を持っていることを考えると、《かき立てる炎》を2マナか3マナで放つことが容易だ。(その上《オレスコスの王、ブリマーズ》は《かき立てる炎》のコストを支払うのに使えるトークンを生み出してくれるぞ!)高コストの呪文を減らすために《かき立てる炎》の採用枚数は3枚にするつもりだが、こいつは基本的に強力なカードだ。

 そこへ続くのは《マグマの噴流》だ。火力呪文の構成はここまでですでに理想通りの形になっているものの、《マグマの噴流》は極めて強く、ドローの改善にも役立つ。喜んでこいつを4枚すべて採用しよう。

 《マグマのしぶき》も相手によっては良いカードであり、また《ジェスカイの長老》の「果敢」を1マナで誘発できるというのは素晴らしい。それでも、私が心から求めるものではなく、今回の枠には入らない。サイドボードに検討するべきではあるものの――メインからは取り除くことに私は賛成だ。

 そして、それは《モーギスの悪意》にも同じことが言える。(緑のクリーチャー・デッキのように)サイドボードから入れたいマッチアップは確かにあるだろう。それでも、弱いマッチアップがあまりに多いため、私としては抜いてしまいたい。

 それから、もうひとつ採用したいものがある。《跳ね返す掌》だ。

 枚数は多くいらないけれど、《跳ね返す掌》はここぞというときに使えば完璧な働きを見せてくれる。こいつを2枚ほど採用することで、慎重な対戦相手が試合中1度でもその姿を見れば、それを意識してプレイせざるを得なくなるだろう。そうなれば、結果的にかなりのダメージが見込めるようになるのだ。

解消

 打ち消し呪文は私も大好きだ。しかし3マナかかるというのは、今回のデッキにおいて強いとは言えない。どうしても打ち消し呪文が欲しいなら、よりコストの軽いものを使うといいだろう。だが私としては、今回のデッキの呪文には能動的なものを採用したい。今回のデッキとの契約は「解消」しよう。

紅蓮の達人チャンドラ

 今回のデッキにおける《紅蓮の達人チャンドラ》は最高だ。彼女はダメージを与え、《オレスコスの王、ブリマーズ》や《ジェスカイの長老》の攻撃を通す助けになり、そしてカードをもたらしてくれる。対戦相手の側から見れば、絶対に対処しなければならない脅威となるだろう。正直に言って、私は《紅蓮の達人チャンドラ》をもう1枚追加したい。コストの重いプレインズウォーカーが手札に詰まるのは望ましくないけれど、デッキに3枚なら十分許容できる。

太陽の勇者、エルズペス

 《太陽の勇者、エルズペス》も極めて強力なカードだ――それは間違いない。しかしながら、私は今回のデッキにおけるマナ域の頂点を5マナに設定していて、またこれ以上序盤に使いにくいカードを引き込みたくない。《太陽の勇者、エルズペス》は抜いてしまおう。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今回のデッキは君たちの流儀に合わなかった? もっと『タルキール覇王譚』後のデッキリストを漁りたい? よし、今週惜しくも選ばれなかったデッキたちを見てみよう!

Bryan Mohr's Suicide Black Devotion

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Eli's Simic Surprise

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Sebastiano Masi's Bear-Punchers

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Zach's Jeskai Wartime

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Austin B's Naya Superfriends

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Brandon Dauer's Sultai Walkers

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クリーチャー (12)
4 Sylvan Caryatid 4 Kiora's Follower 4 Courser of Kruphix
ソーサリー (4)
4 Thoughtseize
インスタント (6)
2 Bile Blight 2 Sultai Charm 2 Hero's Downfall
アーティファクト (2)
2 The Chain Veil
60 カード

Brandon Dauer's Devotionball

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Mark Ian Alloso's Jeskai Control

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Brian Geddes's Mardu Midrange

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Sakane Kiyoaki's Goblin-Wave Tactics

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Johan Borbye's Pit Control

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Sandman's Abzan Constellation

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Duey's Mardu Goblins of Urd

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Dai Kasahara's 5-Color Morph

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(9月30日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 2週間後(翻訳掲載は4週間後)は、多人数戦ウィークだ! そこで今回は、今まで見てこなかったものに挑戦してみたいと思う。多人数戦向けのマジック・デッキだ。確かに統率者戦が思い浮かぶかもしれないし、統率者戦のデッキを送ってみたいと思えば、気軽にそうしてほしい。しかし、60枚のカオスマジック多人数戦向けデッキや、その他何か選んで送ってくれてもかまわない。やってみよう!

フォーマット:なし?!?!
デッキの制限
:多人数戦でプレイしたいと思うようなデッキ。(統率者戦、カジュアル多人数戦、カオスマジックなど)
締め切り:10月7日(火)午前10時(日本時間)
投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt
(以下同様)

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 また、今週についても、デッキは reconstructeddecks@gmail.com 宛に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 記事について何か考えたことやコメントがあれば、私へのツイートや、私のTumblrでの質問として送ってほしい。必ず拝見する!

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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