蛇とともに奈落の底まで

更新日 Reconstructed on 2014年 10月 7日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

原文はこちら

 マジックの歴史上、最強と謳われたデッキのうちのいくつかは、墓地を利用するデッキだ。

 《補充》デッキは、墓地をエンチャントで満たしてから、それらを全て戦場に叩きつける。リアニメイト・デッキは、手のつけようが無い脅威を最序盤に展開する――そして万が一に備えて、打ち消し呪文を構えてくる。不条理なほどの強さで心をねじ曲げてくる発掘デッキは、デッキ名を書くときにRe-plenishやRe-animateのように頭に「Re」をつける必要すらない。(Re-dredgeというのは良い響きではあるけどね)

 この話の教訓:墓地に注目した新たな戦略が登場する場合は、いつでも最大限に警戒しなければならない。

強大化》 アート:Jaime Jones

 そして新たな墓地戦略の登場だ。タルキール覇王譚には墓地の悪用に長ける氏族が存在する。確かにそこには力がある。墓地利用の力は恐ろしい――そしてその恐怖が我らの相棒となるんだ。

 今回はその力のほどを詳しく調べてみようじゃないか。これがギャリー・ハフ/Garry Houghのスゥルタイ・デッキだ。

Garry Hough's Ride the Snake

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その戦術とは

 これは確かに墓地利用デッキだ――しかしどう動かすデッキなんだろうか?

 そうだな、ほとんどの墓地利用デッキと同様、まずはなるべく早く墓地にカードを叩き込むべく動く。そうできるように、《サテュロスの道探し》、《神々との融和》、そして新顔の《血の暴君、シディシ》がうまくやってくれる。マナ加速は、デッキの戦略をさらに早く推し進めるための助けだ。

 そうして、このデッキが取るべき攻撃方法としては2つある。

 1つ目は、《エレボスの鞭》を使うという単純なものだ。このテーロスの超強力カードを用いることで、対戦相手に向かって巨大な脅威を次から次へと送り込みつつ、その過程でライフレースの優位を確実なものとする。上のデッキリストには1枚しか入っていないので、このままではこの作戦は当てにできないだろう。

 2つ目は、より多くのクリーチャーを用いた攻撃的な戦略だ。《夜の咆哮獣》の一撃は強烈だし、《血の暴君、シディシ》は対戦相手を追い詰めるゾンビの群れを生み出すことができる。同様に、《倒れた者からの力》が機能すれば、大打撃を与えるのも間違いない。

 調整を加えて、どちらの攻め手も強化していきたいところだ。このようなデッキでは、対戦相手を倒すための最適な手法を導き出すことが極めて肝要であり、別のやりようもいくつかあるようだ。行ってみよう!

デッキ詳細

 どのカードが残る価値のあるもので、どのカードが蛇の口に投げ込んでもいいものか? デッキに入っているそれぞれの選択肢を調査していこう!

森の女人像》《エルフの神秘家

 これらのマナ加速だが、このデッキでは2つの理由から重要となる。1つ目は明白なもので、ゲームプランをより早く展開する助けになる、という理由だ。3ターン目に登場する《血の暴君、シディシ》は恐ろしい!

 2つ目は、1つ目に比べると少々気づきにくいのだが、デッキにより多くのクリーチャーを入れられる、という理由だ。別の言い方をすれば、デッキに入れる土地を減らせる。自分のライブラリーから自分の墓地へと自身でカードを落としていくデッキであり、《血の暴君、シディシ》や《夜の咆哮獣》のようなカードを有効とするためにクリーチャーを必要とするデッキでもあるのだから、それは極めて重要なことだ。

 これらの理由から、《エルフの神秘家》は4枚にまで増やしたい。そして、もちろん、《森の女人像》は4枚のままだ。

サテュロスの道探し

 さあ、ライブラリーから墓地へと続く路線の、最初の列車が駅に入ってきたぞ。ポッポー! 乗った乗った!

 これはまさしく、このようなデッキのためのカードだ。《サテュロスの道探し》は墓地に3、4枚のカードを送り込み、土地を手に入れる助けになり、おまけにクリーチャーも落とす。《血の暴君、シディシ》が出ていれば、この手のカードでトークンを出せることも忘れてはいけない! 《サテュロスの道探し》は絶対に4枚だ。

血の暴君、シディシ

 なんでこいつは蛇なんだろうか? それはさておき、《血の暴君、シディシ》はスゥルタイから来たこのデッキの主力の1つで、妨害がなければ単体でゲームを支配できる。

 《血の暴君、シディシ》はさらにライブラリーを堀り進め、その自身の能力とライブラリーを削る呪文によって幾度となくゾンビを生み出す。私はほとんどの場合、伝説のカードを4枚デッキに入れるかどうかは慎重に検討する。だが《血の暴君、シディシ》なら、喜んで4枚投入したい。なぜなら、1体出せれば優勢だし、もし必要になれば、いつでもそのまま手札から唱えて墓地に送り込んでもいいのだからね!

クルフィックスの狩猟者

 おお、我らの古き良き友、《クルフィックスの狩猟者》よ。よいコンビである《森の女人像》と共に、今なお多元宇宙に大きな影響をもたらしている。

 土地が少ないため、《クルフィックスの狩猟者》を採用しているほかのデッキほどの活躍は見込めない。とはいえ、自身のライブラリーを削ることで、ライブラリーの一番上に必要なカードが来るよう、ある程度調整できる機会は十分にある。このデッキでは、あまり多くの無駄引きは許容できない。加えて、《クルフィックスの狩猟者》は、《エルフの神秘家》から続けて展開できるカードでもある。これは4枚のままでいこう!

夜の咆哮獣

 このようなデッキの骨子の1つである《夜の咆哮獣》は、そのマナ・コストからは考えられないほど巨大になる。こいつは最終的に2桁のパワーになることも多いだろう。4枚入れないなんて考えられない。

 さらに、巨大なアタッカーという枠にもう少しカードを割きたい。《定命の者の宿敵》はかなり早いうちに5/5として登場し、(そして素早く10/10になって)相手に圧力をかけていけるので、いい塩梅だ。しかもだ、こいつは蛇というテーマにも合っている! 《夜の咆哮獣》を補完するため、《定命の者の宿敵》も2枚採用しよう。

狩猟の神、ナイレア

 理屈の上では、《狩猟の神、ナイレア》を1枚挿しすることで、墓地に《狩猟の神、ナイレア》を落としておいて、長期戦になったら《エレボスの鞭》で戻して他のクリーチャーにトランプルを持たせて戦況を打破する、という計画が立てられる。しかしながら、その状況になる見込みは低い。それよりは、《エレボスの鞭》で戻すにしろ普通に引くにしろ、普段から役に立つカードを採用したい。ナイレア様、お元気で!

苦悶の神、ファリカ

 このデッキは、超積極的に墓地にクリーチャーを溜めていくので、《苦悶の神、ファリカ》の能力は特定のデッキ相手には有用だ。そう、彼女の能力なら、《倒れた者からの力》とのコンボによるいきなりの一撃死をお見舞いできる。しかし、《狩猟の神、ナイレア》の場合と同様に、この枠を普段から役に立つカードにしておきたい。こういったデッキでは、動きが一貫していることが重要で、デッキを合理化することは目標の達成に大きく影響してくる。

 《狩猟の神、ナイレア》と《苦悶の神、ファリカ》の代わりに、墓地にあるときも仕事をしてくれる何か別のカードを検討したい。私が優先して採用したいのは、《イニストラードの魂》だ。ライブラリーを削っていくうちにそれらが墓地に落ちるとすれば、長期戦で驚くほどのアドバンテージを獲得できる。《イニストラードの魂》があれば簡単に盤面を立て直せるので、全体除去を使う側は歯軋りすることだろう――そして、《夜の咆哮獣》を戻して授与する展開になるのは間違いない。このデッキに入れたい枚数は2枚だ。まとめて引きたいカードではないものの、墓地に落ちれば心強い。さらに、少々コストが重いが、必要とあればいつでも手札から唱えることができる。

神々との融和

 《サテュロスの道探し》同様、このカードもこういったデッキの定番だ。ライブラリーを墓地に送り込み、必要なクリーチャーを掘り当てるか、あるいは《エレボスの鞭》のようなエンチャントを見つけ出す助けとなる! 4枚固定だ。

倒れた者からの力

 墓地利用偏重のデッキでは、こういったカードに無限の可能性が秘められている。《エルフの神秘家》でさえも圧倒的脅威たらしめる《倒れた者からの力》は、全てのカードを対処必須の脅威にしてしまう……エンチャントを常に出せるようにすればの話だが。

 とは言うものの、この類のカードに関する大きな問題は、デッキの動きそのものを支援するわけではないということ、そして有効性を保つのが難しいということだ。「突然死」を引き起こせるのは素晴らしいが、いったん出し終わってからも役目を果たし続けるという保証はない。先ほど述べたように、一貫性こそがこういったデッキの鍵となる――そして《倒れた者からの力》はその助けにはならない。

 代わりに、最新のカードに注目してみたい。《スゥルタイの隆盛》だ。これはデッキの一貫性を極めて高め、必要なもの全てを探し出す助けになる。複数枚引いても素晴らしく、それは《血の暴君、シディシ》とのよいコンボにもなる。《倒れた者からの力》の部分を《スゥルタイの隆盛》に入れ替えよう。

奈落の総ざらい

 『タルキール覇王譚』に収録された《奈落の総ざらい》が、要検証カードであることに疑問の余地はない。これからの数ヶ月は、他のカードを差し置いて、ターン終了時に訳の分からないままに決着をつける《奈落の総ざらい》の活躍を見かけるだろう、というのが私の予想だ。一方が青黒コントロールを使う試合で、ゲームは通常の展開を見せたとしよう。それからカードが1枚使われると、突然もう一方のプレイヤーが投了する、というようなことがあれば、その犯人はこいつだ。

 だが奇妙なことに、ここではデッキがやることと相性が悪いようだ。このデッキはあまりマナを多く並べないし、どのクリーチャーも探査で墓地から追放したくない。これを唱えるためにはを捻出する必要もある。加えて、《奈落の総ざらい》そのものはクリーチャーではないため、ライブラリーを墓地に送る際にめくれてほしいカードではない、ということにもなる。《奈落の総ざらい》が極めて強烈なカードであることに間違いはないが、このスゥルタイ・デッキに必要とするものではない。

エレボスの鞭

 ここまでにも何回か《エレボスの鞭》については話している。そして今、最後にここに戻ってきた。これはスタートレックのチェコフの銃に似ている。あるいはガヴィンの鞭に。あるいは……まあ何かに。

 どんな状況であっても、《エレボスの鞭》は確実にゲームを支配できる、このデッキの必須カードだ。多くのデッキが、このカードがもたらす影響力に対処しなければならないという大問題を抱えている。あらゆるコントロール・デッキは、急いで《払拭の光》を探し出して使わなければ負けてしまうだろう。もう一度言うが、伝説のカードを4枚採用することについては、常に慎重に検討しなければならない。だが《エレボスの鞭》は十二分に強く、いつでも引き入れたいカードだ。4枚でいいだろう。手札に溜まったとしても、恐らく大丈夫だ。《エレボスの鞭》の能力があれば、とにかく手札の呪文を唱えなければならない、とはならないだろうからね!

 これらの変更全てを考慮すると、デッキリストはこうなる。

Gavin Verhey's Snakes All the Way Down

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 このデッキが予想以上に強力になりそうなので、これからのフライデー・ナイト・マジックに参加するなら、どんなデッキを使うとしてもサイドボードに墓地対策を用意しておくべきだと思うよ。

 巨大なクリーチャーを簡単に戦場に出現させ、序盤でも終盤でもゲームを有利に進められるのだから、このデッキは侮れないだろう。

 《スゥルタイの隆盛》は頼りなく思えるかもしれないが、このデッキではかなり有効だ。通常は、2枚とも必要としないものであれば、そのまま墓地に送り込むだろう。基本的に探し出して確保したいのは、《エレボスの鞭》、《血の暴君、シディシ》、そして《夜の咆哮獣》だ。これらを確保するために《スゥルタイの隆盛》を利用するんだ。

 このデッキを楽しんでほしい! 『タルキール覇王譚』入りスタンダードという新環境に殴りこみだ。楽しもうじゃないか!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 スゥルタイは自分の氏族じゃないって? 心配ない――今週も数多くの刺激的なデッキが投稿された! これらがそうだ!

Matsukasa's Hardened Squid

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POSValkir1's The Siren's Drum Combo

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Tony Youssef's Chromantarkir

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Yuta Suzuki's Chockies

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AJ's Mono-Black Aggro

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Mekanic's Art of War

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Lundizz's Can You Smell What Surrak is Cooking?

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Brandon Gross's Jeskai Burn

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Takahiro Yamamoto's Tymaret Sligh

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Brandon Dauer's Flying Hydras

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Itou Kazunari's Anger of the Chimera

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Jeremy Brewer's Selesnya Sentinels

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Tomoyoshi Sasaki's No Rare Red

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Rho_Game's Mardu Warrior Aggro

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 記事について何か考えたことやコメントがあれば、私へのツイートや、私のTumblrでの質問にて、いつでもご連絡いただける。

 プロツアー『タルキール覇王譚』の観戦を楽しんでほしい。また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(編集より:今週のデッキ募集はありません。)

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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