一握りのカウンターのために

更新日 Reconstructed on 2014年 10月 14日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

原文はこちら

 アブザン特集へようこそ! 今週は、ここDailyMTG.comでこれから5回にわたって続く特集の、第1回目だ。

 アブザン家の一員としてこの氏族に心を捧げる私としては、我が家のように感じるアブザンから特集を始められることを嬉しく思う。各氏族の特集回では、それぞれの氏族がやりたいことにぴったりと沿っていくつもりだ――もちろん今日もそうするぞ!

 さてアブザンのカードと言えば「長久」だが、これに+1/+1カウンターが置かれているクリーチャーすべてに何か能力をもたらす《アブザンの鷹匠》のようなクリーチャーを組み合わせることで、きっとさらに面白いことになるんじゃないかな。この組み合わせによって「アブザンによる+1/+1カウンター・デッキ」をひたむきに追求することができ、また、能力を自軍すべてに広げるという「スリヴァー的な」動きも見せることができる。

 おっと、あんまり先走っても良くないね。まずは本日手がけていくデッキを見てみよう。

Zachary's Abzan's Counters

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その戦術とは

 ゲーム中盤を支配する力にかけては、アブザンの右に出るものはない――今回のデッキはそれを良く表しているね。

 他のデッキのようにマナ・カーブに沿って素早く展開を終えるわけではないものの、アブザンのクリーチャーたちはサイズ的な成長を続け、膠着した盤面ではほぼ確実に勝利を掴むだろう。加えて、能力がすべてのクリーチャーに共有されるというのは対戦相手にとって極めて厄介なはずだ。本来飛行を持たないクリーチャーが、突然飛来してくるのだから!

 今回のデッキは、クリーチャー満載のミッドレンジ・デッキのような動きを見せる。マナを使う先はたくさんあるから、全体的にコストを抑えるように心がけたいところだ。たとえひとつひとつのコストは軽くても、「長久」をはじめ、他にも使うべき起動型能力が山ほどあるのだ!

 それから、大切なことがもうひとつ。今回のデッキを、ゲーム序盤と終盤のどちらでもきちんと機能するように組み上げよう。アグレッシブなデッキに圧倒されないよう、ゲーム序盤にできることをきちんと確保することが大切だ。そして同時に、コントロール・デッキのエサにならないよう、ゲーム後半でも選択肢に富んだものでなくてはならない。今回のデッキを調整する上で、私はゲーム序盤と終盤での動きを補強したい。ゲーム中盤は、すでに有利を得ているのだ。

デッキ詳細

 この項を経て、首を切られることなく耐え抜くカードはどれだろう? デッキのカードを1枚ずつ通して見て、残すべきものと入れ替えるべきものを確認しよう!

羊毛鬣のライオン

 今回のデッキが「アブザン」のものであるとはいえ、『タルキール覇王譚』以外のところに目を向けてデッキのパーツを探すことも大切だ。《羊毛鬣のライオン》はまさにその好例であり、こいつはクリーチャーとして極めて優秀なだけでなく、自身に+1/+1カウンターを置くこともできる。また、こいつは対ビートダウン・デッキで序盤に使うのにうってつけのカードであり、その上長いゲームにおいてはコントロール・デッキにとって頭痛の種になる。喜んで4枚すべて残そう。

アブザンの鷹匠

 こいつは、「スリヴァー的」要素をデッキに与える代表的なカードのひとつだと私は思う。(自軍全体とまではいかなくても)ほとんどのクリーチャーに飛行を与えるという能力は、地上でどれだけ膠着していてもその状況を一気に打開するだろう。こいつがデッキに入っているなら、地上でのにらみ合いは望むところだ。《アブザンの鷹匠》がいれば、こちらの大型クリーチャーが地上でブロックしつつ空を制することになり、戦いを有利に運ぶ大きな助けになるはずだ。さらに、《アブザンの鷹匠》の「長久」はわずか1マナで起動できる! こいつは4枚すべて残したい。

 それから、「長久」や今回のデッキ全体のテーマに最高の相性を持つカードがある。それは《硬化した鱗》だ。こいつは1マナでありながら、デッキのほとんどのカードを大きく強化してくれる。「長久」で置かれる+1/+1カウンターがふたつになるだけでなく、《アブザンの魔除け》は2体のクリーチャーに+1/+1カウンターをふたつ置くようになり、《英雄の導師、アジャニ》がもたらす+1/+1カウンターもふたつずつになるなど、影響は多岐にわたる。今回のデッキには1マナ域のカードが少なく、そして私はデッキ全体のコストを下げようとしている――《硬化した鱗》は私のねらいにぴったりなのだ。4枚フル投入するぞ!

象牙牙の城塞

 このカードは、書いてあることだけ見れば実にエキサイティングだ。5マナ5/7ですべてのクリーチャーをアンタップできる? すごいじゃないか!

 ところが、だ。先ほど私が言ったことを憶えているかな? 今回のデッキにはマナを使う先がたくさんあり、マナが足りなくなりがちなのだ。私としてはこういったカードを連続で引き込むことは望ましくなく、それならむしろゲーム序盤に繰り出すことができるコストの軽いカードを使い、マナが余るくらいでいい。《象牙牙の城塞》はクールなカードだけれど、今回のようにマナが欲しいデッキでは採用したくないかな。

マー=エクの夜刃

 今回のデッキのような戦略においては、この手のカードをすべて確認し評価するのも面白いだろう。こいつは《アブザンの鷹匠》と比べると、同じ2/3なのに1マナ多くなっていて、そこはやや劣る部分だ。しかし、問題はそこじゃない。

 私にとって大いに疑問なのは、《マー=エクの夜刃》は今回のデッキで何をしてくれるのか、ということだ。確かに、+1/+1カウンターが置かれていれば、クリーチャー同士の戦闘での勝利を確実なものにしてくれる。だが、+1/+1カウンターで強化しているなら、恐らくそれだけでもクリーチャー同士の戦闘で優位に立てるだろう。《マー=エクの夜刃》が欲しい状況は間違いなくあるけれど、そのためにこいつを採用しようという気にはならないかな。

アラシンの上級歩哨

 《アラシンの上級歩哨》は莫大な力に満ちている。長期戦になれば、こいつの起動型能力が完全に手に負えないものになるだろう。+1/+1カウンターが関わる能力をすべて使えるようにし、おまけに強大な飛行クリーチャーがついてくるのだ!

 とはいえ、今回のデッキにはすでに、こちらが優勢のときに強いカードが多く採用されている。《アラシンの上級歩哨》が欲しい状況とはつまり、他に+1/+1カウンターの置かれたクリーチャーが複数体戦場にいる、ということなのだ。《象牙牙の城塞》にも同じことが言えるが、私としては、すでにこちらが優勢という場でしか強くないカードを採用しすぎないように、細心の注意を払いたい。

 《アラシンの上級歩哨》と比べて目新しさはないけれど、やはり《世界を喰らう者、ポルクラノス》が今回のデッキにぴったりだ。このハイドラはコストに対するサイズが大きく、盤面をがっちり固めてくれる(つまり、ミッドレンジ戦略の助けになる)。それから、コントロール・デッキに対する大きな脅威になり……さらに、「怪物化」によって+1/+1も得られるのだ! 《アブザンの鷹匠》がいれば、《世界を喰らう者、ポルクラノス》は空をも制する。飛べ、ポルクラノス! 空を駆けろ!

 ともあれ4マナ5/5というだけでも、今回のデッキの戦略にとって良いことばかりだ。こいつも4枚採用しよう。

アブザンの戦僧侶

 マッチアップによっては、自軍のクリーチャーすべてに絆魂を与える点は、残酷なまでの力を発揮する。しかしながら、それは極めて限定的だ。4マナというコストも考えると、《アブザンの戦僧侶》がメイン・デッキに居場所を見つけられるほど活躍するとは思えない。であるが、今回のデッキでは、こいつをサイドボードに検討することは考えてもよいだろう。クリーチャー・デッキ同士の削り合いや、速い赤デッキとのマッチアップでは、ゲームを決めるカードになるからだ。

アイノクの盟族

 そうそう、こういう「長久」持ちが欲しかったんだよ! こいつはわずか2マナというコストのため他の動きを上から抑え込むことがほとんどなく、戦闘において大いに力を貸してくれる。とりわけ《アブザンの鷹匠》がいれば、もっとこいつが欲しくなるはずだ。こいつはゲーム序盤に繰り出すことができて、その後もマナ・カーブに合わせてマナをつぎ込む先になるだろう。私は喜んで《アイノクの盟族》を採用し、枚数も4枚に増やそう。

威名の英雄

 《威名の英雄》は、誰もが夢見たことを実現するナイス・カードだ。《硬化した鱗》とこいつを戦場に繰り出し、それから、例えば《アブザンの魔除け》で対象に取る。するとこいつは7/7まで成長し、4ターン目にして14点ものダメージを叩き出す! ドッカーン!

 だがしかし、もう一度言おう。私が今回のデッキに求めるのは、安定性だ。今回のデッキでは、クリーチャーを対象に取る呪文を多く使う予定はないのだ。そこで、《威名の英雄》ほどの圧倒的な可能性を秘めたものではないけれど、ゲームの最初から最後まで安定した強さを持つカードがある。《先頭に立つもの、アナフェンザ》だ。やはり何と言っても、彼女はこのチーム「不滅」にとって永遠のリーダーなのだ。アブザンのカンにふさわしく、彼女はコストに対して強大なサイズを持ち、他のクリーチャーに+1/+1カウンターを与えることもできる。私は彼女を4枚フル採用したい。

牙守りの隊長

 《牙守りの隊長》の能力は、どんなデッキと戦うかによって効果の大きさがかなり変わる。例えば、トークン戦略が人気なら《牙守りの隊長》は重宝されることだろう。

 しかしながら、往々にしてこいつは求める基準を満たしていない。3マナあるなら、私は他のカード――《アブザンの鷹匠》や《先頭に立つもの、アナフェンザ》、あるいは《アイノクの盟族》などの「長久」能力――を使いたいし、そもそもこちらのクリーチャーが対戦相手のものより大きければ、それだけでも今回のデッキはゲームを支配できているはずだ。《アブザンの鷹匠》が回避能力をもたらすのに対し、《牙守りの隊長》は「ノンボ」……つまり、コンボになっていないのだ。憶えておくべき優れたカードではあるものの、今回は私たちのチームから抜けてもらおう。

アブザンの魔除け

 もしこのカードがまるで今回のデッキのために作られたように感じたら、それはたぶん……いや、きっとその通りなんだよ! こいつは自由自在に+1/+1カウンターを置くことができて――恐ろしいことに、こいつが《硬化した鱗》と組み合わさったときの爆発力は尋常じゃないよ――、それからクリーチャーの攻撃を通すのに役立つ除去にもなり、そして必要ならカードの循環も助けてくれる。素晴らしい!

 私から言いたいことはひとつだけ。今回のデッキには、《アブザンの魔除け》以外にももう少しだけ除去を採用できる余地がある。《アブザンの魔除け》とともに私が採用したいのは、1枚挿しの《払拭の光》だ。(今回のデッキにとって《嵐の息吹のドラゴン》が大きな問題になることを考えると)《残忍な切断》と悩むところだが、スタンダードではプレインズウォーカーも倒せる《払拭の光》の方がいいだろう。

蒔かれたものの収穫

 『テーロス』ブロックから採用の小粋なカード、《蒔かれたものの収穫》は、《硬化した鱗》と組み合わせることでインスタント・タイミングの恐ろしい動きを見せてくれる。本来なら、私はインスタント・タイミングで使えるカードが大好きなのだが、今回は極めて似た効果を持つあるカードのために、《蒔かれたものの収穫》は諦めようと考えている。そのカードとは、《アブザンの隆盛》だ。

 《アブザンの隆盛》は自軍すべてのクリーチャーに+1/+1カウンターを置くだけでなく、今回のデッキが心から欲しかった除去耐性ももたらしてくれる。対戦相手が《対立の終結》を狙っていても、《アブザンの隆盛》がその後の立て直しと押し込みを支えてくれるだろう。私は《蒔かれたものの収穫》と《アブザンの隆盛》をそのまま交換したい。

英雄の導師、アジャニ

 マナ・コスト的にはギリギリの採用だが、《英雄の導師、アジャニ》は今回のデッキにこの上なくフィットする。彼は必要とあればゲーム後半のカード・アドバンテージ源になり、また好きなように+1/+1カウンターを置ける能力で強烈な一撃を通すことも可能だ――戦場に《硬化した鱗》があれば、本当にとんでもないことになるだろう。5マナというコストを鑑みて2枚ほどの採用に留めたいけれど、彼が今回のデッキにいてくれるのは本当に嬉しい。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

Gavin Verhey's Team Not-Dead

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 アブザン・デッキの組み方はいくつもあるけれど(参考:英語記事「Abzan Clan's Master Plan」)――今回の+1/+1カウンターを軸にしたものは私のお気に入りのひとつだ。このデッキは《硬化した鱗》が戦場に残れば実に面白く、ときには信じられないような動きを見せてくれるだろう。ガラスビーズやサイコロを載せたカードが盤面を埋め尽くす様子を目の当たりにすれば、君たちもきっと感動して、満ち足りた気分になるはずさ。

 このデッキは、あるテーマのデッキを作る際には必ずしもそのテーマに沿ったカードをすべて使わなければならないわけではない、ということを良く示している。「+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーすべてに能力を付与する」クリーチャーの中で、このデッキに採用されているのは《アイノクの盟族》と《アブザンの鷹匠》だけだ。それでも問題ない。すべてを使わなくても、デッキが一番やりたいことを実現してくれているのだから。

 こういったデッキは、実際に使うことでその面白さがわかる。ぜひ組んでみて、楽しんでくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週送られてきた『タルキール覇王譚』入りの新しいスタンダード・デッキには、他にどんなエキサイティングなものがあっただろうか? 見てみよう!

Bubbaasan's Abzan Warriors

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Joe Lam's Simic Infinite Constellation

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Travis Miyashiro's Zurgo Control

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Joe Gorman's World War Walkers

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Jose Vargas's Mono-Black Aggro

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Qoarl's Whole Lot of Mystery

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Curtiss Royster's Mardu Walkers

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Itou Kazunari's Doomsday of Mardu

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Geoff Basore's 4-Color Jeskai Tokenstorm

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Planeswalker (2)
2 Nissa, Worldwaker
クリーチャー (12)
4 Elvish Mystic 4 Sylvan Caryatid 4 Rattleclaw Mystic
ソーサリー (10)
4 Divination 3 Tormenting Voice 3 Treasure Cruise
インスタント (7)
4 Defiant Strike 3 Raise the Alarm
アーティファクト (1)
1 Hammer of Purphoros
エンチャント (7)
4 Jeskai Ascendancy 3 Karametra's Favor
60 カード

Miyagawa Shintaro's Mardu Warriors

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Manfredi's Ascendant Combo

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Sean Brickley's Mardu Tokens

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Nekomata-sensei's Keranos's Regular Prowess

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Tony Youssef's Nykthos Wealth

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 記事について何か考えたことやコメントがあれば、私へのツイートや、私のTumblrでの質問にてお送りいただきたい。必ず見ることをお約束する。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)


(編集より:今週のデッキ募集はありません。)

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