多人数戦に向けた構築

更新日 Reconstructed on 2014年 10月 28日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 多人数戦は、いつもの一対一で行われるマジックとは大きく異なる。

 この「ReConstructed」が始まって以来、最も広くリクエストを受けた話題のひとつが、カジュアルな多人数戦向けの記事だった。私が毎週お届けしているのは、そのほとんどが一対一のゲームにおけるデッキ構築のアドバイスだ。確かに、そういったアドバイスは多人数戦においても有用なものが多いだろう――しかし、決定的な違いというものが間違いなくあるのだ。

 デッキ構築には無数のやり方がある。トーナメントに向けてデッキを組むなら、対戦相手を次々に打ち破ることを追求し、純粋に勝つための構築を行うだろう。しかしカジュアルに楽しむ多人数戦では、駆け引きに合わせて、テーマに従って、あるいはフォーマットに沿って――その他諸々、数え切れないほどの理由を持って構築に挑めるのだ。

 本日は、その中からいくつかを取り挙げ、それぞれの道を行くならどのように改善すればいいかを見ていくつもりだ。いくつかのデッキリストに目を通し、調整のやり方を語っていくことにしよう――目線はカジュアル・プレイに合わせるぞ。

 準備はいいかな? それじゃあ始めよう!

戦略に従った構築

 このやり方はたぶん、一対一のゲームにおける構築に最も近いだろう。カジュアル目線のデッキでも、戦略を中心に組むのは一般的なやり方のひとつであり――デッキをしっかりと機能させるためには、戦略的なテーマが欠かせない。ぜひとも、戦略に「通ウーズる」デッキを組み上げたいところだ。(そう、ときには文字通りウーズまみれの……オエッ。オーケー、文字通りってことはないね。ただのクリーチャー・タイプに過ぎないんだから)。

擬態の原形質》 アート:Svetlin Velinov

 とはいえ、このようにいつものデッキ構築とほとんど変わらないものでも、考慮すべき大切な要素はまだある。まずは、その一例を見てみよう。

Drew Lipold's Burning Devour

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 このように戦略を重視したテーマを持つデッキにおいて私が最初に確認するのは、そのデッキをひと目見てやりたいことがわかるかどうかだ。それについては問題ないね。《ドラゴンの餌》、《目覚めの領域》、《マイコロス》、《若き狼》、《ドラゴンの大母》。ああ、それからこのデッキの名前は「燃え上がる貪食」だから、それとなく教えてくれているね。とにかく、このデッキではっきりしているのは、「貪食」を持つクリーチャーが生み出すアドバンテージで何かデカイことをやってやろう、ということだ。

 では、このデッキに足りないものとは何だろう?

 よろしい、私が手を加えたいことはふたつある。

 まず大切なことは、デッキ内のパーツを多人数戦の視点に立って評価することだ。多人数戦のゲーム中、通常のゲームについての知識を総動員するのはもちろんだが、同じことを考えているプレイヤーが「複数人」いることを忘れてはいけない。つまり、ゲームが長引くことが予想できる(攻撃できる人数が増え、加えてゲーム中の交渉があるため、攻撃することは必ずしも正しくない)

 そうとも、その通り。戦うプレイヤーが多くなればなるほど、かわいいクリーチャーたちが除去されやすくなる。そして、このようなデッキにとってさらに厄介なことに、10/10の《マイコロス》には過剰なまでに速く反応があるものだ。本当の脅威が何であるかに関わらず、「あいつが戦場を埋め尽くす前に今すぐ殺せ! それからそのオーナーにも攻撃だ!」となってしまうのだ。

 その状況を避けることが、多人数戦における成功の鍵になる。

 ここから向かう道は2つだ。《特権階級》や《レインジャーの悪知恵》のように呪禁を与えるカードを使うなどして、防衛手段を講じつつ、ハイリスク・ハイリターンな作戦のもと、その卓の「敵役」となって巨大な脅威になることだ。あるいは、クリーチャーが除去されても利益が得られるようにしてやることだ。

 私としては個人的に、ふたつ目の道を選びたい。確かに、卓の全員の注意を引きつけたいなら、巨大な脅威を守り出すのは良い方法だろう。しかしそれなら、除去が集まっても大丈夫なようにデッキを組んでやればいい。

 犠牲になることでより強くなるクリーチャーといえば、まず《若き狼》は最高の候補だ。この手のカード、例えば《絡み根の霊》のようなカードを増やす、というのはぜひ検討すべきだろう。これに加えて、クリーチャーの損失を補うようなカードは無害だと見なされることが多い。たとえクリーチャーが死の運命にあっても、《よりよい品物》や《重大な落下》といったカードがそこから利益を得る良い手段になるはずだ。

 ああ、それから速攻もいいね。《ヤヴィマヤの火》のようなカードがあれば、少なくとも1発は攻撃を与える助けになるだろう。

 ここまでが、私が手を加えたいポイントその1。そしてその2は、対戦相手たちの攻撃を抑止する手段が少ないことだ。正直なところ、こちらへの攻撃を思い留まらせるというのは、多人数戦において最も重要なことのひとつなのだ。

 アンソニー・アロンギ/Anthony Alongiが様々な多人数戦用のカードについての記事(リンク先は英語)を書いてから、もう数え切れないほどの月日が経った(もしそれらの「月」や「日」が一斉に2003年の4月に戻っていくなら――世界中の天文学者を呼ばなきゃね!)。(ちなみにこの記事は、のちにアダム・スタボウスキー/Adam Styborskiの手により見事な復活(リンク先は英語)を遂げた……うん、前のものに比べれば、こちらに向かう「月」の数はかなり少ないかな。オーケー、そろそろ天体にこじつけるのはやめよう)。アンソニーは、多人数戦で有用なカードたちのことを「ガラガラヘビ型」のカードと呼んだ。ガラガラヘビのように警告を発することで、ちょっとした行動が引き金になり盤面が壊滅することを対戦相手に恐れさせ、攻撃をためらわせるカードのことだ。

 このデッキでは、そういった「ガラガラヘビ型」のカードをもう少し採用すべきだ。(ここで私がこの話題を取り挙げなかったら、私のTumblrに棲む「ガヴィン信者」たちがこぞって私にこう言ってくるに違いない――「ここは何よりマナが大切な次元なのに、マナに優しいガラガラヘビがいないなんてたまったもんじゃないよ!」)

 マジック全体を見渡せば、この役割に該当するであろうカードはたくさんある。しかし中でも、《血まなこのサイクロプス》のようなカードの睨みは強烈だ――「俺の仲間を殺すってのか? じゃあ10点喰らうってのはどうだ?」また他にも、《再誕のパターン》などをクリーチャーに貼り、「やれるもんならやってみろ」と対戦相手に迫るのもいいだろう。

 ともあれ、優れたガラガラヘビを採用するのはこのデッキにとって都合がいい。おっと、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社は決して、本物のガラガラヘビを使おうと勧めているわけじゃないぞ。確かに、対戦相手たちは君の近くでカードをプレイしなくなるかもしれないけれど、君自身が生き残るのに良い手段とは言えない。よく考えて決めてくれ。

駆け引きに合わせた構築

 多人数戦ならではのユニークな考え方が1つある。

 通常の一対一のゲームでも、毎ターンどのようにプレイしたかを振り返ることができ、ついやってしまったミスを詳しく、恐らく実際にゲームの敗北を決めた一手に至るまで語ることができるだろう。さらに深く考察したいなら、ゲーム中のブラフや、あるいはもし変えられるなら勝利に結びついたかもしれない一手を語ることもできるはずだ。

 だがその点については、多人数戦に勝るものはない。

 多人数戦のゲーム中、3人以上のプレイヤーが生き残っている場合は、文字通りありとあらゆる瞬間に発された「言葉」がゲームの結果に大きく影響する。ちょっとこのことについて考えてみよう。

「多人数戦には、ゲーム中のありとあらゆる瞬間において、そのゲームの決め手となる駆け引きを行うチャンスがある」

 賭けてもいい。もし君たちが駆け引きの達人なら、どんな多人数戦でも必ず最後のふたりまでは生き残るだろう。その力は、君たちの多人数戦に対する考え方と――それに合わせたデッキ構築のやり方をすっかり変えてしまうに違いない。みんな注目!

Psieye's Pawn Shop

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 プロツアー・チャンピオンであることと、多人数戦において《強欲のトーテム像》の効果を用いた戦い方を知っていることには、大きな違いがある。

 並行世界のニューヨークからやってきた、我らがサイキック・スーパーヒーロー、サイ・アイ/Psieye。彼の世界は、山高帽をかぶる人が多いことと携帯電話から緊急連絡番号に繋がらないことがたまにあることを除けば、こちらの世界とまったく同じだ(まあ、たった今私が考えた空想の世界だし――こちらの世界では誰も私の夢を壊したりなんかしないよね)。そんな彼は駆け引きの要素があるカードをいくつか取り挙げ、それらをひとつのデッキに詰め込んだ。

 《強欲のトーテム像》? そうとも、こいつこそがその代表的なものだ。それから、《バザールの交易商人》も「思うがままに」取引を進めることだろう。それじゃあ《外交特権》は? もちろん、同盟を結んだプレイヤーのクリーチャーにつけてあげて、敵を攻撃させるのさ。なんて気前の良い話だろう!

 必然、君は最後のふたりまで残る。そうしたら、今度は元「同盟相手」をぶちのめすことにしよう。パーマネントをいくつか拝借してから、《ネファリアの密輸人》や《幽霊のゆらめき》を用いてそれらを永久にこちらのものにしてやればいい。

 ああ、まさに多人数戦ならでは、だ。このデッキは、いたって無害な雰囲気をまとっている。安心しきった君たちの首に、その牙を突き立てるまではね。

 さて、このデッキについて私が一番調整を加えたい部分は、勝利手段を確実なものにすることだ。

 カジュアル志向の多人数戦デッキにおいて私がよく見る失敗は、その核となるテーマを機能させることに没頭しすぎて実際の勝ち手段のことを忘れてしまう、というものだ。それは言うなれば、見事な浴室を備え、キッチンにはバナナをかわいらしく飾る場所があったりもする素晴らしい家を建てたのに、ドアを設置し忘れて出入りに苦労するのと一緒なのだ。

 なるほど、我らがレジデント・スーパーヒーロー、サイ・アイのことだ。そうやって出入りの難しい秘密基地に住まなければならないということは、私も大いに理解できる。手の届かないところにあるバナナに対して念力を行使するのも許そう。しかし、私たちのような普通の人間にはドアが必要だ。そして大抵の場合、こういうデッキなら私はドアを増やしていきたいのだ。(ドアを増やすということはつまり、勝利手段を増やすということだ)。

 まずは《曇り鏡のメロク》から始めるのがうってつけだろう。とはいえ、実はお好みで何を採用しても、役に立つはずだ。

 そう、勝ち手段を十分に確保することさえできればいい。ゲーム序盤に繰り出す必要はない――手札に持っていてもいい――けれど、同盟を組んでいた相手といよいよ決着をつけるというときにゲームを確実に終わらせることができる、という点だけは大事にして欲しい。《強欲のトーテム像》や、《液鋼の塗膜》と《練達の盗賊》の組み合わせは確かに強力だが、それらがいつでも十全に機能することは期待できない。それでも、デッキにもう少しボム・クリーチャーを採用しておくことで、きっとうまくいくことだろう。

フレーバーに沿った構築

 今度は、かなりの「秘境」へと足を伸ばしていこう。実際のところ、それは丘を通り山を越え、そしてスフィンクスをやり過ごす以上のものだ――フレーバー重視のデッキさ!

 その道のひとつを見てみよう。

Hiroki Asada's The Rakdos

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COMMANDER: Rakdos the Defiler
部族 (1)
1 Not of This World
99 カード

 こいつはラクドスがテーマの統率者戦用デッキだ。ラクドスを頂点に据えた上で、ヒロキはこのデッキを、ラクドスらしさを全面に押し出したものにしている。

 もし私がラクドスのフレーバー重視のデッキを組むなら、何よりもまず、ラクドスラクドス教団に関わるカードをすべて確認する。だがしかし、それだけでは足りない――もっと深くのめり込まなければいけないのだ。それこそが、ヒロキの成し遂げた偉業であると私は思う。ラクドスは速さと無謀さを兼ね備えているため、このデッキには《さらなる速さ》のようなカードが採用されている。ラクドスはランダム性を好み、何が起こるかわからないような混沌をそのまま放っておく。だから、このデッキには《混沌のねじれ》や《魂の再鍛》のようなカードが採用されているのだ。

 それでも、君たちがこれからフレーバー重視のデッキを組むなら、私から個人的に大きなルールをひとつ課そう。とことんまでフレーバーを追求すること! フレーバー重視のデッキを組むと決めたなら、そのテーマのためなら(そして楽しむためなら!)多少の犠牲は受け入れる覚悟ができているはずだ。私としては、できる限り深く潜り、可能な限りフレーバーに満ちたデッキにして欲しいと思う。

 このラクドス・デッキの場合、私はもっと名前に「ラクドス」がついたカードを多く目にしたいし、あるいはラクドスのテーマやギルドシンボルの「透かし」を含んだカードが見たい。実を言うと、このデッキにはギルドからそのまま持ってきたものが少し足りない、と私は感じているのだ。(確かに、ラクドスはそんな細かいことを気にするヤツじゃないけどね)。それから、《混沌の掌握》のような全体的に混沌ぶりを後押しするような効果が増えると、私はとても嬉しいな。それから最後に、パーティに関わるカードも忘れちゃいけないね! パーティを成功させる方法なら『テーロス』ブロックのサテュロスたちが熟知しているから、きっと彼らから何か学べるだろう。

 そしてもうひとつ、君たちが決めたテーマを支える最高の方法がある。そのテーマで遊べるような、クールな別のフォーマットを見つけることだ。以下に「死」をテーマにしたアーチエネミー戦用のデッキの、クールな一例を挙げよう。

Toyoharu Sonohara's Der Erlkönig

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 もちろん、「楽しさ」というのは主観的なものであるのが本当のところだ――フレーバー重視のデッキにおける私の組み方が君たちにとって楽しくないものなら、ぜひ君たちなりに楽しめるものを残してくれ。なんといっても、君たちが楽しめなきゃね!


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(10月28日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 2週間後(「ReConstructed」の翻訳掲載は4週間後)、皆さんが考える低予算のデッキに注目してみよう! このコラムにデッキが掲載されることに興味がおありかな? いいとも、ぜひ挑戦して送ってほしい!

フォーマット:スタンダード
デッキの制限:ある程度の予算内でデッキを構築すること。ゆるい定義だが、レアは少なく、神話レアはもし使うとしてもごく少数、という予算を考慮してほしい。
締め切り:11月4日(火)午前11時(日本時間)
投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt
(以下同様)

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 また、今週についても、デッキは reconstructeddecks@gmail.com 宛に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。

 それまで、この記事やその他一般的なことについて考えたことがあれば、ぜひ皆さんの声を聞いてみたい。私へのツイートや、私のTumblrでの質問でいつでもお送りいただける。読むことをお約束する。そう、考えたことがあれば、ぜひとも送ってほしい。

 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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