ジェスカイに限りなし

更新日 Reconstructed on 2014年 11月 18日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 ジェスカイ週間へようこそ!

 タルキールの次元を旅して各氏族を尋ねるツアーの第二回だ。シートベルトを締めて、車の窓から手を出さないように。それから、ジンやイフリートのペットは持ち込み禁止。寄り道しないようにね、赤ずきんちゃん。

 さて、気がついているかもしれないが、『タルキール覇王譚』が最初に登場したとき、すでにジェスカイを一度取り上げている。そして今日までの間に、いくつかのジェスカイ・デッキがスタンダード・トーナメントの上位へと顔を出してきている。そうすると、ジェスカイ特集で取り上げるためのデッキが何か残っているだろうか?

ジェスカイの魔除け》 アート:Mathias Kollros

 そうだな、別のジェスカイ・デッキを名乗るための興味深い手法はまだまだ残されている。今回は、ジェスカイで構築できる、これまでとは違う手法を取り上げていこう。トークン中心のデッキだ! レックス・テイラー/Lex Taylorが提供してくれた、今回検討するデッキリストを見てみよう。

Lex Taylor's Kung Fu Tokens

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Planeswalker (2)
2 Elspeth, Sun's Champion
クリーチャー (5)
2 Goblin Rabblemaster 3 Nyx-Fleece Ram
ソーサリー (8)
4 Hordeling Outburst 4 Triplicate Spirits
アーティファクト (1)
1 Spear of Heliod
エンチャント (6)
4 Jeskai Ascendancy 2 Dictate of Heliod
60 カード

その戦術とは

 ジェスカイ・デッキは通常、ゲームに勝利する手段として、《カマキリの乗り手》を重視したり、火力呪文の集中砲火を浴びせたりするものだと思うだろう――しかし、このデッキはそういう類のものとは全然違う。

 アグレッシブなデッキであるという点は同じだが、このデッキの戦術は、トークンを利用して「戦線を広げる」――つまりトークンでクリーチャー戦線を構築するものだ。それから、より威力が高まるように全てのトークンを強化していく。

 例として《軍族童の突発》を取り上げよう。合計パワー3のために3マナを支払うのは、構築戦で熱望するようなものではない。しかし《ヘリオッドの指図》を戦場に出せば、3マナで合計パワー9のクリーチャーを作ることができる。そう、突如として、三つの頭と六本の足を持つ、恐ろしく大きなクリーチャーどもを従えることになる! 投入されている全体強化エンチャントによって、カードによって生み出されたトークン・クリーチャーすべてをパンプアップできるため、単体のクリーチャー呪文を唱えるよりも影響は大きい。

 このデッキは、どこかのターン終了ステップで《急報》を唱えて大ダメージを与え始める、という感じで、何も無いところから圧倒的戦力を生み出せるアグレッシブ・デッキだ。このデッキリストは、トークンを主軸としたデッキの構築としてはすでにかなりの完成度があるので、細部を調整して全体を最適化することに照準を絞ってやっていこう。

 準備はいいかな?

デッキ詳細

 カードを全て見て、どれがデッキに合うか、どれがデッキ採用に届かないかを調べる時だ。

急報

 《急報》は、このようなデッキの主要な構成要素の1つだ。これは2マナなので早い段階から唱えられる上、インスタントであるという利点も持ち合わせているため、攻撃クリーチャーを待ち伏せたり《対立の終結》の後に唱えたりできる。早い段階から使える軽いトークン生成カードを確保することは重要なので、これを引き入れられるよう、絶対に4枚そのままにしておきたい。

ニクス毛の雄羊

 《ニクス毛の雄羊》は、相手のデッキがアグレッシブであるほどに効果を発揮する対策だ。しかしながら、このデッキで、こいつがメインに最適なカードかと言われると肯定しかねる。これはデッキのために何をしてくれるだろうか? 全体強化の恩恵を受けて攻撃に参加できるところはいいのだが、このようなアグレッシブであろうとしているデッキでは、相手を素早く倒すためのカードを採用したい。

 その目標のために、同じ2マナ域のカードから何を選択してデッキに採用するかは重要だろう――このデッキは少々2マナ域が足りない状態で(その隙間を埋めるための《ニクス毛の雄羊》だったが)、軽量マナ域を埋めるのはアグレッシブであろうとするデッキにとっては重要だ。2マナ域は最低でも5~6枚は欲しいので、これは2マナ域を満載するためのいい機会だろう。

 まず加えたいのは《アクロスの重装歩兵》だ。これはトークン戦術と見事に噛み合う。単体では攻撃しても2/2――あまりにも平凡だ。しかしトークンが並べば、大ダメージを与えるクリーチャーへと即座に成長する。《アクロスの重装歩兵》に続けて《軍族童の突発》や《ゴブリンの熟練扇動者》を使えば、こいつは4ターン目の攻撃で5ダメージを与えることが可能だ!(さらに、出したのが《ゴブリンの熟練扇動者》だった場合、3ターン目の攻撃で3ダメージを与えることになる。)《アクロスの重装歩兵》を4枚採用しよう。

 残った枠に入れたい、このデッキ向きの最適なカードは《道の探求者》だ。この新たなジェスカイのクリーチャーは、このデッキならばほとんどの状況で2マナ3/3絆魂として攻撃できるだろう――それ以上のサイズにも、それほど苦労せずになれる。このデッキには2枚より多く入れるだけの余地が残っていないが、2枚採用できるのはいい感じだ。

ゴブリンの熟練扇動者

 《ゴブリンの熟練扇動者》は現行のスタンダードで最も人気なアグレッシブ・クリーチャーの1体だ――その人気もうなずける。こいつは追加のクリーチャーを手際よく生産する上、対面に邪魔者がいなければ、自ら乗り込んで大ダメージを与えるんだ。このデッキでなら、《軍族童の突発》との組み合わせであっという間にすごい攻撃力になる!

 これは間違いなく4積みカードだ。上のデッキリストでは2枚だが、4枚に増やそう。

軍族童の突発

 《軍族童の突発》は、このようなデッキに最適なカードの模範例だ。これは3マナでトークンを3体生み出す上、そのトークンはゴブリンなので、《ゴブリンの熟練扇動者》に恩恵を与えることにもなる。

 最大の問題点は、《オレスコスの王、ブリマーズ》とどちらが良いかという点だ。このデッキの3マナ域はすでに限界で、《ゴブリンの熟練扇動者》を4枚に増やすと、それだけで12枚になる。《オレスコスの王、ブリマーズ》を入れるなら、《軍族童の突発》は席を譲らなければならないだろう。(また、デッキの3マナ域のマナ・コストにの両方があるのは避けたいところだ。)

 結局、《ゴブリンの熟練扇動者》との素晴らしいシナジーと、《胆汁病》以外の除去に対してより安定する点から、《軍族童の突発》を残すことにした。しかしながら、どちらの選択肢も大差は無く、《オレスコスの王、ブリマーズ》を選んでも全くおかしくはないだろう。

三つぞろいの霊魂

 《三つぞろいの霊魂》のマナ・コストは高いが、このデッキが生み出せるトークンの数を考えれば、必要なマナは召集によって極めて少なくなる。4ターン目に《三つぞろいの霊魂》を唱えるのも極めて簡単な話だ。加えて、召集を持つカードは、《ジェスカイの隆盛》と自然に噛み合う。召集呪文を唱えるためにクリーチャーをタップすると、そのあとすぐに《ジェスカイの隆盛》の効果でそれらのクリーチャーがアンタップされるんだ。

 飛行を持つトークンは間違いなく有用だし、トークンで素早く戦場を埋め尽くす助けにもなる。デッキリストには4枚入っているが、これが2枚も3枚もある初手を引きたくはないので、4枚は入れたくない。3枚に減らすのがいいね。

太陽の勇者、エルズペス

 スタンダードのトークン生成カード第1位と言える《太陽の勇者、エルズペス》だが、少々コストが重すぎる。序盤に行動できる選択肢を十分持てるよう、デッキのマナ・カーブを低くしたい。そして唱えるために6マナを必要とする呪文は、採用したい範囲からは遠すぎる。すまないがエルズペス、このデッキのために死んでくれ。(……いやぁ、悪いね――結論を出すのが早すぎたかな?)

ジェスカイの隆盛

 このカードはコンボ・デッキでかなりの評判を生み出した――しかしここではコンボではなく、攻撃を支援するカードとしての役割を果たす。通常は最低でも自軍を+1/+1してくれるし、+2/+2以上にすることもそれほど難しくない。

 先ほど触れた通り、このカードと召集呪文には、まさに夢のような相互作用がある。《三つぞろいの霊魂》か《かき立てる炎》を唱えるためにクリーチャーをタップして、マナを支払わずに呪文を唱えつつ、ルーティング(カードの引き捨てを組み合わせた効果)を解決して、それから全ての味方をパンプアップするんだ! 《ジェスカイの隆盛》はこのデッキで素晴らしい働きを見せるので、4枚投入だね。

かき立てる炎

 《かき立てる炎》はスタンダードで最良の火力呪文の1つだが、これを召集するための大量のクリーチャーを用意できること、そして《ジェスカイの隆盛》があることで、このデッキではより良いものとなる。4枚より減らしたいとは思わない。

ジェスカイの魔除け

 《ジェスカイの魔除け》は、対戦相手のテンポを遅らせることに優れていて、対戦相手に4点を直接与えることもできるが、それだけではない。トークンを基盤とした戦術において、多数のクリーチャーを強化することも可能だ! 4枚全て残すことになるのも当たり前な話だね。

ヘリオッドの指図

 これらのトークンを用いる利益のひとつは、《ヘリオッドの指図》のようなカードが信じられないほどの効果を発揮してくれることだ。《ヘリオッドの指図》でゲームを終わらせるのは極めて簡単だ――もし1/1のトークンが5体いれば、突然15点もの大ダメージになるからね!

 他のカードよりも重く、このデッキのマナカーブの頂点にあるのは間違いないが、これを2枚から3枚に増やしたい。最良のゲームエンド手段の1つを手に入れられる上、このデッキに搭載されたトークン生成カード全てが巨大な脅威を生み出すようになり、《対立の終結》のような全体除去からの復帰の助けにもなる。

稲妻の一撃

 これは確かに優秀なカードだが、デッキの他の部分とのシナジーがない呪文を入れる余裕がこのデッキには残されていない。《かき立てる炎》と《ジェスカイの魔除け》はどちらにもデッキ全体とのシナジーがある――ところが《稲妻の一撃》はそうじゃない。デッキリストから一撃で排除する必要があるね。

ヘリオッドの槍

 全体強化カードはこの類の戦術では有効だ。しかしながら、このデッキはすでに使いたい3マナ域が極めて多く、また3ターン目にこれを唱えたいわけでもないので、《ヘリオッドの槍》は抜きたい。

 これを使うために枠を使うよりは、上で話したとおり3枚目の《ヘリオッドの指図》をその枠に入れたい。《ヘリオッドの槍》を置くのが理想的なターンと同程度のターンで出すことになるが、ゲームに与えるインパクトはより大きいからだ。

 以上だ。全ての変更を加えると、デッキリストはこのようになった。

Gavin Verhey's Jeskai Tokens

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 元のデッキリストを引き締め、より良いマナ・カーブを描き、デッキが持つ最大の特徴を強化した。

 もちろん、選べるデッキの方向性は数多くある。トークンの利用が好みでないなら、より火力を重視した方針や、最近見かけるようになってきた、英雄的を利用した(《撤回のらせん》コンボも採用できる)バージョンも試せるだろう。現在のバージョンにおける最大の問題は、メインに《オレスコスの王、ブリマーズ》を採用するかしないか、だろう。これは素晴らしいカードだが、3マナだ。何度か回してみて、《三つぞろいの霊魂》や《軍族童の突発》の枠を《オレスコスの王、ブリマーズ》にしたいと考えることも確かにありえた。さらなる3マナ域のカードではあっても、ね。

 それはともかく、このデッキはかなり強力で、よいシナジーをいくつか持っていて、そして回していて楽しい。ジェスカイの氏族を率いて対戦相手をぶっちぎる楽しさを味わってくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 採用されてもおかしくなかった他のジェスカイ・デッキはどんなものがあったかって? ごらんあれ!

Jaymic Schliesman's Howling Jeskai

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James Mullen's Jeskai Basketball

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Noda Teppei's Double Double Double!

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OklamahoMixer's Ascen-dance!

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クリーチャー (8)
4 Dakra Mystic 4 Ornithopter
インスタント (7)
1 Swan Song 2 Defiant Strike 4 Retraction Helix
アーティファクト (10)
3 Astral Cornucopia 3 Briber's Purse 3 Springleaf Drum 1 Altar of the Brood
エンチャント (4)
4 Jeskai Ascendancy
60 カード

Brandon Dauer's Jeskai Heroic

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Dav's Jeskai 'Walkers

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Ryota Nishimura's Skybind Tokens

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FROGUE's Prowess Tempo

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Yuichi Kouide's Boros Touch Blue

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 また来週お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(今週のデッキ募集の内容は、後日掲載いたします。編集)

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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