スタンダード構築を紐解く

更新日 Reconstructed on 2014年 12月 16日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 ワールド・マジック・カップでは、最も難しく興味深いデッキ構築のテーマでありつづける、チーム共同デッキ構築・スタンダードが登場する!

 ReConstructedで扱う題材だとは思っていなかったかもしれないが、そうでもないよ。

 チーム共同デッキ構築・スタンダードは、そのフォーマットの制限下で1つのデッキを構築すればいい、というだけでもなければ、最良のデッキ3つを一緒に使えばいい、というわけでもない――パーツが被らない3つのデッキ、その最良の組み合わせを探し当てなければならない。そこが面白いんだ。

 チーム共同デッキ構築・スタンダードの主なルールは次の通り。

  • スタンダードで使用可能なデッキを3つ用意しなければならない。
  • 3つのデッキ全体で、同じカードは4枚までしか使えない。(基本土地は除く。)

 要するに、3つのデッキを全てまとめたとしても、まとまったその1つのデッキはスタンダードで使用可能でなければならない。

 私(ガヴィン)とジャッキー・リーがこのフォーマットについて説明している動画も参照してくれ。(リンク先は英語)

 デッキをどのように分けていこうか? すでに確立されているデッキ3つを利用してみようか、それともこのフォーマットで成功するための新しいデッキに挑戦してみようか? 同じカードを複数のデッキで分け合って使いたいだろうか、それとも3つとも全く別のデッキにしたいだろうか?

 さあ、取り掛かる時間だ! 今回は、チーム共同デッキ構築・スタンダードに取り組むための2種類の手法を詳しく調べていきたい。始めよう。

分割

 スタンダード環境の上位にありながら、他の上位デッキと使用カードが全く被らない、というデッキを3つ揃えるのは難しい。とはいえ、少々の調整によってそれに極めて近い状態にはできるかもしれない。良い手法の1つは、使用カードがほとんど被らない3つのデッキを選ぶことだ。いくつかの妥協が必要になるという現実を受け入れる代わりに、実績のある強いデッキを3つ、ほとんどそのまま利用できる。

 昨年では、フランスがこの手法を効果的に用いた。彼らは緑が被っているデッキを2つ――緑単とジャンドを――選んだ結果、ジャンドは《東屋のエルフ》や《エルフの神秘家》無しで何とかやりくりする必要に迫られ、緑単は《スラーグ牙》を入れられなくなった。

 それもすべては、白と青のカードに手をつけず、ヤン・グットマン/Yann Guthmannが使う3つめのデッキに全てを残しておくためだ。

ヤン・グッドマンのデッキ

ワールド・マジック・カップ2013 優勝 / チーム共同デッキ構築・スタンダード(当時)
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ラファエル・レヴィのデッキ

ワールド・マジック・カップ2013 優勝 / チーム共同デッキ構築・スタンダード(当時)
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ティモズィー・シモノットのデッキ

ワールド・マジック・カップ2013 優勝 / チーム共同デッキ構築・スタンダード(当時)
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 さてそこでだが、今年ならどのようにその魔術を再現できるだろうか?

 そうだな、ReConstructedの読者であるジョージ・ウォルフ/Georgr Wolfeが、かなり手堅いアプローチを提供してくれた。それはジェスカイを起点とするもので、デッキリストはこのようなものだ。

ジョージ・ウォルフの「スーパーマンティス」

チーム共同デッキ構築・スタンダード
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 ジェスカイはスタンダードで数多くの成功を収めてきている。そしてこのデッキリストに注目する要素が特に無いとしても、これが魅力的に思える理由が実はある。それは、他のデッキで使いたいカードをほとんど使わないので、チーム共同スタンダードのデッキ構築の方法論にうまく当てはめられる、という点だ。

 ジョージは、ジェスカイと組むデッキとしてアブザンと赤単を提案している。このデッキとアブザンは使用カードの被りがほとんど無いので、この2つは良い組み合わせだ。赤単は《稲妻の一撃》などが少々被るものの、この3デッキを組み合わせるため、ジョージはその負担を受け入れるつもりのようだ。これで、お互いに使用カードの被りが無いかなり優秀なデッキ2つと、わずかに使用カードが被るデッキ1つが揃う。

 例えば、こんな感じだ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「共同アブザン」

チーム共同デッキ構築・スタンダード
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ガヴィン・ヴァーヘイの「共同赤単」

チーム共同デッキ構築・スタンダード
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 ジョージは、ジェスカイ・デッキ側に《ゴブリンの熟練扇動者》を採用しないことで、赤単に投入できるようにしている――そして《稲妻の一撃》の不足は《マグマの噴流》で補っている。(もしこの3デッキ構成に合わせるためにジェスカイ・デッキを修正するなら、私は多分《稲妻の一撃》と《マグマの噴流》を2つのデッキで均等に分割するか、《稲妻の一撃》を赤単に与え、《マグマの噴流》をジェスカイに持たせるだろう。)ともあれ、赤単とジェスカイ・デッキで少々の衝突があるにもかかわらず、そろえて扱うのに向いている3つのかなり手堅いデッキが手に入る。

 さて、これが手法の1つだ。では別の手法は? よくぞ聞いてくれた!

団結

 少々の犠牲を受け入れつつ、カードプールを既知のデッキ3つで分割するのが手法の1つだとすれば、逆の手法は、新しいデッキを3つ組み合わせるものになる。

 もし他のチームが少々妥協したデッキを使っているとすれば、より影響の少ないデッキでそれらを食い荒らす絶好のチャンス、ということになるかもしれない!

 ここで、これら2つの戦略は、状況を見て適切なほうを採用するべきだ、と注意を促しておく。昨年勝利したフランスのデッキリストを振り返ってみよう。緑単はあらゆるスタンダード・イベントで勝利するような環境トップレベルのデッキではなかったが、このチーム共同デッキ構築・スタンダードではよい選択である、ということが判明した。

 その立ち位置を今年に合わせて考えれば、トップレベル・デッキへの警戒を潜り抜けている青黒コントロールのようなデッキがそのまま当てはまるかもしれない。他のデッキが多少なりとも弱体化しているとすれば、コントロール・デッキがその僅かな優位性を確保する、有利な状態になりやすい。もしくは、信心のようなデッキが舞い戻ってくる機会かもしれない。

 しかし今回は、もっと思い切った全く新しいデッキを考慮してみよう。まずは、イトウ カズナリが投稿してくれたこのデッキをお目にかけよう。

イトウ カズナリの「青赤・肉体と剛体」

チーム共同デッキ構築・スタンダード
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 こういったデッキは――とりあえず今は――スタンダードの上位で見かけるデッキではない。誤解しないでほしいが、完璧から程遠いデッキではあるものの、世界へと羽ばたく準備はできている。そしていくつか調整することで、競技レベルたりえるかもしれず――スタンダードで多くのプレイヤーがこういうデッキを調整していくうちに、天啓を受けて新しいものを見出せるかもしれない。

 さて、こういったデッキを採用すれば、他のデッキを用いる場合よりは、人気のカードを取り合うことが少なくなる。実際、もしこのデッキを選択すれば、ついこの間開催されたグランプリ・サンアントニオ(リンク先は英語)で最高の実績を残したデッキから残りの2つをそのまま採用し、すぐに3つのデッキを共存させることが可能だ!

 例えば、グランプリ・サンアントニオからこのような極めて強力なデッキ2つを取り込むことができる。

オリィ・スウィフトの「白青・英雄的」

グランプリ・サンアントニオ2014 準優勝 / スタンダード
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ジェレミィ・フライの「ティムール・モンスター」

グランプリ・サンアントニオ2014 3位 / スタンダード
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 世界選手権とワールド・マジック・カップでは、相当に風変わりなデッキが登場するかもしれない。つまり中継を見る上で、チーム共同デッキ構築・スタンダードはますます楽しみだってことさ!(編訳注:原文は開催前に執筆されたものです。)

( Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)


編訳注

 ワールド・マジック・カップ2014は12月5~7日に開催され、チーム共同デッキ構築・スタンダード(および『タルキール覇王譚』チームシールド)にて競技が行なわれました。

 実際の結果はどのようになったのでしょうか? ぜひイベント特設ページにてご覧ください。

(今回のデッキ募集はありません。)

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