『運命再編』入りのスタンダードに向けた8つのデッキ

更新日 Reconstructed on 2015年 1月 13日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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(編訳より:本記事は1月13日に原文が掲載されたものです。当初は1月27日の日本語訳掲載とお伝えしていましたが、興味深いデッキのご紹介と、内容に合わせたデッキの投稿を可能にするため、予定を繰り上げて掲載いたします。)


 あああ……そうだ、大気の臭いを嗅ぎ取れ。これは……過去の臭い。硫黄の濃い臭いは、ドラゴンの存在を知らせるものだ。

 ついにこの場所へやってきた。今こそ『運命再編』のときだ。

 この週末はプレリリースが行われ、そこで君たちはフレッシュな新カードたちを初めて手にすることだろう。(「手」なのか「ドラゴンの爪」なのか、私にはわからないけれど)。

 そして君たちとしては、目を光らせるべきところがあるよね? そう、デッキを作りたくなるような、エキサイティングな新カードはないだろうか?

 そこで私の出番だ!

 勤勉で優秀な「ReConstructed」読者の諸君は、『運命再編』の最初の1枚目がお披露目されたその瞬間から、数々のデッキを組み上げて私に送ってきてくれた。そして今、ついにそれらを活用するときが来たのだ!

 本日は、読者のみんなが送ってくれたとてつもないデッキを、一気に「8つも」見ていくぞ! デッキの種類はふたつずつに分けていこう――すなわちビートダウン・デッキふたつ、ミッドレンジ・デッキふたつ、コントロール・デッキふたつ、そして新しいコンボ・デッキがふたつだ! これらはきっと、これから『運命再編』入りのスタンダードへ身を投じる君たちにたくさんのアイデアをくれるはずだ。

 オーライ! それじゃあ飛び込むぞ!

ビートダウン――白黒戦士

シンガイ アトの「白黒戦士」

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戦士」は『タルキール覇王譚』のサブテーマとして現れ、主に《刃の隊長》や《鱗の隊長》を中心にデッキを組むことができた。そして、過去の時代の――私たちにとっては未来の――タルキールには、より強力な戦士たちが大挙して戦いに身を投じているのだ!

 〈マルドゥの影槍〉は、2点の打点を持つ(それから「疾駆」で攻撃に駆けつけることもできる)1マナ域として頼りになるだろう。〈マルドゥの急襲指揮者〉は、コントロール・デッキ相手にはこれ1枚でゲームを支配できるほどの最高の3マナ域だ。

 このリストにはないけれど、〈粗暴な軍族長〉も素晴らしい新戦力だ。自身も打点の高い4マナ域でありながら、自軍すべてに追加の打点を与え、しかもそれは遠距離から対戦相手を仕留める。さらに、5マナ用意することができれば、対戦相手のクリーチャーをすべてこちらの一番弱いクリーチャーに集め、まるで《尻込み》を撃ち続けるようなことまでできるのだ。

 私がこのデッキに調整を加えるなら、呪文をいくつか抜く。《神々の思し召し》や《抵抗の妙技》は、それほど必要なカードではない。マナ・カーブ通りにクリーチャーを展開し、殴りかかる方が望ましいのだ! クリーチャーを追加するなら、トークンを生み出すカードも検討するといいだろう。〈粗暴な軍族長〉に加えて、《真面目な訪問者、ソリン》や《ヘリオッドの指図》などとの相性も良いからだ。

ビートダウン――英雄的導師

アンドリュー・ヴィーゼルの「戦士道」

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 『運命再編』以前のスタンダードでも、「白青『英雄的』」デッキが環境を駆け回っていたのを目にしたことだろう。そして今『運命再編』が登場し、このデッキはまったく新しいツールを手に入れた。〈僧院の導師〉だ。

 「英雄的」デッキにはすでに多くの呪文が搭載されている。それは《果敢な一撃》のような、軽くクリーチャーを対象に取るものばかりだ。〈僧院の導師〉は、通常の「英雄的」を用いた戦法に加えてこれ自身がゲームに勝つ手段となり、こういうデッキを完全に新しいレベルへと引き上げてくれる。〈僧院の導師〉をプレイした後に軽い呪文を連打するだけでトークンの群れが生まれ――そして次のターンにも軽い呪文を放てば、対戦相手のライフをごっそりと奪うことができるのだ。

 《神々の思し召し》や〈勇敢な姿勢〉のようなカードは、〈僧院の導師〉を守る手段にもなる! 4マナある状態で〈僧院の導師〉をプレイし、そして手札に《神々の思し召し》があれば、対戦相手はのちに、期待していた除去がまるで役に立たないものであると理解することになるだろう。

 こいつは、『運命再編』発売後の主要デッキのひとつに十分なり得る。ぜひとも試してみて、楽しんでくれ!

ミッドレンジ――緑単天啓

イトウ カズナリの「神秘の『予示』」

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 『運命再編』には、緑にデッキの原動力となるようなカードがいくつかある――具体的に挙げるなら、〈囁きの森の精霊〉と〈巫師の天啓〉だ。

 〈巫師の天啓〉は、緑には珍しいカードだ。カードを複数枚引く手段であり、「さらに」ライフも付いてくる。あの《スフィンクスの啓示》と、「啓」の字だけでなくそれ以上に共通する点があるのだ。こいつは《ラノワールの憤激、フレイアリーズ》の統率者戦デッキにぴったりに思えるね。戦場に次々とクリーチャーを投入し、そして〈巫師の天啓〉を放てば、燃料はまだまだあるってわけさ!

 〈囁きの森の精霊〉は、まさにデッキのエンジンになる。毎ターンクリーチャーを生み出すというのは、あっという間に手に負えないものとなり……おまけに《神の怒り》系のカードへの耐性まで持っているのだ!

 イトウのデッキは、私が考えたものよりもう少し「予示」に注目した形になっているね。それでも、私はクリーチャーと合わせて爆発的な力を持つものや、後方支援をしてくれるものなど、この緑単デッキにこの上なくぴったりな核となるカードが他にあると思う。《神秘の痕跡》や《再利用の賢者》、〈開拓地の包囲〉を抜いて、《クルフィックスの狩猟者》や《世界を喰らう者、ポルクラノス》、〈荒野の囁く者〉、《起源のハイドラ》、そして《高木の巨人》などを混ぜれば、序盤から強力な脅威を繰り出せることだろう。

ミッドレンジ――アブザン「予示」

マーヴィン・ポンティアックの「アブザンの予示者」

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「予示」は実に興味深いメカニズムだ。どれくらいの頻度でクリーチャーが「予示」されれば効果があるのか? これを中心にデッキを組むには、どのようにすべきか? そもそも、これを中心にデッキを組む必要があるのだろうか?

 その中で、マーヴィンが面白いものを持ってきた。

 彼のアブザン・デッキには、表になれば攻撃に向かえるような、「予示」されて嬉しいもの――例えば、《オレスコスの王、ブリマーズ》など――がたくさん入っている。そして彼はそれだけでなく、「予示」を『悪用』するものもいくつか採用しているのだ。《頭巾被りのハイドラ》が「予示」されれば、わずかで表向きになることができ――これでも+1/+1カウンターが5個置かれるのだ。《真珠の達人》もわずかで表向きになり、その誘発型能力はきちんと機能する。それらは単体でもまったく悪くないカードであり、「予示」がその力をさらに引き出してくれるのだ。

 マーヴィンがやってくれた面白いことは、もう一点ある。《リリアナ・ヴェス》でドローを操作することだ。リリアナの手を借りれば、例えば〈光変化〉のエンチャント先を確実に《頭巾被りのハイドラ》にすることだってできるのだ。

 この「予示」型のアブザン・デッキが、すでに大活躍している《包囲サイ》を用いる形にすぐ取って代わるとまでは思わないけれど、今後は従来のアブザンと共にこういった形のものが見られるかもしれないね。

コントロール――青黒コントロール

ヤクブ・オボサの「真珠湖コントロール」

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 スタンダード・シーンにおいて「青黒コントロール」は決して新しいものではなく、つい先日もグランプリ・デンバー2015(リンク先は英語)を制したばかりだ(観客たちから「コントロールは死んだ!」と嘆きの声が挙げられていた中での快挙だった)。それでも、新たにキー・カードが加わる。〈命運の核心〉だ。

 〈命運の核心〉はこのデッキに、待望の全体除去をもたらしてくれた。これまでは《危険な櫃》がその役目を負ってくれていたのだが、それでは遅く、また《完全なる終わり》の的になっていた。〈命運の核心〉なら、《包囲サイ》も《軍族の解体者》も等しく5ターン目に除去することができ、反撃への道を開けてくれる。加えて、ドラゴンをフィニッシャーに据えれば、こちら側は被害を受けずに済むのだ!

 決して新しいものではないが、『運命再編』後は絶対に注目すべきデッキだろう。

コントロール――スゥルタイ・シルムガル

ノダ テッペイの「シルムガルへの突入」

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 ひとつ前では、青黒のデッキリストを見た。こちらは緑をタッチして、優秀なカードを用いる形だ。《スゥルタイの魔除け》や《スゥルタイの隆盛》、そして《荒ぶる波濤、キオーラ》は、それぞれがこのデッキの大切な要素だ。

 だが、やはり一番大きいのは〈漂う死、シルムガル〉だろう。このデッキには、(プレインズウォーカーにも効く《英雄の破滅》を除いて)クリーチャー除去が一切効かないことに注目してくれ。2枚入った〈漂う死、シルムガル〉のうち1体がただ攻撃するだけで対戦相手を死に追いやる、という光景を、スタンダード・プレイヤーなら今後よく見ることになるだろう。

 〈漂う死、シルムガル〉に続いて、他にも新しい候補がある。〈宮殿の包囲〉も心に留めておいてくれ。これから数カ月は数々の「包囲戦」が繰り広げられると私は予想しているが、そこには間違いなく〈宮殿の包囲〉も参戦していることだろう。2点のドレインは、簡単には取り戻せないクロックとなる。対処を誤れば、〈宮殿の包囲〉は君を仕留めるのだ。このデッキでなら、もっと〈宮殿の包囲〉の枚数を取ってもいいだろう。タップ・アウトで〈宮殿の包囲〉をプレイし、それからゲームをコントロールすればいい。打ち消し呪文があり、全体除去があり、そして対戦相手が息絶えるまでゆっくりとライフを吸うことができるなら、もうクリーチャーなんて必要ないよね?

コンボ――砂草原の賢者

ヘンリーの「無限ターンの賢者」

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 こいつは、今週で一番私の顔をニヤけさせたデッキだ。(ヘンリー、おめでとう!)

 どんなコンボなのかって? いいかい、このデッキはこんな風に動くんだ。

  • ステップ1:《時の賢者》と《咆哮するプリマドックス》を戦場に出す。
  • ステップ2:〈砂草原のマストドン〉をプレイ。《時の賢者》に+1/+1カウンターが5個置かれる。
  • ステップ3:追加のターンを得る!
  • ステップ4:追加ターンの間に、《咆哮するプリマドックス》の効果で〈砂草原のマストドン〉を手札に戻し、以下ステップ1~4を繰り返す。ジャーン! 無限ターンの完成だ!

 うん、このコンボを揃えるのはやや難しいかもしれない――確かにシンプルなものでもないね。それでも、《召喚の調べ》と《神々との融和》はちょっと冗長だ。私としては、このデッキを「緑ミッドレンジ」としても機能するように作れると思う。例えば、〈巫師の天啓〉や〈囁きの森の精霊〉を使ってもいいだろう。

 このデッキは、うまく決まれば爆発的な力があるように見える。君たちもその目で確かめてくれ!

コンボ――撤回行動

ニシムラ リョウタの「トークン、トークン、トークン」

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 リョウタは、とても愉快な無限トークン・コンボをいくつも搭載したデッキをお披露目してくれたぞ――無限コンボを見せてやりたいなら、ひとつのデッキに全部詰め込んじゃえばいいよね?

 まずは、〈僧院の導師〉を駆使する新しいコンボだ。

 新鮮で面白いね! そしてもちろん、《セテッサ式戦術》のコンボもあるぞ。

 これらのコンボをひとつのデッキに詰め込むのは、正解だろうか?

 たぶん、間違っているんだと思う。だが、本当に大きな問題はそこではなく、コンボの理想と現実の差が大きいことだとわかるだろうか? これらのコンボは、どちらも非現実的なのだ。

 少し調整を加えてやれば、現実的になるものはある。よりミッドレンジ寄りにして、コンボをひとつに絞るのが成功の秘訣になるだろう(もしかしたら今日すでに同じことを言ったかもしれないけどね!)。まずは試してみて、それがどういう結果になるか確かめてみてくれ――あるいはもっと深いところまで行って、《ジェスカイの隆盛》と組み合わせたらうまくいくかどうかも確認してみてくれ!

今度は君たちの番だ

 今週は、8つの異なるアーキタイプから8つのデッキに注目した。そして今度は、君たちの番だ!

 これら8つのデッキはみんな面白いけれど――どれも完成を見ていない。それぞれに調整の余地があり、私はその基本的な部分の提案をしてきた。そこで今回は、年の初めにちょっと新しいことをやってみようじゃないか。今回ご紹介した8つのデッキからひとつ選んで、それを君たちの手で完成させてほしい!

 今回のアーキタイプからひとつを選んで、君たちにできる限りの最高の形にすると一体何が起こるのか見てみよう。今回のミッションの詳細は以下の通りだ。

フォーマット:『運命再編』導入後のスタンダード
デッキの制限:本日のコラムで取り挙げたアーキタイプの中からひとつを選ぶこと。それを改善し、君たちの意見を送ってくれ!
締め切り:1月20日(火) 午前11時(日本時間)
投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt
(以下同様)

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 デッキは reconstructeddecks@gmail.com にメールでお送りいただきたい。

 今回の試みがどんな風になるのか、楽しみで仕方がないよ! これはデッキが徐々に発展していく様子を見られるいい機会だ。誰かが最初のアイデアを出し、私がコメントつける。それから君たちが調整して、私がさらに深く見ていく。まるでデッキ構築の「伝言ゲーム」みたいだけれど、さらに興味深いことに、これはデッキが時間を経てどのように変わるのか、というのを確かめる手段になるのだ。君たちもぜひ楽しんでくれ!

 ひとまずは、君たちが今回のデッキを楽しんで、この新しいスタンダード環境へのひらめきを得ることを願っているよ! この記事についての意見があったら、いつでも聞かせてくれ。どうか気軽に、私へツイートを送ったり、私のTumblrへ質問したりしてほしい。必ず見ることを約束しよう!

 プレリリースは今週末だ。君たちが大いに楽しんでくれることを願っている! ウギンを生き返らせるアクティビティや「ウギンの運命」ブースターは、私が力を尽くした自信作だ――だから、ぜひそれについてもフィードバックを聞きたいな。君たちがこれからに期待していることを教えてくれ!

 みんな最高のプレリリースを過ごしてくれ。来週はもう一度、この新しいスタンダードを見ていくぞ! それではまた次回!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(編集より:次回の記事は原文1月20日掲載、日本語訳2月3日掲載となります。)

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa)

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