モダンを動かすスゥルタイの実力

更新日 Reconstructed on 2015年 2月 17日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 モダン構築、首都ワシントンD.C.、数百人の最高のプレイヤーたち。それが今週末だ。(訳注:プロツアーは元記事掲載時点での週末でした)

 今このフォーマットには大きな変化の只中にある。《宝船の巡航》、《時を越えた探索》、そして《出産の殻》は全て消えた。真新しいセット『運命再編』と、今までモダンで禁止解除されていなかったカード、《ゴルガリの墓トロール》が環境に投入された。

 プロツアー『運命再編』は、記憶に残るプロツアーになるだろう。

 世界中の競技プレイヤーがこのプロツアーに備え、ルービック・キューブのようなこのモダン環境を解明しようと取り組み続けているわけだが、私はこのフォーマットに加わるいくつかの新カードについて考えてみたい。モダンはスタンダードよりカードプールが広いとはいえ、だからモダンのデッキに『運命再編』が入らない、というわけでもない。そして、今週はスゥルタイ特集週なので、取り上げるカードは全てスゥルタイ関連になるだろう!

「モダンのように奥深いフォーマットで、しかも入れる新カードを全てスゥルタイから選んで、デッキをいくつも紹介するって? ガヴィン、君はクレイジーだ!」 ああ、まずは、賛辞に感謝するよ――クレイジーってのは、デッキビルダーが受け取れる最高の褒め言葉だからね。それはともかく、モダンというそう広くない領域でさえこれほどの革新があるのか、ということにもあなたは驚くかもしれない。

 さて、おしゃべりはもう十分だ。これはデッキを紹介する記事だからね!

 準備はいいかな? さあいくぞ!

様々な変…

 モダンに影響を与える可能性を持つ『運命再編』のカードは数多く控えている。《僧院の導師》。《死に微笑むもの、アリーシャ》。恐らく《巫師の天啓》もだ。どれも大活躍する可能性がある。

 しかし『運命再編』の内容を綿密に調査したプレイヤーは、最も強力で、環境を定義づけ、そして環境を変える1枚のカードに注目することになっただろう。

 私は、皆がすでにそれらを手に入れて使うために動いた後だと考えているので、これ以上話を先に進める必要があるとは思っていない。だから前置きはこれで終わりだ。

 私が何のカードについて話しているかはわかるだろう。

 そう、その通り――もちろん《雲変化》のことだ!

 ああ、先ほどは「ちょっとばかり」大げさに書きすぎたかもしれないね。そして皆さんは、このリミテッド・レベルのアンコモンがモダンで何かできるとは一体全体どういうことだ、と疑問に思っているかもしれない。

 うん、変異の一種でできることがあるんだ。でも、もしかしたら皆さんが考えているような類の「変なんとか」ではないかもしれない。

 私が考えている「変なんとか」とは、これのことだ。

 知ってのとおり、《雲変化》はマジックの多元宇宙全体で見ても、非常に、非常に独特なカードだ。実際はクリーチャーではないのに、呪禁持ちのクリーチャーとして機能するのだから。

 通常の《変身》デッキでは、トークンを生み出して《変身》を使い、《引き裂かれし永劫、エムラクール》に変化させることを目指す。(あるいは他のとんでもないクリーチャーを好きに選んでもかまわない。)それにまつわる問題といえばもちろん、《変身》に対応して対戦相手がトークンを除去できるため、計画そのものがポシャってしまうことだ。そのため、トークンを安全に《変身》させるための手法を取らなければならない。

 《雲変化》はそれらを全て変化させる。

 今や、《雲変化》で予示したクリーチャーに対して、《変身》を使えるようになった。そしてそれが、《雲変化》を《突然の衰微》された上に予示クリーチャーに《稲妻》を撃たれるような状況を除けば、かなり安全であることも分かるだろう。ごく自然な展開として、3ターン目に《雲変化》、4ターン目に《変身》と動くことすら可能だ!

 それを軸に、デッキを掘り進むカード、妨害用の手札破壊をいくつか、そして除去を組み合わせてみよう。これで、かなり一貫して4~5ターン目に《引き裂かれし永劫、エムラクール》を展開し、対戦相手を滅殺する準備を整えることができる。

 リストを見てみよう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「スゥルタイ変身デッキ」

Download Arena Decklist

 このデッキが、《雲変化》に加えて、《ドライアドの東屋》から展開する要素も持ちあわせていることに気づいただろう。

 例えば3ターン目に《雲変化》、4ターン目に《変身》が唱えられる状態であるとしよう。にもかかわらず、フェッチランドで《ドライアドの東屋》を探してくることができなかったがために、《変身》を唱えるのを待つか、それとも唱えて《ドライアドの東屋》がめくれないことに期待する、といった危険性をはらんでいる。とはいえ、相手のターン終了時にフェッチを切って《ドライアドの東屋》を出し、出し抜けにハリー・ポッターに出てきた変身薬、ポリジュース・ポーションを差し出しても良い。完璧だ!

 もし《引き裂かれし永劫、エムラクール》を2枚とも引いてしまった場合は、いつでも《思考囲い》を自分に使ってそれをライブラリーに戻せることを覚えておくといいだろう。(つまり、そのためだけに《先読み》や《知識の渇望》のようなカードを使わずに済むということだ。)

 このデッキを構築するための別の手法も確かにある。例えば、《裂け目の突破》を使った赤含みの構築や、《思考囲い》やその他の手札破壊を自分に使って《御霊の復讐》に繋ぐバージョンも試せるだろう。これは骨組みだが、この生まれ変わったフォーマットにおいて、確実に影響があるだろう。

発掘デッキ・現代版

 ベテランプレイヤーの心に恐怖を与えたいなら、どんな場合でもたった一言で事足りる。発掘、だ。

 発掘は、モダンが制定されてから今まで、ほとんど表に出てこなかった。発掘と《復讐蔦》を利用したドレッジヴァイン・デッキをたまに見かけることを除けば、モダンの対戦環境で《臭い草のインプ》にはほとんど出会わなかった。

 それも変わるかもしれない。

 《ゴルガリの墓トロール》が戻ってきたことと、いくつかの新しい探査カードが環境に加わったことで、極めて有力なドレッジヴァイン・デッキを組めるようになった。こんな感じで始めてみよう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ハングリー・アース」

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 ああ、確かにこれに青要素は一切無い。とはいえ、《黄金牙、タシグル》が入っているので、スゥルタイ・デッキと見なしてもいいと思うんだ。

 この種の動きを利用するデッキの中では、よりクリーチャーを中心にした戦術に寄せてある。このデッキのクリーチャーは頻繁に舞い戻るため、それに対処するのは困難だ。《恐血鬼》や《復讐蔦》を完全に除去するのは極めて難しいし、《ゴルガリの墓トロール》も発掘6だけの存在じゃない――こいつも、不死身の攻撃クリーチャーの一員だ!

 とにかく、このデッキは巨大な脅威を迅速に出現させて、戦場を制圧する。マナ・エルフを一切プレイせず、少ないリソースでも回るので、テンポ系のデッキを完全に失速させる手段として《小悪疫》が役に立つ。こちらは復活するクリーチャーをいったん差し出すだけでいいんだからね。

発掘デッキ・即死版

 ところで、ドレッジヴァイン・デッキはプレイヤーが発掘を恐れた理由ではない。もし3ターン目に複数の《復讐蔦》を展開されたなら、発掘に対して恐れを抱くプレイヤーもいるだろう。しかしそれでも、真の発掘デッキの恐ろしさを目の当たりにしたとは言えないんだ。

 我々ウィザーズは、そういったデッキが絶対に生まれないようにするために鋭意努力する――そして同時に、プレイヤーも、そういったデッキを生み出すために鋭意努力する。モダンでは長らく出番が無かったが、《ゴルガリの墓トロール》が戻ってきた以上、ついにデッキを構築する時が来たと言えるだろう。

 当然だが、《ゴルガリの墓トロール》は発掘デッキにただ発掘6を追加するというだけではなく、大きな数字を持つ発掘カードの最大採用枚数をも増加させる。《臭い草のインプ》と《ゴルガリの墓トロール》があることで、デッキ全部をかなり素早く墓地に送り込むことが可能だ。

 それなら、何かクレイジーなことをしてやろうじゃないか。

 《ナルコメーバ》と《黄泉からの橋》について私が聞いたころには、すでに様々なプレイヤーが発掘デッキに取り掛かり始めていた。そのため、試行錯誤が延々と繰り返され、そしてそのフォーマットで最もクレイジーなデッキ構成案が考えられていく状況を、私は体験してきた。私はそれをスタンダードで使い、エクステンデッドで使い、レガシーでも使った。そして今、モダンで使うために組んでみようと思う。

 発掘デッキが最終的にたどり着いた手法は、まず発掘カードを墓地に送る手段を講じ、それからすかさず《打開》などの大量ドローできるカードを用いて、可能な限り素早く発掘しはじめるというものだ。《ナルコメーバ》はコストが不必要になり、さらにいったん《ナルコメーバ》を3体並べて《戦慄の復活》をフラッシュバックすることで、何らかの巨大クリーチャーをリアニメイトできる――あるいは単に、《黄泉からの橋》から出てきた全てのゾンビに《炎の血族の盲信者》で速攻を与えて、対戦相手を打ち負かしてもよい!

 気をつけなければいけないのは、もちろん、《戦慄の復活》が禁止されている点だ。それは、何かをリアニメイトするのが難しいというだけではない。それと同じぐらい重要なこととして、《黄泉からの橋》からゾンビを出すためにクリーチャーを生け贄に捧げるのが難しい、ということも意味する。しかしそれは構築を止める理由にはならない。

 大いに我々の助けとなる《ゴルガリの墓トロール》のほかにも、2枚のカードの存在がある。

 1枚目は『運命再編』の新カード、《闇取引》だ。

 《闇取引》で自分の手札を全て捨て、それから複数枚のカードを引く……そしてもし、捨てたカードに発掘があれば、1ドローごとに発掘することでより多くの発掘カードが墓地に置かれ、最終的には大量のカードを墓地に送り込める。しかも、《砕かれた知覚》とは違い、対戦相手の手札をひっかき回すという利点もある――そしてそれは、素早く行動できれば、自分の墓地を肥やすついでに相手の妨害もできるということだ!

 2枚目は新カードと呼ぶには古すぎるが、発掘のための激烈なドローエンジンとなる伝統的なカードだ。

 私がトーナメントのために取り組んだ過去の発掘デッキでは、デッキを回すためのエンジンとして《よりよい品物》を試した。要するに、基本的には1枚の《よりよい品物》があれば、デッキ全てを墓地にすぐさま送り込むのも至極簡単な話なんだ。クリーチャーを生け贄に捧げ、《黄泉からの橋》からゾンビ・トークンを獲得する。そしてドローを発掘に変換し、さらに手札の発掘カードを捨てる。ゾンビ・トークンがさらなるゾンビ・トークンを呼ぶことはないものの、続けるために十分な《ナルコメーバ》を探り当てて、追加のゾンビ・トークンを生み出せるだろう。

 《戦慄の復活》が使える場合、《よりよい品物》は必要ではなかった。しかし《戦慄の復活》が使えない場合、《よりよい品物》は生け贄とドローが一体化したエンジンとして、間違いなく必要なものだ!

 さて、いったんデッキを全て墓地に送ったあと、どうやって勝とうか?

 そうだな、採用できそうな路線はいくつかある。

 単に《恐血鬼》、ゾンビ・トークン、そして生け贄にしなかった《ナルコメーバ》だけでも勝つには十分だろう、というのも一つの考えだ。白をタッチして《堀葬の儀式》をフラッシュバックする、という手もある。

 もし《堀葬の儀式》を使うなら、取り得る選択肢は《孔蹄のビヒモス》か《炎の血族の盲信者》のどちらかだ。(もし全然別の選択肢を選びたければ、《熱足ナメクジ》をリアニメイトして全てのクリーチャーを生け贄に捧げ、全てのマナを《小悪魔の遊び》につぎ込むことすらできるだろうね!)

 私が考えてみたのはこうだ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「よりよい発掘」

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 これはこの種のデッキの草案ではあるが、もし私にプロツアーの参加資格があれば、こんな感じのデッキリストを何度も繰り返し調整する時間を取るだろうね。これをMagic Onlineで組んで試してみたが、回してみたところかなり強力なデッキだとはっきり感じた。鍵は正しいデッキ構成にたどり着けるかどうかだ!

 《復讐蔦》のためにライブラリーを削るエンジンを利用しつつ《よりよい品物》で即死も可能という、両方の発掘デッキのいいとこ取りをしたバージョンも恐らく構築可能だろう。できるかどうか、試してみてくれ!

最高の舞台

 これらのデッキコンセプトを試すのは楽しいと思うよ! 今回のプロツアーで見ることができる新要素はまだまだありそうだ――《精霊龍、ウギン》を出すウルザトロン・デッキが登場する? 《巫師の天啓》を採用したエルフ・デッキを誰かが持ち込むかも? 《ゴルガリの墓トロール》から《時間への侵入》に繋ぐ最初の人物は誰だろう?

 今回のプロツアーでそれらが見られるかどうかは、「今の」私には分からない――それを確認するために、プロツアー『運命再編』イベントカバレージから絶対に目を離さないようにするよ。

 今週のデッキ募集はない。でも新デッキ構築の機会がないことを寂しく思うなら、プロツアーに出るとしたら組んでいたであろうデッキを、気軽に私へTwitterか、Tumblrまで送ってほしい! 皆さんが何を考えているかをぜひ聞いてみたい。

 そしてもちろん、この記事についての感想や質問があれば、同じようにTwitterやTumblrで私に伝えてほしい。皆さんの声を聞けるのは素晴らしい!

 それではまた次回お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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