小さな指導者、大きな楽しみ

更新日 Reconstructed on 2015年 3月 4日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 多元宇宙のあらゆる場所には、様々な指導者が多数存在している。カンはタルキールの氏族を導いた。法務官は新たなるファイレクシアの各派閥を導いた。《永岩城の君主、今田》は神河の軍隊を導いた。しかしこのところ、ある新たな指導者グループがすごい人気を集めているんだ。こういった感じの指導者たちがね。

 そう、これらは全て伝説のクリーチャーだ――しかしこれを単なる統率者戦だと思ってはいけない。このタイニー・リーダーズ・フォーマットは、統率者戦の新しい変種ルールで、急速に人気が広がっているものだ。

 タイニー・リーダーズ・フォーマットへようこそ!

聖トラフトの霊》 アート:Igor Kieryluk

 前にこのフォーマットについて耳にしたことがあるか、それとも初耳かはともかくとして、いい時に来たね。今回は、タイニー・リーダーズのルールと歴史について詳しく紹介する。それからこのフォーマットで組めるデッキの紹介へと進んでいくぞ!

 こいつは統率者戦とレガシーを掛け合わせたようなフォーマットで、信じられないほど楽しいんだ。

 数ヶ月前に、このフォーマットについて少し触れたことを覚えているかもしれない。好評だった――非常に好評だったので、再びこれについて記事を書きたくなったんだ!

 もうタイニー・リーダーズに夢中だって? 早速出発だ!

小さなルール、大きなゲーム

 ブラムウェル・タッカベリー/Bramwell Tackaberryとスティーブン・ハモニック/Steven Hamonicによって、極寒のマニトバ州から普及していったタイニー・リーダーズは、統率者戦をちょっといじったスピンオフ・フォーマットだ。最も大きなルール要素の1つは、その名称の「小さな/tiny」という部分に含まれている。使うカードはどれも(統率者も含めて!)点数で見たマナ・コストが3以下でなければならない!

 このルールがデッキ構築への挑戦を興味深いものにしている。始めに、組みたいデッキの条件に適合している統率者を探し出す。それから、それを3マナ以下のカードだけでどうやって動くようにすればいいか考え抜くんだ。

 基本となるルールをここに提示しておく。

 こちらで完全なルールを見ることができる(リンク先は英語)。3マナ以下の別々のカード50枚で組んだデッキで1対1の統率者戦を行う、ということを大雑把に理解したなら、それで構わない。(それと今回は、新しいフォーマットでのサイドボーディングという複雑な要素までは取り扱わないが、10枚のサイドボードを用意してもよい。)

 ルールについて理解したら、次はタイニー・リーダーズについて考察するための一般論だ。

  • このフォーマットは高速で、かつ強力なカードがある環境だ。コンボでゲームを終わらせる要素を持ち合わせていないなら、ゲームについていくために、軽くて効果的なカードでデッキを固めなければならない。統率者戦というよりもレガシーの意識を持とう。
  • 5マナや6マナで出てくるような戦況を一変させる決定的な呪文がほとんど使えないため、戦場で見かける多くのクリーチャーが小さい。数多くの大型クリーチャーに出会うことはない。
  • 昔からよく使用される全体除去呪文のほとんどが、このフォーマットでは使えない。《神の怒り》のようなカードのことで悩む必要はない。その代わり、《炎渦竜巻》や《紅蓮地獄》といったものとどう戦うかを考えるべきだろう。
  • 遅めのデッキが多い傾向にある統率者戦とは違い、タイニー・リーダーズは軽量クリーチャーに重点が置かれているため、ビートダウン・デッキを組みやすい傾向にある。
  • X呪文を使うことで、これらの一般論をいくつか無視できる。(スタック上にないXの点数で見たマナ・コストは0だ。)例えば、《軍部政変》はデッキに大きな決定力を持たせる方法の1つだ。

タイニー・エルフ

 タイニー・リーダーズ・フォーマットの対戦で見かけるであろうデッキの一例として、直前に示したこれらの原則を体現する、完成されたデッキを見てみよう――エルフだ!

ガヴィン・ヴァーヘイの「タイニー・エルフ」

タイニー・リーダーズ
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COMMANDER: 背教の主導者、エズーリ

 これは、統率者戦ではほとんど見かけることのないものだろう。しかしタイニー・リーダーズのデッキとしては卓越したものだ! このフォーマットで使用できる全体除去は多くない――そして仮に対戦相手が全体除去を持っていたとしても、他の全てのエルフを再生できる《背教の主導者、エズーリ》がその窮地を脱する助けとなる。

 しかし、それだけでなく、このデッキが持つマナを効果的に用いる方法についても注目すべきだ。これには、素早く戦線を構築し統率者へと繋げる軽量カードが満載されている。また、時には対戦相手を吹き飛ばすことも可能な、《垣間見る自然》による一撃死コンボも搭載している。また別の対戦では、単にエルフの軍団を並べまくって《背教の主導者、エズーリ》で強化することもできる。いずれにせよ、その対戦は迅速かつ獰猛なものだ――もし7ターン以上試合が長引いてしまったら、このデッキは多分勝てないだろう。

 これは極めて強力なタイニー・リーダーズ・デッキだ。先に進む前にこれを念頭に置いておこう。

 このデッキのポイントを考慮しつつ、他のデッキへと移っていくこととしよう。いいかな?

タイニー・ゴブリン

 エルフは部族系のデッキの1つとして有名だ。そして、同様に歴史と軽量呪文を数多く積み重ねてきた、エルフの不倶戴天の敵でもある別の有名な部族デッキといえば、ゴブリンだ!

 ゴブリン・デッキのための最高の統率者が《探検家タクタク》、《罰する者、ゾーズー》、そして《地下牢の管理人、グレンゾ》の3枚であることは、ほぼ間違いない。

 《罰する者、ゾーズー》は、統率者戦のようなゲームでなら私の興味を引くものだ。しかしタイニー・リーダーズ・フォーマットでは、高マナ域の呪文を使わないため、実際のところ期待するほどの強さはない。

 このフォーマットで、私が本気でぐっときたカードは《地下牢の管理人、グレンゾ》だ。その理由の一つはサイズの拡張性にあり、必要があれば後々巨大なクリーチャーとして呼び出せるところがいい。理由の二つ目は、能力が小さなゴブリンを満載したデッキにとってまさに適切なところだ! そして最後の理由は、赤に加えて黒でもあることで、いくつかの手堅い黒のゴブリンと呪文が使用可能になるところだ。

 だから、ゴブリンをやってみたい、よね? よし、相手を叩きのめせ!

ガヴィン・ヴァーヘイの「タイニー・ゴブリン」

タイニー・リーダーズ
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COMMANDER: 地下牢の管理人、グレンゾ

 このデッキの一撃は強力で素早い。レガシーで目にする大量のゴブリン・ロードや《ゴブリンの従僕》のようなカードを筆頭に、有能なゴブリンを多数擁している。そのため、素早く順調なスタートを切れなかった相手は、本当にひどい目に合うだろう。さらにこのデッキは、他の一般的なクリーチャー・デッキを徹底的に叩きのめすカードを多数所有している。《唐突なる死》、《Fire Covenant》、あるいは《ゴブリンの名手》といったカードは、エルフ・デッキのようなデッキの戦線を構築困難な状況に追い込むカードだ!

 コンボでゲームを決めることも多少はできる。無限とまではいかないが、《アシュノッドの供犠台》と《地下牢の管理人、グレンゾ》が一緒に並ぶのは強力な組み合わせだ。自分のゴブリンが死にそうなら、《アシュノッドの供犠台》で生け贄に捧げて《地下牢の管理人、グレンゾ》の能力にマナをつぎ込むことで、何か別のゴブリンに入れ替えられる可能性はかなりある!

 もし小さな赤のクリーチャーで大打撃を与えたいなら、そのときはこのゴブリンがぴったりだ!

タイニー・コントロール

 さて、タイニー・リーダーズは軽量カードに注目したフォーマットではあるが、クリーチャー・デッキしかないフォーマットだと思い込んではいけない。それが強いことは明白ではあるが、最も良いわけではない。

 考えられるコントロール・デッキの構築は多種多様だ。もちろん、《聖トラフトの霊》を用いて、驚異的なフィニッシャーと白青のコントロール要素を組み合わせるデッキもその1つとして挙がる。あるいは、実力者である《ヴェンディリオン三人衆》と大量の打ち消し呪文を搭載した青単も。《メリーキ・リ・ベリット》を選ぶことで、黒の最上級の手札破壊と単体除去を使えるようになる、エスパー・デッキでさえも組めるぞ。

 しかしながら、私が大好きな選択肢は青赤だ。青単の問題点は、出遅れてしまった場合、クリーチャーに対する回答が少ないところにある。赤はこのフォーマットでも最良の全体除去呪文をいくつか持っている――通常その要素は白に属する部分だが、マナ・コストが大きすぎるため、《神の怒り》などの出番は無い。そして《紅蓮地獄》、《神々の憤怒》、《唐突なる死》、その他諸々が利用可能な赤のほうが、この環境ではコントロール色として補助する力をより強く感じさせる。

 さて、それを実行するための統率者は誰になるかな? そうだな、《苦痛の芸術家、ニン》はどうだろう! ピンチの時にクリーチャーを除去できるというだけでなく、動きが途切れた場合に手札を再補充することも可能だ。

 それで、タイニー・リーダーズ・フォーマットでの青赤ニン・コントロール・デッキはどんな感じになるだろうか? 見てみよう!

ガヴィン・ヴァーヘイの「タイニー・ニン」

タイニー・リーダーズ
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COMMANDER: 苦痛の芸術家、ニン

 このニン・デッキは、軽量に対応できる呪文と、ゲーム序盤から打ち合いをコントロールして優位を手放さない方法を満載している。厄介な呪文は打ち消し、それをすり抜けたとしても、除去呪文で対処していくことができる。

 統率者に対して打ち消し呪文の効果は低いというのが通例ではあるが、《邪魔》、《呪文丸め》、それから《混沌のねじれ》はどれも統率者を封じ込める良い呪文だ。あるいは、多くのタイニー・リーダーズ・デッキが土地を少々削る傾向にあるため、対戦相手がもう唱えられない状況になるまで徹底的に統率者を打ち消し続けるだけでもいい。

 土地について言及しておくと、このフォーマットにおける選択肢は数多い! 土地の枠を削る必要があるため、絞り込みは必須だ。《渦まく知識》と《師範の占い独楽》の補助として、ライブラリーを切り直す効果との相性がよいため、このマナベースでは《統率の塔》を入れる枠すら用意できなかったほどだ!

タイニー・ランプ

 マジックの開発部でタイニー・リーダーズに夢中なのは私一人ではない。新入社員のグレン・ジョーンズ/Glenn Jonesも、このフォーマットを楽しみつつ何が可能かを幅広く追求している――そしてすごいランプ・デッキを考案した。

 タイニー・リーダーズ・フォーマットでランプ(マナを伸ばす行動)を重視するのはちょっと馬鹿げているのではと思うかもしれない――結局のところ、このフォーマットのマナ・コストに関する制限は、大量のマナを必要としないことを意味するのだから。

 しかし常にそうとは限らない。

 このデッキについて、グレンはこう表現する。「《風景の変容》デッキから……《風景の変容》を抜いたデッキかな。」 まあ見てくれ!

グレン・ジョーンズの「タイニー・ランプ」

タイニー・リーダーズ
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COMMANDER: ケルドの後継者、ラーダ

 古き良き《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》だ。

 《風景の変容》をデッキに入れることはできないけれども、1枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》を見つけるための方法は数多い。《ギャンブル》、《輪作》、《森の占術》、そして《探検の地図》はどれも土地を探し出せる周知のカードだ。

 いったん準備が整えば、単に《》を出し続ければよい……あるいは贅沢な方法として、《集団的航海》や《未踏の開拓地》で山を大量に出して対戦相手を倒すこともできる。ああ、それらが失敗しても、いつでも《演劇の舞台》と《暗黒の深部》だけでマリット・レイジによる勝利が可能だ!

 これはタイニー・リーダーズ・フォーマットの独特な性質を浮き彫りにするようなデッキだ。これはレガシーだろうか? それとも統率者戦だろうか?

 さて、《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》はこのデッキを組むための方向性の1つではある。だけれども、レガシー側の構築方法をもう少し推し進めて、レガシーの「土地単」デッキのようなものを仕上げることも可能かもしれないぞ。

 ペンシルベニア州出身のブライアン・ダーキン/Brian Durkinとその仲間たちは、タイニー・リーダーズ・フォーマットをひたすら遊び続け、このフォーマットを次の段階へ進めようとしている。《精神的つまづき》と《Glacial Chasm》は、どちらもこのフォーマットで強力なパーツだということが早くに判明したカードだ――そして《Glacial Chasm》におあつらえ向きなのが、土地デッキだ! 彼がまとめ上げたものを見てみよう。

ブライアン・ダーキンの「タイニー・ランド」

タイニー・リーダーズ
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COMMANDER: 龍爪のヤソヴァ

 これで、軽量呪文しかない環境で土地を大量に用いることが悪手ではないと分かっただろう! できることはいくつもある。

 アグレッシブ・デッキ。コンボ・デッキ。コントロール・デッキ。何をやりたいかはともかく、それを組むことは可能だ――そして独自の変化を付け加えることができる。

リードせよ

 あなたはどんなデッキを組みたいだろうか? デッキ構築の選択肢はいくつも思い浮かぶ。

 強力なカードを満載したティムール・デッキの統率者を、お馴染みの《精霊の魂、アニマー》にしてみてもいいかも? 《遊牧の民の長ピアナ》を利用した白ウイニー・デッキなんかうまいんじゃないか? 《頑強なるバルソー》を試せるだけのバーバリアンは充分に存在するだろうか!?

 さあ、今やあなたが支配者の立場だ。どんなデッキを組みたい? このリンク先で、タイニー・リーダーズ・フォーマットで統率者になれる全ての伝説のクリーチャーを確認できる。今から構築を始めよう!

 今回は公式なデッキ構築の募集は無いけれども、それはデッキを考えてはいけないとかそういう意味ではない。今回の課題は、あなたの行きつけのお店や友達にタイニー・リーダーズ・フォーマットを広めることだ! 何ができるか考えてみよう。どんなふうに遊んでいるのか、ツイッターTumblrで何でも気軽に教えてほしい――このフォーマットの楽しさに気づいてもらえれば嬉しいよ!

 今回のデッキ構築募集が無い理由? そうだな、びっくりする話なんだけど、もう『タルキール龍紀伝』プレビュー・ウィークの初週なんだ! ウギンを蘇らせた我々は、ドクター・フーに出てくるいわゆるタイムマシン、ターディスに飛び乗る。タルキールの龍がどうなったのか確認するべく、現代のタルキールへと再び戻る時だ! プレビュー・ウィークの初週で龍に出会えるかもしれないぞ。

 そのほかに会える機会は、次回、スタンダードのティムールを扱うティムール特集だ。それまでは、小さな軍勢を率いる指導者として、相応しい威厳を保ってくれ!

 また会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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