ティムールファクト

更新日 Reconstructed on 2015年 3月 10日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 何か普通じゃないものを作るのに、わざわざ許可がいるかい?

 うん、いらないよね。とはいえ「ReConstructed」読者のみんなにはいつも、「まだまだ手がけるべき刺激的な『ローグ・デッキ』はたくさんあるんだ」ということに気づかせてもらっているよ! 君たちは本当に素晴らしい。

 いきなり何を言い出すのかって? よし、まずは挨拶から。ティムール特集へようこそ!

 君たちも今、どんなティムール・デッキが出てくるのか考えていることだろう。そうだね、《爪鳴らしの神秘家》や《凶暴な拳刃》、それから《嵐の息吹のドラゴン》(なんてこった!)なんかを思い浮かべているかな。そういうデッキは毎週必ず送られてきていて、私も最近こちらで取り挙げたから、気になるならぜひ見てくれ。

 今週は、そういうデッキとは「はっきりと」一線を画したものだ。

 うん。今までのものからは少し離れるときがきたね。これこそ......え? 「ティムール・アーティファクト」!?

ネコマタ師範の「獰猛アグロ」

スタンダード
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その戦術とは

 ええと......一体どういうことだ?

 鍵となる要素はいくつかある。まず何よりも、今回のデッキは超アグレッシブなティムール・デッキだ。大型のクリーチャーを序盤から繰り出し、強打で対戦相手を押し潰すのが狙いとなる――が、そのやり方が普通じゃない。

 オーケー、《霜歩き》は「そこまで」かけ離れたものじゃないね。しかし《幻影の天使》がティムールに入るとは思っていなかったよ。それから、《アーティファクトの魂込め》――何だって?!?

 その通り。今回のティムール・デッキは、《霜歩き》のようなティムールのカードだけでなく、《アーティファクトの魂込め》も駆使してビート・ダウンを行うのだ!《霜歩き》から《アーティファクトの魂込め》まで、パワー4以上の2マナ域をいくつも戦場に送り込むことになるぞ。ドシーン!

 では、こういったクレイジーなデッキを研ぐ上で鍵となるのは何だろう?

 真っ先にとりかかるべきは、デッキの核の部分だ。今回のデッキをうまく機能させるのに必要な、強力なティムールのカードはあるだろうか?

 それから、アーティファクト・テーマをどのように推し進めればいいだろう? 現時点ではいくつかのカードを散らした形になっているが、《アーティファクトの魂込め》2枚に対してごく少数のアーティファクトではうまく機能するとは言い難い。《アーティファクトの魂込め》を引き込んでもその対象がない、ということになってしまうだろう。中途半端にやるぐらいならいっそ、この超高速でクレイジーな暴れ馬に思いっきり飛び乗り、その背で「イヤッホー!」と叫ぶか、それとも頭から泥に突っ込むかしたいところだね。

 それじゃあ見ていこう!

デッキ詳細

 今回のデッキにしっかり残すべきものと、ただの幻影に過ぎなかったものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、残すべきものと抜くべきものを確認していこう!

《エルフの神秘家》

 緑に欠かせないこのカードは、大型の脅威を素早く繰り出すための鍵だ。とりわけ今回のデッキでは、こいつが重要な役割を果たす。2ターン目に3マナ――デッキ内で最強のカードが多くあるマナ域――まで届かせ、また1マナのカードだから《幻影の天使》を唱えるための条件を満たすのにも役立つのだ。私は《エルフの神秘家》を必ず4枚投入したい。

《幻影の天使》と《切り出した石の従者》

 よーし、これまでのティムールからちょっと離れるときだ。この3マナの変わったコンビを見てくれ。

 これらのカードはかなり似通っているが、飛行を持つ分《幻影の天使》の方が優れている。私としては《幻影の天使》に軍配を上げたいし、実際に両者を比べても《幻影の天使》が大きく有利だ。こいつは《カマキリの乗り手》のようなカードをブロックでき、また膠着した盤面を飛び越えていける。《羽ばたき飛行機械》のようなカードを駆使して3ターン目に唱えることができれば最高だし、1マナ域を用いて4ターン目に着地しても十分だ。

 一方、《切り出した石の従者》は採用が難しい。アーティファクトであるため《爆片破》で打ち上げることができるものの、それでも《切り出した石の従者》を使うのが良いとは思えない。そのうち《凶暴な拳刃》を採用するようになるだろう。アーティファクト・クリーチャーであることは評価するけれど、デッキに残すほどの価値があるとは思えない。

 私は《幻影の天使》をデッキに残そうと思う。ごめんよ、《切り出した石の従者》!

《霜歩き》

 こいつは、攻撃が通れば2マナで4/1という高い打点を持つ。対象になったときに死亡するという欠点は、それほど気にならないはずだ。なぜなら、ほとんどの場合こいつが何かの対象になれば、いずれにしても死亡するからだ。問題は、2マナ4/1が活躍できるかどうかだ。

 今回のデッキでは、素早く強打を決められるのが望ましい。だから私は、《霜歩き》もデッキに採用したい。こいつはまさに、対戦相手の戦場に行く手を阻むクリーチャーがないなら骨まで断つほどのカードだ。こいつを4枚採用して、その道を開けてやるために軽い除去も確保していこう。

《アーティファクトの魂込め》と《爆片破》

 これらは、燃料となるアーティファクトがあれば信じられないほど強力なカードだ。となればそのエンジンを始動させる手段を確保することこそすべてなのだが、今回のデッキならそれを備えることができると私は信じている。

 今回は、《アーティファクトの魂込め》と《爆片破》の力を最大限引き出せるよう全力を尽くそう。《アーティファクトの魂込め》は2ターン目にプレイしたい(さらに理想を言うなら1ターン目に《羽ばたき飛行機械》をプレイしておいて、すぐ攻撃できるようにしたい!)し、また《爆片破》を2枚引いた場合にも、アーティファクトを2個打ち上げて10点のダメージで対戦相手を吹き飛ばせるようにしたい。それでこそ、今回のような一風変わったアグレッシブな戦略はその力を発揮するのだ。アーティファクトを増やせば、きっとうまくいくはずだ。

 私は《アーティファクトの魂込め》と《爆片破》を4枚ずつ採用したい。ここから先へ進むなら、0マナのアーティファクトの数を増やす必要があることには注意してくれ。

《羽ばたき飛行機械》と《贈賄者の財布》

 アーティファクトと言えば、ここにも悪さをするやつらがいるぞ!

 これら2枚は、様々な役割をこなしてくれる。

 ひとつは、0マナの呪文として用い、《幻影の天使》をタイミングよく唱える助けにすること。それでも、大抵の場合は《アーティファクトの魂込め》をエンチャントするか、《爆片破》で投げつけるかが主な使い方になるだろう――それが一番輝けるはずだ。1ターン目《羽ばたき飛行機械》から2ターン目《アーティファクトの魂込め》で、5/5飛行が(2ターン目に!)攻撃する。これで間違いなく早い段階でプレッシャーをかけることができ、またこれに対する手段を備えているデッキは少ないだろう。

 《贈賄者の財布》も大抵は0マナのアーティファクトとして扱っていいが、実は今回のデッキではとても素敵な働きを見せてくれる。他にも候補となる0マナのアーティファクトはある。例えば、《トーモッドの墓所》を使えば墓地を使う戦略に対抗できるだろう。しかし、《贈賄者の財布》に宝石カウンターをいくつか置いてプレイすれば、攻撃を通す助けにもなるのだ! 先ほど私が《霜歩き》のために道を開けてやる手段について話したのを、覚えているだろうか? そう、《贈賄者の財布》で対戦相手のブロッカーを買収し、通り抜けていけ!

 今回のデッキのアーティファクト・テーマを機能させるなら、これくらいやらなきゃいけない。というわけで、私は《羽ばたき飛行機械》と《贈賄者の財布》を4枚ずつ採用したい。正直言って多いけれど、これで《アーティファクトの魂込め》を活躍させられるし、それら自身もきちんと役割を持っている。大きな変更になるけれど、《羽ばたき飛行機械》と《贈賄者の財布》は4枚でいこう!

《炎跡のフェニックス》

 《炎跡のフェニックス》は全体的には文句なしのアグレッシブなカードだ。しかしながら、今回のデッキが目指す「素早く大型のクリーチャーを展開し繰り返し攻撃する」というゲーム・プランに合致していない。たとえゲーム中に指を鳴らせば時々フェニックスが出てくるとしても、他にもっと優れた選択肢はある。

 この場合、私は《凶暴な拳刃》がいいと思う。とはいえ、今回のデッキには《ダークスティールの城塞》があるため、《凶暴な拳刃》をタイミング良く唱えるのはちょっと難しくなっている。だから、こいつをフル採用するのは少し疑わしいかもしれない。(速攻を付与するために赤マナを残したい場合は特にね)。それでも、少数なら唱えられなくて困ることも少なくなるだろうし、唱えられる状況ならぜひ欲しい。私は《凶暴な拳刃》を2枚採用しようと思う。

《龍爪のヤソヴァ》

 《龍爪のヤソヴァ》は(とりわけ《エルフの神秘家》から)素早く戦場に現れ、すぐにゲームを支配する。対戦相手は役に立つブロッカーをもう1体用意するよう迫られ、それでもなおクリーチャーを奪って攻めこむことができるのだ。

 おっと、おまけに彼女が4/2でトランプルを持っていることは言ったっけ?

 《凶暴な拳刃》は安定して3ターン目にプレイするにはマナの面が厳しい。その点《龍爪のヤソヴァ》は緑マナ・シンボルひとつで済み、断然唱えやすいのがありがたいね。《龍爪のヤソヴァ》は3枚に増やそう。

《大いなる狩りの巫師》

 4/2速攻ということで、このカードはプレッシャーを与え続けるという今回のデッキのテーマに合致している。こいつがいる状況でクリーチャー全軍に攻撃させれば、それらはひと回り大きくなる。また、盤面が膠着したときは、大型クリーチャーの多いこのデッキではこいつの能力でかなりの枚数のドローができるだろう。

 だがしかし、私としては今回のデッキのマナ・カーブをできるだけ低くしておきたい。《龍爪のヤソヴァ》のように、マナを注ぎ込む先ならもうたくさんある。《大いなる狩りの巫師》は実に頼りになるカードだけれど、今回はちょっと私の求めるものとは違うかな。

《火口の爪》と《乱撃斬》

 軽く、用途の広いこれらの除去は、今回の戦略で大きな活躍を見せてくれるだろう。これらは序盤の《霜歩き》の攻撃を通すのに役立ち、特に《火口の爪》は終盤にもゲームを終わらせる一撃となり得る。

 《火口の爪》と《爆片破》が合わされば、たとえ攻撃が通らなくても、対戦相手のライフが15点以内なら火力だけで多くのゲームを終わらせることも不可能じゃない! 5/5で1回か2回攻撃するだけで、相手のライフは火力圏内に入ってしまうのだ。

 私は、除去の枠を《火口の爪》4枚に絞ろうと思う。今回のデッキで攻撃を通したいクリーチャーはみなパワー4以上なため、その状況なら《火口の爪》を1マナで《ショック》と同じように使うことができる。またゲームが長引けば、《>火口の爪》はさらに強力なものになる。インスタントの柔軟性は諦めることになるけれど、それでもいいだろう。《火口の爪》を2発撃ち込めば、対戦相手を簡単に死に追いやることができるのだ。

 《火口の爪》は4枚で決まり!

《ティムールの激闘》

 強打を生み出すカードについて語ろう! こいつを使えば、2マナで「大量の」ダメージを押し通すことができる。5/5のクリーチャーを対象に唱えれば、対戦相手のクリーチャーを倒しつつトランプルでダメージも加わるのだ! 恐ろしい。

 ところが、こいつは不運にも《霜歩き》との相性が良くない。また、すでに有利な状況でしか強くないタイプのカードなのだ。フィニッシュを任せるなら、私はこいつより《爆片破》を優先したい。さらばだ、《ティムールの激闘》!

《頑固な否認》

 私はずっと《頑固な否認》のファンを続けている――だから開発部内では「頑固者」って呼ばれているよ。だがしかし、今回のデッキは早い段階からアグレッシブにプレッシャーをかけたいものであり、《頑固な否認》を駆使する余裕はないし、アグレッシブな姿勢を歪めることもできない。(加えて、こいつを使っても《霜歩き》を除去から守れるわけじゃない)。サイド・カードとしては優秀だけれど、メインには採用したくないな。

《ティムールの隆盛》

 今回のデッキにはパワー4のクリーチャーが多く採用されているものの、それでも《ティムールの隆盛》には少々問題がある。まず、《アーティファクトの魂込め》ではドローができず、噛み合わないこと。それから、コストにティムールの3色すべてを使っていること。《ダークスティールの城塞》を4枚採用しながらも3ターン目に{G}{U}{R}のカードをプレイする、というリスクを負うなら、私は《凶暴な拳刃》の方を使いたい。《ティムールの隆盛》が為すことは評価するけれど、今回のデッキには入らないかな。

 オーライ! ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになったぞ。

ガヴィン・ヴァーヘイの「肉体と石」

スタンダード
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 ドスン! 他とは違ったティムール・デッキをご紹介したぞ。ティムールがこんな風になったのを見るのは私も初めてだ――強烈な攻撃を持っていそうだね! 実際に、大型のクリーチャーで1回か2回殴れば、もう火力圏内に入るぞ。

 何かティムールを使った新鮮で刺激的なデッキを探している君へ、こいつなら君の対戦相手も見たことないんじゃないかな。

 ぜひ大型クリーチャーと一緒に楽しんでくれ!

惜しくも選ばれなかったデッキたち

 今週送られてきたティムール・デッキには、他にどんなエキサイティングなものがあっただろうか? 見てみよう!

フクイ トシキの「イカブラスト」

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ブランドン・クロフォードの「無限の起源」

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トモミズ タクヤの「これぞティムール」

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イトウ カズナリの「対戦相手に感謝!」

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チェイス・トゥローズの「キャットストロフィー」

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カジワラ トモキの「ティムール・コントロール」

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アンドリューの「一発『アタル』カ!」

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ダヴの「ニード・モア・ドラゴン」

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アンドリュー・ヴィーゼルの「クラーケンの獰猛さ」

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(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(3月10日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

 『タルキール龍紀伝』のプレビューを経て、皆さんの頭の中では何が渦巻いているだろう? もしかしたらその内容が、2週間後(翻訳掲載は4週間後)に特集されるかもしれない。

フォーマット:『タルキール龍紀伝』後のスタンダード
デッキの制限:なし!
締め切り:3月17日(火) 午前10時(日本時間)

投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 スタンダードの世界は、龍たちの世界の衝撃で大きく変革されようとしている。小さなズルゴから強力なシルムガルまで、多くのイカれたカードがプレイされることだろう。すべてが変わってしまうのか? 見るのが待ちきれないよ!

 それまで、この記事についてのコメントやこれまでのプレビューカードについて考えたことがあれば、気軽に私へツイートで質問を送るか、Tumblrで尋ねるかしてほしい。必ず拝見することをお約束しよう。皆さんの声を聞けることはいつでも素晴らしい!

 また次回お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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