ドラゴン・ランプ

更新日 Reconstructed on 2015年 4月 21日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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 もう間もなく、プロツアー『タルキール龍紀伝』がやって来る!(原文掲載時) この週末は、マジック界の誇る頭脳たちがブリュッセルの地で一堂に会し、その思考の切れ味を競い合うことだろう――そして、組み上げてきたデッキを比べ合うことだろう。

 うん、今週はここDailyMTGも「龍」特集の週だし、ちょうどいいね! 私はメールの受信ボックスから「龍」がテーマになっていて、プロツアーで戦えるレベルのデッキを探した――すると、この上なくぴったりなものが見つかったのだ。

 さあ、ちょっとしたマナ加速の用意ができているヤツはいるかい?

コジマ コウジの「アタルカ・ランプ」

スタンダード
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その戦術とは

 ランプ系のデッキは、大きくふたつの段階に分かれている。

 まずは、マナを加速する! ゲーム序盤の数ターンはマナ加速に集中し、盤面を整える。

 そして、大型の脅威を展開する! マナが十分に揃ったら、《龍王アタルカ》や《精霊龍、ウギン》のような強大なクリーチャーや呪文を普通に使うより早く繰り出し、対戦相手を叩き潰してやろう。

 この動きを実現するためには、マナ加速と大型の脅威のふたつの要素をきちんと組み合わせる必要がある。原則として、マナ加速は序盤に必ず手に入るよう十分な量を搭載しておきたい――とにかく、すぐにマナ加速ができないと対戦相手に先んじて有効な動きができないからね。2ターン目にマナ加速ができないなら、初手の7枚をマリガンするのをためらわない方がいいだろう。

 今回のデッキはすでに適切なカード選択が多く行われていて、核の部分はよくできている――ここからできる限り洗練させていくために、各カードの枚数を確かめ、それから足りない部分を補っていくぞ。それじゃあ始めよう!

デッキ詳細

 デッキに残すべきものと、このランプ・デッキにうまく乗り入れられないものはどれだろう? カードを1枚ずつ通して見て、確認しよう!

 今回のデッキの核となるマナ加速を担うのが、このエルフと植物とシャーマンという異色のチームだ。今回のデッキでは、3ターン目に4マナまで届くというのが何よりも大切になる。それを実現するのがこいつらなのだ。

 これらは何が何でも初手に1枚(いやそれ以上!)欲しいので、私はこれらの枚数を減らすなんてまったく思わない。むしろ、《荒野の囁く者》まで使う必要性はなく、合わせて12枚というのは多すぎるかもしれないけれど、《爪鳴らしの神秘家》を4枚に増やしたい。《爪鳴らしの神秘家》の「変異」能力はマナ加速をさらに速め、4枚採用したくなるような動きを見せてくれる。2ターン目にマナ加速をするクリーチャーを出し、3ターン目に《爪鳴らしの神秘家》を裏向きに出す。そして、4ターン目に《爪鳴らしの神秘家》の「変異」を解けば、4ターン目にして《龍王アタルカ》を繰り出せるのだ。多くのデッキにとって、これを打ち破るには多大な負担がかかるだろう。

 このいたるところに姿を見せるクリーチャー・エンチャントは、直接的にマナを加速するものではないが、大きな利点をいくつも持っている。まず何よりも、ドローを改善してくれる。ライブラリーの一番上から土地をプレイできる能力のおかげで、その下にある土地でないカードを掘り起こすことができる。それは同時に、確実に土地を伸ばす助けにもなるね。さらに、土地を置くたびにライフが回復する能力のおかげで、こちらを速攻で倒すことを狙ったデッキに対して安定した戦いができる。こいつは絶対に4枚すべて残したい。

 《世界を喰らう者、ポルクラノス》は、これまでも緑のデッキのお供として頼もしい存在だった。4マナで5/5というサイズは良いことづくめで、それが役に立たないことはまずない。

 だがしかし、カードを見るときはその前後関係まで含めて見ることが重要だ。たしかに、《世界を喰らう者、ポルクラノス》は今回のデッキでも悪くはない――でも、こいつの役目は何だろう? ゲームを終わらせる脅威を組み立てるのに役立つかな? いや、それほどでもない。マナ加速の助けには? ならない。小型のクリーチャーによる攻勢を食い止めることには優れているため、マッチアップによってはこいつが欲しいこともあるだろう……それでも、今回のデッキの目標には噛み合わないのだ。

 私としては、こいつの代わりに《歓楽者ゼナゴス》を採用したい。このプレインズウォーカーは4マナということで《世界を喰らう者、ポルクラノス》の枠にぴったり収まり、今回のデッキが目指すこととより噛み合っている。トークンを生み出して対戦相手の攻勢を食い止めることもできるし……[+1]能力でマナ加速し、ドラゴンや《女王スズメバチ》へと繋げることもできるのだ。また、プレインズウォーカーであるため、相手にとっては手に負えない状況になる前に対処しなくてはならない脅威となり、普通のクリーチャー除去も通じない。《世界を喰らう者、ポルクラノス》の枠をそのまま《歓楽者ゼナゴス》に譲り、3枚採用しよう。

 マナ加速から繋げる脅威といえば、《龍王アタルカ》は一級品だ。こいつは昔話に出てくる悪い狼のように、その息で対戦相手の家を吹き飛ばしてくれるだろう。

 7マナで8/8飛行、トランプルが手に入るというだけでも、ゲームを素早く終わらせるのに十分だ――こいつはその上、対戦相手のクリーチャーとプレインズウォーカーに5点のダメージをばら撒くのだ。ランプ系のデッキに多い負け筋として、マナ加速から大型の脅威を繰り出しても盤面のクリーチャーに対処できず押し込まれる、というものがある。《龍王アタルカ》なら、そんな事態にはならないのだ。

 こいつの採用を3枚にするのは、私も賛成だ。ゲームを決める脅威は様々なものを用意しておきたいし(特にこいつは伝説のクリーチャーだし)、いかに《龍王アタルカ》が強くても、決め手に柔軟性を持たせたい。例えばこんな風に……

 ゲームに蓋をするとくれば、《女王スズメバチ》の出番だ! さて、《女王スズメバチ》と《龍王アタルカ》のようなクリーチャーとの大きな違いは、盤面を支えることについては前者に軍配が上がり、単純に対戦相手を倒すことについては後者が優れている、という点だろう。それでも、合計パワーが6で飛行と接死を持っていれば十分だし、それから龍がはびこるこの世界では、飛行と接死が大きな利点になるだろう。《女王スズメバチ》の2枚採用に、私も賛成だ。

 ランプ系のデッキはかなり枠が埋まりやすく、呪文に割ける枠はそこまで多くない。だがその一方で、序盤にやられないようにするのも大切だ。そのため、私は普段からメインデッキに除去を少量積んでおき、必要とあればサイド後に除去を増やすという形をとっている。それから今回のデッキに関しては、その内容を鑑みれば大型の脅威が除去の働きもすると言えるだろう。

 私としては、除去を3枚残しておきたい――そして、残す除去は《焙り焼き》だ。こいつは少ないマナで大きなダメージを与え、《包囲サイ》や《囁きの森の精霊》といった厄介なクリーチャーに対処できる。《火口の爪》を1枚挿すのも心惹かれるものがあるけれど、他の勝ち手段ではゲームに勝てず《火口の爪》で焼き切る、という状況は極めて少ない。除去として見ても、他の選択肢には劣るのだ。

 これらは今回のデッキの鍵となる「マナ加速」の要素であり、爆発力を持たせてくれる。2ターン目にマナ加速をするクリーチャーを出し、3ターン目にこれらのどちらかに繋げば、4ターン目には《龍王アタルカ》か《女王スズメバチ》を繰り出せるのだ。私はこれらを合わせて6枚に増やしたい。ではその内訳は? どちらの方が優れているだろうか?

 これら2枚の役割は非常に似たものだが、それぞれに小さな長所と短所がある。

 《開拓地の包囲》は各メイン・フェイズの開始時にマナを生み出すため、こいつをプレイしたそのターンにまた別のマナ加速を行うことができる。加えて、ゲームが長引いた場合、「龍」モードが《女王スズメバチ》とコンボを生み出し、対戦相手のクリーチャーをあっという間に一掃してくれる。ところが、こいつは《払拭の光》などの除去を受ける可能性があり――それから、こちらの《精霊龍、ウギン》の能力を[-4]以上で起動すると巻き込まれてしまう。

 一方、《爆発的植生》はデッキから土地を2枚持ってきて、色を整えたり《クルフィックスの狩猟者》の能力を誘発させたりできる。また《クルフィックスの狩猟者》が戦場にいる場合は、シャッフルすることでさらに土地を見つけることもできる。

 どちらも甲乙つけがたいけれど、マナを加速するものがすぐに《払拭の光》で除去されてしまうのは望ましくない。そこで私としては、《爆発的植生》の方を優先したい。《爆発的植生》4枚、《開拓地の包囲》2枚で決まりだ!

 マナ加速だけでなく、ゲーム後半には脅威としても機能するこのカードの柔軟性は評価しよう。問題は、どちらの機能もそこまで良いものではない、という点だ。3マナで1マナ分の加速では今回のデッキが求めるものとは言えないし、クリーチャー化する起動型能力の方も、まったくの無駄とは言わないまでも今回のデッキのゲーム・プランに特別欲しいものではないのだ。

 確かに、《エルフの神秘家》と一緒に初手にあれば強いかもしれないけれど、デッキに残すほどのものとは思えないかな。

 おっと、取り挙げるのが最後になってしまったけれど、《精霊龍、ウギン》も欠かせないカードだ。8マナというコストは《龍王アタルカ》や《女王スズメバチ》よりも重く、こいつをプレイするにはもう1ターンかかる。それでも、こいつは盤面を一掃し、クリーチャーや対戦相手を[+2]能力の《幽霊火》で制圧し、これ1枚でゲームを決める強烈なカードだ。加えて、《精霊龍の安息地》という新カードのおかげで、1度倒れても手札に戻すことができるのだ!(《龍王アタルカ》も戻せるぞ!)

 さらにデッキが重くなるけれど、こいつはもう1枚追加したくなるほど強力だ。《精霊龍、ウギン》は2枚でいこう。

 ここまでの変更をすべて受けて、デッキは以下のようになった。

ガヴィン・ヴァーヘイの「ドラゴン・ランプ」

スタンダード
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 こういったデッキは、動きが安定している。マナ加速をすぐに止められなければ、ほぼ確実に4ターン目には7マナに届くのだ。そうなってしまえば、対戦相手がこちらの攻勢を阻むのは難しいだろう。

 この形をそのまま使うのも、より「信心」に寄せるのもいいだろう――ただし、現状では「信心」の要素はあまりないことに注意してくれ。このデッキでも《ニクスの祭殿、ニクソス》を2枚採用しているが、それは時々マナ加速として機能するためであり、こいつを大型の脅威を繰り出すための主な手段には据えていない。現状では、普通にマナ加速呪文を使った方が良いだろう!

 どうかこの戦略を楽しんでくれ! 巨大な龍で対戦相手を踏み潰してやれ!

今週のマッカーター選

「今週のマッカーター選」では、毎週送られてきたデッキから記事で取り挙げなかったクールなものをご紹介していく。見てみよう!

ロバート・ビトナーの「エスパー・スーパーフレンズ」

スタンダード
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ビル・チェンの「火と血」

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フローグの「ジェスカイ・テンポ」

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アルベルト・ハインダルトの「マルドゥ・マッスル・フライヤーズ」

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マチダ タカヒロの「PTドラゴン」

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ソノハラ トヨハルの「伝説の剣」

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セキガミ リョウタの「アタルカ・バーン」

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マイケル・ジャーディンの「世界を喰らえ」

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デパレーハの「無駄省き」

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イーヴォ・ワーナーの「カウンターストライク」

スタンダード
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 今週のデッキ募集はないことをお伝えしたい。なぜか? それは、2週間後には『モダンマスターズ 2015年版』のプレビューが始まるからだ!

 その通り、2週間後に「ReConstructed」を読みに来てくれるなら、『モダンマスターズ 2015年版』のブースターパックで見かけることになる何枚かのカードを知ることができるのだ! そこでは、リミテッドのアーキタイプをひとつ取り上げて話をする予定だ。もし『モダンマスターズ 2015年版』でドラフトを楽しもうと考えているなら、絶対に見逃さないでくれ。(編訳注:英語版・日本語版ともに5月6日(水)に掲載の予定です。※日本時間)

 それまで、この記事についての感想やフィードバックがあれば、ぜひ聞いてみたい! 気軽に私へのコメントを、ツイートや、Tumblrでの質問として送ってほしい。必ず読むことをお約束する。

 また次回お会いしよう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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