裏切り者を愛国者に

更新日 Serious Fun on 2015年 1月 6日

By Bruce Richard

Bruce's games invariably involve several friends, crazy plays, and many laughs. Bruce believes that if anyone at your table isn't having fun, then you are doing it wrong.

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 赤という色でカードを引くのは常に何かしら欠点がある。青がより多くのカードを引くだけで次から次へとカードを手に入れるのに対し、赤は常に代償を支払わなくちゃいけない。《Wheel of Fortune》とその仲間はカードを引かせてくれはしたが、自分は手札を捨てなくちゃならないし、ゲームに参加している皆が同じようにカードを引くことができた。《怒鳴りつけ》はそこら辺にいる対戦相手に5点のダメージを与えるか、ごくたまに3枚のカードを引くことを期待できる面白いカードだった。青は《マーフォークの物あさり》以来「物あさり」を手に入れた。カードを引かせてくれて、その後に手札から1枚カードを捨てる。赤が手に入れたのは「かき回し」で、カードを1枚捨てさせられて、それからカードを引くんだ。「物あさり」ほど良いものじゃない。手に入れるカードよりも良いカードを捨ててしまっているかもしれないからね。結局のところ、赤がカードを引くにはいつも欠点があるように見える。欠点があるにも関わらず、人々はずっとカードを引くことを選んでいる。それほどに素晴らしく大切なことなんだ。

 僕のプレビューカードが提供するのは赤がカードを引く新しい手段で、過去には見られない面白い代償を持っている。その代償がこのプレビューカードに与えるのは、1対1のゲームと多人数戦とで全く異なる価値観だ。このカードにデッキの枠を割くという決断をする時には、ちょっとした創造性が要求される。最も大事なのは、これが昔からある問いに答えてくれることだ。「カードを引くより良いことって何だろう?」

〈謙虚な離反者〉アート:Slawomir Maniak

 パッと見たところ、〈謙虚な離反者〉は比較的わかりやすいカードだ。コストが2マナの2/1クリーチャーで、自分のターンにタップしてカードを2枚引くことができ、その後これを対戦相手にあげる。まずはカードの制限を見てから選択肢について分析しよう。否定的なところばかり見てる、と言う人もいるかもしれない。僕はそのことについて、実用的だと言いたいね。まずは制限を知ってから使おうとする方がいいだろう。

1. 小さなクリーチャーである。2/1のクリーチャーで、プロテクション(何か)や破壊不能、そして再生もなく、ほとんど何によっても殺されてしまう。戦闘ではほとんど毎回死亡することになるね。最も小さな直接ダメージ呪文でも死ぬ。これを手札に戻すという効果ですら、タップして2枚カードを引けるチャンスを失わせてしまう。

2. 遅い。対戦相手はこいつのお出ましを早々に見つけられる。赤いデッキには大抵、次のターンに攻撃もブロックもしない意気地なしのクリーチャーをプレイするより、もっとずっと面白いことがあるよね。速攻を持たないから、プレイした後「カードを2枚引く」能力を使うまでに戦場に出てからまるまる1ターンを費やすことになる。多人数戦ではまるで永遠みたいだ。

3. 自分のターンにしか能力を使うことができない。ブロックに使わないことにして、ようやくカードを2枚引く能力を使える。対戦相手が自身のターンにこれを破壊することにも対応できないね。攻撃に向かうこともできず、それからタップして2枚カードを引く。ターン終了時に、〈謙虚な離反者〉はタップ状態で、ひどく無防備だ。もしこのカードを使ってカードを2枚引くのであれば(もちろんそうするに決まっているよね?)、戦場にあるクリーチャーとしての利点は何もなく、クリーチャーであることの欠点全部があるだけだ。

4. 2枚カードを引いた後、くれてやらなくちゃならない! 他の全ての制限はたいしたことのないものだ。回避する方法か共生する方法は見つけることができるかもしれない。けど、対戦相手にあげなくちゃいけなくて、その後これを使われるとしたら?「公平」に機能するかのように見えるかもしれないのは分かっているよ。でも、このカードが声を大にして叫んでいるのは、「君は1枚しかアドバンテージを得てないよ!」ということだ。その上、対戦相手がたった1人しかいないとなれば、カードアドバンテージはどこにあるというんだ? 自分がカードを2枚引くことになり、それから対戦相手のターンに、そのプレイヤーもカードを2枚引くことになるだろう。カードを引くことの利点は、対戦相手よりも良い立場になりやすくなることだ。両方がカードを引いているならば、真に良い立場になんていないんだ。

 じゃあ、こんな欠点を抑えるために何ができるんだろう?

離反をコントロールしろ。すなわち二重スパイ

 僕のカジュアルなゲームは多人数でやることが多い。〈謙虚な離反者〉は、どの対戦相手がこのカード・ドローの恩恵を受けられるか、を選べるんだ! これにはたくさんの可能性がある。これを破壊しそうな対戦相手はいるだろうか? その対戦相手の邪魔になるだろうか? これはたぶん、〈謙虚な離反者〉が生きていたら明らかになるけどね。ゲームでは対戦相手の少なくとも1人と協力する状況になるだろう。つまり、自分とそのプレイヤーが〈謙虚な離反者〉を渡しあって、お互いが労せず2枚のカードを手に入れ続けるという状況を作れるんだ! より規模の大きなゲームであるほど、〈謙虚な離反者〉を渡しあう相手を見つけるのはそう難しくなくなるね。確かに、対戦相手の1人は自分と同じ利益を手に入れている。でも、他の全てのプレイヤーはそうではないんだ。

 もし二重スパイという道を選ぶならば、裏切られる可能性が常にあるということを理解しよう。一度、対戦相手が〈謙虚な離反者〉をコントロールすれば、そのプレイヤーはそれを返さなくてもいいんだ。あらゆるカードを引く行為が危険すぎると判断すれば、それを使い捨てるために攻撃したりブロックしたりできる。また、対戦相手は他の誰かからより良いオファーを受けるかもしれない。やるべきことは、対戦相手を知り、チャンスを手に入れることだよ。

背後のナイフ

 〈謙虚な離反者〉を当てにしないこと。こいつはチャンスがあれば裏切るってことは分かっている。普通、対戦相手に送りたいとは思わない。特に、〈謙虚な離反者〉が次にどこに行くか全くわからない場合はね。大体においてベストなやり方は、2枚のカードを手に入れてから、こいつを除去することだ。使おうと思っているのが直接ダメージにしろ、他の手段にしろ、これにて一件落着だ。

 《静寂の守り手、リンヴァーラ》は直接手を下す代わりとして面白いね。単に破壊するんじゃなくて、〈謙虚な離反者〉を対戦相手にとって単なる2/1以上の何者でもなくしてやるんだ。こいつは芸術点ものだけど、《静寂の守り手、リンヴァーラ》は格好の狙いになっちゃうだろうね。クリーチャーの起動型能力を止められて良しとする人なんていない。一度対戦相手たちが《静寂の守り手、リンヴァーラ》を除去してしまえば、彼らのうち1人は、2枚のカードを与えてくれる〈謙虚な離反者〉をコントロールすることになる。2枚のカードを引いたその対戦相手が、〈謙虚な離反者〉を君の下に返してくれるだろうとは思わないね。

 僕はどっちの選択肢も好きじゃないかな。というのは、自分の利益を限定していると思うからだ。2枚のカードを引くために、〈謙虚な離反者〉に1枚のカードを費やし、それから他のカードで除去する。やったことは2枚のカードを他の2枚のカードに取り換えただけ。しかも多大なリスクが付きまとうんだ。〈謙虚な離反者〉が能力を使う機会を得る前に殺されてしまうかもしれないからね。たとえ2枚目のカードを消費することなく、〈謙虚な離反者〉を簡単に除去できるパーマネントをコントロールしているとしても、ただ1枚分のカードを得しているに過ぎない。プレイしたばかりのこのカードより簡単に「カードを1枚引く」ことができるカードは山ほどある。〈謙虚な離反者〉からは、1回きりの起動以上のものが欲しいね!

自宅軟禁

 〈謙虚な離反者〉が信用できない類のものであることは分かった。それなら、彼を自宅軟禁するべきじゃないだろうか? 素晴らしい足枷として作用する2枚のカードが、《子守り大トカゲ》と《家路》だ。《子守り大トカゲ》は各プレイヤーのターン終了時に、逃げ出した奴がいないかチェックする。もし〈謙虚な離反者〉が家の外にいる、つまり対戦相手の一人と一緒に過ごしているのを見れば、《子守り大トカゲ》は〈謙虚な離反者〉を戦場のこちら側へと引っ張ってくる。《家路》も、まあ起動するのにタップしなくちゃいけないけど、全く同じことをしてくれるよ。つまり、各ターンに追加のカードを2枚引くことができ、それから対戦相手がこれをタップしてカードを引くことができるようになる前に〈謙虚な離反者〉を連れ戻すことができるということだ。こうじゃなくっちゃね!

永い眠り

 〈謙虚な離反者〉が決して離れないようにする最も間違いのない方法は、殺してしまうことだ。死んでしまえば離反するのはすごく難しいからね。でも死んだ〈謙虚な離反者〉の問題点は、カードを引けないということ。こうすると急に魅力的でなくなるね。しかしながら、とあるカードが死亡した〈謙虚な離反者〉を「,{T}:カードを2枚引く。」と読めるようにしてくれる。なんて素晴らしい《ミミックの大桶》!

 〈謙虚な離反者〉が死亡したら、《ミミックの大桶》でそいつを追放する。さあ、3マナで《ミミックの大桶》をタップして、〈謙虚な離反者〉のトークンを戦場に出し、起動して、カードを2枚引いて、それからターン終了時にトークンが死亡するのを観察しよう。カードを2枚引くことを、対戦相手がその方法を手にするリスクなしに、毎ターン行うことができるんだ。〈謙虚な離反者〉でカードを引くことができるのは自分のターンのみで、トークンは速攻を持っているにしても、自分のターンにしかカードを引くことができないということを覚えておこう。《クルフィックスの預言者》はこの状況では助けにならないだろうね。

 《ミミックの大桶》の代わりの手段は全員の持続的な痛み、つまり《狙い澄ましの航海士》だ。《狙い澄ましの航海士》と〈謙虚な離反者〉が組になることで、〈謙虚な離反者〉が迷子になり対戦相手の方へフラフラ歩いていくのを防ぐんだ。この追放する能力を起動し、それから〈謙虚な離反者〉をタップしてカードを2枚引く。そうすると〈謙虚な離反者〉が対戦相手の下に移動し、そして追放され、自分のコントロール下で戦場へと戻ってくるよ。この動きのおかげで、なんなら対戦相手のターンに〈謙虚な離反者〉をブロッカーとして使えるし、死にそうなときには追放することができる。欠点は、結局〈謙虚な離反者〉の能力を自分のターンに1回しか使えないことだ。一度追放領域から戻ってくれば、新しいクリーチャーと同じようなもので、次の自分のターンの開始時までタップすることができない。《集団恐慌》さえコントロールしていれば、〈謙虚な離反者〉をタップしカードを2枚引き、2マナ支払って追放して戦場に戻し、もう一度タップして…と、追放して戦場に戻すマナがある分だけ繰り返すことができるんだけどね。

特別任務部隊

 時には、対戦相手に多くを露呈しすぎる前に、部下を突入させ強奪しなくちゃいけない。《支配魔法》や《反逆の行動》みたいなカードは一度きりだけど、何度も同じことを繰り返す手段があればいいよね。《意思の詐話師》は簡単に敵陣の背後に滑り込み、〈謙虚な離反者〉を強奪し、毎ターン同じことをしてくれる。

「ソヴィエトの離反」

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 《意思の詐話師》が《ミミックの大桶》の支えを受けて、自分のためだけにカードを引き続ける〈謙虚な離反者〉を維持してくれる。その一方で《厄介なキマイラ》が対戦相手を混乱させ妨害し、《原始のタイタン》がゲームをものにしてくれる。

アナーキー

 最後の〈謙虚な離反者〉の選択肢は、混沌と成り行きに身を任せるというものだ。赤の好みといえば、混沌、パーマネントの交換をけしかけるデッキ、ばかばかしい盤面のというものさ。〈謙虚な離反者〉は確実に狂気を加えてくれるし、《混沌のねじれ》と《兵員の混乱》と共に組み込むことで生み出されるゲームは、全てのアナーキストが愛するものになるだろうね!

ブルース・リチャード / @manaburned / mtgseriousfun@gmail.com

(Tr. Masashi Koyama / TSV Yusuke Yoshikawa)

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