世界を目覚めさせる者、ニッサ

更新日 Magic Story on 2014年 7月 5日

By Adam Lee

Adam Lee had a long freelance career as a writer and artist in the greeting card industry before coming to Magic's creative team. He grew up in the commune-laden wilds of Northern California in the 70s and his Guild Quiz result was Selesnya. "Be groovy, people."

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 エルフのプレインズウォーカー、ニッサ・レヴェインは困難な人生を送ってきた。一つならぬ理由によって、彼女は生まれた部族ジョラーガを追放された。そしてプレインズウォーカーとなったことで、彼女は更に遠くへと離れてしまった。ニッサは様々な世界を旅し、自然に対するエルフの責任を理解しようとした。だが彼女は常に故郷の次元、ゼンディカーへと帰ってきていた。

 彼女がどうにか見つけ、手に入れた平和は、恐るべきエルドラージの覚醒によって終わりを迎えた。世界の全てを貪るこれらの巨大な、次元を越える存在は何千年も前からゼンディカーに幽閉されていた。故郷の世界を何としてでも救おうと、ニッサはエルドラージをゼンディカー次元に繋ぎ止めていた鍵を破壊した。彼女はエルドラージが監禁から自由になり、多元宇宙へと去っていくことを望んだ。その脅威は拡散するかもしれないが、ゼンディカーは救われると。

 それは誤りだった。

 エルドラージの巨人三体のうち、少なくとも一体がゼンディカーに残っており、その次元のあらゆる生命を滅殺の恐怖に陥れている。ニッサはエルドラージと戦うためにそこに残っているが、希望なき戦いだと怖れてもいる。次元を脅かす怪物を打ち負かすには、ゼンディカーの全てが一つになって戦わねばならない……


 ニッサは目を開けた。

 混乱の中で目覚めると、煙と灰が彼女の上で渦を巻いていた。ニッサは背中を地面に繋ぎ止められたように横たわっており、自身の下で大地が震えるのを感じた。彼女は周囲を見て、何か馴染みあるものがないかと探した。ニッサは大声を聞いたが、それはまるで共鳴する長いトンネルを通して響く騒音のように歪んでいた。圧迫感に、耳鳴りを感じた。まばたきが重かった。そして、一片また一片と、彼女は思い出し始めた。エルドラージがジョラーガを蹂躙した。エネルギーの大爆発。ウラモグが戻ってきたのだった。

 そして全てが、不快な洪水として彼女の心に押し寄せてきた。部族が攻撃された。多くの者が死んだ。

 視界が鮮明になると、ニッサはエルフ達のねじれた死体と破壊された木々を見た。そして不格好なエルドラージの屍が散乱していた。ウラモグの奇怪な落とし子の、まだ新しい残骸。

災難の範囲》 アート:James Paick

 動かなければならなかった。

 彼女は起き上がろうと動いたが、地面に引き戻された――両脚がはまり込んでいた。真二つに裂けた木、彼女はその下にはまっていた。罠にはまった野生の獣のように、ニッサは巨大な幹と格闘した。痛みが走り、彼女は無意識に絶叫した。息をつくと、遥か上方の何処かで、一連の不規則な、断続的な爆発音が灰に満ちた空気を引き裂いた。ニッサは手を口に当て、カチカチと低い音が周囲に満ちる中、石のように黙って伏せた。あらゆる方向で視界は数フィートしか利かなかったが、その恐ろしい音の源は近いとわかっていた。その歌は彼女の骨を震わせた。それは狩りをしていた。

 彼女は脱出の手助けとするべく何かを召喚しようとしたが、その力は枯れていた。次元渡りは論外だった。力を尽くしたが、呼び起こせたのは痛みを和らげる癒しの魔力の小さな輝きだけだった。そしてそれが、彼女が絞り出した最後の力だった。ニッサは再び力が尽きたのを感じ、地面に横たわった。そこは彼女自身の血でぬかるんでいた。自暴自棄の中、彼女は数度、呼びかけた。エルドラージの群れへ、人型生物へ、動物へ、だが答えたものはなかった。苦しい息をすると、泥と灰の味が口の中に満ちた。心臓の鼓動ごとに自身の生命力が失われていくのを感じた。そして見た、破壊された木々の上へとウラモグの巨大な影が暗い雲のように伸びて、ゼンディカーの太陽の靄がかった光を遮ってしまうのを。その影が彼女の上を通ると、結晶質の噛む音が聞こえた。生々しい破壊の爪跡を残し、ゼンディカーから生命をむさぼる音だった。ニッサはその酸っぱい悪臭を嗅ぎ、胃袋が悶えるのを感じた。

無限に廻るもの、ウラモグ》 アート:Aleksi Briclot

 涙が頬を伝った。ニッサ・レヴェインは煙で満たされた空気が渦巻くのを見ながら、死を待っていた。

 泥に汚れ、大きく目を見開いた人間の顔が、彼女を見ていた。硬い手が彼女を掴んだ。ニッサは弱り、動けなかった。あの巨人の噛み音が近づく中、その人間は肩越しに呼びかけた。

「バークート! アリラ! 来てくれ」

 彼女はニッサの方へ向き直った。硬い手が顔に触れ、ニッサは彼から生命力が流れ込むのを感じた。「生きていてくれ。ここから連れて行くから」

「カルニの祝福を」 ニッサはそう言い、意識が暗闇へと滑り落ちた。


 ニッサは馴染みのない匂いと音に目を覚ました。両脚を試しに動かしてみたが、痛んだ。そして周囲を見た。ニッサは弱っていたが、少しの力は戻ってきていると感じた。

 近づく足音が聞こえた。テントの垂れ幕が上げられ、大柄の、暗い色の肌をした人間が入ってきた。彼女を木の下から引っ張り出してくれたあの人間だった。

「目覚めたか」 彼は微笑んだ。「よかった」

「ここはどこ?」 ニッサは言った。

 誰もを疑え。その人間に救ってもらったとはいえ、ジョラーガの古い教えは今も彼女の内に残っていた。

 毛皮の下は裸で、彼女は自分が隙だらけに感じた。そして全力を出すには程遠いともわかっていた。

 その人間は彼女の不安を感じ取り、両手を広げて見せた。

「ゆっくりするといい。君はまだ治療の途中だ」 彼は近くの台からニッサの衣服を取り上げ、そっと彼女の傍に置いた。彼はゆっくりと離れ、緩やかに喋った。「ジャレシュから一日の所にいる。俺はハマディ。ここでなら君は安全だ」

「私の部族は……」

 ニッサの心が記憶から後ずさった。彼女はその質問を絞り出した。

「私の部族がどうなったか、知ってる?」

 ハマディは彼女を見て、そして彼女が既に知っていることを言った。「ウラモグがいた。谷に、森に。あのエルドラージは灰しか残していかなかった。すまない、だけど俺達が見た限り、ジョラーガはもうない」


 ニッサは森の中を登っていった。両脚はまだぎこちなかったが、その力は戻ってきていた。身体を動かし、今一度新緑のタペストリーのような森の流れを感じるのは気持ち良かった。ハマディは彼女の後ろについてきており、人間にしては、彼はほとんど音を立てなかった。

「そこを上に」 彼は言った。

 ニッサは深い森の間を見通し、頭上の高くに岩の露頭を見た。そこでは木々が山の花崗岩へと道を譲っていた。

「その岩棚を上に行くの?」 ニッサは言った。「あなたは癒しの力について本当に自信があるのね、ドルイドさん」 彼女はハマディへと眉をひそめて見せた。彼は笑っていた。

「君の意志の強さについて自信があるよ、シャーヤ」 ハマディは言い返した。

「そんなことを言われたら先に進まないとね」 ニッサは得意そうに笑った。「ねえ、シャーヤって何?」

 ハマディは笑みをもらした。「後で教えるよ……シャーヤ」


 二人は眼下に森を見下ろす岩棚に座り、木の実と干し果物、チャクリの根を食べた。ニッサはその根から活力を得て、疲労した筋肉がほぐれるのを感じた。

「ハマディ、親切って言葉では足りないくらいに良くしてくれて」 ニッサはしばらくして言った。「ありがとう」

「今は、特別な時だ。俺達ゼンディカー人が互いに争う日々は終わった」 ハマディはニッサへと更に食べ物を渡して言った。「エルドラージのような化け物が、平和の中で共に生きることを教えてくれた。そいつらが良い教師で俺達が強情な存在かはともかくとして、な」 彼は笑った。

「皆の中に、種族意識があるのだと思う。それぞれを孤立させ、切り離していた」 ニッサは眼下の森に視線をやった。「ジョラーガはそれを、生まれた時から私達に徹底して教え込んだ。『他所者は信用するな』は、私が……ずっと聞いてきた言葉。でもハマディ、そこから長い時間が経った。私はとても多くを見てきて、そんな視点の生き方はちっぽけだって知った。貴方の親切も、その一つ」

 ハマディは微笑み、そして少しの間黙って干し果物の欠片を指の間で動かしていた。「俺は灰色革にいたんだ、変わり樹の大森林のすぐ外にある」 彼はそう言って果物を口へと放り込んだ。

灰色革の隠れ家》 アート:Philip Straub

「ごめんなさい、ハマディ」 ニッサは言った。「あなたの人々のことは知ってる。私はあなたの土地を旅したこともあるの」

「世界は小さいな、シャーヤ」 ハマディは言った。「君も知っている通り、俺の部族は優秀な狩人で案内人だ。だけど俺達はマナを蓄えて生きてきた。俺達の魔法は土地と森に結びついている。それは俺達に、返すことができるよりも遥かに多くをくれた」

 ハマディは岩に寄りかかり、水袋から水を一飲みした。

「多くの、マナを欲しがる探検隊が俺達の所に、交易に訪れた。その頃、俺達のポーチと胃袋は満杯だった。テントは暖かかった。俺達は絶頂にいると思っていた、まさに絶頂に。だけどそれは間違っていた。俺の部族、探検隊、皆、前が見えていなかった」

 ハマディは水袋を下げ、続けた。

「俺達はあの巨人の破壊の噂を聞いていた、だけど信じていなかった。実際にそこにいない限り、誰が信じられる? 考えたこともなかった。エルドラージが俺達の土地へやって来て、部族の皆を滅殺するなんて」 ハマディは溜息をついた。「シャーヤ、俺達の寿命は短く、視野は狭い。今、俺はあの巨人どもを見た。そして俺達の想像力を遥かに超える存在があるってことを知った。そんな存在に、どうやって構えたらいいっていうんだ?」

 ハマディは少しの間うつむいていたが、顔を上げてニッサを見た。

 だがニッサはハマディと目を合わせることはできなかった。彼の話を聞くうちに、身体の内に痛みが湧き上がり、増大し、喉まで出かかった。彼女はその全ての責任を負っているのだ。彼が失った全ての、ゼンディカーの荒廃全ての。ハマディは彼女を、一人のジョラーガのエルフを、確実な死から引っ張り出してくれた。命を危険に晒してまで、彼女を救ってくれた。そしてその原因は自分なのだ。最悪の場所から、暗い記憶がニッサの心に忍び入り始めた。全ての失敗、馬鹿げた選択、自分本位の心と思い上がりが、鉛のように重く胃袋へと流れこんだ。彼女がもつれ捕えられた過去という網は、エルドラージによって死んだ何千もの無辜の民から成っていた。その全てを救えたはずだったのに。

「ハマディ」 彼女は両脚を抱えたまま言った。「ごめんなさい。本当に」


 ニッサはハマディとバークートとアリラを、そしてコーの双子を追いかけて山道を進んでいた。彼女は足の下に休むことのないゼンディカーそのものを感じた。まるで一つの巨大な、産まれる前の獣がその内で動いているようだった。ニッサは遥か前方に巨大な山塊が浮かび、回転しているのを見た。

「ロープで繋ぐよ。重力場だ」 カーリという名のコーの女性が言った。彼女の双子の兄シャヒールは決して喋らず、それよりも難解なハンドサインを好むように見えた。

 カーリとシャヒールは背負い袋を下ろした。シャヒールはロープと鉤と革紐を取り出し、他の者へと装備をさせている妹へと手渡した。

コーの鉤の達人》 アート:Wayne Reynolds

「ジョラーガ、空昇りをやったことはある?」 カーリはニッサの装具の革紐を確かめながら言った。

「大地から離れるのは嫌いなの」 ニッサは言った。「でも、エルドラージはもっと嫌い」

「なら、その怪物どもをぶちのめして生き延びることだけを考えるんだね」 カーリは微笑み、革紐を締めると撚り綱をくねらせて金属の輪に通した。それは効果的にニッサとシャヒールを繋げてくれた。「ジョラーガ。シャヒールがあんたを連れてく。だけど、ただ乗って行くだけとは思わないで。できる限り兄貴について行って」 カーリは離れて、ハマディともう二人を見に行った。シャヒールは表情を変えないまま肩越しに見て、ニッサへと目配せをした。そして結び目と巻いたロープを締め直した。

 全員の安全を確認し、彼らは重力場へと入った。ニッサは身体がよろめき、持ち上げられるのを感じた。強力な重力の波によって、彼らはついに空中に浮かび上がった。ニッサは産まれたばかりの小鹿のように、ぎこちなく不器用にしか動けないと感じた。彼女はカーリが浮かび上がり、通過する岩へと綱を引っかけるのを見た。その動きは滑らかで慣れたものだった。一行を繋いだ綱がぴんと張られ、一人また一人と浮かび上がり、細いながらも強いコー族特製のロープによって全員が岩の表面にしがみついた。

 カーリは彼らを、浮遊する丸岩の迷路へと導いた。重力場の奥深くへと進む中、ニッサは兄妹が一連の複雑な手ぶりで意志疎通をするのを見ていた。何十もの巨大な岩が衝突、回転しながら、明らかにでたらめに動いていた。カーリとシャヒールによって、一行は危険の中を悠々と通り抜けて前に進んだ。彼らを繋ぐロープはまるで魔法で伸ばした腕のようだった。彼らは宙に浮いたまま、綱を放っては通過する岩肌を捕え、そして新たな大岩へと飛び移った。ニッサはコー達が仕事をするのを離れて見ていた。だが彼らの技術と知識を、ゼンディカーの鼓動と流れについての彼らの技術と知識の真価を認めたことはなかった、今までは。

 太陽が頂点に達する頃、彼らは峡谷の上に浮かぶ三つの岩、その間に張ったロープの上で停止した。なんて静かで平和だろうとアリラが言ったその一瞬の後、彼らの周囲で絶叫が響き渡った。ニッサは頭を動かしてその位置を探そうとしたが、音は岩に反響し、カーリが口笛を吹いて下を指差すまで方向を把握できなかった。遥か眼下に、ニッサは道滅ぼしの姿を見た――巨人ウラモグの落とし子の一体――それは地面の下から出現し、散り散りになった冒険家達の前に立ちはだかっていた。彼らが人間なのかエルフなのかコーなのか、ニッサには判別できなかった。だがそれは問題ではなかった。彼女の目はエルドラージへと向けられていた、そしてそれの死を望んだ。

ウラモグの道滅ぼし》 アート:Austin Hsu

 ニッサが肩越しに見ると、シャヒールはナイフを取り出し、繋いだ綱を流れるような動作で切った。彼は地面へと自由落下し、ニッサは綱が音を立てるのを聞いた。

「あれは私の獲物よ、シャヒール!」 装具を外そうと身をよじり、留め金を引きながらニッサは声を上げた。

 ニッサの内に魔力がうねり、蔦が岩の脇からのたうちながら生え、爆発とともに成長し、その根を岩の深くへと張った。ニッサは地面へと降り立つべくそれらに意志を伝え、絡まった蔦に乗った。エルドラージが岩と塵の雲の中に姿を見せた。ニッサの下方ではシャヒールが鉤付きロープを片手に、帆凧を広げるとエルドラージへと速度を上げた。

 旅人達が十人、散り散りになっていた。道滅ぼしが巨大な地塊を空へと持ち上げ、何人かが地面に叩きつけられた。数人は畏敬に立ちつくし、残りは恐怖に逃げだした。道滅ぼしは探検家を数人掴むと、触手のたうつその手で握りつぶした。誰も反応できなかった。

 シャヒールは急降下し、支えの鉤を道滅ぼしの弾性のある肉に引っかけた。そして一連のらせんを描いて飛び、絡めとり綱を放った。エルドラージは彼を叩き落とそうとした。更にカーリがエルドラージの脚へと向かい、絡めとり綱をもう一本たなびかせた。残った探検隊の戦士達が、とにかく何か重要な器官に当たらないかとやみくもに矢を放つ中、そのエルドラージはコーを強打しようとした。

「ジョラーガ、これはもたない!」 カーリが岩の表面に帆凧を不時着させ、視界から離れながら声を上げた。「何とかしてちょうだい!」

 ニッサは着地し、駆けた。力が内から湧きあがってくるのを感じ、顔には獰猛な笑みが広がった。この自然の変種を破壊する。何もかもを、倍返しにして。

〈世界を目覚めさせる者、ニッサ〉 アート:Peter Mohrbacher

 コーのロープがバチンと音を立てて弾け、エルドラージは体の自由を取り戻した。だが大地が生命を得て、骨を震わせるその振動にあらゆる音は圧倒された。緑の炎がニッサから大地へと放たれた。溜め込んだ力が膨張するのを感じ、彼女はそれが空になるまで呪文へと注ぎこんだ。巨大な地塊が漂う中、峡谷の斜面から引き裂かれるようにエレメンタルの巨体が出現した。土埃が降り注いだ。エルドラージは振り返ったが、岩と根と泥でできた巨大な手に掴まれた。

 ニッサはそのエレメンタルへと、全ての魔力を込めた。それがエルドラージを握りしめると、彼女もまた過去の痛みを押し潰した。ニッサは歯を食いしばった。このような怪物の存在を、もう許しはしない。この次元で、もう傍観者ではいない――どの次元であろうとも。ゼンディカーが彼女という存在の中に流れ、その力は彼女の意志を集中させた。そのエルドラージはもがき、土の巨体をひっかいた。だがそのエレメンタルはただ握力を強めただけだった。ニッサの意志に応え、もう二体のエレメンタルが大地を轟かせて現れた。そびえ立つビヒモス達はのたうち回るエルドラージへと近づいた。道滅ぼしが放つ断続的な爆発音は空気を引き裂いていたが、その音はじきに止んだ。巨大なエレメンタル二体がそれらを殴打し、認識のできない肉のもだえる塊へと変えたのだった。

活発な野生林》 アート:Eric Deschamps

 土埃が落ち着くと、シャヒールはニッサを見た。

「すげえ」


 カーリ、アリラ、バークートが生き残りの探検隊を連れてきた。シャヒールは道滅ぼしの巨大な屍を調べ、ハマディは蔦の長い道をたどって下りてきた。ニッサはその終点で彼を迎えた。

「俺は、大地が君に語りかけているのを知っていた」 ハマディは笑いながら言った。「だけど、君に吼えていたとは思わなかったな!」

「本当のことを言うとね、ハマディ」 ニッサは額の汗をぬぐいながら言った。「すごく、いい気分だった」

「ゼンディカーはこいつらから自由になりたがっている。それは君に力をくれる、誰も見たことがないような」 ハマディはニッサの肩を叩いた。「君を選んだんだ、シャーヤ」

「その意味を教えてくれるんだったわよね?」 ニッサは尋ねた。

 ハマディは彼女へと微笑んだ。

「『世界を目覚めさせる者』って意味だよ」

(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)

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