奈落の探査

更新日 Latest Developments on 2014年 9月 5日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

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 今回の「Latest Developments」では、エキサイティングなプレビュー・カードをお届けします――このセットで帰ってくるメカニズムの1つ、探査を持つカードです。しかしながら、そのカードをお見せする前に、『タルキール覇王譚』での探査の成り立ちと、探査を使って我々がどうやって今日のプレビュー・カードを作り上げたかについてお話ししようと思います。

タルキールでの探査の成り立ち

 スゥルタイに適したメカニズムを作ることは困難でした。デザインが話していた主要なメカニズムのひとつに金・トークンがありました。スゥルタイは金持ちであり、そしてそのアイデアは金を貯めて彼らの対戦相手に反撃するためにそれを払うことができるというものでした。この計画はスゥルタイをコントロールする色のペアにし、その能力で彼らの対戦相手を上回るリソースを生み出してゲームに勝利することが狙いでした。

 このデザインの計画はデベロップにある問題をもたらしました。まず第一に、金・トークンというメカニズムについては何回も話し合いそして没になっていたのですが、『神々の軍勢』と『ニクスへの旅』で使われたことでした。最初に金・トークンをこれらのセットで導入したので、我々はこのセットでも金・トークンを同じ方法で使おうとするでしょう。それはつまり、我々がこのメカニズムに取り組んだとするなら、それを信じられないぐらい早くやり尽くしてしまうということでした。

 金・トークンの二番目の問題は、デベロップが楔のセットで好きな色のマナを出すカウンターを使うことにとても慎重であることでした。我々は最終的に4つの楔の氏族と1つの5色の氏族になってしまうのではないかと懸念していました。デベロップはスゥルタイが金・トークンを作る場合、それらは無色マナを生み出すものにする必要があるだろうとほぼ確信していました。そうなると突然、我々の抱えているメカニズムは『エルドラージ覚醒』の落とし子・トークンとほとんど一緒に見えてきます。実際、そのセットに取り組んでいたときからいた多くのデザイナーとデベロッパーが、このメカニズムのための2つの道の類似性について意見を述べていました。

 結局、デベロップは金をやめるよう強くデザインに勧め、そしてやめることになりました。私はこのメカニズムが将来のセットで頭をもたげても驚きませんが、そうなるのは多分、多色ではないセットです。もしくは少なくとも、1つの勢力だけに限らない多色セットの主要なメカニズムの1つになるでしょう。私は金・トークンが好きな色を出すことは正しく、そしてセットのリミテッドでの主要な色基盤として上手く使われるだろうと信じていますが、そのメカニズムのためには色のバランスが不可欠です。

 いずれにせよ、スゥルタイのメカニズムを作る必要がありました。このセットのリード・デベロッパーであるエリック・ラウアー/Erik Lauerは、黒緑青がこのセットにまだ存在していない墓地メカニズムを入れるのに完璧な組み合わせであると気づきました。それはこの3色が自然に重なっている部分だったのです。彼の最初の案は、プレイヤーが興味を示していてエキサイティングな構築向けカードを作れると分かっていた探査でした。幸運にも、クリエイティブはすでにスゥルタイがアンデッドの群れを召使いとして使役することをイメージしており、したがってクリエイティブは探査をスゥルタイのリソースを作るメカニズムとして完璧に筋が通るよう適応させました。

アート:Ryan Alexander Lee

フィニッシャーのデベロップ

 探査がセットに収録されるとなれば、次はその最良の使い方を見つける番です。私は『未来予知』がファッティ、除去呪文、X呪文という、最も興味深い探査カードを強調するかなり良い仕事をしたと思っています。しかしながら、大型セットに必要なスロットを満たそうとするならば、我々はそれよりももっと多くのカードを作らなければなりませんでした。我々には基本的なリミテッドのコモンと派手なレアに探査を加える方法を考え出す必要がありました。これら全ては墓地が満たされていなくても唱えられる一方、素早く墓地が満たされていても強くなりすぎないぐらいのところに配置されました。

 マジックにおいて我々が常に探し求めているもののひとつはコントロールのフィニッシャーです。フィニッシャーの幅に変化が持たせられるならばそれは良いことです――結局のところ、我々は全てのゲームを同じ方法で決めることを望んではいないのです――そしてそれらが十分な重さと柔軟性の両方を兼ね備え得れば、プレイヤーはフィニッシャーを選択するときにいくつかの選択肢を持つでしょう。例えば『ドラゴンの迷路』に収録されたフィニッシャーである《霊異種》は、青いデッキに打ち消し呪文を持つことを奨励し、いったんこのクリーチャーが出ればゲームを終わらせることを可能にしました。

 しかしながら我々はフィニッシャーが全て青い大型クリーチャーになることを望んではいません。ある程度の多様性を求めています。今回のプレビュー・カードの場合、青黒コントロール・デッキに入るよう望んでいたのであり、去年のスタンダードを支配していた青白のためのものではありませんでした。また我々はインスタント・タイミングで唱えられるものも求めており、この場合では《スフィンクスの啓示》と似たような方法でコントロール・デッキにインスタントを唱える正当な理由を与え、タップアウト・コントロールにならないようにしました。では、十分にじらしたので〈奈落の総ざらい〉をご覧いただきましょう。

 このカードは相当に割高です――最初のゾンビに6マナもかかります――が、規模はどんどん拡大していきます。往年のコントロール・プレイヤーはこのカードにとても親しみを覚えるかもしれません。この規模は《サイカトグ》とそっくりなのです。とはいえ、あなたは手札を捨てて〈奈落の総ざらい〉を加速させることはできず、《サイカトグ》のパワーを上げるためにしたことよりも実際により良い取引ができます。

 コントロール対コントロールの長いゲームでは、墓地を満たして〈奈落の総ざらい〉に燃料を与えることはとても簡単です。このカードは対戦相手のライフを20から0にするのに十分すぎるほどのアタッカーで戦場をあふれさせ、対戦相手がタップアウトすることを激しく咎めます。10体のトークンを生み出すには24マナかかります。これは達成できないように見えるかもしれませんが、そんなことはありません。『タルキール覇王譚』には十分すぎるほどに墓地を満たす方法が存在し、スタンダードには打ち消せない全体除去はなくなるので、コントロール・デッキが初撃の後にゾンビどもを守ることもできます。

奈落を満たす

 さて、中に入るものがない奈落が一体何なんでしょうか? スゥルタイ氏族の退廃的なリーダーのように、あなたの力となるための十分な体を持つことは重要です。ええ、比喩的な体です。実際に奈落の外で体を食べる必要はないのです――何でも構いません。これはつまり〈奈落の総ざらい〉はカードを引いて捨てる呪文や、《神々との融和》のような結果的に墓地にカードが落ちる呪文とも素晴らしい働きをするだろうということです。《神々との融和》は手札にカードを入れた場合、それ自身を含めて2.5体分のカードを落とし、手札に入れない場合は3体分落とします。もし墓地を満たす方法で行きたくないならば、あなたは常に1ターン目にとても人気があると思われるカードを使い、コントロール・デッキとして標準的なプランをプレイすることによって付随的に墓地を満たすことができます。

 簡単なものです。《渋面の溶岩使い》がフェッチランドを使って能力をパワーアップさせるのと同じように、『タルキール覇王譚』のフェッチランドは探査するための早くて簡単なカードを与えることによって、探査をパワーアップする助けになります。

 余談ですが、『基本セット2015』には元々《精神刻み》ではなく《秘本掃き》が入っていました。よりアグレッシブなコストの〈奈落の総ざらい〉でゲームをテストプレイした後、3~4ターン目に巨大な探査呪文を打つことが簡単になりすぎないように、このカードを差し替えました。しかしながら、我々は大きく助けになることを知っていながら1枚のカードを残しました。実際に〈奈落の総ざらい〉を唱える時に、この『基本セット2015』のカードをあなたのコントロール・デッキに入れたいと考えるかもしれません。

 我々は《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を〈奈落の総ざらい〉との相互作用を狙って入れたわけではありませんが、我々は《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》が少なくとも最初の年はこの呪文をスタンダードで唱えられなくなる恐れなく色マナ・コストの追加を可能にし、そしてこのカードがスタンダードにある期間中ずっと支配的になることを心配せずに、単純にのままにできること(ええ、我々はも試していました)を発見しました。

 今週はここまでです。来週はプレビュー・カードはありません――セット全体が公開予定であるので、その代わりにこのセットのデベロップ・チームのところに行って『タルキール覇王譚』のデベロップの物語をお伝えしようと思います。

 ではまた来週お会いしましょう。

 サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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