防御は最大の攻撃なり

更新日 Reconstructed on 2015年 3月 24日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

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「3ターン目に攻撃して12点とかできる」なんてことを言ったら、どう思う? 1マナ4/4だとか2マナ6/6だとか、対戦相手のクリーチャーより圧倒的に強いものを毎ターン繰り出せるとしたら? これまでリミテッドでも中堅止まりで、構築ではまず採用されないやつらが、対戦相手にとってこの上ない悪夢に変わるとしたら? 信じられるかい? ぜひやってみたいと思わないかい?

 私が初めて『タルキール龍紀伝』のカード・ファイルに目を通したとき、あるカードがとりわけ私の目を惹いた。そこには実にユニークなテキストが書かれていて、それはすぐに私のお気に入りの1枚になったのだ。こいつはぜひ印刷されるところまで残ってほしい、と周りの人たちに話していたのを思い出すよ。

 その願いは叶った。

 マジックという広大なゲームにおいて私が好きなカードのひとつは、デッキ構築の方向性を変えてしまうものだ。それぞれのカードの役割に「どんでん返し」(カードの《どんでん返し》のことじゃないよ)を与えるようなものがいい。そういったカードは、対戦相手が初めてそのテキストを読んだときに、必ず目を見開いてくれる。相手にとって余裕だったはずの戦況が、一気に絶望的なものへと変わるのだ。

 君たちだって驚くはずさ。ちょっと、対戦相手のクリーチャーがこういうのばかりだったときのことを想像してみてくれ。

 圧倒的に有利な状況。まず負けないだろう。全軍に攻撃を命じると、対戦相手の壁たちがダメージを多少和らげる。それでも次のターンには勝負が決まるはず。もうあなたの勝利は確実だ

 対戦相手はアンタップし、あなたを一瞥する。そして1枚のカードをテーブルに置く。

 で、あなたの負けだ。

 一体どんなカードが繰り出されたんだ? そう、こういうのだよね。

 こいつが賢いやり方だとは必ずしも言えないけれど――だが間違いなく対戦相手を倒す力を持っている!

 少しずつ詳しく見ていこう。

 このカードは、たとえこれを中心に組んだデッキでなくても採用を検討できるだろう。そのままでも恩恵を受けられるクリーチャーがいる(こちらの《タルモゴイフ》が対戦相手の《タルモゴイフ》を乗り越えていけるようになるだろう)し、3マナで自軍すべてのクリーチャーを強化することもできる。2/3とか3/4のクリーチャーが多いデッキでなら《栄光の頌歌》のような働きを見せ、ミラー・マッチでのクリーチャー戦を制することができるだろう。

 とはいえ、デッキを選ばず採用されるカードではないね。

 かつてのカード、《包囲の搭、ドラン》を彷彿とさせるこの1枚は、タフネスに大きな役割を持たせる。それから、防衛を持つクリーチャーが攻撃できるようになる、という能力はかなり刺激的だね。防衛は《包囲の搭、ドラン》が常に抱える問題だった。高いタフネスには防衛が付きものだったからだ。《覚醒石のガーゴイル》の能力も内蔵されているというのは、ありがたい!

 では、こいつを使ってどんなデッキを作ればいいだろう? 先ほど言ったように、1マナ4/4とか2マナ6/6といった、まるでおとぎ話のようなクリーチャーを繰り出すのはどうだい? なーに、心配しないでくれ! デッキをいくつか見ていこうじゃないか。

スタンダード陣形

 《突撃陣形》のようなカードは、幅広く検討しがいのあるものだ。君たちも最初は、タフネスを強化する手段を探して、《マルドゥの隆盛》のようなカードを発見したことだろう。たしかに、それも正解だ。だが、私は巨大なタフネスを持つクリーチャーから存分にアドバンテージを引き出すことのできる、もっと面白いものを見つけたぞ――タフネスが高いのに防衛を持たず、元から攻撃に向かえるクリーチャーたちだ!

 《突撃陣形》のために、必ず緑は使うことになるね。そうやって心を決めると、白と青が良い相棒として浮かび上がってくる。白には頼りになる1マナ域や強力な2マナ域があり、そして青にも《龍の眼の学者》があり、また《突撃陣形》を探せるカードもある。

 ぜひ試してみて欲しい例を挙げよう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「タフネス・Zoo」

スタンダード
Download Arena Decklist

1ターン目:0/4をプレイ。

2ターン目:0/6をプレイ。

3ターン目:《突撃陣形》を繰り出し、10点で攻撃!(こりゃスゴいと思ったそこの君、《トリトンの戦術》も使えば16点になるぞ!)

 このデッキは、他にはない動きを見せてくれる。その鍵となるのはもちろん、「絶対に」《突撃陣形》を引き込むことだ。それがなければ、デッキ全体がうまく機能しないだろう。そこで、《予期》と《時を越えた探索》が《突撃陣形》を探す助けになる。《突撃陣形》は、2枚目以降は無駄になってしまうけれど、1枚は「必ず」引きこまなくてはならない。それを探す手段は多いに越したことはないだろう。

 私はこれまで、メインから《鋤引きの雄牛》を4枚投入したことは一度もない。だが《突撃陣形》というカードは、そういった「今までにないこと」を実現してくれる――これこそが、このデッキの醍醐味なのだ。『タルキール龍紀伝』には、唱えるのが簡単でタフネスの高いクリーチャーが他にもいる。この記事には書いていない。だが、そいつはきっと、このデッキのマナ・カーブをさらに改善してくれるだろう!

 このデッキはどれだけの力を持っているだろうか? うん、《突撃陣形》を引き込み、それが戦場に残れば「凄まじいほどの」力を発揮するはずだ。《突撃陣形》を探すのに骨を折る必要はあるものの、ひとたびそのエンチャントが戦場に出れば強烈なアドバンテージを生み出してくれるため、リスクを冒す価値はあるぞ。何かとんでもないことを起こしてやりたいなら、《突撃陣形》がデッキ構築の助けになることだろう!

 他にも応用できないかって? うん、いい質問だね!

モダン陣形

 オーケー、スタンダードでは、一気に攻め込むようなデッキを使いたいときの候補が見つかったね。それじゃあモダンではどうだろうか? より広いカード・プールでは、何ができるだろう?

 現在のモダンにおいて、緑のミッドレンジ・デッキは強力な武器だ。そしてそこには、《突撃陣形》をすんなり受け入れることのできる形がある。

 私が最も期待しているデッキは、《突撃陣形》の効果を持つ2枚のカード――《突撃陣形》と《包囲の搭、ドラン》――から最大限にアドバンテージを引き出すものだ。今こそ、時空を超えて出会ったそれらの力を合わせるときだ。

 まずは、元から《包囲の搭、ドラン》が輝けるアブザンから始めるのがいいだろう。《包囲の搭、ドラン》や《突撃陣形》を戦場に出せば、強化呪文でコンボのような動きもできるミッドレンジ・デッキとして機能し出す。それから、《マルドゥの隆盛》なんていかがかな? 実はそれを使うことで、3ターン・キルができるんだ!

1ターン目:《極楽鳥》か《貴族の教主》。

2ターン目:《包囲の搭、ドラン》。

3ターン目:《マルドゥの隆盛》。2体のクリーチャーで攻撃するとトークンが2体生み出され、それから《マルドゥの隆盛》を生け贄に捧げる。ドスン! これでぴったり20点だ。どうだ、《欠片の双子》使い。これでも喰らえ。

 もう少しターンはかかるものの、《包囲の搭、ドラン》の代わりに別のクリーチャーをいくつか展開して《突撃陣形》でも同じことができるぞ。まずはこんな形から始めてみるといいだろう。

ガヴィン・ヴァーヘイの「アブザンの突撃」

モダン
Download Arena Decklist

 見た目では、ここ最近のアブザンに似たところもあるね。《包囲サイ》や《タルモゴイフ》、それから手札破壊も充実している。だがそれ以外にも、このデッキならではのカードがあるぞ。このデッキでは、必要なときに《包囲の搭、ドラン》を探せるように《ツリーフォークの先触れ》まで採用している。それから、1枚挿しの《塔の防衛》がこのデッキにスパイスを加えているんだ。戦場に《包囲の搭、ドラン》か《突撃陣形》があれば、どこからともなく対戦相手を仕留められるぞ。

 この形はあくまでもスタート地点だ――《野生のナカティル》や、他にも《壌土のライオン》などの有望な1マナ域を率いて、序盤から対戦相手を守勢に回らせるようなアグレッシブな形にするのも難しくないだろう。また、《未練ある魂》を採用し、もう少し長いゲームを見据えたミッドレンジの形にするのもいいだろう。

 どの道を選んでも、このデッキは楽しく使えるはずだ。モダンで初めて《突撃陣形》を目にしたら、一体どんなタフネスを強化するカードを持っているのか、と対戦相手は頭を悩ませることだろう――賭けてもいい、まさか《塔の防衛》が飛び出してくるなんて思いもしないだろうね。ぜひこのデッキで楽しんでくれ!

http://media.wizards.com/2015/images/daily/cardart_9ZZqilFZx6.jpg

突撃陣形》 アート:Kieran Yanner


(以下のデッキ募集部分は、原文・本日(3月24日)掲載分の記事から抜粋・収録しております。 この節の文責・編集 Yoshikawa)

プロへの準備

 新セットが間もなく発売ということは、つまりどういうことかご存知だろう。次のプロツアーの時間だ! プロツアー『タルキール龍紀伝』がわずか2週間後に迫っている。今週は、真剣にトーナメントに向けたデッキを投稿してほしい。

フォーマット:『タルキール龍紀伝』後のスタンダード
デッキの制限:トーナメントでのプレイを意識したものであること。サイドボードを記載することを推奨。
締め切り:3月31日(火) 午前10時(日本時間)
投稿方法・投稿先reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。

 デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。

12 Mountain

4 Satyr Firedrinker

3 Ash Zealot

4 Lighting Bolt

(以下同様)

 カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)

 『タルキール龍紀伝』のカードがどのように世界を揺るがすのか、見ていくのが楽しみでならない! このセットは間違いなくメタゲームを変えてしまうだろう。どうなってしまうと考えるか、私に教えてほしい。

 それまで、この記事についての感想やフィードバックがあれば、ぜひ聞いてみたい。いつでも私へツイートで質問を送るか、Tumblrで尋ねるかしてほしい。必ず拝見することをお約束しよう。

 また次回お会いしよう。そして、龍の世界をお楽しみあれ! 新旧の歴史がうまく組み上げられることを願っているよ。

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing)

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