MTGアリーナ:フォーマット更新情報2026
MTGアリーナ・プレイヤーの皆さん、こんにちは!前回の「フォーマット更新情報2024」から、MTGアリーナのフォーマットは進化を続けてきました。「エクスプローラー」はテーブルトップの競技パイオニアと同等のフォーマットを実現し、名前をパイオニアに改めました。ブロールにも、独自の禁止カードリストとメタゲームを備えた3つ目のフォーマットが導入されました。リミテッドにはセットごとの定例になっている5種類のドラフトに加えて、「パワー・キューブ」も開催されるたびに人気を集めています。わずか2年の間に多くの変化がありましたので、早速詳しく見ていきましょう。ですがその前に、この場をお借りしてMTGアリーナの未来に関わる大きな発表をしておきたいと思います。
2027年の初頭に予定されている次回のスタンダード・ローテーションをもって、アルケミー・フォーマットを終了します。
アルケミーにお別れを
この決断の背景を知るには、MTGアリーナ向けにアルケミーをデザインしていた2021年にさかのぼる必要があります。アルケミー・フォーマットは、当時MTGアリーナが直面していた以下の問題を解決に近づけるために作られました。
- スタンダードで使用できないカードの受け皿が必要だった:2021年当時、私たちは『指輪物語:中つ国の伝承』のようなスタンダードでは使用できないセットのMTGアリーナへの実装を含めた、将来的な計画を立てていました。それらのカードの受け皿としてはヒストリックがあったものの、フォーマットのパワーレベルが高く、特に強力なカードしか使用に耐えないという状況でした。ブロールも現在ほどの人気を集めていなかったため、スタンダードで使用できないカードを使用できながらも、ヒストリック級のパワーレベルにはならないフォーマットを作りたかったのです。
- カードの追加実装の要望:2021年当時のプレイヤーたちは、MTGアリーナにもっと多くのカードを実装してほしいと求めていました。当時はまだ、1年間にリリースされるセットが4つほどの時期だったのです。私たちとしてもコンテンツを増やしたいと考えていた中で、マジックの多元宇宙が舞台となるセットごとに30枚のカードが追加されるデジタル限定セットというアイデアは、私たちの開発スケジュールにぴったり収まるものでした。デジタル限定セットのカードは、メインセットのリリース後に期間限定で行われるリミテッドでも使用できるようにしました。例えば『アルケミー:ニューカペナ』のカードは『ニューカペナの街角』に混ぜてドラフトできたのです。
- 構築フォーマットの進化速度:デジタル環境ではメタゲームの進化速度が早いため、その速度についていけるフォーマットを実験したいと考えていました。それを念頭に、定期的なカードの再調整や独自の禁止カードリスト、スタンダードより短いローテーション間隔などの施策が行われていたのです。
導入から5年を経て、アルケミーが作られた当時に解決が期待されていた問題は、今や大きな問題ではなくなっています。現在のMTGアリーナには、スタンダード外のカードの受け皿となるローテーションなしのフォーマットが充実しており、1年間にリリースされるセットの数も2021年当時より多くなっており、フォーマットの数も増えて構築フォーマットを好むプレイヤーの皆さんにも実にさまざまな体験をご提供しています。創設当時の問題がもはや差し迫ったものではなくなっているため、アルケミーの役割が曖昧になっているのです。そのため、私たちは新たなセットの実装やブロールのような成長中のフォーマットの方へ注力することにしました。
アルケミー終了の影響
デジタル限定カードの扱い
デジタル限定のアルケミー・カードはMTGアリーナに残り、引き続きヒストリックおよびタイムレス、ブロール、競技ブロールにて使用できます。デジタル限定カードはさまざまなフォーマットで活躍を見せ、『Mystery Booster』で実物のカードとして印刷されたものもあります。私たちもこれらのカードを気に入っており、アルケミー・セットでの仕事を誇りに思っています。マジックの歴史を語る上で欠かせないカードたちです。
私たちは今後もデジタル限定のアルケミー・カードを使用可能なフォーマットの一部として扱い、将来的に禁止や再調整が行われる場合もあります。デジタル限定セットの扱いとしては、これが効果的であると私たちは見ています。
『アルケミー:リアリティ・フラクチャー』が、MTGアリーナでリリースされる最後のアルケミー・セットとなる予定です。
再調整カードの扱い
9月22日をもって、200枚を超えるテーブルトップ・カードの再調整版がすべてのフォーマットにおいて元の印刷版に戻ります。つまり使用できるすべてのフォーマットにおいてテーブルトップ版と同じカードになります。これにより一部カードが強力になり過ぎるため、MTGアリーナのさまざまなフォーマットにおいて禁止カードリストの更新が行われます。詳しくは後段にてご説明しますが、以下に禁止カードリストの変更内容を掲載します。
ヒストリック
- 《電気放出》 禁止
- 《魂の導き手》 禁止
- 《有翼の叡智、ナドゥ》 禁止
- 《傲慢な血王、ソリン》 禁止
- 《一つの指輪》 禁止
タイムレス
- 変更なし
ブロール
- 《有翼の叡智、ナドゥ》 禁止
競技ブロール
- 変更なし
アルケミー終了までの日程
- 2026年9月22日:テーブルトップ・カードの再調整版が、すべてのフォーマットにおいて元の印刷版に戻ります。ヒストリックおよびブロールにおいて、新たな禁止カードリストが適用されます。
- 2026年10月13日:『アルケミー:リアリティ・フラクチャー』がリリースされます。過去の「未来へ」イベントの構築済みデッキが一堂に会するイベントなど、アルケミー・フォーマット送別のイベントが予定されています。
- 2027年2月2日:『ノークティス:深淵の水府』プレリリースにともない行われる2027年のローテーションをもって、MTGアリーナのアルケミー・フォーマットが終了します。アルケミーのプレイ、ランク戦、構築イベント、指名対戦、それぞれのBO3プレイがMTGアリーナから削除されます。
さて、重大な発表を済ませたところで、改めてMTGアリーナの各フォーマットの現状とこれまでの軌跡をお話ししましょう。
構築フォーマットの概要
以下の図は、2025年から本日までの期間中におけるMTGアリーナの主要フォーマットのプレイ比率を示しています。期間は『霊気走破』のリリースから『マジック:ザ・ギャザリング | ホビット™』リリース後数週間が経った頃までとなります。データはBO1とBO3を合わせたものになっています。
MTGアリーナでは引き続きスタンダードが最も多くの人気を集めており、全体のおよそ50%を占めています。図の中央あたりに見受られるスタンダードのプレイ比率が急上昇した部分は、『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』のリリースをきっかけにMTGアリーナのプレイヤーが増加したときのデータです。その他にも、スタンダードでの禁止措置やローテーションなどの出来事によりメタゲームに変化が訪れるたびに、スタンダードのプレイ比率はやや上がっています。
ブロールはこの数年で成長を続けており、2025年のはじめ頃にはヒストリックのプレイ比率を超えました。競技ブロールの導入によりランクの変動なしのブロールとヒストリックのプレイヤーが引き込まれ、再びプレイ比率に変化が起きましたが、全体的なプレイヤー数はおおむね増加しています。これは競技ブロールが新たなプレイヤー層を開拓していることを示しており、MTGアリーナに新たなフォーマットが導入される際に私たちが望ましいと考える傾向そのものです。
パイオニアとタイムレスとスタンダード・ブロールのプレイ比率はこの2年間一定数を維持しています。それぞれ規模は小さいながらも、熱心なプレイヤー層を築いています。
スタンダード
全体の50%近くを占めるスタンダードは、MTGアリーナ最古にして最大のフォーマットです。『ファウンデーションズ』のリリース以来、MTGアリーナの新規プレイヤーはスタンダードから旅を始めるように案内されています。『ファウンデーションズ』がスタンダードで長く使用できるため、新たにコレクションを始める第一歩にうってつけなのです。
MTGアリーナのフォーマットの例に漏れず、ほとんどのスタンダードのゲームはBO1で行われています。ランクの変動があるスタンダードのゲームの実に93%がBO1なのです!プレイヤーの皆さんからも、BO1の方がゲームの速度の点でも幅広い対戦相手を楽しめる点でもMTGアリーナのフォーマットには好ましいという声が常に届いています。
MTGアリーナにおけるスタンダードとマッチ戦スタンダードは、まるで別のフォーマットのように見えます。サイドボーディングの有無で多くのマッチアップの勝率が変わるため、BO1とBO3では競技シーンに見受けられるデッキの分布も大きく異なります。そのため、2024年の後半に問題を起こした《残響の力線》をBO1でのみ禁止するといった措置が取られる場合があるのです。とはいえ私たちは、BO1でのみ禁止するといった措置には慎重な姿勢でいます。MTGアリーナのスタンダードは、テーブルトップと足並みを揃えたいと考えています。
パイオニア
MTGアリーナのローテーションなしのフォーマットで唯一テーブルトップ準拠であるパイオニアは、プレイ比率は小さく収まっているもののこの数年間安定してコミュニティを築いています。2025年5月に、MTGアリーナにおいて「エクスプローラー」をパイオニアへ改称することを発表しました。それ以来、私たちはパイオニアのメタゲームの進化を追い続け、特にMagic Onlineでの動向とテーブルトップの競技イベントに注目して、パイオニアの競技シーンに足りないカードを追加していきました。使用率は高くなくとも、《崩壊する痕跡》や《ゴブリンの群衆追い》のようなカードも実装しました。「Magic Online Pioneer Challenge」で6位に入賞したデッキで活用された《強行 // 突入》も実装しようとしています。今後も多くのカードがMTGアリーナへ実装され、テーブルトップと同じ競技性が維持されると期待できます。
MTGアリーナのパイオニアのカードプールは広がり、しっかり固まってきたことを受けて、私たちはこのフォーマットの競技の機会を増やすつもりです。2027年には、アリーナ・チャンピオンシップとそれにつながるアリーナ・チャンピオンシップ予選をパイオニアで行う計画です。
MTGアリーナにおけるパウパー
MTGアリーナの更新情報記事で「パウパー」に言及されるとは、驚いた方もいるかもしれません。しかしこのフォーマットも実はMTGアリーナに居場所を見つけています。ミッドウィーク・マジックで定期的に「ヒストリック・パウパー」のイベントを開催しており、プレイデータやコミュニティからのフィードバックをもとに禁止カードリストも整えていることで、少しずつこのフォーマットへの注目も増えています。テーブルトップのパウパーと同等と言うにはほど遠い状況ですが、MTGアリーナのパウパー・イベントへの反応には手応えを感じています。このフォーマットをもっと広めるために、私たちは1週間にわたる構築イベントの計画を立て始めています。プレイヤーの皆さんにこのフォーマットで賞品を懸けて競い合う機会をご提供できればと思います。来年はもっとMTGアリーナでパウパーを楽しめるでしょう。とはいえ常設キューの導入に必要な規模にはまだ至っていないため、当面は期間限定イベントに注力していくつもりです。
ヒストリック
タイムレスの導入により、MTGアリーナにおけるヒストリックの役割は「すべてのカードが使える場所」から「ほぼどんなデッキでも活躍できる場所」に変わりました。ヒストリックは引き続きMTGアリーナで圧倒的に多様性の高いフォーマットであり、一番人気のデッキの使用率が2~3%を超えることがない環境も珍しくありません。私たちのデータによると、プラチナ・ランク以下とミシック・ランクで見受けられるデッキが大きく異なることがわかっています。ローテーションなしのフォーマットであるヒストリックについては、メタゲーム上のデッキが機能し続けられるよう気を配っており、新たなセットから強力すぎるカードがやってくる場合は事前禁止の措置を取ることもあります。つまりMTGアリーナで最も手を入れられているフォーマットとも言えるでしょう。
この2年間で、私たちはヒストリックを徐々に強力な対応手段を持てるフォーマットに変えてきました。『モダンホライゾン3』のリリース以降、ヒストリックにおける脅威がそれらに対する回答を大きく上回る状況になりました。これを受けて私たちはヒストリックのカードに対する理念を更新し、《対抗呪文》や《否定の力》のようなカードを解禁してコンボ・デッキに対する効率的な対応手段を増やしました。同時に、「エルドラージ」や「ボロス・エネルギー」のような普遍的なデッキを生み出すカードを禁止して、環境の速度を落とそうと試みました。
前述の通りテーブルトップ・カードの再調整版はなくなり、200枚を超えるカードが元の印刷版に戻ることで環境に大きな変動が起きると予想されます。再調整の多くはもともとヒストリックで使用されることを念頭に行われたものであるため、それらが印刷版に戻るのであればそれに対する措置は必要になるでしょう。「ボロス・エネルギー」は、登場以来このフォーマットにおける圧倒的な強者であり続けています。タイムレスでも活躍できるようなこのデッキがヒストリックで大きな勢力を持つのは、望ましいことではありません。このアーキタイプに対しては厳しい姿勢で臨み、《電気放出》と《魂の導き手》を禁止します。
それから、いくつかのコンボを実現させるカードも禁止します。《傲慢な血王、ソリン》は、大型の吸血鬼をマナ・コストを支払うことなく繰り出せる効率的な手段です。私たちは《血管切り裂き魔》や《聖エレンダ》、それから未来の強力な吸血鬼に対して行動を起こすのではなく、《傲慢な血王、ソリン》をこのフォーマットから追い出すことにしました。
再調整版でない《一つの指輪》は強力なドロー効果とダメージを無効化する効果を持ち、ヒストリックのほとんどのデッキに無条件に入るようなカードです。前述の通り、私たちはヒストリックの多様性を維持したいと考えているため、このカードとは別れを告げるときが来たのだと確信しています。
最後に、テーブルトップ版に戻る《オークの弓使い》については、今回禁止しないことにしました。このカードはドロー効果に対する強力な対応手段となり、タフネスの低いアグレッシブなクリーチャーが生み出す速度にも制限をかけられます。やがてヒストリックでは強力過ぎることが証明されるときが来るかもしれませんが、行動を起こす前に一度チャンスを与えてみたいと思います。
タイムレス
タイムレスは引き続き「MTGアリーナで最も強力なカードを使える場」のモットーを守り続けており、他のフォーマットではプレッシャーをかけ過ぎてしまうカードのはけ口として重要な役割を担っています。《ネクロポーテンス》が制限リストに加わったものの、制限カードの総数はわずか4枚に留まっています。規模は小さいものの熱心なコミュニティが築かれているタイムレスのメタゲームはこの2年間安定しており、プレイヤーたちは特に効率的な強力なデッキを確立したようです。ゲームの展開は早く、対応手段も強力で、戦いの主眼は戦場のクリーチャーではなくプレイヤーの手札に置かれています。
《目くらまし》や《最後の審判》、《殺し》、《定業》、《適者生存》など、新たに加わるカードがフォーマットを動かし続けています。とはいえ環境のパワーレベルは極めて高くなっており、タイムレス向けのカードの供給源としてキューブ・プライズ・パックが登場してもなお、タイムレスに影響を与えるほどのカードの追加ペースは落ちてきています。それは広大なカードプールでは予想された結果であり、ヴィンテージやレガシーのようなテーブルトップのローテーションなしのフォーマットにおいて見受けられる状況と一致しています。
ブロール
この2年間で最も大きな変化を遂げているのがブロールです。このフォーマットの人気は年々高まっています。この状況を受けて、私たちは時間をかけてフォーマットの健全さを考え、コミュニティの声に耳を傾け、プレイデータを詳しく分析してきました。
ブロールの管理は他のフォーマットと異なる方法が求められ、難しさもあります。私たちが目指すのは統率者の選択肢を可能な限り多くすることであり、統率者以外のカードにはしっかり手を入れ、適切なマッチメイキングを実現することです。この指針をもとに、私たちは統率者の禁止をほとんど行わず、統率者以外のカードに目を配っています。デッキに入る99枚の方では、環境を画一化させたり、あまりに効率的だったり、コミュニティの受け止め方が極端だったり、楽しくないことが証明されたりしたカードを禁止する方針です。競技ブロールの導入は、私たちがより積極的にブロールに手を入れられる後押しになりました。ブロールで禁止されたカードを引き続き使えるフォーマットが新たに登場したのです。
一部の強力なカードが環境を支配し、他の活躍できそうなデッキを締め出しているという声は定期的に届いており、特に《マナ吸収》や《パラドックス装置》、《金属モックス》、《露天鉱床》などが例に挙げられています。その傾向を確認するために、私たちは思いつく限りの方法でデータを分析しました。カードごとの勝率や使用率、そのカードが初期手札にあった場合の勝率、そのカードに対する投了率、特定の統率者と組み合わせた場合の勝率など、さまざまな要素を検討しました。例に挙げられているカードすべてに対してなぜ問題なのかを包括的に説明できる理由は突き止められませんでしたが、ブロールの評価方法を見直す機会になりました。私たちが導き出した結論は、「ブロールは発明家たちの遊び場であり、一部カードが生み出すプレイパターンは大部分のプレイヤーが楽しいと思っていない」というものです。
この結論にしたがうことで、いくつかのカードを禁止しながら残すカードの正当性も見出すことができました。《パラドックス装置》は、私たちがブロールにふさわしいと考えるカードの一例です。揃えるのが楽しく印象的なコンボのキーカードです。《パラドックス装置》を採用したデッキの勝率は50%を下回っており、メタゲーム全体を見ても築いている勢力はごく小さなものです。コンボの選択肢も残しておくことで、ブロールはより楽しいフォーマットになると私たちは考えています。
ブロールのマッチメイキングの改善も、私たちが焦点を当て続けている課題です。今年はプレイヤーたちが同じパワーレベルで対戦できるマッチを増やすべく、いくつかの実験に挑戦しました。現行のシステムでは、特に統率者の選択に重きを置いて各プレイヤーのデッキパワーを考慮し、さらに各プレイヤーの構築フォーマットにおけるレーティングも考慮されています。最近の取り組みにより、統率者のパワーレベルに大差がつかず同じくらいの腕前の相手とマッチメイキングできる比率は増加していますが、その代わりにマッチメイキングの時間がわずかに伸びています。このトレードオフは価値があると私たちは考えていますが、長期的に見てブロールを成功へ導くための鍵はマッチメイキングにあるという理念は変えず、引き続きさらなる改善に取り組んでいくつもりです。
200枚を超えるテーブルトップ・カードの再調整版が元の印刷版に戻るため、ブロールにはかなりの変化が起きると予想されます。そのことを念頭に、私たちは《有翼の叡智、ナドゥ》を禁止することにしました。テーブルトップ版のこのカードは、どのレベルで対峙しても楽しいものやフェアなものにはなりません。
競技ブロール
ブロールを詳しく調査していく中で、プレイヤーがこのフォーマットを選ぶ動機はさまざまであることを私たちは把握しました。数ターンで勝利を掴める、効率を突き詰めて最適化された強力なデッキで挑むプレイヤーもいれば、コレクションにあるありったけの恐竜を詰め込んだデッキでプレイしたいプレイヤーもいるのです。それら両方のプレイヤー・グループをサポートするために、プレイ・キューを分けて競技志向のプレイヤーのための新しい場所を作るときが来たと私たちは判断しました。プレイヤーがブロールに求めるものを推測しようとするのではなく、プレイヤーそれぞれが理想の体験を選べるようにしたのです。これにより、対戦相手にもどのようなゲームになるかが自然と伝わります。
MTGアリーナ全体で10%弱のプレイ比率を占めるに至った競技ブロールは、これまでで最も成功した新フォーマットの1つとなっています。MTGアリーナでブロールや競技ブロールをプレイするプレイヤーの数は、かつてないほどに増えています。
競技ブロールの未来については、統率者以外のカードの禁止リストは短いものになるのではないかと私たちは見ています。競技ブロールでは、問題を起こす統率者に対して行動を起こしてメタゲームを管理していくことになるでしょう。統率者として使用することで極めて強力になるカードはいくつもあり、私たちはそれらをプレイできる場所を作りたいと思っています。しかしそれは特定のカードを無視するという意味ではありません。タイムレスのパワーレベルに近づくようなら、カードの禁止に影響することでしょう。
リミテッド・フォーマットの概要
リミテッド・プレイヤーの皆さんもご存知の通り、MTGアリーナには最近新たなドラフトの遊び方が続々と追加されています!新たなリミテッド・フォーマットを追加するたびに、私たちはプレイヤーがドラフトを行い、その後ゲームをプレイできるよう、十分な参加者数を確保する必要があります。それを聞いて、心の中で疑問に思っている方もいるかもしれませんね。「みんな本当に、そんなに色々な種類のドラフト・イベントをプレイしたいの?なんでこんなにたくさんあるの?」と。その疑問を解決するために、データを見てみましょう。
この図は、MTGアリーナでセットがリリースされた後の7週間の期間におけるさまざまなドラフト・イベントのプレイ比率を示しています。リリース直後にはプレミア・ドラフトが全体の60%に迫る比率を占めますが、その後時間が経つにつれて減少していきます。ピック2・ドラフトはそのセットのシーズンを通して15~20%の比率を維持しています。クイック・ドラフトは、使用されるセットに応じてプレイ比率が上下し、イベントごとに異なります。最新セットが使用されるとプレイ比率が伸びる傾向があるため、できる限り早めに切り替えるようにしています。最新のリミテッド・イベント「コンテンダー・ドラフト」は、全体の5~10%を占めています。この新しいイベントについては実験を続け、理想的なタイミングや開催期間を探っていきます。
私たちはプレミア・ドラフトのプレイ比率が下がっていくタイミングで別のリミテッド・イベントを追加投入し、リミテッド・プレイヤーの皆さんによりバラエティに富んだ体験を提供しています。その点で最も成功しているのがキューブ・ドラフトです。シーズン終盤には最大20%のプレイ比率を占めています。フラッシュバック・ドラフトもその役割を満たしていますが、またMTGアリーナでこのフォーマットのプレイを促進するのに最適な方法は見つかっていません。来年は開催中のイベントの情報をプレイヤーの皆さんによりわかりやすくお知らせする方法を模索していきたいと思います。
最後に、マッチ・ドラフトのプレイ比率が1%で安定していることにも触れておきましょう。テーブルトップの競技マジックと同じ体験を熱心に求めるプレイヤーの比率を示していると言えます。これは、BO3の構築フォーマットのプレイ比率と比較すると低くなっています。
プレミア・ドラフト
プレミア・ドラフトはMTGアリーナで最も人気を集めるドラフト形式であり、それには理由があります。8人でリアルタイムにドラフトを行い、適度な賞品を懸けて競い合うのは、まさにリミテッド・フォーマットの「基本」です。このイベントの人気は、リミテッド・イベントの報酬体系や参加費の基準となるほどに確立されています。ほとんどのプレイヤーにとって、7勝するか3敗するまで続くイベント形式がBO1のリミテッドにおいて適切なものになっています。さまざまな相手と対戦してドラフトしたデッキを堪能してから、また次のドラフトに向かえるちょうどいい長さなのです。
マッチ・ドラフト
MTGアリーナで最もテーブルトップでのドラフト体験を味わえるマッチ・ドラフトは、自宅にいながら対面での練習ができることを求める小規模のグループにとって欠かせない役割を担っています。MTGアリーナでは、1試合に時間がかかり同じ相手と複数回プレイすることになるBO3の方がニッチ側になっています。マッチ・ドラフトのプレイ比率は安定しており、このフォーマットを楽しんでいるプレイヤーはシーズンを通してプレイし続ける傾向が見受けられます。
マッチ・ドラフトには、対面でのプレイ体験に合うようランクの変動がありません。ランク戦のイベントでは全員の勝率が50%に近づいていきますが、ランクの変動がないイベントでは対面でのイベントと同じように優れたプレイヤーの勝率が高くなっていきます。
クイック・ドラフト
リミテッドの遊び方を学ぶのは簡単なことではありません。これはデザイン・チームでよく議題に上がる問題です。新規プレイヤーがリミテッドの遊び方を学ぶなら、「ジャンプイン!」イベントに加えてクイック・ドラフトも最適な場所であると私たちは見ています。クイック・ドラフトではカードのピックに時間制限がなく、ドラフトを途中で止めていつでも戻ってくることができ、参加費も比較的安く、賞品も浅く広がっています。
新セットがリリースされて数日間は、最新セットを用いるクイック・ドラフトを機能させるためのピック・データの収集やアルゴリズムの更新にかかりきりになります。だからMTGアリーナでのセット・リリース直後にクイック・ドラフトはプレイできないのです。クイック・ドラフトは、最新セットのリリースから10日ほどでそのセットを用いるものが主流になります。プレイヤーたちがこのフォーマットでコレクションを揃えるのを好んでいることを私たちも知っています。
ピック2・ドラフト
はじめは小規模なセット向けの主要なリミテッド・フォーマットとして設計されたピック2・ドラフトですが、手早く楽しめるリミテッド・イベントを求める新たなプレイヤー層を確立しています。このイベントの初期には、さまざまな形式や時間制限の実験が行われました。その結果、参加費が安く進行が早い形式が圧倒的にプレイヤーからの好評を受けました。卓につくプレイヤーの人数が少ない上に2枚ずつピックしていくドラフトは、プレミア・ドラフトの2倍ほど早く終了します。そこへ4勝または2敗するまでというイベント形式を組み合わせることで、プレイヤーの皆さんを次のドラフトへと促すのです。
MTGアリーナにピック2・ドラフトが初めて導入されたとき、このイベントは小規模セットでのみ開催されるものと私たちは考えていました。しかしこの手早く楽しめるドラフトはあっという間に新たなプレイヤー層を築き、いまやリミテッドのプレイ比率で15~20%を占めるに至っています。ピック2・ドラフトはまた、リミテッド全体のプレイ数も10%増加させています!より多くの方にドラフトを楽しんでいただけるのは素晴らしいことであり、今後もプレイヤーの皆さんのピック2・ドラフトとの関わり方が変わらない限りこのフォーマットのイベントを続けていきます、。
コンテンダー・ドラフト
最新のドラフト・イベントは、リミテッドの競技性を楽しむプレイヤーのために開発されました。コンテンダー・ドラフトでは、ハイリスクながらもその分報酬も大きくなっており、「ドラフト競合者」の称号を得ることもできます。このフォーマットは高い競技性を求めるという新たなプレイヤー層向けのものであり、既存のドラフトを好む方向けのものではありません。精鋭揃いの対戦相手たちと豪華賞品を懸けて競い合いたいというプレイヤー向けのものなのです。
このイベントの開催頻度や開催期間については、現在も調整中です。また、プレイ体験そのものにもさらなる高揚感を加え、皆さんの競争心を可能な限り後押しできるよう、新たな施策も模索中です。コンテンダー・ドラフトで2連敗から7連勝を果たしたときのスリルは、他では味わえません。その緊張感と成し遂げたときの達成感を高められるよう、方法を探っていきます。
キューブ
前回の「フォーマット更新情報」の後に導入されたパワー・キューブは、あらゆる指標から見て大きな成功を収めています。パワー・キューブが導入される以前に行われていた「MTGアリーナ版キューブ・ドラフト」は、主に次の大型セットリリースを迎える前の息抜きとして提供していました。それぞれテーマや強さの異なる3つのキューブ(アリーナ・キューブ、発明家のキューブ、彩色キューブ)を用いるドラフトを、ローテーションで開催していました。
パワー・キューブは、すべてを変えました。MTGアリーナにおけるキューブ・ドラフトは、もはや次のセットに備えるための前菜ではなく、このためにログインする価値があるほどエキサイティングなイベントになっています!MTGアリーナの歴史を見てもかつてないほど、この手のイベントへの参加者数が多くなっているのです。
この成功を受けて、私たちはパワー・キューブが長く居座りすぎないように気をつけています。Magic Onlineのデータから、この手のフォーマットにはときおり休憩が必要なことも把握しています。パワー・キューブを開催するたびに、私たちはカードリストを更新して新たなアーキタイプや最新セットのカードを取り入れ、さらに時間が許せばこのイベントのためだけにMTGアリーナに新たなカードを追加するなどして、常に新鮮な体験を提供できるようにしています。
また、「プレナー・キューブ」や「ミックス・ドラフト」などほかのキューブも試しています。MTGアリーナ・チームは、本当にキューブへ情熱を持っています。キューブに馴染みがないプレイヤーの皆さんにとっては敷居が高く感じられるかもしれませんが、そういうプレイヤーを引き込めるよう、より良い案内経路を作っていきたいと思います。さらに、キューブのコミュニティでは素晴らしい体験がたくさん生まれていると私たちは確信しているため、それをMTGアリーナに取り入れることができればと思っています。
まとめ
私たちは、MTGアリーナの「誰でもどこででも気軽にマジックを楽しめる」という使命を引き続き重視しています。このゲームの発展に合わせて、私たちはプレイヤーの皆さんに一番響く部分にリソースを移してきました。ときにそれは、フォーマットを1つ終了するような困難な決断を迫られることにもなります。マジックの管理者として、このような決断は簡単に下すものではありません。何か月にもわたって議論と代案の検討を重ねた結果なのです。
私たちは数週間をかけて、アルケミーを盛大に送り出します。アルケミーは私たちの歴史を振り返ってもとりわけ挑戦的なプロジェクトであり、さまざまなセットやイベントなどから本当に多くのことを学びました。アルケミー・プレイヤーの皆さん、改めまして、これまでアルケミーをプレイしていただきありがとうございました。MTGアリーナのフォーマットやマジックの未来はこれからどのように展開していくのか、楽しみにしています!

