2026年8月10日 禁止制限告知
スタンダード
《アナグマモグラの仔》 禁止
《嵐追いの才能》 禁止
《ばあば》 禁止
パイオニア
変更なし
モダン
変更なし
レガシー
《ファンタスティッカー》 禁止
ヴィンテージ
《ファンタスティッカー》 制限
パウパー
変更なし
アルケミー
変更なし
ヒストリック
変更なし
タイムレス
変更なし
ブロール
変更なし
競技ブロール
変更なし
発効日は2026年8月10日です。制限カード、禁止カードのフォーマット別一覧はこちら。
次回の禁止制限告知:2026年10月12日
ゲーマーの皆さん、こんにちは!
私はカルメン・クロンペアレンズ/Carmen Klomparens。マジックのプレイ・デザイン・チームに所属する上席ゲーム・デザイナーです。アムステルダムでのモダンのプロツアーを終えて、次は地域チャンピオンシップ予選のシーズンを迎えるにあたり、私たちはスタンダードに照準を合わせています。とはいえ、もちろん注目しているのはスタンダードだけではありません。今回もさまざまなフォーマットについてお話をしましょう。
なお今回の変更については、太平洋時間8月11日10時(日本時間26時)よりtwitch.tv/magicでの公式配信(英語)でも詳しくお伝えします。次回の禁止制限告知は、2026年10月12日予定です。今回も語るべきことはたくさんありますので、早速始めましょう!
目次
スタンダード
(この項はジェイディーン・クロンペアレンズ/Jadine Klomparensよりお送りします。)
《アナグマモグラの仔》 禁止
《嵐追いの才能》 禁止
《ばあば》 禁止
ここ数か月にわたり、スタンダードでは他より抜きん出た2つの戦略が中心にあり続けてきました。《アナグマモグラの仔》を基盤とする緑の戦略と、青や赤の非クリーチャー呪文を活用するさまざまな形のデッキです。その2つの戦略と他の戦略との差は明らかであったものの、決して乗り越えられないほどのものではなく、毎週のように多くのデッキが成功を掴んできました。
スタンダードのメタゲームは多様で、時間をかけて変化してきました。《ウロボロイド》から《自然の律動》、そして「上陸」へと進化を遂げた緑のデッキ。「イゼット果敢」と「イゼット講義」、「イゼット・スペレメンタル」へと細分化された青赤のデッキ。「マルドゥ・ディスカード」や「4色コントロール」のような新たなデッキの出現。その期間にスタンダードにまったく問題がなかったわけではありませんが、全体的に見れば健全であり、私たちは禁止制限告知においてカードを禁止する措置は取りませんでした。
しかしここ最近、上位デッキと他の戦略との差がさらに広がっています。特に大きな契機となったのが、「セレズニア・オフェンス」と呼ばれる新たな《アナグマモグラの仔》系デッキが緑デッキの最上位として台頭したことです。かつての《自然の律動》型と同様に、このデッキは『ストリクスヘイヴンの秘密』の《練習を積んだ攻撃》を駆使してゲームを早い段階で終わらせることを狙います。その上で、能力を持つ土地や呪禁を持つ《沼地のハンター、レザーヘッド》などの除去に強いクリーチャーを採用し、より粘り強く、攻略しにくい形に仕上がっています。
この2か月はモダンの地域チャンピオンシップ予選シーズンやプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』などが競技マジックの最前線となり、モダンに注目が移っていました。そのため「セレズニア・オフェンス」についてはハイレベルなトーナメントにおける実績はなく、また私たちが見るスタンダードのメタゲームの全体像も、競技的なプレッシャーに晒されている状態と比べれば不鮮明です。
しかしながらテーブルトップの大型トーナメントがなくとも、MTGアリーナで収集したデータが示すものは明白でした。「セレズニア・オフェンス」は2番目に高い使用率を記録しながら、57%を超える勝率で他を大きく離しているのです。通常、使用率が上がれば勝率は下がるものです。高い使用率を記録しながらも高い勝率を維持するデッキは、フォーマットのバランスにおいて大きな脅威となります。実際に私たちが持つデータによれば、「セレズニア・オフェンス」の全体的な傾向は《迷える黒魔道士、ビビ》を禁止した当時の「イゼット大釜」のデータに酷似しています。
ほとんどの場合、新たなデッキが高い勝率を記録して勢いよく登場しても、それだけで警報音が鳴ることはありません。プレイヤーの皆さんがその新たな戦略に対する立ち回りを見出し、サイドボードを調整するためには少し時間が必要になります。しかし今回の場合、「セレズニア・オフェンス」がまったく新しいデッキというわけではありません。このフォーマットの柱のひとつが進化した姿であり、新たにほとんど隙のない耐久力と速度のバランスを実現したデッキなのです。《アナグマモグラの仔》の支配的な経歴を見た上で、データ上で高い勝率と使用率を維持している状況を私たちは懸念しています。
そこで、このままスタンダードの地域チャンピオンシップ予選シーズンを迎え、「セレズニア・オフェンス」に問題があることがテーブルトップのスタンダードで証明されるのを待つよりも、今行動を起こすことを私たちは選択しました。私たちは、スタンダードにおけるカードの禁止を極めて重く受け止めています。スタンダードに関する変更に対しては、慎重過ぎるくらいの姿勢を基本としています。しかしながら、スタンダードが長期的に健全であるためには、安定した環境が欠かせません。現在のスタンダード環境が抱える危険性は私たちが行動を起こすほど大きく、バランスを崩し楽しくないものになってしまうリスクがあるのです。今回の変更は、これから再び競技的なプレッシャーがかかるスタンダードを楽しく多様性に富んだフォーマットにするための道を開くことを目標にしたものです。
「セレズニア・オフェンス」から禁止カードを出すなら、《アナグマモグラの仔》であることは明白でしょう。《アナグマモグラの仔》は極めて強力であり、登場以来スタンダード・フォーマットを定義する1枚であり続けてきました。このカードについては、過去の禁止制限告知の際もたびたび腰を据えて議論を重ねていました。低コストの脅威であり、コントローラーに圧倒的なマナ・アドバンテージももたらす《アナグマモグラの仔》の存在により、環境のデッキは2マナのクリーチャーへの対処を迫られます。その結果マナ効率を重視せざるを得なくなり、環境の速度が不健全に圧縮されています。《アナグマモグラの仔》を取り除くことでスタンダードのゲームに一息つく余裕が生まれ、より楽しいものになるでしょう。
私たちが持つデータによると、スタンダードにおけるメタゲーム上のシェアの覇権は3つのデッキが争っています。そのうちの1つは、先ほど(勝率の高さで)取り上げた「セレズニア・オフェンス」です。他の2つは「ジェスカイ講義」と「イゼット果敢」で、現在のスタンダード環境を二分するもう1つの勢力「青赤」側のデッキとなっています。《アナグマモグラの仔》禁止後の環境において、これらの青赤系デッキがそのままベスト・デッキの座を容易に占めることのないよう、私たちは「イゼット果敢」と「ジェスカイ講義」からもカードを禁止することにしました。
「イゼット果敢」は、さまざまな青赤系デッキの中でも長らく最強の座にあります。素早くゲームを勝ち取ることができる速く攻撃的なデッキでありながら、高レベルの干渉手段も持ちあわせています。現在のスタンダード環境における「イゼット果敢」から、3年スタンダードにおいては果敢やその他低コスト呪文の恩恵を受けるカードの扱いにより慎重を期す必要があることを私たちは学びました。カードプールが大きくなれば、利用できる低コスト呪文の幅も広がるのです。「イゼット果敢」を支える重要なカードといえば《嵐追いの才能》であり、私たちはこのカードを禁止する決断を下しました。
《嵐追いの才能》は「イゼット果敢」の素早い動き出しに寄与する1マナのカードであり、《ブーメランの基礎》との組み合わせでゲーム後半の強さももたらします。ゲーム前半の強みと後半の強みをあわせ持つのは、1マナのカードとして適切でないと私たちは考えます。低コストのカードはここまで多芸であるべきではなく、ゲームが長引いた際に高コストのカードと渡り合うべきではないのです。《嵐追いの才能》を取り除くことで、青赤系デッキは速度を少し落とし、ゲーム後半には打ち負かされやすくなるでしょう。
「講義」デッキは、スタンダードで安定した強さを見せ続けている青赤系のデッキです。その新たな進化形が「ジェスカイ講義」であり、《発見の石板》や《ジェスカイの啓示》を組み込んでゲーム後半の強力な動きを手に入れています。これは青赤系でありながら基本的に《嵐追いの才能》を使わないデッキであり、MTGアリーナのスタンダードにおいて特に高い使用率を記録しています。次のスタンダード環境における最上位の枠を「講義」デッキが容易に占めることがないよう、私たちは《ばあば》の禁止を決断しました。
《ばあば》は、「講義」デッキが擁する強力なマナ・エンジンです。雪だるま式にアドバンテージ差を広げるその性質上、このカードには《アナグマモグラの仔》と同様に素早い対処が求められます。そして《嵐追いの才能》と同様に、1マナのカードにしてゲーム後半にも大きなアドバンテージを生む脅威です。《ばあば》はクリーチャーの採用が少ない「ジェスカイ講義」において唯一無二の存在感を放ち、このデッキへの反撃を難しくしています。このカードへの回答を迫られるものの、クリーチャー除去は「ジェスカイ講義」に対して効果的でないのです。
本日行われた3つの禁止措置はすべて、スタンダードの多様性を高め、環境の速度を落とすための取り組みです。現在のスタンダード環境におけるゲームプレイ上の最大の問題は、その速度にあります。環境最高のカードや戦略がゲーム序盤での対処を迫り、メタゲームで競い合うためにはマナ・カーブの効率化を徹底するよう強大な圧力をかけています。《アナグマモグラの仔》系デッキは早ければ3ターン目に勝負を決めることができ、4ターン目や5ターン目には安定して勝利を掴んできました。「イゼット果敢」も同様に、早い段階でゲームを終わらせることができます。現環境の速度は、私たちがスタンダードに求める速度よりも速いのです。
この特異なスタンダード環境から、マジックのデザイン・チームは多くのことを学びました。ゲームが序盤から雪だるま式に転がることのないよう、回答を迫る1、2マナ域のカードについては精査レベルが大きく向上しています。また、スタンダードの速度についてはどの程度が望ましいのかを改めて考え、それを実現するためのデザイン手法に熱心に取り組んでいます。これらの取り組みは以前から進められており、教訓が活かされたセットが近いうちにやって来るでしょう。
パイオニア
(この項はアリヤ・カラムチャンダニ/Arya Karamchandaniよりお送りします。)
変更なし
パイオニアは凪の時期にあり、使用率のやや高いデッキは見受けられるものの、現時点では健全な環境であると私たちは確信しています。現環境を代表するのは、「イゼット・スペル」系のデッキと《アナグマモグラの仔》を基盤とする緑系のデッキです。《コーリ鋼の短刀》の禁止を受けて「イゼット・スペル」は分岐し、中でも遅めの「講義」デッキと低コストでまとめた「果敢」デッキに人気が集まっています。これらはプレイ・スタイルが異なるデッキであり、パイオニアの画一化は懸念していません。とはいえ私たちは引き続きさまざまなアーキタイプに目を向けており、使用率が異常値を示す場合は監視を強めます。イゼット系デッキの全体的な勝率や使用率も観察していますが、今のところは許容範囲内に収まっています。
もう1つ成功を収めて大きな勢力を築いているのが、緑の《アナグマモグラの仔》系デッキです。さまざまな形がある中で特に人気を集めているのは「ゴルガリ・ミッドレンジ」ですが、使用率はかなり高いものの勝率は控えめで、明確に相性の悪いマッチアップもあるため、現状の人気であれば健全だと私たちは考えています。他の《アナグマモグラの仔》系デッキについては、「セレズニア・カウンター」のようなアグレッシブなものから「ゴルガリ・フード」や「スケープシフト」のようなコンボ重視のものまで、実にさまざまです。いずれのデッキも問題となるような勝率や使用率は示しておらず、現時点では行動を起こすつもりはありません。今後これらのデッキの勝率や使用率が私たちが健全だと考える範囲を越えて上がっていくようであれば、《アナグマモグラの仔》を注視していくつもりです。
全体的に見て、パイオニアは非常に健全な状態にあります。活躍できるデッキは多く、「赤単アグロ」や「脂牙」、「アゾリウス・コントロール」のような定番デッキも引き続き結果を残しており、それぞれがイゼット系や《アナグマモグラの仔》系デッキとも渡り合っています。メタゲームには毎週のように健全な動きが見受けられ、Magic OnlineとMTGアリーナでは大きく異なる環境になっています。この数か月で大きな変化を遂げたパイオニアを私たちは引き続き観察し、将来的に競技のプレッシャーを受けてさらに大きな変化が訪れるか注目していきます。
モダン
(この項はカルメン・クロンペアレンズよりお送りします。)
変更なし
モダンでは今、変革の波が起きつつあります。
数週間前に世界最高のプレイヤーたちがアムステルダムへ集結し、モダンとブースタードラフトで競い合いました。その結果は?使用率の面では「ボロス・エネルギー」と「親和」がメタゲームの上位に立ったものの、それらは優れた勝率を出すのに苦戦しました。プロツアーで大きな成功を収めたデッキの多くは、このフォーマットの可能性を追求したものや既存の型に新たなツールを取り入れたものだったのです。中でも際立ったのは、新しい風を感じさせる一作でした。
「エルドラージ・ランプ」の新作「エルドラージ・トラッジ」は、強力な土地とエルドラージ・クリーチャーによる必勝パターンはそのままに、《まどろみのトラッジ》と《八百長試合》を採用することでゲーム序盤にも脅威を繰り出す手段を備えたデッキです。今回のプロツアーでは特にチーム「森山ジャパン」のメンバーたちがこのデッキで挑み、勝率65%という大成功を収めました。一定の使用者数を集めながら勝率60%を超えたアーキタイプは、他に「シミック新生化」しかありません。
もしこれらのアーキタイプの勝率がこのまま維持されるようであれば、私たちとしても心配せざるを得ないでしょう。しかしながら、モダンは長年にわたり相性の極端なマッチアップによって環境が定義されてきたフォーマットです。実際に、プロツアーの週末に大成功を収めながら、その直後に勢いを落とすデッキの姿も私たちは数多く見てきました。昨年の「プロツアー『久遠の終端』」がまさにその例でしょう。この大会で唯一複数名の使用者をトップ8へ送り込んだ「青単ベルチャー」は、その後メタゲーム上の存在感を失っています。今回のプロツアー後のMagic Onlineでの動向を見るに、「エルドラージ・トラッジ」は健全で有機的な変化をメタゲームにもたらしていることが見受けられます。
しかしながら、先ほど触れた「シミック新生化」については、私たちが注視するデッキの1つになっています。
「新生化」デッキはモダンで浮き沈みを繰り返しており、私たちとしても好ましく見守っていました。しかしながら時間の経過とともに「浮き」の週末が増えてきていることは懸念材料となっています。高マナ域のクリーチャーとして《アロサウルス乗り》を戦場に出し、それを《新生化》や《異界の進化》で生け贄に捧げて別の大型クリーチャーを呼び出すこのデッキは、そこからまたマナのシステムを逆手に取って勝利を引き寄せます。
この手のマジックのルール・エンジンを巧みに利用する戦略は基本的にはクールなものであると私たちは考えており、革新的なデッキビルダーがこのようなデッキを競技シーンへ押し上げようと挑戦する姿を好ましく思っています。「ドレッジ」や「ランタン・コントロール」も同種のデッキであり、想像しうる限り最も型破りなカードの使い方がそれらを印象的なものにしています。「新生化」デッキの斬新さは魅力的ですが、問題も抱えています。ゲームが圧縮されてしまう点です。このデッキは「オール・オア・ナッシング」の性質や2ターン目にゲームを決着させられる力を持つため、あらゆるモダンの大会でメタゲームの10%以上を占めるような定番デッキになればモダンの体験が損なわれる可能性があると私たちは懸念しているのです。
とはいえ、現時点ではそのような状況にはほど遠いと私たちは考えています。
全体的に見て、モダンはあらゆるデッキにチャンスがあり、また打ち負かされる可能性がある場所となっています。ローテーションなしのフォーマットでこのように自己修正が機能している状況に、私たちは満足しています。ここ数年はスタンダード向けのカードがモダンに居場所を見つける姿を見かけることもあり、嬉しく思っています。『マジック:ザ・ギャザリング | ホビット™』でやって来るカードの活躍にも期待しています。
レガシー
(この項はカルメン・クロンペアレンズよりお送りします。)
《ファンタスティッカー》 禁止
『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』の発売以来、このセットのさまざまな収録カードがマジックのローテーションなしのフォーマットで活躍する姿が見受けられました。中でもレガシーとヴィンテージで際立っていたのが、《ファンタスティッカー》です。
《ファンタスティッカー》が初めてお披露目されたときに、それはすぐさまコミュニティの注目を集めました。低コストで凄まじい爆発力を持つこのカードは、すでにエターナル・フォーマットでの地位を確立しているツールの多くと好相性を発揮しています。早い段階から警戒はしていたものの、「Studio X」(マジック開発スタジオ)の理念として、私たちはエターナル・フォーマットのカードに対して先行措置を取ることには慎重な姿勢でいます。私たちは、特定の戦略に対する回答となるツールを幅広く用意しています。多くのプレイヤーにとって、エターナル・フォーマットの魅力は高いパワーレベルにあるのです。
しかしながら、《ファンタスティッカー》はあまりに多種多様な戦略に採用され、一定量の対策カードでは対処が不可能に近いことが証明されました。
《ファンタスティッカー》が最も自然に入るのは、デッキの構成上マナ・コストの支払いなしで唱えられる呪文を多く搭載し、《暗黒の儀式》も採用される「ドゥームズデイ」でしょう。《ファンタスティッカー》が登場してわずか数週間で、このデッキの勝率と使用率は急上昇を見せています。そして《ファンタスティッカー》が居場所を見つけたのはコンボ特化のデッキだけではありません。
「UBer」の愛称で呼ばれるフェア寄りのディミーア・デッキも、この数週間でいきなりの成功を掴んでいます。このような形のコンボを搭載したデッキは、通常私たちが目にしたいものではありません。ゲームをほぼ終わらせるコンボの脅威をちらつかせながら、フェアなゲームを完璧に演じるというたぐいのデッキです。私たちは「ディミーア・リアニメイト」でまさにこの問題に対処するべく長い時間をかけて取り組み、最終的に《納墓》を禁止せざるを得ないという決断を下しました。
早い段階で勝負を決めればいい?そのためには、《思考囲い》やレガシーの青のデッキが誇る打ち消し呪文の数々を掻い潜らなければなりません。ゲームを長引かせるのは?「UBer」が繰り出すクリーチャーとのフェアなゲームで消耗戦を乗り切れるでしょうか。
そして他にも、「フェア」と「コンボ」の境界を行き来できるデッキがあります。
《ファンタスティッカー》がコンボ特化のデッキでもフェア寄りの青系デッキでも、無色のアーティファクト・デッキでも成功を収めているという事実は、このカードに対する汎用的な対抗手段がないことを示しています。私たちは10種類を超えるアーキタイプで《ファンタスティッカー》の姿を確認しており、その存在感をこの上なく懸念しています。
サプリメント・セット収録のカードがレガシーで活躍すること自体は、必ずしも問題になるとは限りません。しかしながら、これだけ大きな影響を与えるカードは、収録製品に関わらず許容範囲を大きく逸脱しています。私たちは常にマジックのカードの制作方法の改善に取り組んでおり、デザイン過程においてもローテーションなしのフォーマットに注目する新たなステップを導入しています。《ファンタスティッカー》の開発サイクル後から導入されたこの新たな手法には手応えを感じており、将来的にエターナル・フォーマットにおけるこの手のリスクは事前にキャッチされるものと思われます。
今年もまた「エターナル・ウィークエンド」を迎える時期に入り、私たちの決断はそれを念頭に置いたものになります。私たちは、皆さんがこのイベントで心置きなくエターナルを楽しめるようにしたいのです。採用の幅広さとパワーレベルの両面から、《ファンタスティッカー》には今行動を起こすことにしました。《ファンタスティッカー》によるゲーム圧縮のプレッシャーがない状態で迎える《Candelabra of Tawnos》禁止後のレガシー環境を楽しみにしています。
ヴィンテージ
(この項はエリック・エンゲルハルト/Eric Engelhardよりお送りします。)
《ファンタスティッカー》 制限
私たちは、《ファンタスティッカー》をヴィンテージにおいて制限することにしました。
前回ヴィンテージについてお話しした際にも、私たちは《ファンタスティッカー》がこのフォーマットで問題を起こす可能性は高いと認識していました。そのリスクは現実のものとなり、このカードは《まばゆい肉掻き》を搭載した強力な「ショップ」デッキへ自然と採用されました。
《ファンタスティッカー》が《Mishra's Workshop》とともに使われるのは驚くことではありませんが、このデッキに与える力や環境を歪める程度、そして「ショップ」以外のデッキにも姿が見受けられるのは、非常に懸念される状況です。
私たちはヴィンテージやレガシーの観点でも新規カードをチェックしていますが、《ファンタスティッカー》については当時特別な注意は向けられず、通常のレビュー過程を通過しました。現在はこういった潜在的な影響を把握するためにより厳格なガイドラインを定めており、この手のカードには注意を向けられるようになっています。
今回の制限措置は、《ファンタスティッカー》があらゆるデッキに採用されるのを防ぐものであると私たちは期待しています。一部のデッキには1枚でも採用され続けると思われますが、このカードを中心にデッキを構築するのは難しくなるでしょう。この措置により、私たちが非常に健全だと見ていた以前の環境に戻ってくれればと思います。波乱の夏でしたが、この後迎える「エターナル・ウィークエンド」でのヴィンテージの様子を楽しみにしています!
パウパー
(この項はガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyよりお送りします。)
変更なし
先月、パウパー・フォーマット委員会は改めてパウパー環境全体を精査し、とりわけテーブルトップの大規模イベントにおける《こそこそサクサク》のパフォーマンスに注目した。その結果、現在の環境は多様性にあふれており、「こそこそサクサク」デッキがメタゲーム上のシェアを独占しているとは到底言えない状況であることがわかった。そのため、今回は変更なしだ。
また《眷者の装飾品》の試験的禁止解除もうまくいっており、いくつかのデッキに姿が見受けられるものの、使用に耐えるカードの1枚としてほぼ標準的なレベルに収まっている。現時点では、《眷者の装飾品》は引き続きパウパーに残ると言って差し支えないだろう。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてくれ。
アルケミー
(この項はデイヴ・フィンセス/Dave Finsethよりお送りします。)
変更なし
『アルケミー:ストリクスヘイヴン』で登場した新規カードは、すぐに環境での居場所を見つけました。中でも《スカラー奨学生》は、《華麗なる模造》や《拡張性再適用》のような強力なX呪文を唱える緑青のデッキにうまく収まっているようです。また、《鼓舞するイーゼル》や《発見の石板》でマナを素早く加速して《極上祭の閉会式》へつなぐ、高コストのインスタントやソーサリーを活用する青赤のデッキが人気を高めています。両デッキとも、アルケミーに新たなプレイ・パターンを生んでいます。
ヒストリック
(この項はデイヴ・フィンセスよりお送りします。)
変更なし
ヒストリックはアリーナ・チャンピオンシップでスポットが当たって以来数か月にわたり、安定した環境が続いています。驚くべき多様性は健在でありながら、競技志向のデッキ同士の相互監視も機能しています。メタゲームでは「ルビー・ストーム」や「イゼット・ウィザード」のようなスペル重視の戦略が一大勢力を築いており、その結果「真昼の決闘コントロール」が人気を高めています。「ルビー・ストーム」については最近《ヘックス・マジック》という新たなカード・アドバンテージ源を獲得したため、私たちも目を向けています。
またリアニメイト戦略も人気を集めつつあり、現在のメタゲームに新たな選択肢をもたらしています。《ネクロマンシー》や《生 // 死》で《偉大なる統一者、アトラクサ》や《聖エレンダ》のような強力な脅威を墓地から戻すこのデッキにも注目です。
タイムレス
(この項はデイヴ・フィンセスよりお送りします。)
変更なし
MTGアリーナで最もハイパワーなこのフォーマットには、前回の告知以降小さな変化が見受けられます。競技志向の高いデッキのバランスは引き続き保たれているものの、使用率に波があるのです。現時点では《納墓》と《再活性》のリアニメイト戦略が一番人気となっていますが、これはコントロール・デッキを苦手としています。私たちは引き続きタイムレスの全体的な傾向を観察し、他より抜きん出るアーキタイプが現れないか監視していくつもりです。今のところはそのような傾向は見受けられません。
ブロール
(この項はデイヴ・フィンセスよりお送りします。)
変更なし
6月に、私たちはブロールにおいて6枚のカードを禁止する大きな変更を行いました。私たちは効率的なマナ加速や低コストの打ち消し呪文、追加ターンを得て容易にループを発生させるカードに対して厳しい姿勢を取るようになったのです。この変更に対するプレイヤーの皆さんの反応は圧倒的に好評で、データもブロールがより健全になる未来を示しています。
皆さんが変更後の環境を探検する時間をもう少し取った方が良いと考え、今回追加の変更は行いません。他のカードについても社内での精査と議論を続けていますが、今のところは勝率や使用率の観点で異常値を示しているものはありません。
マッチメイキングについては、前回の変更でマッチング時間が平均4秒ほど長くなったものの、同様のパワーレベルの統率者同士が対戦する割合は増加しています。このトレードオフは適正であると私たちは考えていますが、引き続き複数の指標でマッチメイキングを観察し、皆さんがマジックを楽しめるようさらなる改善方法を探していきます。
競技ブロール
(この項はデイヴ・フィンセスよりお送りします。)
変更なし
導入から数か月を経た現在の競技ブロールのバランスの良さを、私たちは心から嬉しく思っています。メタゲーム上のシェアが1%を超える統率者はなく、特に競技志向の高いデッキの勝率も拮抗しています。加えて、この新たなコマンダーの遊び方を試してみるプレイヤーが数多く見受けられます。競技ブロールには、まだまだ探検と発展の余地がたくさんあります!私たちはメタゲームが収束するまでの動向を楽しく見守っていますが、必要に応じてしっかり行動を起こしていきます。





