断片の戦争

更新日 Feature on 2009年 4月 1日

By Wizards of the Coast


アラーラは完全に一つになった。五つの断片は互いと重なり合い、“大渦”として知られるマナの嵐に力を与える、混沌とした魔力を生み出している。かつては独自の世界をなしていた断片は、いまやアラーラの巨大な世界の一部に過ぎない。アラーラの文明は統合され、エルダー・ドラゴンのプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスの陰謀により引き起こされた断片同士の戦争は、いまや全世界を巻き込んでいる。


かつては緑深く汚れなき楽園だったナヤの断片は、戦火に焼き尽くされつつある。断片のエルフや人間が崇拝していた巨獣は暴走し、よそ者の地をあたりかまわず粉々にしていった。ナカティルのレオニンの群れは混乱と内紛とで散り散りになり、彼らの統率力は闇の力の前に失われていった。

ナヤの自然の美しさ ― そしてその生命力への渇望 ― に引き寄せられたグリクシスのアンデッド達は、制圧のためにジャングルへと浸透していった。そして、エスパーの魔道士は、ナヤの野獣をエーテリウムの純化のために ― あるいは労役用として ― 必要としていた。


バントの敵は、単なる物理的境界を争うだけでなく、彼らの秩序だった理想をも攻め立てていた。バントの小国は互いに協力し、ひとつの強力な軍隊を結成して自らの人々と価値を守り、自分たちを脅かす断片へと進軍を開始した。天使たちも空を埋める悪魔の軍団を退け、平原をドラゴンの炎から守るために立ち上がった。騎士たちはゾンビやゴブリンやヴィーアシーノの軍勢を蹴散らすために騎馬にまたがった。

しかし、彼らはこの戦いが、自らを滅するものでもあることに気づく。秩序だった儀式的戦闘を重ねてきた彼らは、次元全体からの暴力的な攻撃に対してほとんど無力だったのだ。そして、同じ美徳の上に築かれた彼らの社会の基盤も、戦争の中で崩れつつあった。


エスパーの魔道士やスフィンクスは、魔法の合金エーテリウムを用い、環境のあらゆる面 ― 植物相、動物相、そして空すらも ― をコントロールしようとしている。しかし、彼らのエーテリウムの貯蔵もつきつつあり、カルモットと呼ばれるその創生の秘儀を秘めた赤い石は、エスパーのどこにも見つからなかった。

断片がつながりあった今、エスパー人は他の断片にあるはずのカルモットを奪おうとしているが、同時に他の次元で暴れる混沌の勢力とも戦わなければいけない状況だ。予言に導かれるエルフや血を求める蛮族にとって、エスパーはある意味遊び場のようなものだ。一方で、エーテリウムの秘めた力を目にしたバントの騎士階級やグリクシスの屍術士は、その強さを自分たちのものにしようとしている。ボーラスに操られたカルモット求道団として知られる魔道士の結社は、エスパーの社会を無政府状態の階級闘争へと追い込んでいる。


グリクシスは、かつては光と生命のマナを失った、言わば閉ざされた棺の世界だった。何世紀もの間腐敗し続けていった世界は、悪魔とアンデッドがうごめく地獄の世界へと変わった。そして次元がつながりあった今、棺のふたは大きく開けはなたれ、血に飢えた悪霊は、死霊の王や屍術士の男爵に率いられ、群れを成して外へと襲い掛かっていった。

グリクシスが断片に進軍するや、その勢力は増大していった。グリクシスの軍勢の爪に倒された者たちが、そのままゾンビへと変わっていった計算だ。一人の兵士が死ねば、一人のアンデッドの手下が増えるのだ。グリクシスの屍術士は、あらゆる断片から特化した力を引き出している ― アンデッドのソクターは重騎兵部隊を形成し、アンデッドの魔道士は魔法の矢で後方から支援し、アンデッドの将軍は突撃を率い、アンデッドのドラゴンに至っては純粋な破壊の力を発揮している。

グリクシスにとっての恵まれた地とは、すなわち生からの脱出なのだろう。次元の中で隠遁の身だったヴィティアの生き残りは、脱出路から他の生命のいるこの世界へと帰ってきた。


原始的で、火山と爬虫類族に満ちた燃えたぎる炉の世界であるジャンドでは、強きものが常に生き残ってきた ― 弱いものは、すぐに死を迎えるからだ。ゴブリンは峰から峰へと跳び回り、襲い掛かるドラゴンに食われる名誉を求めていた。ヴィーアシーノ族は、蒸気吹き上げる密林で生き残りのための戦いを繰り広げていた。そして、戦いに身をやつした人間の戦士たちは、この地の最強の餌食に対し“生命狩り”と呼んだ戦いを挑んでいた。

断片が結合し、ジャンドの凶暴な住人は新たな餌食の世界を見つけた。彼らは、ジャンドの食物連鎖の生命体に比べれば、柔らかく力も弱い。戦士族は編み上げ髪にさらに血の褒章を湛え、ゴブリンやヴィーアシーノは簡単に手に入る食い物を手に入れた。そしてもちろん、ドラゴンたちにとって、それは世界サイズのご馳走の並んだ祝宴だ。

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