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 五人のプレインズウォーカー。十の世界。そしてマジックの物語展開の、新たな時代の始まり。

  • ギデオン:街路の荒んだ悪童から、無辜の人々の力強い庇護者へ
  • ジェイス:才能ある最下層民から、華々しくも神秘的なテレパスへ
  • リリアナ:大志を抱く癒し手から、ゾンビの軍勢を率いる邪な屍術士へ
  • チャンドラ:反抗的な厄介者から、権威に異を唱える熟達の紅蓮術士へ
  • ニッサ:誤解された追放者から、あらゆる世界の生命の庇護へと心を傾ける戦士へ

 『マジック・オリジン』において、私達はこれら五人のキャラクターへと焦点を当てます。彼らをプレインズウォーカーへと変身させ、その将来を広げた瞬間を、そして今日の彼らの姿を形作った重要な経験を。

 これは皆さんがこれまで見てきた、基本セットへのアプローチとは異なります。十の次元はこのセットの新たなカードとして登場します。そのキャラクターの故郷の次元と、彼らの初めての次元渡りで訪れた次元です。物語ではプレインズウォーカー達の経歴と動機を探ります。各キャラクターはその「灯」が点火するほどの感情の目覚めを経験し、それは彼らの人生を永遠に変えます。物語的な視点から、これらの感情的な覚醒がマジック・オリジンの核となります。

プレインズウォーカー故郷の次元最初に渡った次元

ギデオン

テーロス

バント

ジェイス

ヴリン

ラヴニカ

リリアナ

ドミナリア

イニストラード

チャンドラ

カラデシュ

レガーサ

ニッサ

ゼンディカー

ローウィン

 近い将来、この五人のプレインズウォーカーは物語にとって極めて重要となることから、私達はマジックの物語の次のフェイズが始まる前に彼らの原点を探りたいと考えました。皆さんは様々な媒体で彼らの物語を目にするでしょう。カード、『マジック・デュエルズ・オリジン』、Uncharted Realms、そしてそれら以外でも。そして物語を追うために媒体から媒体へと飛ぶ必要はなくなります。私達は新たな物語展開の方式を取り入れ、そのため何処でマジックに触れたいかを問わず、現在のカードセットに直接繋がる物語を皆さんは体験するでしょう。

 これから五週間に渡って、皆さんはこの記事で五人全てのはじまりの物語を読めるようになります。

日付プレインズウォーカー記事タイトル著者

6月10日

チャンドラ・ナラー

炎の道理

ダグ・ベイアー/Doug Beyer

6月17日

リリアナ・ヴェス

第四の契約

ジェームズ・ワイアット/James Wyatt

6月24日

ジェイス・ベレレン

欠けた心

ケリー・ディグス/Kelly Digges

7月1日

ギデオン・ジュラ

アクロスのキテオン・イオラ

アリ・レーヴィッチ/Ari Levitch

7月8日

ニッサ・レヴェイン

故郷

キンバリー・J・クライネス/ Kimberly J. Kreines & アダム・リー/Adam Lee


ということは、マジックの物語展開において大きな変化があるのでしょうか?

 ええ、その通りです。そして私達は信じられないほどそれに興奮しています。マジックのストーリーチームについて、私から言えることが二つあります。私達はマジックを愛している、そして多元宇宙の素晴らしいキャラクターと次元の物語を伝えたいと願っていると。じきに皆さんはそのチームについて更に耳にするようになるでしょう、ですが私達とその行いを繰り返し評価される存在にしてくれているのは、「物語を外に出したい」という私達自身の欲求です。多くの討議を経て、私達は物語展開の新たなモデルに到達しました。『マジック・オリジン』はこの変化の始まりとして印され、そして皆さんは『戦乱のゼンディカー』とその先での更なる発展を目にするでしょう。

 この新たな物語展開のモデルには三つの大きな柱があります。

1.物語は入手しやすいものであること

 これからますます、皆さんはカードに展開された物語場面を目にするでしょう(《神討ち》や《命運の核心》のように)。私達は物語を結構な枚数のカードのDNAへと吹き込むために、デザインチームと共に働いています。この共同作業は開発段階から構想段階まで続いています。ですがランダムに配置された静的なイメージを使用して一続きの物語を描写するというのは難題です。そのため私達はより深く物語を掘り下げるべく、別の媒体を築いてきました。具体的に言いますとUncharted Realmsです。『タルキール』ブロックはウェブサイトにて本筋に関連する、連続した物語を公開した最初のブロックとして印されました。反応は途方もないものでした。そのため私達は週刊連載記事にて物語展開を伝え続けることを計画しています。

2.物語は繋がっていること

 私達の物語展開のアプローチは多くの媒体を跨いで繋がります。何処で最初にマジックの物語に触れたとしても、私達は現在の物語で何が起こっているかを理解して欲しいのです。各媒体はマジックの物語の「正史」を保ち続けながらも、その媒体こそが最良を行える理由を必要とします。そして、理想としては、それぞれの媒体が何かわずかに独自のものを提供するべきでしょう。たとえば、Uncharted Realmsは物語風の詳細を伝える媒体であり、『マジック・デュエルズ・オリジン』はゲームプレイと物語に焦点を当てたアートを通じて皆さんに物語を体験して頂けます。そして皆さんは来たる数ヶ月のうちに、新たな媒体を目にするでしょう。私達の、メディアを超えた物語展開を拡張する力作です。

3.物語は妥当であること

 数年前、私はアラン・ムーア/Alan Mooreの「Writing for Comics」を読み、そこには「物語の意味」という項がありました。彼は物語内で起こることと、その物語が伝えることとの区別について書いていました。もちろん、物語においてキャラクターは何かを行います。ですがそれらの行動には何かもっと大きなものを意味しているべきなのです。何かしら、人間的経験へと繋がるものを。ムーアの本は、私にとっての執筆の携わり方において大きなターニングポイントとなり、ファンタジーというジャンルへの考え方を変化させました。あるキャラクターがドラゴンに乗るかもしれませんし、もしくはその指先から火の玉を放つかもしれません。ですがファンタジー的な構成であっても、彼女が経験する感情は現代の聴衆にも馴染むものであるべきです。

 要するに、私達は心に残る物語を伝えたいのです。マジックは皆のためのもの、そして同じように、マジックの物語展開が誰もに何かをもたらしてくれることを私達は望んでいます。誰もが全ての物語に感情移入してくれるとまでは思いませんが、皆さんが理解できるキャラクターと、自分自身のように心に響く経験を見つけてくれることを望みます。


マジックのストーリーチーム

 物語を伝える手段の変化に加え、チームには新顔が何人かいます。マジックの物語を作り上げるライター達をご紹介いたします。


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ダグ・ベイアー/Doug Beyer

 ダグはクリエイティブ・チームの古参ライターです。歴戦の古参兵であり、マジックのクリエイティブへと身を捧げた重鎮です。彼はTumblrにてマジックの物語に関わる物事を語ってくれているので、皆さんも確認することをお勧めします。ダグは2006年からマジックのクリエイティブで働いており、以来全てのセットで世界設定に携わっています。彼は『基本セット2013』の首席デザイナーを務め、『イニストラード』、『ラヴニカへの回帰』、『テーロス』を含む膨大なデザインと開発チームと、クリエイティブの間の連絡係を務めてきました。彼は来たる2016年後期に始まるブロック(待っていて下さい、素晴らしいものになりますから)の首席クリエイティブです。


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ケリー・ディグス/Kelly Digges

 ケリー・ディグスは2006年からウィザーズに勤務し、そして彼はマジックの伝承について信じられないほど多くの知識を持っています。彼はかつてイベントのカバレージライターでしたが、カード編集者となり、DailyMTG.comの編集者となり、DailyMTG.comの編集者兼管理者となり、再びカード編集者となり、今やクリエイティブ・デザイナーです。彼はまた幾つものセットでデザインと開発のチームを支えてきました。彼は昨年、Uncharted Realmsの内職をこなした後にストーリーチームに加わりました。私達は彼とその経験をチームに加えることに胸の高鳴りを抑えきれません。


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ジェンナ・ヘランド/Jenna Helland

 私は7年に渡ってマジックの仕事をしてきました。私のお気に入りのプロジェクトとしては、『イニストラード』のコンセプト製作、『ラヴニカへの回帰』の世界設定、そしてエルズペスの物語を執筆したこと等があります。昨年、私はストーリーチームの監督になりました。執筆の時間は減少しましたが、この素晴らしいクルー達を指揮するという特権を享受しています。


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キンバリー・クライネス/Kimberly Kreines

 キンバリー・クライネスは2014年6月よりウィザーズのキャリアを開始しました。チームに加わる以前、彼女は映画脚本の教師であり、フリーランスの作家であり、神経科学者でもありました。彼女は言います、ウィザーズで働く中で大好きなのは、自分と同じように執筆について情熱を傾けるチームの者達と一緒に、物語展開について考える時間を過ごすことだと。有能かつ容赦のないライターとして、彼女は私達のキャラクターの内部に入り込み、それらに生命を与える技巧を見せてくれています。


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アリ・レーヴィッチ/Ari Levitch

 アリは2013年からチームに加わっています。ウィザーズに入る以前、彼は執筆やコミック、物語展開に情熱を傾ける歴史の教師でした。チームに加わってから彼は世界設定、クリエイティブな文章の共同製作、そしてコンセプト作業に同じ情熱をもたらしました。この記事において最も重要な事を言いますと、アリは『マジック・オリジン』の首席クリエイティブです。彼がこの役割を務めるのは初めてのことです。あるキャラクターの起源となる物語が、いかにして彼らの動機を築いたか、そして究極的には彼らが何者かを定義するか。そういった物事に常に好奇心をそそられていたので、このプロジェクトにものすごく興奮していると、彼は言います。


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メル・リー/Mel Li

 メルはこの4月にストーリーチームに加わりました。それ以前、彼女は生物工学の博士研究員であり、『リバイズド』からの熱心なマジックプレイヤーでもありました。大好きなゲームの、こんなにも有能なチームとともに働くことができて興奮している、そう彼女は言っています。


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ジェームズ・ワイアット/James Wyatt

 ジェームズ・ワイアットは2000年1月よりウィザーズで働いています。彼は昨年6月まで「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に携わっていました。彼は「エベロン」世界の「Draconic Prophecies」三部作を含むD&D小説の作者であり、そして「エベロン・キャンペーン・セッティング」といった、受賞経験のあるD&Dゲーム製品を手がけています。最新の版では「プレイヤーズ・ハンドブック」の主要ライターであり、「ダンジョンマスターズ・ガイド」の基本デザイナーを務めました。彼は熟達の文章家であり、老練の世界設定家であり、そして統率者戦マニアです。

(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)